「きょうどうやって勝つかだけ考える」 王者ドジャースが3連勝
2025.10.18 09:49 Saturday
【ドジャース3-1ブルワーズ】ミルウォーキー/ドジャースタジアム、10月16日(日本時間17日)
ドジャースの二塁手トミー・エドマンは、「プレーオフを経験するということは、特別な意味を持つ」と語った。初めてプレーオフに出場する者にとって、「過去に何度も同じような瞬間を経験してきた者と比べると、心臓の鼓動を静めるのは間違いなくずっと難しい」。
エドマンがかつてそういうタイプの選手だったとしても、今はもう違う。大谷翔平、ムーキー・ベッツ、ウィル・スミス、フレディー・フリーマン、そしてこのドジャースの巨大なチームに加入した他の誰にとっても、それは同じだ。彼らは皆、この状況に何度も遭遇し、勝利を収めてきた。彼らが対戦相手にかけるプレッシャーは容赦なく、その力は克服するのが難しい。
ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)の第3戦、ドジャースはまたしても第1シード・ブルワーズを破り、リーグ連覇に王手をかけた。
ポストシーズンの最大7戦のシリーズにおいて、3勝0敗とリードしたチームは過去41チーム中40チームが勝利している。そのうち、31度はスイープ(4連勝)で決した。3連勝から敗退したチームは歴史上、2004年のア・リーグ優勝決定シリーズのヤンキースしかいない(奇しくもそのヤンキースを打ち破ったレッドソックスには、ドジャース監督のデーブ・ロバーツがおり、鍵を握る活躍を見せた)。
負ければ王手をかけられる第3戦、ブルワーズは勝利に近づくことすらなかった。早々に先制点を奪われ、たまらず新人ジェイコブ・ミジオロウスキーを投入。ミジオロウスキーは最初に対戦した16打者のうち15人を打ち取り、9三振を奪ったが、六回に息切れして追加点を奪われた。新人の奮闘を援護できず、打線はドジャース先発のタイラー・グラスナウとブルペン陣の前に沈黙した。
レギュラーシーズン中はメジャー3位の総得点を記録したブルワーズ打線は、NLCSの3戦で1得点ずつに抑え込まれている。第1、2戦ではスネル、山本の2人の先発に圧倒されたが、第3戦ではドジャース唯一の弱点とされていたブルペン陣にも封じられた。
「挑戦的だ。彼ら(ドジャース)は世界最高の選手だよね?このシーズンのこの時期になると、最高の投手陣が揃うんだ」と、ブルワーズのジェイク・バウアーズは語った。
追い詰められたブルワーズは、第4戦はベテランのホセ・キンタナを投入するだろう。左腕のキンタナの起用は、打者・大谷封じには効果があるだろう。しかし、逆転でのシリーズ突破はおろか、シリーズを再びミルウォーキーに持ち込むだけでも大きな挑戦となる。シーズン最高勝率のチームが最大7戦のシリーズで0勝3敗となった過去7度の事例では、7度すべてスイープ(4連敗)で決着している。
「あまり先走りすぎないように気をつけている。ワールドシリーズは考えていない。きょうどうやって勝つかだけを考えている。それがわれわれが多くの試合に勝てている理由だと思う」と、エドマンは語る。
一方、ブルワーズ・ナインは現実を受け止めている。今季のレギュラーシーズンで最高勝率を挙げたブルワーズは、がけっぷちに立たされた。「これまで見せてきた以上の成果が必要になる」とは、三塁手のケイレブ・ダービン。「言うまでもないことだが、1勝する前に4勝することはできない」と、指名打者のクリスチャン・イェリッチは語る。
さらに好調だった1番打者ジャクソン・チューリオが第3戦で負傷交代を余儀なくされ、状況は悪化する一方だ。この窮地を抜け出す唯一の方法は、イェリッチの言葉を借りるならば、課題を「小さな目標」に細分化することだと彼らは信じている。そして、自分たちに過度なプレッシャーをかけてはいけないことも理解している。
第3戦の前、ブルワーズのパット・マーフィー監督は試合前にいつもの芝居がかった振る舞いをしており、報道陣と冗談を言い合ったり、野球以外の話題で盛り上がったりしていた。
ある記者がマーフィー監督の目に付く気の緩みについて質問したところ、マーフィー監督はこう答えた。
「これはただの演技だよ。気が緩んでなんかいない。ものすごく緊張しているんだ」
その数時間後、NLCSで0勝3敗と劣勢に立たされたマーフィー監督は、もはや緊張する理由はほとんどないと悟った。この時点で、ブルワーズにはもう失うものがない。ブルワーズは強大なドジャースの前に屈する新たなチームとなるのか、それとも歴史的な形でドジャースを驚かせる相手になるのか、そのどちらかだ。
バウアーズは語る。
「前にもあったことだろう?だったらなぜ、われわれにできないのか?」