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剛腕スクーバル、敵地での宿敵ガーディアンズとの対戦を心待ちに

2025.9.30 16:02 Tuesday

 今季、タリック・スクーバルは2年連続でサイ・ヤング賞を獲得するのに十分な活躍を見せたが、その最後の登板は悔しい結果に終わった。9月開始時点では11ゲーム差をつけていたガーディアンズに猛追され、迎えた最後の直接対決3連戦。スクーバルは五回までいつも通りの快投だったが、六回に3点を失って降板。突如崩れた六回は自身の送球エラー、ワイルドピッチ、これまでのキャリアで一度しか犯していなかったボークとらしからにミスを連発し、極めつけにデービッド・フライには99マイルの直球で顔面に死球を当て、動揺を隠せないまま降板。頼みの綱のスクーバルで落としたタイガースはその3連戦に負け越し、ガーディアンズにメジャーリーグ史上最大の逆転劇を許し、地区優勝を逃した。

 悔やまれるのは、スクーバルはその日、シーズン最高の投球だったと言っても過言ではなかったことだ。「平均球速は1.5マイル(約2.4キロ)上がったと思う。だから、結果で語ってもらうしかない。自分で調子が良いと言っても意味がないから、パフォーマンスで語ってもらうことにするよ」

 スクーバルの球速は実際上がっていた。その日、平均球速は99マイル(約159.3キロ)。シーズン平均の97.6マイルを上回り、最も遅い直球ですら97.2マイルを計時していた。それまで今季最も高い平均球速を記録していたのはその前の18日(日本時間19日)のガーディアンズ戦だったが、それを上回って今季最速を記録した。

 疲労がかさむシーズン終盤、他の多くの投手はコンディションの維持に腐心する中、スクーバルはピークを迎えた。そして、昨季の地区シリーズで敗れ、今季は大逆転を食らって苦汁をなめた天敵ガーディアンズと、ワイルドカードシリーズで再戦を迎える。

 「これが試合をする理由だ。そのために準備するんだ。オフシーズンにあれだけ努力するのは、このためだ。この7ヵ月間、毎日自分のケアに励み、ルーティンを大きく変えず、努力を続け、毎日成長しようと努力してきたのも、このためだ。そして、フィールドに出て、パフォーマンスを発揮し、すべてを出し切る。結局のところ、私が本当にコントロールできるのは、試合に勝つために全力を尽くすことだけだ。まさに、これが私がこのように準備する理由だ」スクーバルは準備万端だ。

 スクーバルは昨季の地区シリーズでの経験を糧に、準備を進めてきた。昨季の地区シリーズの第2戦では、敵地クリーブランドのファンとトラッシュトークを交わす余裕を見せながら、7回無失点の快投。その後、主砲カーペンターがガーディアンズの守護神クラセから決勝3ランを放ち、タイガースは昨季のポストシーズンのハイライトを飾る劇的勝利を挙げた。しかし、ガーディアンズの粘りによってシリーズが第5戦にもつれると、スクーバルはレーン・トーマスの満塁弾によってついに力尽き、タイガースは敗退した。

 トーマスの満塁弾はクリーブランドのスポーツ史に刻まれる名場面となった。スクーバルは今季のモチベーションとしてこの満塁弾に触れることはなかったが、これが原動力となったのは間違いない。「シーズンが終わったらすぐにウェイトルームに戻ってトレーニングを再開したんだ。優勝以外には満足しない。個人の賞や自分の調子はあまり気にしない。チームの勝利に貢献すること、そこに価値を置いている。自分の状態をしっかり管理して、試合に臨む時に万全の状態で臨むようにしているだけさ」

 スクーバルは今季、ガーディアンズ戦で圧巻の投球を披露。5月26日の一戦では13三振を奪い、わずか2安打で完封、さらに“マダックス”(100球以内で完封勝利)のおまけつきだった。そしてスクーバルはこの13三振完封を、タイガースの投手として史上最速の102.6マイル(約165.1キロ)の直球で締めくくった。

 タイガースのエース投手は、伝統的にこのクリーブランドの宿敵とライバル関係にある。ジャスティン・バーランダーもタイガース時代に打ち込まれて通算25敗を喫しており、投球時の“クセ”が盗まれていることを心配するほどだった。

 ただ、スクーバルはたとえ敗れたときであっても、素晴らしい投球をし続けているのも、今回のライバル関係の特徴だ。

 スクーバル自身が語ったように、チームスタイル、そして本拠とする都市が似通っていることからも、ガーディアンズとタイガースのライバル関係には互いにリスペクトがある。「ここ(クリーブランド)で投げるのは楽しい。環境が最高なんだ。ポストシーズンの野球といえば、あの騒々しさとかカオスとか、歓声の大きさとか、そういう話はよく聞くよね。この場所はそういうものを全部体現しているような気がする。だから、ここでプレーするのが楽しいんだ」ワイルドカードシリーズの第1戦では、前回登板でスクーバルに投げ勝ったギャビン・ウィリアムズと再びマッチアップする。クリーブランドとタイガースのライバル関係に、タイガースのエースとして新章を刻めるか。

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