大谷翔平がMVPの歴史を塗り替える 5つのトリビア
2025.11.14 12:36 Friday
最後までもつれたドジャースの連覇とは異なり、大谷翔平が満場一致でナ・リーグMVPを受賞したことに、疑問の余地はなかった。大谷はOPS1.014、55本塁打、そして2023年以来の投手復帰で14先発(47イニング)で防御率2.87、62三振を記録し、MVPの最有力候補となっていた。
大谷は2025年シーズンのMVPを受賞するまでも、多くの歴史を築き、そしてMVPの歴史を塗り替えてきた。2023年には満場一致で複数回のMVPを受賞した初の選手となり、また、日本生まれで初めて2度のMVPを受賞した選手となった。2024年には、殿堂入り選手のフランク・ロビンソンに続き、両リーグでMVPに選ばれた唯一の選手となった。そして、複数のチームでMVPを受賞した史上6人目の選手となった。
しかし2025年、大谷は自身の偉業をはるかに超える活躍を見せた。このMVP受賞が、いかに画期的な功績だったか。5つのポイントを挙げてみよう。
MVP受賞は通算4度目
大谷はMVPの通算受賞回数において、既にMLBの歴史でも上位に入っていた。2021年と2023年にエンゼルスで受賞したア・リーグMVP、そして2024年に受賞したナ・リーグMVPの時点で、史上11人しかいない通算3度のMVP受賞という偉業を成し遂げていた(今季ジャッジが受賞したことで12人に増えた)。他の10人の内、7人は既に殿堂入りしており、もう1人は近々殿堂入りするスター選手(大谷の元チームメートであるアルバート・プホルス)、もう1人は現役のスター選手(大谷の元チームメートであるマイク・トラウト)だ。
しかし、4度目のMVP受賞で大谷は他の選手たちを抜き去り、史上2人目となる通算4度以上のMVP受賞者となった。これを上回るのは通算7度の受賞を誇るバリー・ボンズしかいない。
3年連続MVP受賞
MVPを通算で3度受賞した選手すら数少ない。だから、2023年から3年連続受賞を成し遂げたのは非常に希少な記録だ。これまで3年連続受賞を達成したのはボンズのみ(ジャイアンツ、2001-04年)だ。2年連続受賞は今季のジャッジを含め史上13人いるが、3年連続受賞の壁を超えたのは大谷とボンズだけだ。
2年連続世界一+MVP受賞
2年連続でMVPを受賞するのも稀有なことだが、ワールドシリーズ連覇となると尚更だ。これはほぼ前例がない。史上13人いる2年連続MVP受賞者の中で、同時に連覇を達成したのは、1975-76シーズンのジョー・モーガン(レッズ)しかいない。大谷とモーガン以外では、ヤンキースのミッキー・マントル(1956年、1962年)とジョー・ディマジオ(1939年、1941年、1947年)だけが、同一シーズンにMVPとワールドシリーズ制覇を複数回成し遂げた選手だ。
さらに大谷は今年のナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)でMVPを獲得した。レギュラーシーズンMVPと、LCSまたはワールドシリーズでMVPを同一シーズンに受賞した選手は、2010年のジョシュ・ハミルトン(レンジャーズ)以来、7人目の快挙だ。ドジャースでは1963年にサンディ・コーファックスがリーグMVPとワールドシリーズMVPを同年に受賞している。
ドジャースの選手として2度目のMVP
長い歴史を持つドジャースの選手がMVPを受賞するのは、今年の大谷で通算14度目だ。ライバルのジャイアンツと並んでMLBで3番目に多く、ヤンキース(22度)とカージナルス(18度)に次ぐ数字だ。しかし、興味深いのは、ドジャースの14度のMVP受賞は10人の異なる選手が成し遂げていることだ。ロサンゼルス移転後から7度のMVPは7人の異なる選手が受賞(2024年の大谷も含まれる)している。
そして今年、大谷がドジャースの選手として2度目の受賞を果たし、ブルックルン時代に3度(1951年、1953年、1955年)受賞した伝説の名捕手ロイ・キャンパネラに次いで史上2人目のドジャースで複数回の受賞者となった。
さらに大谷は、移籍後2シーズン連続でMVPを受賞した史上2人目の選手となった。かつての達成者はロジャー・マリスのみで、マリスは1959年12月にカンザスシティ・アスレチックスからヤンキースへ加入後、1960-61年にMVPを獲得した。
投手として3度目のMVP
話を進める前にはっきりと言っておこう。大谷はメジャーリーグの歴史上、ベーブ・ルースを含め、他のどの選手とも比較にならない。そういうわけで、大谷は二刀流でプレーしたシーズンで3度目のMVPを受賞した(昨季は負傷の影響で打者専念)。大谷は仮に投げなくてもMVPにふさわしいことは証明されたが、投球も魅力の一つだ。
近年のMVP受賞という文脈において、これは特筆すべき点だ。大谷が初めてMVPを受賞する前の28年間(1993年から2020年)に56選手がMVPを獲得した。しかし、そのうち投手として獲得したのはわずか2度(2011年のジャスティン・バーランダーと2014年のクレイトン・カーショウ)。大谷は2025年にMVPを受賞することで、その合計を単独で上回りました。
