English Español 韓国語

20歳の大谷にメジャーリーガーが寄せた期待 11年後に予言は実現

2025.10.19 11:35 Sunday

 「優れた投手でありながら、打席でも結果を残せるなんて、信じられない。滅多にないことだ」

 この発言で語られている選手は、もちろん大谷翔平のことだ。17日(日本時間18日)に行われたナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)の第4戦、大谷は投手として七回途中無失点、10三振の快投、さらに打者としては3本塁打の離れ業で、二刀流として新たな伝説を刻んだ。MLBの歴史上、1試合における最高のパフォーマンスだったと言っても過言ではない。

 しかし、冒頭の発言はきのう敗れたブルワーズの選手やコーチから飛び出たものではない。ましてや二刀流として復活した今季、二刀流として大活躍したエンゼルス時代、日本で活躍した過去10年間の発言でもない。

 大谷についてのこの発言は、2014年11月に当時エンゼルスの投手だったマット・シューメイカーが語ったものだ。

 当時20歳だった大谷は、既に日本プロ野球で最も有名な選手だった。投げては時速100マイル(161キロ)に達する直球を誇り、打っては桁外れのパワーで本塁打を放った。

 高校時代は日本プロ野球を経ずにMLB挑戦を目指していた大谷は、数多くの関心を寄せていたMLBの球団ではなく、結局は日本ハムファイターズへの入団を選択。大谷は2014年当時、二刀流としてのプレーに魅力を感じたことがファイターズ入団の決め手だったと振り返っている。

 大谷は前代未聞の二刀流挑戦で、すぐに頭角を現した。19歳で迎えた2014年シーズンは155回1/3、11勝4敗、防御率2.61と投手として大開花。さらに打者としても234打席で10本塁打、OPS.842と非凡さを示した。

 当時は海外リーグのスター候補に過ぎなかった大谷が、その名をアメリカの野球ファンに知らしめるきっかけとなったのが、2014年秋に行われた日米野球のオールスターシリーズだ。

 1986年から1992年、そして1996年から2006年にかけて、MLBは2年ごとに選手を海外に派遣し、NPBオールスターチームと対戦させていた。2014年には、MLBチームはNPBのオールスターチームではなく、日本代表チームである侍ジャパンと5連戦と2度のエキシビションマッチを行った。

 2014年のシリーズ初戦、侍ジャパンは2-0でMLBオールスターに勝利。この日は後にドジャースなどで活躍する前田健太が先発したが、それでもハイライトは大谷だった。

 大谷は八回からリリーフ登板し、わずか12球でMLBのオールスターを三者凡退。持ち前の剛速球でアルシデス・エスコバー(当時ロイヤルズ)、デクスター・ファウラー(アストロズ)をフライに仕留め、そしてベン・ゾブリスト(レイズ)をファーストゴロに打ち取った。

 「大谷は若いが、まったく怯えているようには見えなかった。彼は攻めていた。彼の年齢だと、あれだけの速球を投げ、ストライクゾーンに入れることが何よりも重要だと思う。もし、あれだけの速球を良いコマンドで投げることができれば、誰にも負けないほど優れた投手になれるはずだ」
20歳の大谷の投球を見て、感銘のコメントを残したのはオールスター4度選出、そして2006年のMVPにも輝いた名選手ジャスティン・モーノウ(ロッキーズ)だった。

 そして数日後、大谷はさらなる衝撃を与えた。

 大谷は札幌で行われたシリーズ最終戦に先発登板。先頭打者のホセ・アルトゥーベ(アストロズ)に四球を与え、MLBが誇る強打者を打席に迎えた。

 ヤシエル・プイグ(当時ドジャース)、モーノウ、エバン・ロンゴリア(レイズ)と対し、結果はなんと3者三振。

 続く二回も大谷はスター捕手サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)をダブルプレーに打ち取り、三回に2失点したものの、四回には満塁のピンチを三振で切り抜けた。

 「大谷はすごかった。95マイルをゾーンに投げ込んでくる。あれは厳しいよ」と、エスコバーは試合後に語った。

 大谷のその日の投球内容は4回2失点、2四球、1死球、1暴投、6安打と未熟さも露呈するものだった。しかし、MLBのスター選手から奪った7三振は、まさに大谷の実力の片鱗を示すものだった。われわれは3年以上後になって、その実力を目にすることになる。

 「大谷はまだ20歳だって?」
冒頭のコメントを残したシューメイカーは思わず聞き返した。
「それだけでも十分すごい。あんな剛腕なのに。もしかしたら彼は本当に二刀流選手になれるかもしれないね」

 11年後、その予言は当たった。大谷はMLBの舞台でも二刀流選手だ。そして、おそらく歴史上で最も才能に溢れた選手だ。


spotvnow