名捕手モリーナがコーチ就任に向けて古巣カージナルスと交渉中
2025.10.21 08:25 Tuesday
19年間のメジャー生活の中で2度のワールドシリーズ制覇、10度のオールスター選出、9度のゴールドグラブ賞など輝かしい実績を残した名捕手ヤディアー・モリーナは、現役引退から3年が経過し、現場復帰に意欲を示している。2026年シーズンから監督またはコーチとして、メジャーリーグのダグアウトに戻りたいと考えているようだ。
現在43歳のモリーナは、16日(日本時間17日)に自身のインスタグラムを更新し、「MLB、メキシコ、あるいは自分が情熱を注ぐスポーツ(=野球)に貢献し、恩返しができる場所ならどこでも、コーチまたは監督としてフィールドに戻る準備はできている」と宣言した。
関係者の話によると、モリーナはここ最近、コーチとして古巣カージナルスに復帰する可能性について、ハイム・ブルーム編成本部長とオリバー・マーモル監督と話し合いの場を設けたという。
モリーナは、マーモル監督が一塁ベースコーチやベンチコーチを務めていた頃から極めて良好な関係を築いている。マーモル監督の就任1年目は、モリーナの現役ラストイヤーだった。モリーナは今季終盤、本拠地ブッシュスタジアムで行われた試合でゲストコーチを務め、試合前のメンバー表交換でフィールドに現れた際にはカージナルスファンから大歓声を浴びた。
現場復帰に意欲を見せる名捕手は、プエルトリコの地元メディアに対し、来季から古巣カージナルスのコーチングスタッフに加わることについて交渉中であることを明かしている。
プエルトリコの地元メディアによると、モリーナは「カージナルスにコーチとして復帰し、マーモル監督を手助けすることについて、球団と連絡を取り合っている。彼は依然としてリーダーであり、私は彼のそばにいたいと思う。まだ具体的なことは何も決まっていないが、話し合いを進めている」と語ったという。
モリーナがコーチ業に興味を示した時期は、元同僚のアルバート・プホルスが監督業に興味を示した時期と重なる。プホルスは2022年に古巣カージナルスへ復帰し、モリーナとともに現役引退。カージナルスでは12シーズン(2001~11年、2022年)プレーし、2度のワールドシリーズ制覇を経験したほか、ナ・リーグMVPに3度輝いた。
2度のワールドシリーズ制覇の際にモリーナ、プホルスとチームメイトだったスキップ・シューマッカーは先日、レンジャーズの監督に就任することが発表された。また、2011年のワールドシリーズ優勝メンバーの一員であるニック・プントは、ツインズの新監督候補となっていることが報じられている。
モリーナはカージナルス一筋のメジャー生活を過ごし、1球団での捕手出場2184試合はMLB史上最多。また、アダム・ウェインライトとのバッテリーで記録した213勝、先発バッテリー328試合もMLB記録となっている。さらに、捕手として18年連続開幕戦スタメン出場(2005~22年)もMLB記録。プラチナグラブ賞を4度受賞したほか、盗塁阻止率でもMLBトップを4度記録しており、打撃面でも通算2168安打、176本塁打、1022打点を積み上げた。
モリーナは今季2度、ゲストコーチとしてブッシュスタジアムを訪問。モリーナがセントルイスに戻ってきたのは、2023年シーズン最終戦でウェインライトの引退セレモニーが行われたとき以来だった。2023年12月、モリーナはジョン・モゼラック編成本部長(当時)付の特別アシスタントに就任したものの、プエルトリコで暮らす家族の事情もあり、その役割を遂行することができなかった。
今年8月8~10日と9月5~7日にゲストコーチを務めた際、モリーナは「自分にとって大きな意味を持つスポーツ(=野球)に再び力を注ぎたい」と語った。息子のヤニュエル・モリーナがテキサス大学アーリントン校に進学し、野球をプレーすることが決まったため、今こそがフルタイムのコーチとして現場復帰する絶好の機会だと考えているようだ。
今年8月8日、モリーナはカージナルス対カブスの試合前に「将来的には監督を務めたいと考えているが、今は家族に集中している。家族はそれに値する存在だからね。でも、将来的にはコーチを務め、(監督就任という目標に向けて)一歩ずつ着実に進んでいきたい」と現場復帰の可能性を示唆していた。
ゲストコーチに就任した際、「カージナルスの捕手たちにアドバイスをして、彼らを助け、成長させたいと思っている。何かを大きく変えるために来たわけではなく、彼らの手助けをしたいんだ。自分にできる範囲で若手選手の力になりたい。そして、野球を楽しみたい。プレーすることを恋しく思ったことはないが、フィールドにいられないのは寂しかった。セントルイスに戻ってきただけでも、私にとっては大きな意味がある。この街の人々は、私だけでなく、私の家族のことまで気にかけてくれるんだ」とセントルイスへの愛着を語っていたモリーナ。古巣カージナルスにコーチとして戻ってくる可能性は高そうだ。
