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ポストシーズンのヒーロー、ホルヘ・ポランコがオプション破棄でFAに

2025.11.6 09:58 Thursday

 予想されていた通り、ホルヘ・ポランコは来季の選手オプション(年俸600万ドル=約9億円)を破棄してフリーエージェント(FA)となる。5日(日本時間6日)、マリナーズが発表した。

 しかし、2025年シーズンに華々しい復活を遂げた32歳の二塁手(兼指名打者)について、マリナーズは再契約に興味を示しているようだ。

 また、マリナーズはレイズと小規模なトレードを成立させ、金銭トレードで右腕コール・ウィルコックスを獲得。さらに、60日間の負傷者リストに登録されていたライアン・ブリス、グレゴリー・サントス、トレント・ソーントンを復帰させるなど、ロースターの微調整を行った。

 ポランコは昨年10月に左膝の手術を受け、今年1月にマリナーズと1年700万ドル(約10億5000万円)で再契約した際、「2025年シーズンに450打席以上出場すれば、2026年シーズンの選手オプションを獲得する」という条項を盛り込んでいた。このオプションには75万ドル(約1億1250万円)のバイアウト(契約解除金)も設定されており、ポランコはこの75万ドルを受け取ってFA市場に出ていくことになる。

 ポランコはマリナーズ移籍1年目の昨季、膝の不調に悩まされ続け、膝をかばいながらプレーした結果、ハムストリングの負傷にもつながった。しかし、今季は華麗な復活を遂げ、チームに大きく貢献した。

 スプリングトレーニングから4月にかけての期間は、膝の回復に充て、常時出場することはできなかった。その後、右脇腹を痛め、右打席に立てない時期や守備に就けない時期があったものの、指名打者としての地位を確立し、今季の負傷者リスト入りは1度もなかった。

 レギュラーシーズンでは26本塁打を放ち、これは2021年に自己最多の33本塁打をマークして以来の数字。ポストシーズンでは4本塁打を放つなど、打線を牽引する活躍を見せ、チームをリーグ優勝決定シリーズ進出に導いた。最終的に、レギュラーシーズンでは138試合に出場して524打席に立ち、打率.265、出塁率.326、長打率.495、OPS.821、30二塁打、78打点を記録。三振率は昨季の29.2%から15.6%とほぼ半減した。

 こうした活躍により、ポランコはシルバースラッガー賞の二塁手部門のファイナリストに選ばれている。

 マリナーズは今オフ、ポランコのほか、野手ではジョシュ・ネイラー、エウヘニオ・スアレス、ミッチ・ガーバー、投手ではケイレブ・ファーガソンやルーク・ジャクソンがFAとなっている。ポランコは2024年1月に4選手とのトレードでツインズから加入。2024年シーズン終了後、年俸1200万ドル(約18億円)の球団オプションを破棄されてFAとなったが、2カ月後に再契約を結び、今季開幕当初は三塁手としてプレーした。

 ネイラー(一塁)、ポランコ(二塁)、スアレス(三塁)がFAになったため、少なくとも現時点では、マリナーズの内野はJ・P・クロフォード(遊撃)以外のレギュラーが固まっていない状況だ。クロフォードは2022年のシーズン開幕日に結んだ5年契約の最終シーズンを迎えようとしている。

 とはいえ、マリナーズには内野の穴を埋められる可能性のある有望株がいる。

 二塁手のコール・ヤングは5月31日(同6月1日)にメジャーデビューしたあと、輝かしい活躍を見せたシーンもあったが、シーズン終盤は苦戦。その結果、マリナーズはポランコを指名打者から二塁に戻すという決断をした。ブリスは4月に左上腕二頭筋を断裂し、リハビリ中の9月には右膝半月板断裂でシーズン終了となったが、来春までには回復する見込みだ。ヤングとブリスはスプリングトレーニングで正二塁手争いに加わることが予想されるが、こうした有望株がメジャーに定着するまでの「つなぎ役」としてポランコと再契約を結ぶことは、間違いなくチームにとってプラスとなるだろう。

 内野のほかのポジションに目を移すと、三塁手のベン・ウィリアムソンは85試合に出場し、チームトップクラスの守備力を発揮。トレード期限にスアレスが加入するまで、三塁のレギュラー格としてプレーした。OPS.604と低調だったものの、マリナーズはほかのポジションの攻撃力でカバー。ウィリアムソンは安定した守備力でチームに貢献し続けた。

 球団1位・メジャー全体9位の有望株である20歳のコルト・エマーソンは、今季マイナーの3階級でプレー。来季はどこかのタイミングで三塁のレギュラー争いに加わる可能性がある。しかし、来季の開幕時点でメジャーのロースターに名を連ねることは考えにくい。

 最大のクエスチョンマークは一塁だが、このポジションには明確な答えがある。それはネイラーと再契約を結ぶことだ。しかし、ネイラーは年平均2000万ドル(約30億円)前後の4~5年契約を結ぶと予想されており、FA市場での人気も高いため、マリナーズが引き留められるかどうかは不透明だ。

 マリナーズは今オフ、3000万ドルから3500万ドル(45億円から52億5000万円)くらいの補強資金があるとみられる(シーズン終了後の記者会見でジェリー・ディポート編成本部長が示唆)。しかし、マリナーズはネイラーとの再契約を最優先事項としているため、ポランコの引き留めに必要な資金を確保できるかどうかは微妙な情勢となりつつある。


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