タイガース敗退 スクーバル13三振の快投も延長15回の死闘の末に敗れる
2025.10.11 15:07 Saturday
【マリナーズ3-2タイガース】シアトル/T-モバイルパーク、10月10日(日本時間11日)
タイガースファンが163試合目の延長戦で悲痛な思いを経験してから16年。今度は170試合目の延長戦、「勝てばシリーズ突破、負ければ敗退」の一戦で、またしても次の世代に悲劇の物語を残すことになった。
延長15回、ホルヘ・ポランコがトミー・ケインリーからタイムリーを放ち、J・P・クロフォードがサヨナラのホームイン。「勝てばシリーズ突破、負ければ敗退」の一戦では史上最長となる15イニングに及ぶ戦いに終止符が打たれ、タイガースは2勝3敗で地区シリーズ(ALDS)敗退が決まった。
今季のタイガースは前半戦でメジャー最高勝率を記録したが、9月に失速し、地区優勝を逃した。ワイルドカードシリーズに勝利し、ガーディアンズに雪辱を果たしたものの、リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)進出にはあと一歩届かなかった。
2013年以来のALCS進出まで「あと1勝」は昨季と全く同じ。今季のタイガースはALDS突破まで「あと7アウト」に迫っていた。
延長15回までもつれた死闘の中で、タイガースの絶対的エース、タリック・スクーバルは素晴らしいピッチングを見せた。ポストシーズン新記録となる7者連続三振を記録。二回にミッチ・ガーバーの犠牲フライで先制を許したものの、マリナーズ打線をその1点だけに抑えた。
タイガースは六回、マリナーズの左腕ゲーブ・スパイアーからケリー・カーペンターが2ラン本塁打を放ち、逆転に成功。A・J・ヒンチ監督にはカーペンターに代打を送るという選択肢もあったが、カーペンターを信じ、最高の結果をもたらした。その裏、スクーバルは100.9マイル(約162.4キロ)の剛速球でカル・ローリーから空振り三振を奪い、14人連続アウトを継続したまま降板。敵地T-モバイルパークに響き渡るほどの雄叫びを上げた。
スクーバルの13三振は「勝てばシリーズ突破、負ければ敗退」の一戦としては新記録。スクーバルが六回までに99球を投げ、マリナーズ打線の中軸を迎えたため、タイガースは七回から継投に入ったが、2番手のカイル・フィネガンがピンチを招き、3番手のタイラー・ホルトンが代打レオ・リバスに同点タイムリーを浴びた。
それ以降は両チームの総力戦となり、マリナーズは八回途中から守護神アンドレス・ムニョスを投入。タイガースも八回からクローザーのウィル・ベストを起用し、マリナーズに得点を与えなかった。
10回、タイガースは新人トロイ・メルトンが先頭打者に二塁打を浴びてピンチを背負ったが、後続を抑えて無失点。11回からマウンドに上がったカイダー・モンテロは三者凡退の好リリーフを見せ、12回は1死一、二塁のピンチとなったものの、ランディ・アロザレーナを併殺打に仕留めて無失点で切り抜けた。
しかし、リリーフ陣が奮闘する一方で、タイガース打線は得点を奪えず、12回1死二、三塁の絶好機でも無得点。カーペンターが5打数4安打2打点(2四球)の活躍を見せたものの、それ以外の打者は合計4安打に終わった。
タイガースは得点圏でチーム合計9打数1安打。10残塁と拙攻が目立ち、9月からポストシーズンにかけて苦戦する原因となっていた「タイムリー欠乏症」という課題をこの試合でも克服することができなかった。
16年前、2009年シーズンの地区優勝争いはレギュラーシーズン163試合目、敵地ミネソタのメトロドームで決着した。延長13回の死闘の末にサヨナラ負けを喫し、ポストシーズン進出を逃した一戦を思い出したファンもいたに違いない。