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地元出身のディングラーがガーディアンズに引導 勝ち越し弾に盗塁刺

2025.10.3 12:03 Friday

 「勝てばシリーズ突破、負ければシーズン終了」の第3戦までもつれ込んだガーディアンズとタイガースのワイルドカードシリーズ(WCS)は、タイガースが2勝1敗で制した。同地区に所属する両球団は、昨季も地区シリーズ第5戦まで競い、今季はガーディアンズが歴史的快進撃でタイガースを追い越して地区優勝を飾るなど、そのライバル関係はこれまでになく盛り上がっている。レギュラーシーズン最終盤からこのWCSを含め、両球団は17日間で9度も対戦。互いに敵地ではブーイングを浴び、今回クリーブランドで行われたWCSでもタイガースの選手に激しいブーイングが降り注いだ。その中、一人だけタイガースの選手でブーイングを浴びなかった選手がいた。それが、クリーブランド近郊出身のディロン・ディングラー(27)だった。

 「彼はブーイングを浴びなかった唯一の選手だった。すごいことだね」と、タイガースのAJ・ヒンチ監督は冗談を言った。2年目のディングラーはガーディアンズの本拠地プログレッシブフィールドから54マイルほどしか離れていないオハイオ州マシロン出身。さらに地元のオハイオ州立大学に進学して活躍し、2020年ドラフト2巡目指名でタイガースに入団した。

 この日、ディングラーは幼い頃から応援してきたガーディアンズに引導を渡す活躍。六回には勝ち越し本塁打を放ち、捕手としてもホセ・ラミレスの二盗を阻止する好送球を見せた。しかし、勝ち越し弾を放った際も敵地のファンからブーイングされることはなかった。文字通りファンにとってあまりに身近な存在であり、ディングラーに対して本気の恨みを抱くことはないだろう。

 ディングラーはポストシーズンの「勝てばシリーズ突破、負ければシーズン終了」の試合で本塁打を放ち、走者を刺した史上3人目の捕手となった。「(本塁打を放ったキャンティロは、)少し苦しそうだった。打てる球を打って、少しダメージを与えることができた。勢い、このシリーズで一番大きかったのは勢いだったと思う。一番勢いがある、あるいは最も勢いのあるチームが、そのまま勝ち進んでいく。僕たちはまさにそこで逆転することができたんだ」と、ディングラーは振り返った。

 ガーディアンズとのWCSを制し、迎えるマリナーズとの地区シリーズ(ALDS)では、MVP候補のカル・ローリーに大きな注目が集まることだろう。

 ただ、ディングラーも決して侮ってはいけない存在だ。平均以上の打撃成績(打率.278、出塁率.327、長打率.425)を記録し、捕手守備ではブロック・盗塁阻止・フレーミングのどれを取ってもリーグトップクラスの成績を残した。そして何より重要なのは、レギュラー1年目で投手陣の信頼を獲得したことだ。

 「彼は一緒に努力してくれる」と、2度目のサイ・ヤング賞受賞を目前に控えるタリック・スクーバルは語った。

 2巡目(全体38位)の高順位でプロ入りし、有望株として期待を受けてきたが、順風満帆だったわけではない。2Aでは足踏みし、3A昇格まで208試合の出場を要した。「2Aで数年かかりましたが、彼はスイングを少し調整し、常に学ぶ姿勢を見せてくれた。そして、常にスタッフを率い、試合の運び方を学んでいた。彼はまさに生まれながらのリーダーであり、選手たちが集まり、信頼を寄せる存在だ」、アシスタントGMのライアン・ガーコは語る。

 今季のガーディアンズとタイガースのライバル関係に終止符を打ったのが、地元出身のディングラーだったのは皮肉なことだ。だが、もう後ろめたさはない。ディングラーの友人や家族は、特区の昔にガーディアンズとのつながりを捨て、タイガースへの忠誠を誓っている。「浮気ではないよ」と、ディングラーは笑顔で語った。

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