ジャイアンツvsロッキーズ戦で乱闘が発生 デバースの本塁打が引き金
2025.9.3 16:17 Wednesday
【ロッキーズ4-7ジャイアンツ】デンバー/クアーズフィールド、9月2日(日本時間3日)
ロッキーズ先発のカイル・フリーランドは、ジャイアンツの強打者ラファエル・デバースが初回に2ラン本塁打を放ってから走り出すまでに時間をかけすぎだと言って譲らなかった。本塁打を打って走り出したデバースとフリーランドの間で起きた口論は、両軍のベンチとブルペンを空にする乱闘に発展。揉み合いが収まると、デバースは本塁打を放った8分後にベースを周り終えた。
初回無死一塁で打席に入ったデバースは、追い込まれてからのスイーパーを捉えてライトスタンドへ特大の先制弾を放った。打ったデバースはよろめきながら後ろに下がり、そこから「確信歩き」。そしてバットフリップを行ってようやく走り始めた。フリーランドはデバースに向かって叫び、早くベースを一周するようにグラブで示した。それにデバースも呼応し、フリーランドに叫び返すと、両者は近寄って口論を始めた。
「何も悪いことはしていない。普段本塁打を打った時と何も変わらない。なぜ彼が気にしたのか分からない」とデバースは試合後に語った。一方のフリーランドは、自身の行動はチームと自身(3勝14敗、防御率5.41)の不振によるフラストレーションとは全く関係がないと語った。そして「1回にあんな風に私に恥をかかせたのは、本当に失礼だと思った。本塁打を打った後、そこに立ってそれを見守り、一塁までゆっくりと歩いたんだから。私はこのリーグで長年やってきた。彼もそうだったと知っている。ただ、本当に失礼だと感じ、彼にそのことを伝えなければならないと思った」とデバースに叫んだ理由を明かした。さらに「状況を考えると、1回だし、冷静さを保とうと努力した。同時に、あんな風に侮辱されたからには、彼に何か言って、『あなたは私を侮辱した。私を出し抜いた。私の球場に来てあんなことをするなんて、私は尊敬できない』と伝える必要があると感じた」と、初回にもかかわらずデバースが過剰なセレブレーションを行ったと感じたことが原因のようだ。
5回2失点7三振で勝利投手となったジャイアンツの先発ローガン・ウェブは、フリーランドはよく挑発することで知られていると語った。「あいつに今までそんなことが起きていなかったのが不思議だ。彼はしょっちゅう口を出すんだ。ラフィが彼をうまく捉えたんだ」とコメントした。
そしてこの乱闘で、ジャイアンツが誇る三遊間のウィリー・アダメスとマット・チャップマン、そして当事者のフリーランドが退場処分となった。フリーランドは「チャップマンとアダメスがなぜ退場になったのか分からない。彼らが近づいてきて私を突き飛ばしたからだと思う。デバースも私を突き飛ばした。なぜ彼が退場にならなかったのか理解できない。でも、繰り返しになるが、全てを扇動したのは私だし、退場になった理由も理解できる」と、自身への処分に理解を寄せた。
アダメス、チャップマンという攻守の柱を欠いたジャイアンツは、当初負傷で欠場していたケイシー・シュミット、そして一塁手のドミニク・スミスが途中から出場。そして一塁手でスタメンだったデバースは、今季初めて三塁手を守った。ボブ・メルビン監督は「(デバースは)チャップマンのグラブを使っていた。三塁手のグラブさえ持っていなかった。それでも、いいプレーをしたね。1年かそこら三塁でプレーしていなかった選手だが、間違いなく我々のために活躍してくれた」と、久々の三塁守備で活躍した主砲を労った。
デバースは本職は三塁手だが、古巣レッドソックスではDHに転向して今季の開幕を迎えた。それ以降のコンバートの禍根も一因にあり、ジャイアンツへ移籍することとなったが、この緊急事態で三塁手を守ることに躊躇はなかったという。今季は三塁でノックすら受けたことがなかったが、名手チャップマンのグラブで守備機会を無難にこなした。デバースはチャップマンのグラブの感触を問われると、「素晴らしいよ。この中に5つのプラチナグラブがあるんでしょ(実際はプラチナグラブ2度、ゴールドグラブ5度)」と冗談交じりに語った。
混沌から始まったこの試合は、ジャイアンツ(70勝69敗)が7-4で勝利。ジャイアンツは直近10試合のうち9試合に勝利し、8月9日以降初めて勝率5割を超えた。一方のロッキーズはこの敗戦で39勝100敗となり、3年連続で敗戦数が100敗を超えた。
勝利に導いたエースのウェブは「見ていて素晴らしかった。選手たちが奮起した。あんなシーンは見たくないけど、いい意味で火付け役になることもあると思う」と、試合を振り返った。