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ジャッジの再来? 元中日ブランコの息子が有望株の見本市で売り出し中

2025.11.8 11:50 Saturday

 トニー・ブランコJr.はたしかにそれらしく見える。身長6フィート7インチ(201センチ)、体重243ポンド(110キロ)の巨躯に背番号は99。アーロン・ジャッジ(ヤンキース)を彷彿とさせるが、ジャッジではない。ブランコJr.が打席に入ると、まるで「ボールの皮をえぐるほどかっ飛ばす」という古い格言を体現しているかのようだ。そしてボールがバットに当たると、どんなレベルの打者でもほとんど出せないような音が鳴り響く。

 パイレーツ傘下に所属する20歳のブランコJr.は、有望株の見本市とされる「アリゾナ・フォールリーグ」に参加している。2週目では464フィート(141メートル)の特大弾と、打球初速120.4マイル(194キロ)の二塁打を連日放ち、持ち前のパワーを発揮した。

 「野球のプレーだけでなく、ブランコJr.は素晴らしい人間で、一生懸命努力するいい子だ。彼の才能は本当に大きい。勤勉さも並外れている。毎日準備万端で球場にやって来ますし、特にリーグの中でも若い選手の一人であることを考えると、この瞬間は彼にとって大きすぎるものではないと思う」と、ブランコJr.が所属するソルトリバ・ラフターズのエリック・パターソン監督(パイレーツ3Aのベンチコーチ)は語った。

 ブランコの飛距離は間違いなく驚異的だ。しかし、この20歳(リーグでも8番目に若い)を特に稀有な存在にしているのは、打球の速度だ。10月17日に放った打球初速120.4マイル(194キロ)の二塁打によって、スタットキャスト導入(2015年)以降で打球初速120.4マイル以上の打球を放ったわずか7人の打者の1人となった。

ジャンカルロ・スタントン(16本)
オニール・クルーズ(6本)
アーロン・ジャッジ
ブラディミール・ゲレーロJr.
ロナルド・アクーニャJr.
ゲーリー・サンチェス

 上記の6人の強打者は全員がアリゾナ・フォールリーグを経験している。

 ブランコJr.はわずか45打席(68位)にしか立っていないが、打球速度ランキング上位50位のうち、他のどの選手よりも多い5本のランクインを誇っている。レギュラーシーズンでも1Aブレイデントンでリーグの打球速度ランキングの上位6位の打球すべてをブランコJr.が記録していた。

 パイレーツで同僚の有望株エズメルリン・バルデスは「すごいよ」と、ブランコJr.のパワーを簡潔に称賛した。

 現役時代にはエイドリアン・ベルトレ、デービッド・オルティス、フランク・トーマスといった殿堂入り選手とプレーしたパターソン監督も「バットの音が違う」と語る。

 「打った時は、何も感じない。手には何も感じない。ただ打ったという感覚だけで、それだけなんだ」とブランコJr.は涼しい顔だ。

 ブランコJr.のパワーの秘密の一つには優秀なDNAもある。父トニー・ブランコは20年前にアリゾナ・フォールリーグに参加した有望株で、2008年から日本球界へ移籍。日本で大砲としてのキャリアを築き上げた。

 しかし、父は4月にドミニカ共和国で事故によって他界。今季は前半戦はケガに苦しむなど、試練も味わった。

 2005年に父が成し遂げたようにメジャーリーグに昇格し、そして父も成し遂げられなかったメジャーの舞台での活躍という究極の目標のためには、パワーだけでは足りないとブランコJr.は自覚している。マイナーでの通算打席数は362で、好成績を残しているもののまだ技術は未熟だ。

 「どんな球種でも打てる練習に集中している。年初は少し苦労したから、神様にとても感謝している。でも、今はうまくいっている」と、ブランコJr.。

 「ブランコJr.は自由にプレーしていて、思い切り打つことを恐れない。彼には明らかに驚異的なパワーのポテンシャルがある。でも、本当に良い打者になる可能性もあると思う。ホームランだけじゃない。完璧な打者になる可能性もあると思う」と、パターソン監督はブランコJr.の将来に大きな期待を寄せる。

 結局のところ、プロスペクトが秋季リーグに選出されるのはそのためだ。マイナー下級でプレーした打者は、レギュラーシーズンで直面するよりも、球速が速く、変化球が鋭く、そして打席で相手を攻めるための総合的なアプローチが優れている上位レベルの投手と対戦することになる。ブランコは、対戦してきた投手陣に感銘を受けていると述べている。彼らの投球を次々と打ち返してきたにもかかわらずだ。

 前述の464フィートの本塁打は、ストライクにはならないはずのスライダーを左中間まで引っ張って打ったものだった。これは一つの結果に過ぎないが、パイレーツのNo.30有望株である彼の今後の活躍を暗示している。

 「彼は自分が何をしているのか、本当によく分かっている。もちろん、微調整が必​​要な部分はあるが、間違いなく正しい方向に進んでいる」と、パターソン監督は語った。

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