新人の活躍でアスレチックスが勝利 名手・クラークが打撃で特大弾
2025.7.5 16:02 Saturday
【アスレチックス11-2ジャイアンツ】サクラメント/サターヘルス・パーク、7月4日(日本時間5日)
5月にデビューして以来、アスレチックスの新人デンゼル・クラークはその守備力で名を轟かせてきた。そして、プロスペクト時代から、クラークが期待を受けていた理由は、守備力だけではない。4日のジャイアンツ戦ではクラークが自身のパワーポテンシャルを特大のホームランで示し、またいつも通り守備の好プレーも見せ、アスレチックスを勝利に導いた。
アスレチックスは初回からジャイアンツ先発のジャスティン・バーランダーを攻めた。初回にブレント・ルーカーのタイムリーで先制すると、二回には新人のマックス・マンシー、オールスターの先発ショートに選出されたジェイコブ・ウィルソン、そして再びルーカーがタイムリーを放って、早くも5点のリードを奪う。続く三回には、きょう負傷者リストから復帰したザック・ゲロフの犠牲フライで6点目を挙げ、バーランダーをここでノックアウトした。
六回、先頭のクラークが三塁打で出塁すると、続くローレンス・バトラーがタイムリーでかえして7点目。そして走者を一人置いてニック・カーツが13号2ランを放ち、アスレチックスは一気にジャイアンツを突き放した。カーツはアガスティン・ラミレス(マーリンズ)を抜き、本塁打数で新人トップに。6月の最優秀新人に輝いた昨季のドラ1は、新人王レースを突っ走る同僚・ウィルソンのライバルとして名乗りを上げている。
その後の七回、走者を一人置いてクラークが左中間へ471フィート(約144メートル)の特大2ラン。これでリードを11-0に広げたアスレチックスは、6回を無失点に抑えた先発のJP・シアーズから新人のジャック・パーキンスへとつなぎ、2人の継投でジャイアンツを振り切った。
クラークの471フィート弾は、今季のMLBで3番目の特大弾だった(1位はマイク・トラウトの484フィート弾、2位はバイロン・バクストンの479フィート弾)。そしてスタットキャスト導入後では、アスレチックスの球団史上5位の飛距離だった。
今季の本塁打の飛距離ランキングに名を連ねるのは、トップ3に入るトラウトとバクストン、そしてアーロン・ジャッジやロナルド・アクーニャJr.らを筆頭に強打者揃い。その中でクラークは、この試合の前までシーズン打率は.189に過ぎなかった。クラークはマイナー時代は最高で年間15本塁打を放ったこともあり、MLBでも平均以上のバットスピードを記録するなど、素質は備えている。しかし、MLBレベルの投手相手にまだ適応はできていなかった。
クラークはキャリア初のマルチ長打(三塁打、本塁打)を記録したきょうの活躍の要因について、「最大の要素は単純化」だと語った。MLBでは球速、変化、コマンドにしても最高レベルを相手にしなければならず、その中で人並み外れて長い手足を持つクラークにとっては、シンプルなスイングへの意識は欠かせない。
そして、クラークは得意の守備でも美技を披露。八回2死、右中間に飛んだライナーにダイビングし、地面すれすれで見事なキャッチを見せた。
再建期からなかなか抜け出せないアスレチックスだが、クラークやカーツ、ウィルソンら若手の成長が希望の光となっている。