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レッドソックスが待望の一塁手獲得 ナサニエル・ロウとメジャー契約を結ぶ

2025.8.19 09:42 Tuesday

 レッドソックスはナショナルズを退団してFAとなっていたナサニエル・ロウとメジャー契約を結び、待望の一塁手補強を実現させて今週のスタートを切った。ロウはただちにアクティブロースター(=メジャーの試合に出場できる26人枠)に登録され、18日(日本時間19日)のオリオールズ戦から出場できる状態となっている。

 18日(同19日)の試合は相手先発が左腕のトレバー・ロジャースのため、ベンチスタートとなったロウだが、19日(同20日)は右腕の菅野智之の先発が予定されており、スタメン起用される見込みである。

 レッドソックスのアレックス・コーラ監督は、新戦力のロウについて「彼は経験豊富な左打者だ」とコメント。「レンジャーズがワールドシリーズを制覇したときの一員だ。ナショナルズでプレーした今季は浮き沈みの激しいシーズンだったが、ここ(レッドソックス)で復調してくれることを願っている。彼とは外野フェンス(本拠地フェンウェイパークの左翼にあるグリーンモンスター)について、それが左打者にとって何を意味するかを少し話したよ。右腕相手に起用するつもりだが、特定の左腕を相手に起用したり、代打で使うケースも出てくるだろう。ロースターを最大限に活用していくつもりだ」とロウへの期待を語った。

 30歳のロウは14日(同15日)にナショナルズからDFAとなった。

 昨年12月22日にレンジャーズからトレードで移籍したロウだったが、今季はシーズンを通して打撃が低空飛行。しかし、これまでの実績が評価され、50勝74敗と低迷するナショナルズから68勝57敗のレッドソックスへの移籍を果たすことになった。

 ロウは「本当にワクワクしているよ」とコメント。「素晴らしい成功を収めている打線に加わることができ、ポストシーズン進出を目指して戦うことができる。それは選手として目指すものであり、このチームに加わることができたのは本当に幸運だ」とポストシーズン進出を目指すコンテンダーへの移籍を喜んだ。

 ロウの今季の年俸は1030万ドル。ただし、DFAを経てナショナルズを退団し、FAとなってからレッドソックスと契約したため、レッドソックスが負担するのはメジャー最低保証年俸の日割り分だけである。ロウは年俸調停の資格があと1年残っているため、レッドソックスは来季もロウを保有することが可能だが、チーフ・ベースボール・オフィサーのクレイグ・ブレスローは今季の戦いだけを見据えてロウの獲得に動いたようだ。

 ロウは今季ナショナルズで119試合に出場し、打率.216、16本塁打、68打点、1盗塁、出塁率.292、OPS.665を記録。レンジャーズ時代の2022年にシルバースラッガー賞、翌2023年にはゴールドグラブ賞を受賞した実績の持ち主だが、今季ナショナルズでは実力を発揮できなかった。

「ナショナルズへ移籍したとき、どんな展開になるか全く予想がつかなかったけれど、その機会を最大限に生かしたいと思っていた。思うような結果を残すことはできなかったけれどね」とナショナルズ時代を振り返ったロウ。「記憶喪失になりたいよ。全く思い通りにならなかったから、記憶から消し去りたいくらいだ。まだまだ改善の余地はある。時間はたくさん残されているからね」とレッドソックスでの復調を誓った。

 ロウと契約したことで、レッドソックスは2023年にレンジャーズで161試合に出場し、OPS.775という堅実な成績を残した一塁手を手に入れたことになる。ロウはその年、ポストシーズンでも3本塁打を放ってチームに貢献。レンジャーズはレイズ、オリオールズ、アストロズ、ダイヤモンドバックスを撃破し、球団史上初のワールドシリーズ制覇を成し遂げた。

 ロウはポストシーズンの戦いについて「全く別物だ」と語る。「個人の成績は脇に置いて、とにかくその日の試合に勝つことだけが重要なんだ。シーズン終盤、そしてポストシーズンでは勝つための野球が何よりも重要だ。(そういう状況でプレーすることは)中毒性がある。勝つことだけがすべて、という感じなんだ。このチームでもそれを達成できるチャンスがあると信じている」と激しいポストシーズン争いを勝ち抜くことに意欲を見せた。

 ロウは2023年のレンジャーズのほかに、2020年のレイズでもポストシーズンを経験している。ただし、このときはレギュラーシーズンの出場が21試合、ポストシーズンの出場もわずか1試合だけだった。

 レッドソックスは今季、トリストン・カサスに正一塁手として大きな期待を寄せていたが、カサスは5月2日に左膝の膝蓋腱を断裂し、シーズン終了となってしまった。

 その後、レッドソックスはラファエル・デバースを指名打者から一塁にコンバートすることを検討したものの、三塁から指名打者に転向したばかりのデバースはこのコンバート案を拒否。デバースは6月15日にジャイアンツへトレードされることになった。

 コーラ監督は、カサスの離脱で空席になった一塁を、主にエイブラハム・トロとロミー・ゴンザレスの併用で埋めてきた。ゴンザレスは一塁と二塁を兼任しながら安定したパフォーマンスを見せているものの、トロはここ数週間、打撃不振に陥っている。

 トロは直近27試合で打率.161、2本塁打、8打点という成績。ロウの獲得に動いたのは、トロの不振も影響しているのかもしれない。

 レッドソックスの一塁手の今季の打撃成績は以下の通りだ。

打率.238(メジャー22位)
出塁率.295(同25位)
長打率.391(同20位)
OPS.686(同22位)
14本塁打(同20位タイ)

 対右腕の一塁手の打撃成績はさらに悪化する。

打率.212(メジャー26位)
出塁率.276(同28位)
長打率.339(同27位)
OPS.615(同28位タイ)
9本塁打(同22位タイ)

 今季は残り37試合。68勝57敗のレッドソックスはアメリカン・リーグ東地区2位で、首位ブルージェイズには5ゲーム差をつけられている。ワイルドカード争いではマリナーズと並んで首位に立っており、3位のヤンキースとは0.5ゲーム差だ。

「ビジターの選手としてここ(フェンウェイパーク)に来るのはいつも楽しかった」とロウ。「試合当日の雰囲気は本当に素晴らしいと思う。勝利を目指すチームの一員になれるのは本当に魅力的だ。一塁手が不足しているのはわかっているし、自分がそのポジションに入り、本当に貢献したいと思っている」と強い決意を口にした。

 レッドソックスは18日(同19日)、ロウとのメジャー契約以外にもロブ・レフスナイダーの負傷者リスト入り、ネイト・イートンのメジャー昇格、アリー・サンチェスのDFAを発表。レフスナイダーは左脇腹を痛めてしまったようだ。

 また、ウィルヤー・アブレイユも右ふくらはぎの張りで数日間欠場する見込み。レッドソックスはアブレイユが負傷者リスト入りを回避できることを期待しているが、負傷者リストに登録するかどうかは、今後数日間の回復次第となりそうだ。


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