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上位シードの第1ラウンド免除は有利?不利? 過去のデータから紐解く

2025.10.4 13:47 Saturday

 2025年ポストシーズンは、ワイルドカードシリーズが終わり、地区シリーズへと突入する。毎年のように囁かれるのが、ワイルドカードシリーズで勢いをつけた下位シードのチームの方が、ワイルドカードシリーズが免除され実戦間隔が空いている上位シードのチームより優位という言説だ。

 果たしてこれは本当なのだろうか?答えは常に「もちろん、そんなことはない」だ。ワイルドカードシリーズを免除されたチームは、まずワイルドカードシリーズで敗退する可能性が0%であり、さらに地区シリーズでは初戦から自由に投手を運用できる(ガーディアンズを破るために主力先発投手3人全員を起用しなければならなかったタイガースは、マリナーズとのALDS第1戦をブルペンゲームから始めなければならない。ワイルドカードシリーズが免除されていれば、タリック・スクーバルらを順に登板させられたはずだ)。

 恐らく何より重要なのは、最大5戦の地区シリーズまだたどり着ける実力を持つ2チーム間の勝負の結果を、番狂わせと呼ぶのは難しいということだ。ロナルド・アクーニャJr.のようなスター選手が、ワイルドカードシリーズでマーリンズと戦う必要があったフィリーズ相手に、2023年のNLDSで14打数2安打と苦しんだように、優秀な投手陣を擁していれば下位シードが勝利することはごく普通で、よくあることだ。

 しかし、その年の夏にフィリーズが快進撃を遂げていたことを考えれば、それほど大きな番狂わせではなかったにもかかわらず、104勝を挙げたブレーブスが90勝のフィリーズに敗れたことから、この「地区シリーズでは下位シードの方が有利」の言説は存続した。

 ポストシーズンが現行のフォーマットになってから3年。

 これまで12度の地区シリーズが行われ、そのうち6度は休養を取った上位シードが勝利し、6度は勢いをつけた下位シードが勝利した。2024年は上位シードが4シリーズ中3シリーズで勝利し、2023年は下位シードが4シリーズ中3シリーズで勝利した。2022年は五分五分で終わった。ここからわれわれは何を学んだだろうか。

ワイルドカードシリーズ免除による悪影響があると言えるだけの十分な証拠はあるか?

 恐らくない。
ポストシーズン進出可能な実力を持つチーム同士が、最大5戦の直接対決を12度行うと、そのほとんどが勝率.540程度に収まる。最近の調査によれば、ポストシーズンの序盤から最大7戦のシリーズが行われるNBAと同等の「レギュラーシーズン中の勝率が高いチームの突破確率」を出すためには、MLBでは最大75戦のシリーズを行わなければならないという。

 野球は小規模なサンプルでは予測不可能であり、最大3戦や最大5戦の形式ではどのチームが優れているかは分からない。数週間前、シーズン91敗のパイレーツがドジャースをスイープ(3連勝)したのはその好例だ。仮にワイルドカードシリーズ免除による悪影響があるなら、ブルージェイズは地区優勝とワイルドカードシリーズ免除を懸けたレギュラーシーズン最終戦に、エースのケビン・ゴーズマンを先発させなかっただろう。負けてワイルドカードシリーズをプレーしなければならなくなったら、ゴーズマンはそこで投げることはできなかった。ブルージェイズがシード権を望んだのにはこの理由がある。

第1ラウンド免除を得たチームの内、ワイルドカードシリーズでシーズンが終了したチームはない

 ワイルドカードシリーズ免除を獲得したチームは、地区シリーズへの進出確率が100%だ。これは球界で唯一、予測可能なことだ。もちろん冗談半分だが、重要なことでもある。「第1ラウンドを免除されたチームが地区シリーズで負けたかどうか」だけに注目するなら、ワイルドカードシリーズでも負けたチームが全くいないという事実も無視できない。

 ランディ・アロザレーナ(マリナーズ)はまさにその通りだと発言した。「地区優勝してバイウィークを獲得できたのは間違いなくプラスだと思う。レギュラーシーズンが終わって、そのままプレーし続けるよりずっといい」

その番狂わせは本当に番狂わせだったのか?

 この問は非常に難しい。「レギュラーシーズンの勝利数が多く、シード順が高い」ということは、どちらかのチームが優れていることを示すはずだが、これらの栄誉はレギュラーシーズンの半年間にわたって集められたものだ。ポストシーズンではせいぜい4日間でそれが決まる。

 それを確認する一つの方法が、データサイト「ファングラフス」のシリーズ前の突破確率を確認することだ。この突破確率は、単に「チームの成績を評価する」だけではなく、より多くの要素を考慮しようとしている。10月のロースターは年間を通したロースターと顔ぶれが異なる可能性があり、これは非常に重要だ。

 過去の12の地区シリーズのうち、上位シードのチームには平均60%の突破確率が与えられていた。つまり、「上位シードは7度勝つと予想されていた」ということだ。しかし、実際には上位シードのチームは6度しか勝利できなかった。もしそれが納得できないなら、答えは「野球によくあること」だ。(その1度は2023年の地区シリーズ。ドジャースのクレイトン・カーショウは負傷を抱えており、初戦をわずか1/3回で降板し、ダイヤモンドバックスに下剋上を許した)

では、上位シードのチームが突破する確率はどのくらいか?

 ドラマと番狂わせが見たい。そうでなければ、試合をする意味がない。だったら、上位シードのチームがワールドシリーズまで進出すればいい。上位シードのチームの進出率が0%なのも、100%なのも望まれないだろう。

 2012年から2024年まで、1試合勝負で行われたワイルドカードゲームを除くと、ポストシーズンでは111度のシリーズがあった。そのうち2度はレギュラーシーズンの成績が同じだったチーム同士の対戦だったため、それを除くと109度になる。

 ここで、上位シードの成績は59勝52敗だった。すべての試合における勝率は.531で、レギュラーシーズンにおけるホームアドバンテージの.543とほぼ同じだった。つまり、少なくともある意味では予想通りの成果を挙げていると言えるだろう。

 ただ、現行のポストシーズンのフォーマットが、完璧で変更不可能だというわけではない。結局のところ、上位シードに「休養」や「本拠地開催」よりも大きなアドバンテージを与えるために調整を加えたり、第1ラウンド後にシードを変更したり、上位シードの勝率を52%以上にしたりしたいと考えるかもしれない。また、この休養期間が打者に影響を与えないことを証明するのは容易ではない。少なくとも、「ポストシーズン進出チームの最高の投手と対戦する」ことよりも影響が大きいことを証明するのは容易ではない。

 しかし、各リーグの上位2シードが、第1ラウンドからプレーするか、第2ラウンドからプレーするか選択肢を与えられていたとしたらどうだろう。それぞれのチームがどのような選択をするかは、ほぼ予想がつく。ワイルドカードシリーズでシーズンを終えるリスクを冒すような選択はしないだろう。第1ラウンド突破が保証されること以上に価値のあるものはないのだ。

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