ブルージェイズ逆転負け 主砲の一発で先制するも守備のミスが響く
2025.10.8 13:45 Wednesday
【ヤンキース9-6ブルージェイズ】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、10月7日(日本時間8日)
歴史に残るヘビー級の試合で、ブルージェイズはグローブを上げ続けることができなかった。
三回の攻撃が終了した時点で6-1とリードし、ヤンキースタジアムの観客は不満をぶつける対象をブルージェイズからヤンキースへ変えようとしていた。ブルージェイズは「自分たちの野球」をすればよかった。しかし、今年のポストシーズンで初めて、つけ入る隙を与えてしまった。
6-9で逆転負けを喫し、アメリカン・リーグ地区シリーズ(ALDS)のスイープを逃したブルージェイズにとって、自滅と言っていい試合展開だった。アーロン・ジャッジが放った左翼ポール直撃の同点3ランは、確かにポストシーズンの歴史に残る印象的な一打だ。しかし、この同点弾を生んだのは、ブルージェイズの守備のミスだった。ミスが試合の行方を決定づけた。
試合序盤は完全にブルージェイズが主導権を握っていた。主砲ブラディミール・ゲレーロJr.の3試合連発となる2ラン本塁打で初回に先制。その直後、アイザイア・カイナー=ファレファのエラーでピンチが広がり、ジャンカルロ・スタントンのタイムリーで1点を返されたが、三回に4点を追加し、6-1とリードを広げた。ところが、四回1死走者なしの場面で決定的なミスが発生した。オースティン・ウェルズが高々と打ち上げたフライを三塁アディソン・バージャーが落球したのだ。
2死走者なしになるはずだったが、1死二塁のピンチとなり、トレント・グリシャムが四球を選んで「一発が出れば同点」の状況に。ここでジャッジが左翼ポール直撃の同点3ランを放ち、ゲレーロJr.から主役の座を奪い返した。
これだけでは終わらなかった。五回に2点を勝ち越されると、六回には右翼アンソニー・サンタンデールがコディ・ベリンジャーの打球を上手く処理できず、1死二、三塁のピンチに(記録は二塁打)。ここでベン・ライスに犠牲フライを許し、ヤンキースに9点目を奪われた。
少なくとも三回以降の試合展開は、今季のブルージェイズのものではなかった。トレード期限に加入した元サイ・ヤング賞投手のシェーン・ビーバーは三回途中5安打3失点(自責点2)で降板。守備のミスに比べれば、致命的なものではなかったが、先発の役割を果たせなかったのは事実だ。
2023年から2年連続でチームのゴールドグラブ賞に輝いた鉄壁の守備にミスが出たのも痛かった。アレハンドロ・カーク、アンドレス・ヒメネス、ドールトン・バーショが形成するセンターラインは球界屈指。ロースター全体を通して、堅実な守備を見せるチームだが、ポストシーズンでは奇妙な出来事が起こることもある。ヤンキースタジアムの雰囲気に呑まれたことは否定できないだろう。
ALDSの第2戦までブルージェイズは絶好調で合計23得点を挙げた。しかし、その勢いは第3戦で陰りを見せた感がある。第4戦、ヤンキースは驚異の新人右腕キャム・シュリットラーが控えており、ブルージェイズはブルペンゲームが濃厚。2勝1敗とリードしているブルージェイズが優位の状況に変わりはないが、もし第4戦を落とせば、その状況は一変する。
今季ここまで165試合を戦ってきたブルージェイズだが、最悪の試合が最悪のタイミングで訪れた(5点リードからの逆転負けは今季初)。この苦境を乗り越え、チームの勢いを維持することはできるだろうか。