マチャドとタティスJr.は弱小球団パドレスをどう変えたのか
2025.7.15 14:03 Tuesday
14日(日本時間15日)、パドレスのスターコンビであるマニー・マチャドとフェルナンド・タティスJr.がオールスターの公式会見に登場。かつては弱小球団だったパドレスは、今や2年連続でオールスターに5人の選手を送り込む強豪に成長した。その中心には、2019年にFAで加入したマチャド、そして同年にデビューを飾ったタティスJr.がいる。パドレスという球団の歴史を塗り替えた2人が、その歴史の転換点を回想した。
2019年のスプリングトレーニング、1か月前にパドレスに加入したばかりのマニー・マチャドは、ベテラン選手たちを率いてAJ・プレラーGMのオフィスを訪れた。スプリングトレーニングは終盤を迎え、当時20歳だったフェルナンド・タティスJr.という有望株が、開幕ロースターの当落線上にいた。
当時は、有望株がいくらスプリングトレーニングで結果を残しても、FA権の取得を遅らせるために開幕ロースターに入れないことが主流だった。しかし、マチャドは「我々は勝ちたいんだろう?この男をロースターに入れないといけない」とプレラーGMに訴えた。
1週間後、マチャドとタティスJr.は同じ日、2019年3月28日にパドレスのユニフォームに袖を通し、開幕戦を戦った。様々な意味で、その日は球団の歴史における転換点となった。マチャドとタティスJr.の時代が到来し、それまで負け犬球団だったパドレスは、生まれ変わった。5年間で3回のポストシーズン進出を果たし、ダウンタウンに位置する本拠地ペトコ・パークは、今や毎晩のように満員になる。勝率.537を記録した2020-24年の5シーズンは、球団の歴史で最高勝率のスパンだった。
タティスJr.は「私が昇格する前は、みんなチームよりも将来有望な選手に注目していた。年間90試合も負けていた。もちろん、2019年は最高の年ではなかった。でも、その後は良い野球ができるようになったんだ。(チームに対する)期待が変わったんだ。本当に嬉しいよ。それが僕たちの望みだった」と語った。
それほど遠くない昔、パドレスから複数のオールスター選手が選出されれば、それは驚きだった。今年は2年連続で5人が選出され、その中にはパドレスから3度目のオールスター選出を果たしたマチャドとタティスも含まれる。(パドレスはオールスター・ゲームにリリーフ投手3人を送り込んだ初のチームでもあり、ロバート・スアレス、ジェイソン・アダム、エイドリアン・モレホンが選出された。)
これは、タティスJr.が語るように「期待が変わった」証拠でもある。こうした期待とともに、マチャド/タティスJr.時代を決定づける疑問が浮かび上がる。彼らは球団の転換を、パドレス史上初のワールドシリーズ制覇という輝かしい偉業で飾ることができるのか?
「まさに夢見ていたことだ。(故オーナーの)ピーター(・サイドラー氏)の遺産だ。目が覚めるたびに、そのことを考えている」とタティスJr.は語る。マチャドも「それが、我々がプレーする理由だ」と口を揃える。
「世界一を目指す」というのはメジャーリーガーにとっては当然の発言かもしれない。しかし、パドレスはマチャドが加入するまでの数十年間、どれほどその言葉を真剣に言ってきただろうか?
現在、パドレスの監督を務めるマイク・シルトは、マチャドが加入した2019年はカージナルスの監督だった。当時のパドレスを「チームが勝利に全力を注いでいるという印象は受けなかった。リーグ内のチームの一つという感じだったんだ」と回想する。しかし、「だが、マニーと契約し、タティが台頭して大活躍すれば・・・。その投資とトレードは、リーグの人々にパドレスがいかに本気かを伝えたんだ」と、パドレスの目の色が変わった瞬間を感じ取っていた。
パドレスは本気だった。タティスJr.は、2020年のトレードデッドラインにプレラーGMが26人の選手を巻き込んだ6つのトレードを行ったことで、その真意を実感し始めたと語った。「2019年は、まだ自分たちの能力を模索している段階だった。でも2020年になって、AJがとんでもないトレードをし始めたんだ。まるで・・・『これは本気だ』って感じだった。期待が変わったんだ」。パドレスはその年にプレーオフに進出し、その後2022年と2024年にも再びプレーオフに進出した。
その結果として、パドレスが2021年と2023年にポストシーズンを逃したとき、それは以前とは比べ物にならないほど受け入れ難いものとなった。監督は解任され、組織改革も行われた。一方、ペトコ・パークは盛り上がりを見せ始めた。パドレスは過去2シーズン連続で観客動員数記録を更新しており、今年もそのペースを維持している。しかし、その成功の要因は球場自体に限ったものではない。
「ペトコは美しいし、居心地の良い場所だ。でも、毎日そこで売られているのは商品だ。(ファンは)私たちを受け入れてくれる。そして私たちもファンを受け入れてくれる」とマチャド。「見ていて本当にやりがいを感じる。サンディエゴにはまさにふさわしい結果だね」とタティスJr.も感慨深く語った。