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ドジャース・山本由伸がメジャー初完投 その快投に関する「9つの事実」

2025.10.16 09:10 Thursday

 ドジャースの山本由伸が素晴らしいピッチングを見せた。ブレイク・スネルが8イニングを最少打者数の24人で抑えた翌日、ナショナル・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第2戦に先発した山本は、ポストシーズンでは2017年以来となる完投を記録。ブルワーズを相手に、ドジャースを5-1の勝利に導いた。

 ドジャースの先発投手陣は今年のポストシーズンで見事な働きを見せている。昨年のポストシーズンでは16試合を戦ってワールドシリーズ制覇を成し遂げたが、今年はまだ8試合しか戦っていないにもかかわらず、先発投手陣の合計イニング数はあと7回1/3で昨年に並ぶ。

 ポストシーズンの最初の8試合中7試合で先発投手が少なくとも6イニングを投げたのは、2013年のタイガース(同じく7試合)以来だ。

 ここでは、山本の素晴らしいピッチングと、今年のポストシーズンにおけるドジャース先発陣の見事な活躍について、9つの興味深い「記録」と「事実」を紹介しよう。

(1)投手の起用法が多様化する中で、以前よりも完投は減っており、特にポストシーズンではその傾向が顕著だ。ポストシーズンでの完投は2017年のアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)第2戦でジャスティン・バーランダー(当時アストロズ)が達成して以来。日付は山本と同じ10月14日(日本時間15日)だった。ドジャースの投手によるポストシーズンでの完投は2004年のナ・リーグ地区シリーズ(NLDS)第3戦のホセ・リマ以来。また、日本人投手がポストシーズンで完投したのは初めてだった。

(2)スネルの好投に続いて山本が完投したことは、さらに興味深い。ポストシーズンで先発投手が2試合続けて8イニング以上を投げたのは2016年のジャイアンツ以来。このときはワイルドカードゲームにマディソン・バムガーナー、NLDS第1戦にジョニー・クエトが先発した。同一シリーズでの2試合連続に限ると、2010年のワールドシリーズ第4戦と第5戦でジャイアンツが達成して以来だ(バムガーナーとティム・リンスカム)。

(3)ドジャースの先発投手がポストシーズンで2試合続けて8イニング以上を投げたのは1988年以来。このときはNLCS第1戦にオーレル・ハーシュハイザー、第2戦にティム・ベルチャーが先発した。

(4)ポストシーズンのシリーズの最初の2試合で先発投手がいずれも8イニング以上を投げ、1失点以下に抑えたのは、過去50年間で今年のドジャースが5チーム目。前回もドジャースが達成しており、1983年のNLCSだった。その前は1981年の地区シリーズでドジャース、アスレチックス、アストロズの3チームが達成した。つまり、過去50年間で5度達成されたうちの3度はドジャースによるものである。

(5)山本のピッチングは支配的だった。得点圏に1人も走者を背負わなかったのだ。ポストシーズンの試合で得点圏に走者を背負わず完投したのは、2010年のNLDS第1戦でノーヒッターを達成したロイ・ハラデイ以来。過去20年間では、ほかに2005年のALCS第3戦でジョン・ガーランドが記録しただけである。

(6)山本は先頭打者本塁打を浴びた。しかし、だからこそ山本の偉業は多くの点で興味深いものとなっている。ポストシーズンの試合で先頭打者本塁打を浴びながらも完投したのは4人目。過去3人はジョニー・アントネリ(1954年のワールドシリーズ第2戦)、ジョニー・ビーズリー(1942年のワールドシリーズ第5戦)、ベーブ・アダムス(1909年のワールドシリーズ第5戦)という顔ぶれだ。このうち、先頭打者本塁打のあとに追加点を与えなかったのは、山本とアントネリだけである。

(7)ドジャースは今年のレギュラーシーズンで完投が1度もなかった。レギュラーシーズンで完投がなかったにもかかわらず、ポストシーズンで完投を記録したのは、2016年のブルージェイズに続いてドジャースが2チーム目。ただし、ブルージェイズの完投はマルコ・エストラーダによる8イニングの完投負けであり、ポストシーズンで完投がなかったチームの投手がポストシーズンで完投勝利を挙げたのは山本が史上初となった。

(8)ドジャースはNLCSの最初の2試合で5安打しか許していない。ポストシーズンのシリーズの最初の2試合での被安打数としては、1906年のワールドシリーズのカブスに並ぶ歴代2位タイの好記録だ。これを上回るのは、2019年のNLCSの最初の2試合でわずか4安打しか許さなかったナショナルズだけである。

(9)ドジャースの先発陣は、今年のポストシーズンでここまで防御率1.54を記録。先発投手がポストシーズンの最初の8試合で30イニング以上を投げたチームとしては、2012年のタイガースが防御率0.96をマークして以来の好記録だ。今年のドジャースを上回るのは、2012年のタイガースのほかに、1972年のアスレチックス(1.33)、1981年のドジャース(1.44)、1995年のインディアンス(1.46)だけである。


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