ビューラーの好投でフィリーズ快勝 地区2連覇に向けてマジック3
2025.9.13 11:49 Saturday
【フィリーズ8-2ロイヤルズ】フィラデルフィア/シチズンズバンクパーク、9月12日(日本時間13日)
どんな方法であれ、新戦力のウォーカー・ビューラーはシーズン終盤のフィリーズの戦いを助けることになりそうだ。
理想的なのは、チームがポストシーズンのロースター入りを検討するほどの好投をビューラーが見せてくれること。しかし、もしビューラーが活躍できなかったとしても、ビューラーが先発ローテーションに加わることによって、フィリーズの先発陣は10月の戦いに向けて、休養を得ることができる。
本拠地でのロイヤルズ3連戦の初戦、ビューラーは新天地デビューを飾り、5回5安打1失点、3三振、1四球の好投。打線もビューラーを援護し、フィリーズは8-2で快勝した。
ビューラーは初回に先制点を与えたものの、フィリーズ打線が14安打8得点でロイヤルズ投手陣を攻略。6人の打者がマルチ安打を記録し、そのうちの1人であるブライス・ハーパーは三回に勝ち越しの26号2ランを放った。また、ハリソン・ベイダーは5試合連続マルチ安打と好調を維持している。
地区2位のメッツがレンジャーズに敗れたため、ナショナル・リーグ東地区におけるフィリーズのリードは12ゲームに拡大。地区優勝のマジックナンバーは2つ減って「3」となり、地区2連覇に向けてまた一歩前進した。
ビューラーにとって、移籍後初登板は予定されている3度の先発のうちの1試合目だった。ワールドシリーズ制覇を目指すフィリーズにおいて、ビューラーが存在をアピールするための時間はそれほど多く残されていない。フィリーズの安定した先発陣を考えると、なおさらだ。
フィリーズ先発陣は、クリストファー・サンチェスとレンジャー・スアレスの両左腕がポストシーズンの1試合目と2試合目に先発することがほぼ確実。この両左腕ほどの安定感はないものの、ヘスス・ルザードも好調時には圧倒的なピッチングを見せている。
また、フィリーズは左腕を3枚並べるのではなく、右腕を挟むことを検討しており、その場合は長年ローテーションを支えてきたアーロン・ノラが先発3番手のポジションに入る。不本意なシーズンを過ごしているノラだが、先日のメッツ戦では6回3安打無失点と素晴らしいピッチングを見せた。
ポストシーズンで必要な先発投手は4人。では、ビューラーがポストシーズンで先発ローテーション入りするためには何が必要なのか。
ロブ・トムソン監督は「今は4人の先発投手が好調だ。だから、(ビューラーがポストシーズンで先発ローテーション入りするためには)圧倒的なピッチングを見せることが必要だろう」と語る。
ブルペンでの起用についてはどうか。
「それも議論しているところだ。ブルペンの一員として検討されていることは間違いない」とトムソン監督は明かした。
ブルペンでの起用を検討するにあたり、フィリーズはビューラーがドジャース時代にサイ・ヤング賞候補になったときのような、高い三振奪取能力を発揮することを期待している。2018年から2021年にかけて、ビューラーは95度の登板で防御率2.82を記録。9イニングあたり9.9個の三振を奪っていた。
しかし、ビューラーのキャリアは2022年に2度目のトミー・ジョン手術を受けたことで暗転した。
ビューラーは2023年シーズンを全休し、復帰した2024年はドジャースで16試合に先発して1勝6敗、防御率5.38に終わった。昨季終了後、レッドソックスと1年契約を結んだものの、23試合(うち22先発)で防御率5.45と復活ならず。9イニングあたりの三振数は6.73個まで落ち込んだ。
トムソン監督は投手がブルペンの一員として貢献できる可能性を見極める際に、一般的に何を求めるかを尋ねられ、「通常、ブルペンの投手は空振りを奪う能力を持っている。だから、そういう投手が求められるんだ」と答えた。
ビューラーは新天地デビュー戦で11個の空振りを記録。これは今季自己2位タイの空振り数である。今季最多は6月17日のマリナーズ戦で、このときは12個の空振りを奪った。
フィリーズがレギュラーシーズン終了まで6人制ローテーションを維持すると仮定すると、ビューラーはあと2試合先発することになる(トムソン監督は現時点では6人制ローテーションを維持する方針を明かしている)。
次の登板は19日、敵地でのダイヤモンドバックス戦の予定。そして、最後の登板は26日、本拠地でのツインズ戦となりそうだ。
18日と22日にはオフが設けられており、フィリーズの先発投手は中6日の登板間隔でマウンドに上がることができる。通常の中4日と比較すると、2日分の休養を得られるというわけだ。
シーズン終盤に先発陣に休養を与えられるという点において、ビューラーは投球内容にかかわらず、「価値」をもたらしている。
サンチェスはすでに昨季の投球イニング数を上回っており、キャリアで初めて200イニングを超えそうなペースだ。ルザードは負傷に悩まされた昨季と比較して、100イニング以上も増えている。スアレスは5月3日の今季初登板以降に143イニングを投げており、これは同期間でメジャー4位の数字だ。
トムソン監督は「それ(=6人制ローテーション)が先発陣の助けになればいいなと思っている。シーズンを通して、われわれは先発陣をかなり酷使してきた。だから、シーズン終盤は慎重に戦いたいと思っているんだ」と先発陣の起用プランに言及した。