タイガースが痛恨の逆転負けで5連敗 2位ガーディアンズと1.5ゲーム差に
2025.9.21 09:24 Sunday
【タイガース5-6ブレーブス】デトロイト/コメリカパーク、9月20日(日本時間21日)
「ただの1試合だ。162試合のうちの1試合に過ぎない。シーズンは長い」とタイガースのA・J・ヒンチ監督はよく言う。
しかし、シーズン終盤のこの時期になると、数字上の計算がどうであれ、毎試合が単なる1試合以上の意味を持つ。6月の試合では、救援右腕ウィル・ベストの目がブレーブスに5-6で逆転負けを喫したあとのように赤くなることはない。
「最悪だよ。ほかにどう表現したらいいのかわからない」とベスト。1点リードの九回、ベストは2死一、三塁から2者連続で2ストライクと追い込みながらも連続タイムリーを浴び、ブレーブスに同点、そして勝ち越しを許してしまった。
ブレーブスに痛恨の逆転負けを喫し、コメリカパークのホーム側のクラブハウスは不気味なほどに静まり返った。3万8079人の観衆もショックとフラストレーションの連鎖を経験した。タイガースの勝利を信じ、大歓声を上げていたタイガースファンは、グレイバー・トーレスがライセル・イグレシアスの前にライトライナーに倒れ、タイガースの5連敗(直近9試合で8敗目)が確定すると、ブーイングを浴びせた。ガーディアンズがツインズとのダブルヘッダー第1試合に勝利したため、首位タイガースと2位ガーディアンズのゲーム差は1.5に縮まった。
1試合以上の意味を持つ試合だった。なぜなら、タイガースは現在の不調から抜け出し、夏までの快進撃のレベルに戻り、地区優勝へ前進するきっかけを掴もうとしていたからだ。
試合の最後の打者となったトーレスは「とにかく1つ勝つ方法を見つけないといけない。それが見つかれば、あとは全力でプレーするだけだ」と語った。
タイガースは勝利まであと1球だった。一時は1-3とリードされたものの、同点に追いつき、七回にはスペンサー・トーケルソンの31号2ランで勝ち越しに成功。飛距離436フィート(約132.9メートル)の一発がレフトスタンドに向かって飛んだとき、選手たちは歓声を上げた。この勝ち越し弾により、タイガースは勝てる可能性があった。八回にカイル・フィネガンがナチョ・アルバレスJr.にこの試合2本目の一発となる2号ソロを浴び、1点差に迫られたが、まだタイガースはリードしていた。九回、ベストが先頭から連打を浴びたものの、マイケル・ハリス2世とサンディ・レオンを連続三振に仕留め、勝利まであと1アウトに迫った。ベストはアルバレスJr.をカウント0-2と追い込み、勝利は目前。タイガースの選手たちは勝利を信じ、ダグアウトの柵に寄りかかっていた。
アルバレスJr.は高めのフォーシームを見逃したあと、2球目のフォーシームをファウルにし、早々に追い込まれた。3球目はスライダーを捕手のディロン・ディングラーが止められずに暴投となり、二塁走者が三塁へ進塁。しかし、バッテリーにはアルバレスJr.を打ち取り、試合を終わらせるチャンスがあった。
ディングラーは「外角のファストボールで仕留めるつもりだった」とその場面を振り返る。「試合序盤に彼はスライダーをホームランにしていたから、ウィルの強みであるファストボールを投げさせた。とにかく速い球で勝負するしかないと思ったんだ」と勝負球を決めた。
カウント1-2からの4球目は外角に外れた97.6マイル(約157.1キロ)のフォーシーム。しかし、逆方向へのヒットを狙っていたアルバレスJr.のバットが届かない距離ではなかった。
同点打を浴びたベストは「いい投球をして打たれることもあるし、悪い投球をしても抑えられることもある」と悔しそうに語った。
タイガースには投球分析チームがある。しかし、この試合は「結果を分析して次に生かそう」と簡単に割り切れる試合ではない。
ヒンチ監督は「外野の芝にボールが落ちるのが見えた。この試合における、最も大事な瞬間だった。結果は最悪だけど、それを受け止めないといけない」と現実を直視した。
次打者ジュリクソン・プロファーがカウント1-2からのスライダーをライト方向へ弾き返し、タイガースは勝ち越しを許した。ベストをリリーフしたラファエル・モンテロ(トレード期限にブレーブスから加入)が満塁のピンチを抑え、1点差のまま最終回の攻撃を迎えたが、タイガースはブレーブスの守護神イグレシアスの前に三者凡退に倒れた。
ただの1試合に過ぎないかもしれないが、いつも名言を連発するヒンチ監督がほとんど言葉を失うほどの試合展開だった。
「受け入れるのも、説明するのも難しい」とヒンチ監督は言葉を絞り出した。指揮官は、先発のカイダー・モンテロをわずか3イニングで降板させ、ポストシーズンさながらのブルペン運用で勝利を目指したことを認めたが、結果にはつながらなかった。「何が起こっているのか、言葉で説明するのは難しい。でも、選手たちがどれだけ一生懸命に戦ってくれたかは分かっている。どれだけいいプレーをしてくれたかも分かっている」と選手を責めることはしなかった。
そして、ヒンチ監督は「感情を大きく動かすような一打が何度もあり、顔面に強烈なパンチを食らったような気分だ。本当にフラストレーションがたまる1日だったよ」と試合を総括した。
タイガースの選手たちは、次の試合こそ勝てると信じている。試合に勝つための方法を見つけようとしている。しかし、これほど勝利への道のりが険しく感じられる時期はめったにないはずだ。
「本当に惜しかった」とトーケルソン。「あと数球で勝てるところだった。負けてしまったからといって、必要以上に落ち込むつもりはないよ」と前を向いた。
「確かに少し調子は落ちているけど、悪い野球をしているわけではない。本当にあと少しなんだ。ポジティブな気持ちでいる必要があるし、あと少しで調子が上がると信じる必要があると思う。戦い続けるだけだよ」とトーケルソンはチームを鼓舞するかのように語った。