期待を上回る活躍ができそうな7人のFA選手
2025.11.9 12:59 Sunday
注目すべきストーリーにあふれる2025-26オフシーズンが到来した。誰もが認めるフリーエージェント(FA)市場のNo.1選手カイル・タッカーはどこへ行くのか?どんな契約になるのか?優秀なFA市場の先発投手陣はどこへ行くのか?
市場の大物の動向も興味深いが、それ以外の選手たちの行く先も注目すべきだ。この記事ではFA市場で期待以上の活躍を見せそうな選手を7人紹介。今回は、MLB.comのマーク・ファインサンド氏が選ぶFA選手ランキングトップ30にランクインしていないフリーエージェントのみを対象とした。
ブランドン・ウッドラフ、先発右腕
鍵を握る数字:xERA2.19、64回2/3で83三振14四球
ウッドラフは肩の手術のため2024シーズンを全休し、2025年7月6日に復帰を果たした。ただ、その後も背筋の負傷によりレギュラーシーズン終盤の数週間とポストシーズン全試合を欠場したため、2025年シーズンの先発登板はわずか12試合にとどまった。
しかし、この12度の先発登板でウッドラフは好投。64回2/3を投げて防御率3.20、83三振、14四球を記録した。さらに、 xERAという指標は、ウッドラフのパフォーマンスは見かけよりさらに良かったことを示唆している。被打球の質や三振、四球から算出されるxERA(期待防御率)はより客観的に投手の実力を測れる指標とされ、ウッドラフはそのxERAでリーグ上位1%をマークした。
ただ、ウッドラフには紛れもないリスクがある。来季開幕時には33歳になり、2023年以降はケガの影響でわずか23試合しか先発していない。しかし、2026年に万全の体調を取り戻し、怪我前の球速(今季はピーク時に比べて3マイル球速が低下)を取り戻せば、再び第一線の先発投手として活躍できる可能性がある。また、ブルワーズがウッドラフに1年総額2202万5000ドル(約34億円)のクオリファイングオファー(QO)を提示したことで、ウッドラフがFA市場に出ない可能性もある。ウッドラフは11月18日までにQOの諾否を決断しなければならない。
ライアン・オハーン、一塁手
鍵を握る数字:wRC+127、xwOBA.350
オハーンは2025年のオールスターゲームでア・リーグの指名打者として先発に選ばれ、6番打者でスタメン出場した。そしてトレードデッドラインでは目玉の一人となり、パドレスへ移籍したため、決して無名ではない。とはいえ、オハーンはピート・アロンソ(メッツからFA)やジョシュ・ネイラー(マリナーズからFA)ら有力な一塁手が揃うFA市場では目立たない存在となっており、フェインサンドのトップ30ランキングからは漏れ、ジ・アスレチックのリストでも27位にしか入っていない。
オハーンは2025シーズンにキャリア最高のシーズンを送った。初のオールスターゲーム出場を果たし方ほか、出場試合数(144)、OPS(.803)、本塁打(17)、wRC+(127)、そして総合指標fWAR(3.0)でキャリアハイを記録。2025年のオハーンの打球の質などから攻撃貢献度を測るxwOBA (.350)も上位26%にランクインし、彼の打撃成績が正真正銘の実力だったことを証明した。
オハーンは109打席で左腕に対してOPS.832(通算OPS.642)を記録しており、左に弱いイメージを払拭。一塁手や外野手も守れるため、プラトーンではなくレギュラーとして計算されるだろう。32歳のオハーンは遅咲きの選手だが、優勝候補チームの打線の中軸を担う真の選択肢となる可能性がある。
ジャスティン・バーランダー、先発右腕
鍵を握る数字:FIP3.85、fWAR2.2
バーランダーは43歳となる来季も時の流れに逆らい続けられるだろうか。もし2025シーズンのパフォーマンスを継続できるならば、バーランダーはまだ数シーズン投げられるかもしれない。ジャイアンツで152イニングを投げ、防御率3.85、FIP3.85という成績は、バーランダーが運に助けられたわけではないことを示唆している。2024年の成績(防御率5.48、FIP4.78)は、キャリアが終わりに近づいていることを示唆していたかもしれないが、バーランダーは復活した。
もちろん、40代半ばに差し掛かれば、パフォーマンスが完全に低下する可能性は誰にでもある。とはいえ、バーランダーには普通ではない部分もある。いつかクーパーズタウンに入る選手であり、2022年には39歳でサイ・ヤング賞を受賞した。バーランダーの直球の球速は依然として高く(2025年時点で93.9マイル)、先発投手としては堅実な空振り率(三振率20.7%)を維持している。
