ALCS第6戦の見どころ マリナーズが歴史を作るか、ブルージェイズが粘るか
2025.10.19 14:21 Sunday
17日(日本時間18日)は近年のポストシーズンでも、最もスリリングな一夜となった。マリナーズが八回の逆転劇で球団初のワールドシリーズ進出に王手をかけ、一方のナ・リーグでは大谷翔平が歴史に残るパフォーマンスでドジャースのリーグ連覇を決めた。
ドジャースがワールドシリーズへの切符をつかんだ今、残されるのはブルージェイズとマリナーズによるア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)の行方だ。マリナーズが歴史を作るのか、はたまたブルージェイズが第7戦に持ち込むのか。運命のALCS第6戦の見どころを確認しておこう。
ALCS第6戦:マリナーズ対ブルージェイズ(マリナーズが3勝、ブルージェイズが2勝)
先発マッチアップ:ローガン・ギルバート(マリナーズ)対トレイ・イェサベージ(ブルージェイズ)
新人右腕イェサベージにかかる重圧
ブルージェイズの関係者は皆、イェサベージの年齢以上の成熟ぶりに感嘆している。大先輩の先発投手ケビン・ゴーズマン、マックス・シャーザー、そしてジョン・シュナイダー監督も、イェサベージを絶賛する。
「イェサベージがまだ22歳だという事実を忘れてしまう」と、シュナイダー監督は語る。
しかし、イェサベージはまだ22歳だ。しかも、まだMLBの舞台では5試合しか投げたことがない。たったの5試合だ。そのうち2試合はポストシーズンでの登板だが、好投できたのは1試合だけだ。
ヤンキースとの地区シリーズでは好投した。しかし、マリナーズとのALCS第2戦では4回5失点と苦戦し、ブルージェイズは大敗を喫した。
キャリア6試合目の登板となる第6戦は、ブルージェイズの過去30年の歩みの中でも最も重要な試合となる。仮にイェサベージが苦戦しても、ブルージェイズは先発投手のクリス・バシット、エリック・ラウアーがブルペンに控えている。しかし、もし序盤からマリナーズ打線につかまった場合、手遅れとなるリスクもある。もちろんヤンキース戦で見せた活躍を再現できれば、イェサベージはカナダの伝説となるだろう。
ジョージ・スプリンガーは大丈夫か?
ブルージェイズの売りは強力打線だ。ポストシーズンでは正遊撃手の好打者ボー・ビシェットを欠きながらも打ちまくる打線における最強打者は、レギュラーシーズンではブラディミール・ゲレーロJr.ではなくスプリンガーだった。大舞台の経験も豊富なスプリンガーはポストシーズンでもOPS.933と好調だ。
しかし、第5戦でスプリンガーは膝に死球を受け、負傷交代。膝に直球が直撃した光景は、少々恐ろしいものだった。負傷交代するスプリンガーにブーイングを浴びせたマリナーズファンに対し、シュナイダー監督は苛立ちを隠さなかった。ただ、シュナイダー監督はスプリンガーが第6戦に出場できると信じている。
「ジョージは最強のタフさを持っている。第6戦のスタメンに入れなければ、彼は本当にダメージを受けるはずだ」
しかし、スプリンガーの死球後の様子はとても痛ましかった。ブルージェイズ打線はそれでもスプリンガーを失うわけにはいかない。ただ、100%を大きく下回る状態でプレーさせるわけにもいかない。大黒柱のゲレーロJr.は史上稀に見る好調を維持しているが、サポートできる打者がいなければマリナーズは躊躇なく勝負を避けるだろう。
マリナーズはついにその瞬間をつかめるか
今、マリナーズはその球団史で最もワールドシリーズに近づいている。過去3度のALCSでは2勝以上挙げることができなかった。史上最多の116勝を挙げた2001年のチームですら、1勝4敗で敗退している。
そしてその後、マリナーズは21年間ポストシーズンから遠ざかった。マリナーズは第1、2戦に敵地ロジャースセンターで勝利したとはいえ、油断はできない。第6戦ではトロントの観客は熱狂的な雰囲気を作り出すだろう。トロントの観客も、ブルージェイズの久々のワールドシリーズ進出を待ち望んでいるのだ。
しかし、それらをすべて差し引いても、マリナーズはすべての歯車が噛み合っている。強みである先発ローテーションに加え、打席に立つ度に歴史を作っているかのような主砲カル・ローリーの打棒、そして大砲エウヘニオ・スアレスの復活によって打線は厚みを増した。今のマリナーズは、栄光の瞬間をまさに迎えるチームのオーラを放っている。
ただ、目標に大きく迫っているとはいえ、マリナーズはまだ歴史を作っていない。仮にこのチャンスを逃して敗退すれば、幾度となく心痛めてきたチームとファンにとっては、これ以上ないほど辛い出来事になるはずだ。マリナーズは未知の領域、約束の地・ワールドシリーズまであと1勝に迫っている。あとは、最後の勝利をつかむだけだ。