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オリオールズは売り手に回るのか 今後数週間が勝負と決断のとき

2025.6.29 09:33 Sunday

 2025年シーズン開幕に際し、オリオールズがトレード期限前に売り手に回る可能性があると予想した人はほとんどいなかっただろう。ガナー・ヘンダーソン、アドリー・ラッチマンという若手スターを擁し、2年連続でプレーオフに進出。今季も地区優勝の筆頭候補とされたものの、オリオールズは35勝47敗と苦戦し、厳しい状況に立たされている。日本時間6月29日、オリオールズのマイク・イライアスGMがチームのトレードデッドラインにおける立ち位置について明かした。

 GMのマイク・イライアスは「我々はまだ2025年に向けて戦い、プレーしている」と、勝負を諦めたわけではないとアピールした。しかし、「このチームには大きな期待を寄せていた。才能のある選手がいるのは分かっていたが、出だしで大きくつまずいて穴を掘ってしまった。それが今も我々を苦しめている。プレーは良くなり、物事は正しい方向に進んでいると思うが、期限が迫っており、来月中に戦略的な決断を下さなければならない」と、2桁の借金を抱える厳しい現実から目を逸らしているわけではない。

 オリオールズは29日の時点で、ア・リーグのプレーオフ圏内に7ゲーム差の位置につけており、その座を獲得するには7チームを抜く必要がある。データサイト「ファングラフス」は、オリオールズのポストシーズン進出確率を3.6%としている。状況は厳しくともまだ逆転は不可能ではなく、「今のところは、好調を維持し、勝利を重ね、ワイルドカード争いに手が届く位置にいられることを願っている。しかし、今後数週間のうちに、現実的な判断を下さなければならないだろう」と、しばらくの間はチームの巻き返しに期待する方針だ。

 では、決断のときはいつだろうか。イライアスは「最後の1、2日まで待つことはできないと思う。取引を進めるには時間が必要だし、買い手にとっても売り手にとっても、市場が過度に活性化するのは望ましくない。それよりも早い時期にそうなると思う」と、決断のときはデッドライン直前ではないことを示唆。だとすれば、オリオールズにとって今季を諦めて売り手に回るか否かの決断は、向こう1、2週間の戦いぶりに左右される可能性が高い。

 巻き返しの可能性はゼロではないが、状況は厳しい。オールスター・ブレイクまでの対戦カードはレンジャーズ、ブレーブス、メッツ、マーリンズ。勝率5割を超えるチームはメッツのみだが、レンジャーズとブレーブスはまだプレーオフ争いにとどまっており、実力は十分だ。

 さらに悪いことに、ここにきて大黒柱のラッチマンが故障者リストに入った。さらにイライアスはラッチマン負傷の緊急事態によって、AAAに控える強打の捕手有望株サミュエル・バサヨの昇格を焦らせることはないとコメントしている。オリオールズは捕手という強みをこの佳境で失ってしまった。

 仮にオリオールズが売り手に回るとなれば、菅野智之のようなベテランの放出は避けられない。16先発で防御率4.06と安定感を示す菅野、ベテラン先発のザック・エフリン、好守の中堅手セドリック・マリンズ、打撃好調のベテラン勢3人(ライアン・オハーン、ラモン・ローレアーノ、ゲーリー・サンチェス)、そしてベテラン救援投手3人(アンドリュー・キットリッジ、セランソニー・ドミンゲス、グレゴリー・ソト)。このように、今季限りで契約が切れるめぼしいベテラン選手が、今のオリオールズには多い。

 オリオールズが売り手に回るのか、それとも巻き返してプレーオフ争いに舞い戻るのか。多くの“商品”を抱えるオリオールズの決断は、今夏のトレードデッドラインの趨勢を大きく左右するだろう。


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