バーランダーが圧倒的な強さを見せていた時代は過ぎ去ったが、150イニング以上を投げればリーグ平均並みの成績を残すことができ、多くのチームが喜んで獲得するだろう。この年齢では1年契約になる可能性が高いが、多くのチームにとって頼りになる選択肢となるだろう。
ザック・エフリン、先発右腕
鍵を握る数字:2023-24シーズンの59試合で防御率3.54、FIP3.37
エフリンが2024年シーズン後にフリーエージェントになっていたら、おそらく市場で最高の先発投手の一人になっていただろう。しかし残念ながら、エフリンは2025年にキャリア最悪のシーズンの一つを経験した。腰痛に悩まされ、わずか71回1/3しか投げられず、防御率は5.93にとどまった。奪三振率は16.2%に低下し、xERAは4.54にまで急激に悪化した。
それでも、今季まではエフリンは優秀な投手だった。2023-24の2シーズンで先発投手の中で上位20位に入る防御率(3.54)とFIP(3.37)を記録。この2年間、エフリンは2年連続でワイルドカードシリーズ第2戦の先発を任された。エフリンは、優れた制球力(与四球率3.5%)、高い三振率、そして弱い打球を誘う能力で、この時期に傑出した先発投手だった。
エフリンの獲得を目指すチームは、2023-24シーズンの彼の活躍を、彼の復活の可能性を信じる根拠として見出すだろう。来年4月に32歳になるエフリンは、健康状態が万全であれば、あの調子を取り戻すことができるだろう。
マイク・ヤストレムスキー、外野手
鍵を握る数字:2023-25シーズンでfWAR5.8、wRC+107
ヤストレムスキーはMLBで7シーズン連続で安定した成績を残している外野手だ。2019年のデビュー以降、ヤストレムスキーは毎シーズン1.5以上のWARを記録しており、OPSが.700を下回ったのは一度だけだ(2022年は.697)。短縮された2020年シーズンでは54試合に出場し、OPS.968、WAR.1.9を記録したが、それ以外は毎年.750前後のOPSと1.5~2のWARを稼いだ。
特に35歳という年齢を考えると、ヤストレムスキーに伸びしろはないだろう。ヤストレムスキーはこれまで左腕相手には苦戦してきましたが(通算OPS.648)、右腕相手には通算OPS.809を誇り、プラトーン役にうってつけだ。また、耐久力も高く、毎シーズン少なくとも106試合に出場しており、ここ2年間はそれぞれ140試合以上に出場している。
ヤストレムスキーは、堅実な左打ちの外野手をラインナップに加えたいコンテンダー(優勝候補チーム)を含め、どのチームにとっても歓迎される補強となるだろう。
タイラー・ロジャース、救援右腕
鍵を握る数字:2021-25シーズンで374登板、防御率2.71
ロジャースは過去5年間、クローザー以外のリリーフ投手の中で屈指の実力者だった。2021年以降、ロジャースは374試合に登板し、いずれも70イニング以上を投げ、防御率2.71という優れた成績を残している。また、今季はジャイアンツとメッツで計81試合、77回1/3を投げ、自己最高の防御率1.98を記録し、自己最高のシーズンを送ったばかりだ。
12月に35歳になるロジャースは、今日の球界においてまさに唯一無二の投手であり、極端なアームアングルを持つサブマリンピッチャーだ(2020年以降、マイナス61度のアームアングルはメジャーリーグで断トツの低さ)。ロジャースはシンカーとフリスビースライダーを完璧な精度で投げ分け(2025年の四球率は2.3%)、相手に長打を打たせない。これらの要素を総合的に考慮すると、右打者、左打者を問わず、相手に厳しい対戦を強いる他に類を見ない投手だと言える。
ウィリ・カストロ、ユーティリティ
鍵を握る数字:2023-24シーズンでwRC+107、WAR5.4
カストロは2023年から2025年7月までツインズで出場した368試合で、打率.250、出塁率.335、長打率.398、wRC+107、WAR6.5を記録し、2024年にはオールスター選出も果たした。2025年にトレード移籍したカブスでは厳しい結果(34試合でOPS.485)に終わり、フリーエージェントになる前にアピールはできなかった。しかし、カストロは今でも文字通りフィールドのあらゆる場所でプレーできる便利屋だ。
メジャーリーグでの7年間で、カストロは一塁と捕手を除く全てのポジションで出場している(そう、マウンドでは4回2/3を投げている)。2023年以降、平均以上の打撃成績を残しているカストロは、内野と外野の複数のポジションをこなせる能力を備えており、どの球団にとっても貴重な戦力となるでしょう。また、カストロは来年4月まで29歳にならないため、フリーエージェント市場で最も若い選手の一人です。
その他の選手
ニック・マルティネス(先発右腕)、ビクター・カラティーニ(捕手)、ライセル・イグレシアス(救援右腕)
