ブルージェイズの縁の下の力持ちが活躍 守備職人のバーショとクレメント
2025.10.6 13:53 Monday
【ブルージェイズ13-7ヤンキース】トロント/ロジャースセンター、10月5日(日本時間6日)
ポストシーズンは思いもよらぬヒーローが誕生する場である。ブルージェイズにはスター選手が不足しているわけではないが、このチームを支えているのは、重要な場面で次々と活躍する縁の下の力持ちたち。ポストシーズンではそういった選手たちに脚光が当たっている。
ポストシーズン経験豊富なベテラン、ジョージ・スプリンガーは語る。
「昔はチーム全体を背負って、引っ張った選手がいた。濾過ールームの全員の力が必要な時もある。チームを毎試合勝利に導けるのは、たった一人の人間だけではないと思う。全員の力が必要なんだ。試合中、個々の選手の頑張りがチームの成功に貢献するんだ」
13-7の快勝でヤンキースを下した地区シリーズ(ALDS)の第2戦、ブルージェイズの縁の下の力持ちの筆頭格であるドールトン・バーショは大活躍した。5打数4安打、2二塁打、2本塁打と爆発し、チームのポストシーズンの1試合塁打数記録を更新。この活躍にジョン・シュナイダー監督は「バーショの打席での活躍についてはあまり語っていないと思う。つまらない、二塁打が数本、本塁打が数本くらいじゃね」と、満足げに冗談を飛ばした。
そして、シュナイダー監督は冗談のあと、この堅守の正センターの貢献度について熱弁。
「バーショは驚異的だ。負傷なく1年を過ごせば、桁外れに成績が伸びるだろう。マックス・フリード(ヤンキース先発)と対戦するのは厳しいけれど、アプローチにこだわって特定の球種を狙い、特定の球種に対して自分のスイングで何をできるかを知っている打者がいると、気分はマシになるよ」
そしてバーショと合わせて7打点を挙げたのが、ユーティリティのアーニー・クレメントだった。クレメントは二回に先制2ランを放ち、新人右腕のトレイ・イェサベージを援護した。
既にゴールドグラブ受賞歴のあるバーショと比べると、クレメントはさらに目立たない存在だ。現在29歳のクレメントは2023年にブルージェイズに加入するまで、通算打率.204、OPS.525、代替可能な選手と比べて何勝分上積みしたかを示すfWARでは-0.4を記録していた。まさに代替可能な平凡な選手だったが、ブルージェイズ加入後にキャリアが一転。打力が改善され、持ち前の守備力を発揮できる機会が増え、今や好守の便利屋として欠かせない存在になった。
「何も覚えていない。完全に意識を失っていた。正直、自分が何をしていたのかも分からない。バカみたいに見えたけど、仕方ない。興奮しすぎて心臓がドキドキしていたから、クラブハウスに戻って気持ちを落ち着かせなければならなかった」
ポストシーズンでの本塁打はおろか、ヒットすら初めてだった。
「全員が役割分担しているだけだと思う」と、試合後にバーショは語った。打撃が持ち味の選手もいれば、守備が持ち味の選手もいる。個性豊かで野手層が厚いのがブルージェイズの特徴だ。
「その夜、その夜、本当に活躍する選手が一人いるかもしれない。チームとして、ボー(ビシェット)、ブラディ(ゲレーロJr.)、ジョージ(スプリンガー)にシーズンを通して頼るわけにはいかない。シーズン全体を見れば、重要な場面を経験した選手はたくさんいた。全員が互いを信頼し、自分たちを信じて、毎試合、自分たちのやり方でプレーしようと決めたんだ」