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「すごくホッとした」 ドジャースが負けられないWS第2戦に勝利

2025.10.26 15:28 Sunday

【ブルージェイズ1-5ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月25日(日本時間26日)

 第2戦のウイニングボールを捕球した三塁手マックス・マンシーは、そのボールをトスするのではなく、山本由伸のグラブに直接手渡した。山本はトスで受け取ろうとしたが、マンシーは山本が成し遂げたことに敬意を表したのだ。

 もしこのワールドシリーズをドジャースが制覇するならば、その理由は山本のパフォーマンスだろう。第1戦に大敗したドジャースは、山本の完投そして、七回にマンシーとウィル・スミスが放った2本塁打によって、第2戦に5-1で勝利。シリーズを1勝1敗のタイに持ち込んだ。

 「初戦落としていたのはすごく大きかったですけど、落としただけに当然ですけど今日は絶対勝たないといけないなとすごく気持ちが入りました」と山本は語った。

 この第2戦の完勝は、なぜドジャースが世界一の大本命と言われていたかを思い出させる試合だった。

確かにブルージェイズの層が厚く、忍耐強さを備え、強力な打線は、ドジャースのブルペン陣を圧倒する能力がある。しかし、ドジャースの先発投手が食い下がれば、そうはならない。

 投手として史上最高額の契約を結んだ日本の剛腕・山本は、第1戦でドジャースを圧倒したブルージェイズ打線相手に、三回に犠牲フライで1点を失っただけで1失点完投。9回1失点、4安打、8三振、無四球の好投で、さらに最後の20打者をパーフェクトで打ち取った。ポストシーズンにおける2試合連続完投は、2001年のダイヤモンドバックスを球団初の世界一に導いた大投手カート・シリング以来の快挙だ。

 「休養があったとはいえ、本当に素晴らしかった。山本はわれわれの打線を苦しめていた。ゾーンに投げ込めていたし、スプリットもゾーン内外に出し入れされていた。本当に素晴らしいパフォーマンスだった」

敵将ジョン・シュナイダーも脱帽した。

 1993年ワールドシリーズ第6戦で連覇を決めるサヨナラ本塁打を放ったジョー・カーターを始球式に招き、その伝説の瞬間を再現する機運を高めていたブルージェイズ。しかし、それに対してドジャースは、スミスとマンシーが2本のソロで、ブルージェイズのエース右腕・ゴーズマンを打ち砕き、アンサーを返した。

 ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「すごくホッとした」と勝ち越し劇について吐露。ドジャースにとっては、まさに安堵に次ぐ安堵だった。

 アレックス・ベシアを失い、第1戦では崩壊したブルペン陣への信頼がさらに薄れる中、ロバーツ監督は山本の貢献を喜んだ。山本はテンポの速い、昔ながらの投手戦を演じ、見事に勝利した。

 「第2戦の先発投手」という肩書きは、先発2番手という印象を与えがちだ。しかし、山本とゴーズマンはどちらとも、その役割には十分すぎるほどの実力を持っていた。

 山本は今季、ドジャースの投手陣で誰より多い173回2/3を投げ、ERA+167(リーグ平均より67%優秀)をマーク。ゴーズマンは過去4シーズン、ブルージェイズの先発ローテーションの要として活躍し、その期間でMLB4位の733回2/3、同3位の793三振を挙げていた。レギュラーシーズン中はエースとしてチームを牽引した山本と、ア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦でリリーフ登板した影響で第2戦に回されたゴーズマンの投げ合いは、まさにエース同士の投げ合いと呼ぶに相応しかった。

 そして、2投手はまさにエースの投球だった。

 山本はブルージェイズ打線に持ち前の豊富なレパートリーで挑み、そのすべてが機能した。強烈なスプリット、ヨーヨーのように動くカーブ、猛烈なフォーシーム、カッター、スライダー、シンカー。すべてが軽快に、鋭く変化し、グルーヴを生み出していた。第1戦では先発ブレイク・スネルの制球が乱れる瞬間を狙いすましていたブルージェイズ打線に対し、山本は一切崩れなかった。

 「初回にちょっとランナーをためたり、そのあとデッドボールから失点したりあったんですけど。しっかりと冷静にね、投げられたのでよかったと思います」と、山本は振り返る。

 一方、ゴーズマンも素晴らしい投球で応じた。ドジャースは初回に先制点を奪ったが、ゴーズマンは初回の3アウト目から17人の打者を連続で打ち取った。

 七回にスミスが打席に立つまでは。

 シーズン終盤に右手の細骨を骨折し、痛みを抱えながらプレーしていたスミスにとって、七回の勝ち越し弾はポストシーズン初の長打だった。ゴーズマンに対してフルカウントと粘り、内角の直球をとらえ、レフトスタンド2階席へ運んだ。

 ここでゴーズマンの快進撃は終わった。その後、ドジャースのポストシーズン通算本塁打王であるマンシーも、本塁打で続いた。奇しくも、カーターが放った有名のサヨナラ本塁打とほぼ同じ地点に着弾した。

 「2人の本当に良い打者に対する、2球の良い投球だった。それが違いを生んだ」と、ゴーズマンは良いボールを本塁打にしたスミスとマンシーを称えた。

 八回にもドジャースは2点を追加したが、山本には必要ない援護だったかもしれない。追加点をもらった八回は3者連続三振、九回も続投して三者凡退で締めくくった。

 「(山本は)負けることは選択肢にないと言っていた。まさに、その言葉通りの投球だった」と、ロバーツ監督は称えた。

 これでシリーズの行方は振り出しに戻った。


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