カブスのブルペン陣を支えるのは、既に解雇されたベテラン
2025.10.6 12:05 Monday
ポストシーズンを前にカブスの救援右腕ブラッド・ケラーはライアン・プレスリーにメッセージを送った。ケラーはポストシーズンの経験がなく、プレッシャーに押しつぶされないためにアドバイスを求めていた。
現在36歳のプレスリーは7月を境にカブスの選手ではなくなった。メジャー12年のキャリアを誇り、今季はクローザー候補として加入したが、成績が振るわずに解雇された。しかし、プレスリーは退団後もチームに影響を与えている。長年にわたるキャリア、そしてポストシーズン経験は、今もなおカブスの財産となっている。
「『どうやってこの状況に対処してるの? 不安にどう対処してるの?』って感じのメッセージを(プレスリーに)送ったんだ。すると長いメッセージをもらった。本当に心が解放されるようだったよ」とケラーは語る。
ケラーはナ・リーグワイルドカードシリーズ(WCS)第1戦の最終回を抑え、カブスにとって8年ぶりのポストシーズンでの勝利をクロージング。ケラーがポストシーズンの初戦を締めくくったということは、今季のカブスを象徴した出来事だといえる。今季、カブスのブルペン陣は多くの選手が入れ替わり、素晴らしいブレイクアウトシーズンやキャリアの再生劇が見られた。
地区シリーズ(NLDS)のロースターに登録された選手のうち、米国開幕戦のロースターに名を連ねていたのはケラー、コリン・レイ、ケイレブ・シールバーの3人のみ。ケラー(防御率2.07)はマイナー契約から、勝利の方程式の一員に成長した。レイは先発・リリーフを両方こなせる保険として契約し、負傷者続出の先発ローテを支えた。38歳のシールバー(防御率2.64)は2024年に不振に陥り、1年契約でカブスに加入した。
「僕たちはみな、それぞれ違う性格なんだ。それぞれのキャリアが今の僕たちを形作ってきたんだと思う」とケラーは語る。
リストはまだ続く。
ダニエル・パレンシア(防御率2.91、22セーブ)は今季3Aで開幕し、シーズン途中からクローザーに定着。36歳のドリュー・ポメランツ(防御率2.17)は2021年以降、MLBで登板していなかったが、マリナーズ傘下で復活の兆しを見せ、金銭トレードで加入した。アンドリュー・キットリッジのトレードデッドラインにおける獲得は、ほとんど注目を集めなかった。アーロン・シバーリは8月31日にウェーバーでホワイトソックスから加入した。
カブスの球団編成部長ジェド・ホイヤーは、WCS突破後のシャンパンファイトで語った。「プロのスカウト陣とコーチ陣に多大なる称賛を送りたい。ケラーはマイナー契約だった。ポメランツは金銭トレードで獲得した。パレンシアは飛躍的に成長し、素晴らしい仕事をした。キットリッジも素晴らしい。シールバーは小規模な1年契約で復活した」
「ワイルドカードシリーズでブルペン陣は素晴らしかった。全員高額な選手ではない。獲得費用も高くなかった。本当に素晴らしい仕事だった。」
先発ローテの一角を担ったベン・ブラウンは語る。「キャッチボールをしながら、その日の先発投手のウォーミングアップを見ることもある。『今はボールを投げることさえできない。すごく疲れているし、筋肉痛もひどい』なんて思うこともある。でも、その間、リリーフ投手たちは3日連続で全力投球している。上から下まで、ブルペンは素晴らしく、我々にとって大きな存在だ」
8月上旬からレギュラーシーズン終了まで、カブスのブルペン陣は防御率3.60を記録し、ナ・リーグ3位にランクインした。パレンシアが9月上旬に右肩を負傷した後、カブスのクレイグ・カウンセル監督はクローザーを置かない体制に戻し、代わりに様々な状況で「アウトゲッター」を起用することに重点を置いた。
パレンシアはこのアプローチに全面的に賛同し、WCSでは2度、試合中盤でイニングをまたいだ。パレンシアにどんな状況、どんな球数での登板も受け入れる積極性について尋ねると、プレスリーの影響を指摘した。
「プレスリーはここの父親みたいな存在だった。どこにでも連れて行ってくれて、いろんなことを教えてくれた。リラックスする方法、心を落ち着かせる方法など。『俺の仕事はアウトを取ることだ』っていつも言っていた。五回だろうが九回だろうが関係ない。俺たちの仕事はアウトを取ること、それだけだ」
プレスリーはポストシーズンを前にパレンシアに長文メッセージを送った。
「朝にメッセージを送ってきてくれた。『よう、あんまり考えすぎるな。準備するんだ。今こそチャンスだ。本当の自分を見せろ』みたいな感じで書いてあったんだ」
パレンシアはそう言うと微笑んで、別のメッセージももらったことを明かした。罵り言葉も交えられながら、「(カブスのために)モンスターになれ」と言われたという。
クレイグ・カウンセル監督はこう語る。「ライアン・プレスリーは良い人間だ。そういうことだ。野球界で、恩返しをするように教えられてきた。知識を喜んで伝授してくれた。そして、彼らが今でも声をかけているということは、プレスリーがまだ彼らを受け入れているということだ」