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カブス第1戦の先発は苦労人ボイド 会見では涙を見せる場面も

2025.9.30 16:03 Tuesday

 29日(日本時間30日)、パドレスとのワイルドカードシリーズを前にカブスのクレイグ・カウンセル監督は第1戦の先発をマシュー・ボイドと発表。メジャー11年目の34歳は大役への任命に感極まった。

 同日の会見でボイドはシャツで涙を拭いながら、カウンセル監督から先発に任命された瞬間を振り返った。「自分のキャリアについて考えてみると、これ(第1戦の先発)は素晴らしい。色々な理由でね。(人生は)いつチャンスが巡ってくるかわからないから素晴らしいんだ」今季からカブスに加入するまでの10年間では通算182登板で防御率4.85。くすぶった若手時代、度重なる負傷に悩まされた時期を乗り越え、34歳にして最盛期を迎えている。

 ただ、ボイドもスケジュールとチーム状況から第1戦の先発を任される可能性を承知しており、任命自体に驚きはなかった。カブスは先日、後半戦防御率1.03(メジャートップ)を記録していた新人ケイド・ホートンが負傷者リスト入りし、ワイルドカードシリーズ欠場が決定。ホートンは今永昇太ら他の先発投手が調子を崩す中、先発ローテを牽引する活躍を見せていた。

 ボイドは今季、大役を任されるに足る好成績を残しており、ホートン不在の状況で第1戦の先発を任されることは不思議ではない。今季最初の20登板では防御率2.20を記録し、オールスターにも初選出。最終的には31先発(179回2/3)を投げて14勝8敗、防御率3.21と堂々たる成績でシーズンを締めくくった。

 カブスとボイドにとって、今季の「嬉しい誤算」は労働量だった。過去4シーズンでは様々な怪我の影響で平均50イニング程度にとどまった。カブスはボイドの耐久性に配慮したスケジュールを組み、ボイドもチームの方針に従ったことが奏功したのかもしれない。もっとも終盤は苦戦(最後の11登板で防御率5.16)したが、カウンセル監督はそれが疲労によるものではないと考えている。「マットはいい投球をしていたよ。2、3試合前を振り返ると、彼はカウントを悪くする場面が多かったね」

 そして肝心のパドレス打線との相性も良い。ボイドは今季4月にパドレスと2度対戦し、11回1/3で計2失点と好投。ワイルドカードシリーズの舞台となる本拠地リグレーでも6回無失点と快投した。

 「マットがいるのは幸運だ。彼がいるからこそ、我々はここまで来られた。彼は常に先発としてボールを奪いに来てくれる。彼のような選手にボールを託せるのは、本当に嬉しいことだ」とはカウンセル監督。ボイドを象徴する瞬間を問われると、カウンセル監督はあえて昨季の登板を挙げた。

 「私にとって、クリーブランド時代の我々との対戦での先発出場が印象的だった。マシュー・ボイドについて私が特に印象に残ったのは、まさにそこなんだ」昨季の8月13日、当時トミー・ジョン手術から復帰直後だったボイドは、ガーディアンズの投手としてカブス戦に先発。メジャーでの414日ぶりの登板で、カブス打線を5回1/3を投げ切り、チームに勝利をもたらした。

 そこからボイドは救世主の役割を演じた。シーズン終盤の8試合に先発し、防御率2.67と快投。昨季のガーディアンズは先発投手不足に悩まされていたが、その穴を埋めて躍進を支えた。さらにポストシーズンでは3先発で防御率0.77と圧倒し、チームをリーグ優勝決定シリーズまで導いた。

 その鮮烈なインパクトのおかげで、ボイドはレギュラーシーズンでわずか8先発しか投げていないにもかかわらず、2年2900万ドルの契約を得た。「祖父はシカゴで育ったから、カブスファンとして育った。2016年(カブスが108年ぶりの世界一に輝いた)は祖父にとって人生で最も幸せな日の一つだったと思う。私も今、カブスの選手になれて嬉しい。本当に嬉しいよ」

 ボイドはカブスに入団して以来、亡き祖父ジョン・ボイドのことを何度も口にしてきた。それが、この投手がカブスについて語る際に感傷的な雰囲気を醸し出す理由の一つだ。祖父は、ボイドがリグレーフィールドで通算16試合に出場し、12勝1敗、防御率2.59という成績を残していることをきっと喜ぶだろう。

 そしてボイドはリグレーフィールドでこれまで以上に重要な先発を迎える。「夢のような出来事だ。リグレーフィールドで、そしてカブスのためにそれを成し遂げることができて、本当に光栄だ。心から感謝している」

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