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ブルージェイズの有望株イェサベージがメジャー昇格 昨年のドラ1右腕

2025.9.16 09:47 Tuesday

 トレイ・イェサベージについて尋ねてみると、いろいろな人々が興奮気味に話す言葉の中に、同じような言葉が含まれていることがわかる。

「ブルドッグ」という言葉が多く使われるのだ。また、「彼は大人だ」と多くの人が言う。さらに、「彼のファストボールは天から与えられたものだ」と語る人も多い。

 イェサベージには、ブルージェイズのマイナーリーグスタッフや選手育成担当者の感情を掻き立てる何かがある。ブルージェイズの球団ナンバーワン有望株であり、今季マイナーの各階級で活躍してきた大柄な右腕は、15日(日本時間16日)のレイズ戦でメジャーデビューする。プロデビューからわずか5カ月余り、関係者全員にとって信じられない快挙だ。

 少なくとも外から見れば、プレッシャーはこれ以上ないほどに高まっている。ブルージェイズは14日(同15日)のオリオールズ戦に11-2で勝利し、地区2位のヤンキースに4ゲーム差をつけている(直接対決でも勝ち越し)。また、アメリカン・リーグ最高勝率を記録しているため、これをキープすれば、地区シリーズへ直行できる権利を獲得する。チームが上位争いを続け、注目を集めている状況の中、イェサベージも重圧を感じているはずだ。

 しかし、そうではない。

「プレッシャーは全くないよ。子供のころから続けてきたゲームで生計を立てているだけだから」とイェサベージは語る。

「5歳の子供もこのゲームをプレーするんだ。僕は22歳だから、きっと大丈夫だと思っているよ」と自身にかかるプレッシャーを否定した。

 これはイェサベージの本質を捉えている。彼には自然な自信があり、すべての出来事を経験の一部として蓄えていく。プロスペクト(有望株)の成長過程のある時点において、彼らのスタッツ(成績)やどれだけ速い球を投げられるかといったことは、評価基準の一部に過ぎないのだ。

 22歳の若者は、球界最高峰の舞台で初めて苦戦する状況にどう対処していくのだろうか。マイナー3Aの打者ではなく、打席にアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が立っている状況で、心拍数はどうなるのだろうか。気が散るような状況に対処できるだろうか。外部からの雑音を封じ込めることはできるだろうか。どれほど期待された有望株でも、メジャーの壁にぶつかり、活躍できないことがある。しかし、ブルージェイズはイェサベージがこうした様々な疑問に対処できると考えている。イェサベージの投球能力だけでなく、メジャーリーガーとしてのハートを持っていることを評価しているのだ。

「これは公開のトライアウトではない。彼がチームを助けてくれると信じ、決断を下したんだ」とジョン・シュナイダー監督。「あまり実験的なことはしたくないし、チームを混乱させるようなことをしたくもない。勝つために最善の決断を下したまでだよ」と強調した。

 これは典型的な有望株のデビュー戦ではない。2019年にブラディミール・ゲレーロJr.とボー・ビシェットがデビューしたが、このときのブルージェイズは負け続けていた。チーム再建の真っ只中にあり、その再建が今の状況につながった。今季のブルージェイズは10年ぶりの地区優勝と1993年のワールドシリーズ制覇を目指しており、イェサベージはそうした状況の中でデビューする。それ以上のものはない。ベテランを休ませるためでもない。必要な戦力だからこそ、イェサベージに出番が回ってきたのだ。

「本当に、トレイがもたらしてくれる才能がこの機会につながったんだ」とシュナイダー監督は言う。「他の先発候補ではなく彼を選んだのは、それが理由だ。彼はマウンドに立ってアウトを奪い、メジャーリーグの舞台でチームの勝利を手助けしてくれると信じているよ」と語った。

 シュナイダー監督によると、イェサベージに投球制限は設けないという。今季マイナーで98イニングを投げているが、これは1年前に大学で投げたイニングより数イニング多いだけ。よって、先発投手として起用していくことも十分に可能だ。また、マイナーではリリーフの適性も示しており、必要であれば、リリーフでマウンドに上がることもあるだろう。

 ブルージェイズの過去の投手を見ると、アーロン・サンチェスはデビューした2014年にリリーフを務め、翌2015年は先発とリリーフを兼任した。ただし、これは投球制限に関係したものだった。デービッド・プライスはレイズ時代の2008年にデビューすると、先発で1試合、リリーフで4試合に登板し、ポストシーズンではリリーバーとしてチームに貢献した。

 シュナイダー監督が言っているように、イェサベージはブルージェイズの勝利に貢献できる選手だ。マイナーの98イニングで160三振という驚異的な数字を残している。メジャー初登板ではゾーン内にボールを投げ込み、四球の連発を避ける必要があるだろう。これはこれまでの課題でもあった。しかし、メジャーのマウンドに立った瞬間からメジャーの強打者たちを圧倒できるだけの才能を持っている。

 レギュラーシーズンは残り2週間。ブルージェイズはア・リーグ最高勝率をキープし、すべてが順調に進んでいるように見える。イェサベージの登場により、ブルージェイズはよりよいチームになる可能性がある。そして、イェサベージも上位争いをするチームに相応しい投手であることを証明しようとしている。初登板の結果次第では、イェサベージはポストシーズンの戦いにおいて、ブルージェイズの「秘密兵器」となる可能性もありそうだ。


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