新星ラミレスの2HRでマーリンズ4連勝 ついに借金は1に
2025.8.3 11:31 Sunday
【マーリンズ2-0ヤンキース】マイアミ/ローンデポパーク、8月2日(日本時間3日)
1年前、マーリンズはオールスター選手のジャズ・チザムJr.をヤンキースに3人の有望株と引き換えにトレードした。その対価の目玉は、当時トリプルAでプレーしていた捕手アグスティン・ラミレスだった。球団がスター選手をトレードに出す際、その見返りとして未発見のスター選手を獲得することが目標となる。マーリンズにとって、ラミレスはまさにそのスター選手となるかもしれない。ラミレスは古巣ヤンキースとの一戦で2本の本塁打を放ち、2-0の完封勝利に貢献。マーリンズは6月13日以来、MLBトップの29勝を挙げる快進撃を続け、ついに借金完済にリーチをかけた。
「それが僕の望みだ。僕はスターになりたいし、MLBで長く活躍したい」と通訳を介してラミレスは語った。前日のヤンキース戦では当たり損ねの打球がサヨナラ打となり、その翌日は今季早くも3度目のマルチ本塁打を記録し、連日ヒーローに。ラミレスは二塁打(24)、本塁打(17)、打点(50)、得点(48)でナ・リーグの新人トップに君臨している。
この日のラミレスは、まず初回にヤンキース先発・シュリットラーの剛球を打ち返して左中間に16号ソロ、さらに四回にはゾーン外に逃げるスライダーを捉えてセンターオーバーの17号ソロを放った。両軍通して得点はラミレスのソロ本塁打のみと、まさに勝負強い活躍だった。
「ガス(ラミレスの愛称)は打席にいると、常に脅威になる」と新人の活躍に目を細めるのは、クレイトン・マカラー監督。マカラー監督はまた「ある夜は6フィートの打球を打ってヒーローになって、その次の夜はさらに遠くに2本飛ばして得点を入れるなんて、クレイジーなスポーツだね」とも語った。
そしてこの日は打のヒーローがラミレスならば、投のヒーローは先発のユーリー・ペレスだった。22歳のペレスもまた、ラミレスと並ぶマーリンズのライジングスターだ。
ペレスは6回を無失点、5三振、2四球で、わずか2安打しか許さない好投を見せた。バックもペレスをもり立て、好プレーを連発。初回2死一、二塁からレフト前ヒットが飛び出した場面では、レフトのカイル・スタワーズが本塁に突入した走者をストライク送球で刺し、先制点を防いだ。そして二回1死一塁ではセカンドフライを捕球したゼイビアー・エドワーズが、一塁走者チザムJr.の隙を見逃さず、一塁に転送してダブルプレーを成立させた。
デビューした2023年には球界屈指の有望株と期待されたものの、ペレスはその年にトミー・ジョン手術を受け、翌年を全休。「本当に忘れられたのかどうかは分からないけど、また私のことを覚えてもらえるよう、一生懸命頑張っているよ」とペレスは語るが、今季の活躍はその才能を再び知らしめるには十分すぎるほどだ。今季は10先発で防御率2.70を記録し、7月に入ってからの防御率1.29はナ・リーグ2位(28イニング以上)、そしてWHIP0.64はMLBでトップだ。
ペレスの好投後もマーリンズのブルペンは完封リレーを見せ、そのままヤンキースに2-0で勝利。連勝を4に伸ばし、直近16試合では12勝を挙げている。3日(同4日)の最終戦を残して、ヤンキース3連戦の勝ち越しを決め、球団初のワールドシリーズ優勝を果たした1997年以来初めて、6シリーズ連続の勝ち越しに成功した。
6月13日には16あった借金は、今やわずか1に。その日からMLBトップの29勝を挙げたマーリンズは、トレードデッドラインでもエースのサンディ・アルカンタラらをキープし、ワイルドカード争いに顔を出す位置に来ている(6.5ゲーム差)。
普段は閑古鳥が鳴くことも多いローンデポパークには、満員御礼となる34645人の観客が詰めかけた。マカラー監督は「球場に来るたびに、勝利への期待が高まっているように感じる。負けたときの痛みはより増すけれど、それは良いことだ」と、チームが再建を脱し、次のステップに移ったことを感じている。そして、「我々はアクセルを踏み続けながら前進し続けなければならないが、選手たちは間違いなく明日も力を発揮するだろう。彼らがスイープを目指して挑むことを期待している」と、ヤンキース3連戦のスイープに期待を寄せた。