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ヤンキースがスイープ負けを回避 ジャッジの同点弾などで5点差逆転勝ち

2025.10.8 13:11 Wednesday

【ヤンキース9-6ブルージェイズ】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、10月7日(日本時間8日)

 アメリカン・リーグ地区シリーズ(ALDS)第3戦の序盤、ヤンキースは「冬」の到来を待つだけ、という状況だった。5点のビハインドを背負い、本拠地ヤンキースタジアムの観客も意気消沈。10月の「失望」が現実のものとなりつつあった。しかし、頼れる主砲のアーロン・ジャッジがすべてを変えた。

 四回、右腕ルイス・バーランドと対戦したヤンキースのキャプテンは、内角のフォーシームを左翼ポールにぶち当てる一発を放ち、ポストシーズンに印象的な名場面を刻んだ。この一打でヤンキースは絶望的と思われたビハインドをはね返し、6-6の同点に追いついた。

 次のイニング、ジャズ・チザムJr.が勝ち越しのソロ本塁打を放ち、ヤンキースタジアムは再び大きく揺れた。最終的にヤンキースは9-6で勝利。スイープでの敗退を免れただけでなく、チームに勢いをもたらす1勝になったと言えるだろう。

 試合序盤の見通しは決して明るいものではなかった。先発のカルロス・ロドンがブルージェイズ打線に捕まり、ブラディミール・ゲレーロJr.に3試合連続の本塁打を浴びるなど6失点。ブルージェイズは1点リードで迎えた三回に一挙4点を奪い、6-1とヤンキースを突き放した。

 ヤンキースはALDSの第1戦と第2戦でともに2ケタ失点。2試合合計で8得点/23失点とブルージェイズに圧倒され、第3戦でも「お馴染みの光景」が繰り広げられるかに思われた。

 しかし、ヤンキースの選手たちは諦めず、粘り強く戦い続けた。三回にジャッジのタイムリー二塁打とジャンカルロ・スタントンの犠牲フライで3点差に詰め寄ると、四回には1死一、二塁のチャンスが到来。ここでジャッジが打席に入り、ヤンキースタジアムは「M-V-P!」の大歓声に包まれた。

 敵地ロジャースセンターでの第1戦では無死満塁の好機で三振に倒れたジャッジだが、今回はファンの期待に応えた。三塁アディソン・バージャーの落球とトレント・グリシャムの四球でもらったチャンスで打席に立ち、カウント0-2からの3球目、内角への99.7マイル(約160.5キロ)のフォーシームを強振。痛烈な打球が左翼ポール際へ飛んでいった。

 ジャッジは身体を傾けながら、「フェアになれ」と祈るかのように打球の行方を見守った。まるで永遠のように感じられるほど長い時間が経過したあと、打球は左翼ポールに直撃。ジャッジがベースを1周すると、ヤンキースタジアムは歓喜と安堵に包まれた。

 ジャッジは同地区のレッドソックスとブルージェイズを相手に安打を量産しており、今年のポストシーズンはすでに11安打を記録(自己最多)。まだ本塁打は出ていなかったが、今年のポストシーズン初本塁打が最高のタイミングで飛び出した。

 この一打は、ストライクゾーンの中心から1.2フィート(36.6センチ)内側に投げられたボールを打ったものであり、ピッチトラッキングが開始された2008年以降、球速99マイル(約159.3キロ)以上で、これだけ内側に投げられたボールが本塁打になったのは初めてだった。また、ジャッジがストライクゾーン外のボールを本塁打にしたのも今季初だった。

 ホームベースに近づくと、ジャッジはヘルメットを軽くたたき、グリシャムと前腕をぶつけ合って喜んだ。その後、ダグアウトでハイタッチの嵐の中に姿を消し、ハイタッチをひと通り終えると、テレビカメラを指差した。

 同点弾を放った直後、五回の守備に就いたジャッジは、ファンの歓声に迎えられながらアンソニー・サンタンデールのライナーを好捕。再びファンを喜ばせた。

 五回にチザムJr.の一発などで2点を勝ち越したヤンキースは、六回にベン・ライスの犠牲フライでさらに1点を追加。ブルペンは合計6回2/3を無失点に抑える力投を見せ、ALDS第4戦以降に望みをつないだ。


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