カブスは27個のアウトをどう奪うのか 今永昇太も先発有力候補の1人
2025.10.11 10:36 Saturday
カブスは27個のアウトをどう奪うのだろうか。
カブスのクレイグ・カウンセル監督は、今年のポストシーズンを通して「次戦の先発投手を必要になるまで発表しない」というやり方を続けている。それは10日(日本時間11日)のオンライン会見でも変わらず、11日(同12日)に行われるブルワーズとの地区シリーズ(NLDS)第5戦に誰が先発するのかを明らかにしなかった。
カウンセル監督が明かしたのは「(第4戦に先発した)マシュー・ボイドを除いて、おそらく全員が登板可能な試合になると思う」ということだけ。「全員が登板可能だ。決まり文句のようだが、(ボイドを除く)11人の投手で27個のアウトを取る方法を考えないといけない。それが我々の戦い方だ」と指揮官は語った。
27個のアウトを取る上で、いわゆる「勝ちパターン」以外の投手の働きが重要となる。カウンセル監督も「これまで使ってきたブルペンの方程式は間違いなく必要になる。しかし、アウトの半分は、方程式を担う5人以外の投手で取らないといけない。我々はそのように考えているし、そのようにしなければならないだろう」と同調した。
カブスが検討している選択肢は以下の通りだ。
(1)今永昇太を信頼して先発させる
物事を必要以上に考えすぎない場合、これが最善の選択肢だろう。
今永は昨季、オールスター選出、継投ノーヒッター達成、新人王投票とサイ・ヤング賞投票の両方でポイントを獲得など素晴らしいルーキーイヤーを過ごし、今季は開幕投手を務めた。野球を分析的に考え、必要な調整を模索し、マウンド上で「ショーマン」であることを楽しんでいる。
しかし、今永はここ最近の登板で被本塁打が増加しており、それは先発投手を決定する上で考慮される要素となるかもしれない。
今永は今季、防御率3.73を記録。しかし、144回2/3で31本のホームランを打たれた。昨季は173回1/3で27本だったため、本塁打を浴びるペースは上がっている。レギュラーシーズンの最終6登板は34回2/3で12被弾。パドレスとのワイルドカードシリーズ第2戦でも手痛い一発を浴び、NLDS第2戦では2被弾を喫し、わずか2回2/3しか投げられずに降板した。第5戦に先発する場合、中4日での登板となる。
今永は速球派投手ではなく、速球の平均球速90.8マイル(約146.1キロ)はメジャーの下位8%にランクインする。四球率4.6%という安定した制球力で、最大の武器であるスプリットを中心とした6つの球種を操り、相手を翻弄するピッチングが持ち味だ。被本塁打は多いものの、被安打や与四球を抑え、ダメージを最小限にとどめるピッチングができる。しかし、直近の登板ではこうした面でも苦戦が目立っている。
正捕手カーソン・ケリーは「彼は1年を通して素晴らしいピッチングをしてきた。調整を続けており、よりクリエイティブな投球ができる方法を模索している。でも、重要な場面では力強いピッチングを見せてくれるんだ。僕は彼に全幅の信頼を置いているよ」と語った。
(2)オープナーを起用する
これはパドレスとのワイルドカードシリーズ第2戦と同じやり方だ。カブスは初回、オープナーとしてベテラン右腕のアンドリュー・キットリッジを起用。今永がフェルナンド・タティスJr.やマニー・マチャドと対戦する回数を減らすための戦術だった。
今永は二回からマウンドに上がり、4イニングを投げた。まずまずのピッチングだったが、五回にマチャドに2ラン本塁打を浴び、0-3の敗戦に大きく影響した。とはいえ、上位打線と対戦する回数を減らし、今永にある程度長いイニングを投げさせるという戦術はまずまずの結果となった。
カブスが再びこのアプローチを取るならば、たくさんの選択肢がある。勝ちパターンを担う5人の投手(ダニエル・パレンシア、ブラッド・ケラー、ドリュー・ポメランツ、ケイレブ・シールバー、キットリッジ)をオープナーに起用することもできるし、それ以外のリリーフ投手(コリン・レイ、アーロン・シバーリ、マイケル・ソロカ、ベン・ブラウン)を使うこともできる。
絶対に負けられない第5戦に臨むにあたり、カウンセル監督は今永に少しでも不調の兆しが見えた場合、すぐに交代させるという戦術も考えられる。たとえば、NLDS第1戦ではボイドがわずか2死しか取れずに降板した。このときはソロカが初回の最後のアウトを取り、シバーリが4回1/3を投げてブルペンを助けた。第2戦でも今永が早期降板したあと、レイが3回1/3を無失点に抑え、ブルペンの浪費を防いだ。
もちろん、絶対に勝たなければならない第5戦は、第1戦や第2戦とは状況が異なっている。負けられない第4戦では先発のボイドが67球を投げたあと、15球以上投げたリリーフ投手は1人もいなかった。1イニング以上を投げたのもパレンシアだけだった。
カウンセル監督はリグレーフィールドに戦いの舞台を移した第3戦以降、勝ちパターンのリリーフ投手に依存しており、パレンシア、ポメランツ、ケラー、シールバーはいずれも第3戦と第4戦の両方に登板した。移動日を挟んで迎える第5戦も勝ちパターンのリリーフ投手がメインの継投になるはずだ。
正二塁手のニコ・ホーナーは「ポストシーズンのシリーズ最終戦は、いつも全員が全力を尽くす試合になる」とコメント。「現時点でどんなプランなのかは分からないが、先発もブルペンも層が厚く、シーズンを通して素晴らしい働きをしてきた。どんな方法で27個のアウトを取るとしても、僕は投手陣のことをとても信頼しているよ」と投手陣への信頼を強調した。
(3)ケイド・ホートンを復帰させる
はっきり言って、これは現実的な選択肢ではないが、第5戦に向けて、カブスファンの頭に浮かんでいたことだった。しかし、カウンセル監督はオンライン会見でこのアイディアを即座に否定した。
11日(同12日)に負傷者リストからの復帰が可能になるホートンは、右肋骨の骨折の影響で9月23日(同24日)以降は登板していない。7日(同8日)に離脱後初めてマウンドに立ったが、わずか15球だけの軽い投球だった。10日(同11日)にもブルペンでの投球練習を実施した。
カウンセル監督は「すべてが本当に良かった。ポジティブな1日になったよ。もちろん、投球後の状態や明日以降の状態が重要になる。でも、投球練習自体は本当に良かった」とホートンの状態について語った。
リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)は13日(同14日)にスタートする。カブスがNLDSを突破してドジャースへの挑戦権を獲得した場合、ホートンがロースター入りする可能性もある。後半戦に防御率1.03と素晴らしい活躍を見せたホートンが復帰すれば、カブスにとって大きな戦力となるはずだ。