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カナダを背負うブルージェイズ 愛と責任を実感 

2025.10.12 12:04 Sunday

 ブルージェイズの選手やコーチ陣が何度も聞かれる質問がある。その質問はスプリングトレーニングでも、開幕戦でも、赤いユニフォームを身にまとう毎年7月1日のカナダデーでも聞かれる。遠征先の都市の記者からも何度も聞かれる、他の29チームには分からない質問。
「一つの都市を代表しているだけではなく、国全体を代表しているというのはどのような気持ちですか?」

 長年にわたり、一部の選手たちは抜け目のない政治家のように、その戦略を駆使する術を学んできた。ブルージェイズは球界で唯一無二のチームだ。

 ブルージェイズのユニフォームを着る選手は、すぐにその影響を実感する。しかし、数年間にわたってプレーする選手は、カナダを代表するという意味を深く理解していく。マリナーズとのア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)でも、すぐにその影響は感じ取れるだろう。

 「今なら分かるよ。国全体を一つのチームとして支えるということは、色々なことを伴う。プレッシャーも大きいが、もしかしたら直接試合を見ることさえないかもしれないファンからの愛情も大きい。それが、国全体を一つのチームとして支えるという、私たちの強みだ」
在籍4年目のエース、ケビン・ゴーズマンは語る。

 そのプレッシャーに適切に対処できれば、責任のように感じられるだろう。ジョン・シュナイダー監督が知る限り、このプレッシャーを背負う監督は他にいない。「自分の決断には必ず世界の重みを感じるが、国のことを思うと、少し危うくなる時がある。例えば、六回表満塁でアーロン・ジャッジが打席に入っている時などは、ノバスコシアの人たちが殺しに来る気満々な気分になるよ。少し誇張されてしまうかもしれないが、それが私が身をもって体験してきたことだ。決して軽視できるものではない」
カナダ最大の州から来た素晴らしい人々に対するシュナイダーの懸念はさておき、これはMLBで最もユニークな組織でプレーする選手とコーチにとって正しい考え方だ。

 しかし、その重い責任感こそ、トロントを特別なものにしている。球界もそれを急速に悟りつつある。ブルージェイズがカナダを本当に、本当に虜にしたとき、これほど素晴らしいことはない。地元放送局の統計によれば、ヤンキースとの地区シリーズ第4戦はカナダ国内で平均380万人の視聴者数を記録し、約4100万のカナダ国民のうち1150万人が地区シリーズを視聴した。

 アメリカの他の市場ではありえないことだ。ブルージェイズは他の市場にはない強みがある。

「チームを1年を通して信じてくれない人もいるかもしれないが、僕たちは国全体が信じてくれているということをいつもみんなに言い聞かせている。ワールドシリーズをカナダに持ち帰れることを願っている」と、ブラディミール・ゲレーロJr.は語る。

 トロントからシアトルまでは飛行機で5時間以上かかるが、ブルージェイズはカナダ西部にもファンが多い。長年「カナディアン・インベイジョン(カナダ人の侵攻)」と呼ばれてきた毎年恒例のT-モバイルパークへの遠征では、球場はブルージェイズファンで満員になる。

 ブルージェイズファンは再びポストシーズンの勝利を目の当たりにしたいと願っている。シアトルからデトロイト、ミネアポリスといったカナダに近い都市、そして国境から車で行ける距離にある他の都市まで、ファンは多く駆けつけ、敵地をホームに変えてしまう。

「シアトルにはかなりの数のファンが来ると聞いていたけど、まさかあんなに来るとは思わなかった。信じられないよ。ブルージェイズがこのシリーズでホームゲームを7試合やるかもしれないって噂を耳にしていたから、それはすごいことだと思う」と、マイルズ・ストローは言う。

 「僕たちはブルージェイズという組織のために、そしてこの国全体のためにプレーしているんだ。そう言えるチームは他にない。本当に、本当に特別なことだ」
地区シリーズ突破の立役者アーニー・クレメントも語った。

 今週、選手たちはあと100回同じ質問をされるだろう。いつものように笑顔で答えるだろう。彼らはただワールドシリーズで優勝したいだけではない。カナダにタイトルを持ち帰りたいのだ。


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