22歳イェサベージがワールドシリーズ第1戦に先発 シンデレラストーリー続く
2025.10.24 12:00 Friday
トレイ・イェサベージは今季、スーツケースの荷解き以外のことはすべて経験した。4月8日(日本時間9日)に1A・ダニーデンでプロデビューを果たした22歳は、10月24日(同25日)にワールドシリーズ第1戦に先発する。
イェサベージはこれまで5つの都市、数十のホテルに滞在。今もロジャースセンターの地下駐車場にある愛車のトヨタ・タンドラには、荷物の残りが詰め込まれている。
「今の僕のトラックを見てほしい。トレーラーハウスみたいなんだ」
22歳88日のイェサベージは、ワールドシリーズ第1戦の先発投手として史上2番目に若い投手となる(史上最年少は1947年ドジャースのラルフ・ブランカが当時21歳267日で先発)。
その記念すべき先発は、難しいことに大谷翔平から始まる。まず大谷、そしてムーキー・ベッツ、フレディー・フリーマン。イェサベージは大谷について問われると、「特別な選手だ。投打両方で相手にダメージを与えられる。だが、われわれが今ワールドシリーズにいるのには理由がある。だから、とにかく自分たちらしくプレーすることが重要だ。彼を無力化するために調整が必要なら、それを調整する」と返した。
イェサベージ最大の武器はスプリットだ。スプリットが威力を、そしてイェサベージが投手としての自我を発揮できるとき、最高のパフォーマンスとなる。それがイェサベージのシンデレラストーリーを生み出した。
イェサベージには他の22歳には真似できない静かな自信がある。まだ自分のカリスマ性に気づいていない、若者イェサベージのありのままの姿がそこにはある。
イェサベージはシンプルさを好む。ある程度のデータは考慮するだろうが、ダグアウトでタブレット端末をスクロールする姿を見かけることはほぼない。
「僕はかなり基本に忠実なんだ。とにかく基本に忠実で。マウンドで考えすぎたくない。だって、何も考えずに意識を失っている時が一番調子がいいんだから」
ブルージェイズが仮に球団史上3度目の世界一になれば、イェサベージの物語は永遠に語り継がれ、トリビアクイズのネタになるだろう。他の29球団のファンは球団のトップ有望株を速く昇格させたいと思ったときに、イェサベージの名前を挙げるだろう。ほらきっとうまくいくから、と。
イェサベージは1Aからシーズンを始め、マイナーリーグの4つのフルシーズンレベルすべてを経験してMLBに昇格した。これは稀有なケースだが、前例がないわけではない。
イェサベージは、ディラン・スミス(2025年)、エドガルド・エンリケス(24年)、オリオン・カークリング(23年)、スペンサー・ストライダー(21年)、AJ・ミンター(17年)、ケンドール・グレイブマン(14年)、アディソン・リード(11年)、ダン・ランズラー(09年)、ダニエル・ハドソン(09年)らに加わった。驚くべきことに、これらの投手はいずれもワールドシリーズに出場することはなかったが、ストライダーを擁したブレーブスとエンリケスを擁したドジャースは、後に優勝を果たした。
イェサベージを第1戦に先発させる決断は、ブルージェイズにとって容易ではなかった。
エースのケビン・ゴーズマンはア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)の第5戦に先発し、第7戦でもリリーフ登板をこなしていた。ゴーズマンは1日長い休養を得て、第2戦の先発に臨む。
「われわれは選手全員と話し合い、彼らの身体的な状態、これまでの休息の取り方、シリーズ後半での特定の選手の状態、そして各選手がドジャースに対してどのような戦い方をするのかを確認しようとした。全員のフィードバック、全員の意見を聞きたかった。コーチ、メディカルスタッフ、ゲームプランナーなど、全員の意見を聞きたかった。でも、彼らの意見も聞きたかった。彼らと話し合った結果、ケビンを1日休ませるのは理にかなっていると感じた」
イェサベージはトロントで真の「唯一無二」の投手になれるかもしれない。確かに世界一になった1993年のブルージェイズにはパット・ヘントゲンのような若い投手もいたが、ヘントゲンは当時24歳でメジャーリーグで216回1/3を投げ、マイナーリーグでもプロスペクトとして600回以上を投げていた。イェサベージは、かつてない速さで到来する新時代の投手だ。4月にはワールドシリーズ第1戦は想像を絶するものだったが、この驚異の新人はあらゆる試練を乗り越え続けている。
