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21世紀初のワールドシリーズ連覇の鍵を握るドジャースの「エース4本柱」

2025.10.22 11:26 Wednesday

 メジャーリーグの先発ローテーションにエース格の投手が4人揃うのは非常に珍しい。

 ブレイク・スネル、山本由伸、タイラー・グラスナウ、そして大谷翔平。今年のポストシーズン、圧倒的な投手力によって勝ち上がってきたドジャースにとって、先発ローテーションは球団史上でも屈指の充実度だ。

 昨年、ドジャースは先発の駒が不足しているにもかかわらず、ワールドシリーズ制覇を成し遂げた。今年は4人の先発投手が21世紀初のワールドシリーズ連覇を目指すチームの原動力となっている。

 アンドリュー・フリードマン編成本部長はリーグ優勝を決めたあと、「10月に入る前から、先発投手がこのチームの強みであることは分かっていた。しかし、彼らの活躍は予想以上だった。彼らが4試合に投げ、互いにバトンをつなぐ姿を見るのは、信じられないほど素晴らしい体験だった」と語り、4人の先発投手の活躍ぶりを称賛した。

 21日(日本時間22日)、デーブ・ロバーツ監督は敵地ロジャースセンターで行われるワールドシリーズ第1戦にスネル、第2戦に山本を先発させることを発表した。第3戦以降の先発投手はまだ発表されていないが、リーグ優勝決定シリーズと同じローテーションになる可能性が高い。つまり、第3戦にグラスナウ、第4戦に大谷が先発することになるだろう。

 これにより、スネルは中4日で第5戦に先発することが可能。グラスナウも中4日で第7戦に先発できる。また、山本は中5日で第6戦に先発することになるだろう。大谷が先発するのは1試合だけになるが、シリーズが長引いた場合、リリーフで登板する可能性がある。

 この先発ローテーションはリーグ優勝決定シリーズで見事に機能。4人の先発投手が1試合ずつ投げ、メジャー最高勝率のブルワーズをスイープした。

【第1戦】スネルが8イニングを最少打者数の24人で無失点に抑え、わずか1安打、10三振の快投

【第2戦】山本が先頭打者アーチを浴びたものの、それ以降は得点を与えず、メジャー初完投を達成

【第3戦】グラスナウが5回2/3を投げ、8三振、1失点の好投

【第4戦】大谷が6回0/3を投げ、10三振、無失点の好投(3本塁打を放ち、史上最高の個人パフォーマンスとなったことは言うまでもない)

 クローザーの佐々木朗希はリーグ優勝決定シリーズ第3戦の試合後、記者会見で「完投してくれないかなと思って見ています」と先発陣について言及した。

 この先発陣がワールドシリーズでも同様のパフォーマンスを見せる可能性がある。対戦チームのブルージェイズにとっては厳しい試練となるはずだ。

 新人捕手のドルトン・ラッシングは「各投手が自分の武器を持ち、自分の投球スタイルを持っている。それぞれに独自の個性がある。それが各投手を優れた選手にしているし、それによってお互い学び合うこともできる。エース級が4人揃っていることで新たな基準が打ち立てられたんだ」と語っている。

 ここでは今年のポストシーズンにおける各先発投手の武器となっている球種を見ていこう。

◆スネルのチェンジアップ

 スネルはレギュラーシーズン中、フォーシームの割合が最も多かったが、ポストシーズンではチェンジアップの割合を増やしている。チェンジアップに対し、相手打者は22打数2安打(打率.091)と苦戦しており、58度のスイングで38度の空振りを喫している(65.5%)。

 リーグ優勝決定シリーズ第1戦の試合後、スネルは「チームの指示に従ってピッチングを組み立てている。相手打者が特定の球種に対してかなり積極的だと感じたし、実際にその通りだった」と話した。

◆山本のスプリット

 山本は地区シリーズ第3戦でフィリーズに対して不甲斐ない投球(4回0/3を投げて3失点)を見せたあと、髪を暗くしてリセットを図った。しかし、敵地ミルウォーキーで完投した山本にとって、真の決定打となったのはスプリットを巧みに操ったことだ。山本はブルワーズ打線からスプリットで8つの空振りと3つの見逃しストライクを奪った。

 ブルワーズのパット・マーフィー監督は「彼のスプリットは速球のように見える。同じトンネルを通ってくるんだ。全く同じに見える。完璧な投球フォームだし、失投もない。速球のように見えるボールが突然落ちていく。その一方で、速球はどんどん伸びていく」と脱帽していた。

◆グラスナウのスライダー

 グラスナウのスライダーは制球面でやや不安定さがあるものの、上手く機能しているときには非常に厄介なボールとなる。今年のポストシーズンでは11打数1安打(打率.091)と相手打者を圧倒しており、20度のスイングで10度の空振りを奪っている(50%)。シンカーとの相性も抜群で、制球を乱したときは、それを修正するためにシンカーを使うケースが多い。

 リーグ優勝決定シリーズ第3戦の試合後、グラスナウは「かなりシンカーに頼った。制御不能になりかけたけれど、シンカーを1球投げることによって、ピッチングを修正できるんだ」と語った。

◆大谷のスプリット

 レギュラーシーズン中、大谷はわずか4.6%しかスプリットを使わなかった。ポストシーズンでも割合が突出して多いわけではないが、その効果は絶大だ。相手打者は大谷のスプリットに対して10度スイングしたが、バットに当たったのは1度だけ。スプリットを武器として使うことで投球の幅が大きく広がっている。

 リーグ優勝決定シリーズ第4戦、大谷が投打で歴史的なパフォーマンスを見せた試合でもそうだった。マーク・プライアー投手コーチが話していたように、大谷はスプリットの感覚をつかみさえすれば、「何でもやりたいことができる」のだ。


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