オリオールズが大型補強に動く可能性 エース級の先発投手獲得を狙う
2025.11.12 12:16 Wednesday
近年のオリオールズは、チーム再建を進める中で、若い選手をチームの中心に据え、ドラフト指名した選手を育成してレギュラーとして起用するなど、大きな成功を収めてきた。
そして今オフ、ついに「オールイン」(全力を尽くす)することになるかもしれない。
業界関係者の話によると、今季75勝87敗でアメリカン・リーグ東地区の最下位に終わったオリオールズは、巻き返しを図るべく、フリーエージェント(FA)市場で積極的な補強を展開するつもりだという。
ある関係者は「彼らはこのチャンスを生かす必要があることを理解している。ガナー・ヘンダーソンはまだ年俸調停期間の1年目だし、ジャクソン・ホリデイ、コルトン・カウザー、ジョーダン・ウエストバーグらは年俸調停権すら取得していない。いずれ彼らの年俸は高額になっていくが、彼らの年俸が安い今がチャンスなんだ」と語る。
オリオールズは2024年シーズンを迎えるにあたり、ブルワーズとのトレードで元サイ・ヤング賞投手のコービン・バーンズを獲得するという大きな動きに出た。しかし、バーンズはオリオールズで1年間プレーしたあと、FAとなり、大型契約でダイヤモンドバックスへ移籍。オリオールズはバーンズに代わるエース格の先発投手を補強せず、今季はそれがチームに悪影響を及ぼした。
オリオールズの今季の先発防御率はリーグ13位の4.65。115イニング以上投げた投手は2人(ディーン・クレーマーが171回2/3、菅野智之が157イニング)しかおらず、エースに成長することが期待されたグレイソン・ロドリゲスは肘と広背筋のケガで長期離脱を強いられ、最終的には8月に肘の手術を受けてシーズン全休となった。
現状では、カイル・ブラディッシュとトレバー・ロジャースが先発ローテーションのツートップを務め、ロドリゲス、クレーマー、タイラー・ウェルズが残り3枠に入ることになる。今季の先発陣から菅野とザック・エフリンがFAで抜けており、今オフのオリオールズにとって、エース級の先発投手の獲得が最優先事項となるだろう。
FA市場では、ディラン・シース、レンジャー・スアレス、マイケル・キング、フランバー・バルデスといった好投手が獲得可能だ。ただし、マイク・エライアスGMが編成トップに就任してからの7年間で、オリオールズが複数年契約を結んだFA選手はただ1人。昨オフ、3年4950万ドル(約74億2500万円)で加入した外野手のタイラー・オニールだけだ。
エース級の先発投手を手に入れるためには、エライアスGMは自身が快適と思える契約規模のゾーンを抜け出さなければならないだろう。しかし、トレード市場にも好投手はいる。ジョー・ライアン(ツインズ)、サンディ・アルカンタラ(マーリンズ)、マッケンジー・ゴア(ナショナルズ)、パブロ・ロペス(ツインズ)はいずれもあと2年保有可能であり、ミッチ・ケラー(パイレーツ)に至っては契約があと3年残っている。オリオールズが若手有望株の放出を決断すれば、こうした好投手たちをトレードで獲得することも不可能ではないかもしれない。
また、来季は攻撃力の向上も必要となる。今季の677得点とOPS.699はともにリーグ11位。ロースターに名を連ねるほぼ全選手の成績向上が求められるが、カイル・タッカー、コディ・ベリンジャー、ピート・アロンソといった大物FA選手の獲得に動くのではないかと予想する関係者もいる。
ある関係者は「ア・リーグ東地区は球界最大の激戦区だ。ヤンキースとレッドソックスは相変わらずの強さを見せつけており、現在のブルージェイズは地区内で最強のチームかもしれない。資金力の乏しいレイズは常に競争力を発揮する方法を見つけ出している。もしオリオールズがこの地区で上位に進出したいなら、今オフ中にいくつかの大きな補強をする必要があるだろう」と語った。
