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フロント関係者に聞いた「FAの先発投手トップ5」 今井は3位

2025.11.16 09:25 Sunday

 オフシーズン中に球団を強化するには、質の高い先発投手と契約するより良い方法はおそらくないだろう。

球界は、ワールドシリーズの第6戦と第7戦における山本由伸の英雄的な活躍によって、そのことを改めて思い知らされた。

イニング数は減少傾向にあるものの、先発投手は依然として野球の主役であり、勝敗を左右する上で大きな役割を果たす。そしてポストシーズンでは、エース級投手がより多くのイニング数を占めるため、先発投手の重要性はさらに高まる。

「プレーオフのローテーション編成には、エリート投手が鍵だと考えている。ペナント優勝チームで、一流の実力派投手がいないことは稀だ。自分が育てた7巡目指名選手ばかりでは、タイトルは取れない。レギュラーシーズンを勝ち抜くことはできても、タイトルには届かない」と、あるベテランのスカウトは語る。

 FA市場には全盛期を迎え、将来殿堂入りするような選手はいないかもしれないが、トップ層には優れた選手が揃う。しかし、トップ層の選手の間に明確な序列はなく、獲得を目指す球団は賢明な選択をしなければならない。

この先発投手のトップ層をどうランク付けするのか。5人の球団幹部に聞けば、5通りの順位が出てくるかもしれない。複数のフロント関係者へのアンケート調査、データを掘り下げ、総合的にランク付けを行った。

1位:ディラン・シース、右腕、30歳(年齢は2026シーズン時)

 フロント関係者の間で第1位をめぐる意見は一致しなかったが、シースは多くの支持を得た。

シースは実力と安定感、そして耐久性を兼ね備える。そして、同じく第1位候補のフランバー・バルデスより2歳若く、来季もまだ30歳だ。

「シースとフランバーは信じられないほどタフで、強力な武器を持っている。年間33回も先発するとなると、自分が投げるイニングだけでなく、8番手と9番手の先発投手が投げなくて済むイニングも重要になる」と、あるGMは語った。

シースは2021年以降、4.5、4.4、3.6、4.7、3.4のfWAR(代替可能な選手と比べ、上積みした勝利数を示す総合指標)を連続で記録しており、これらのシーズンではいず​​れも少なくとも165イニングを投げている。そしてその5シーズン連続で200三振以上をクリアする。

他にもこのような記録を持つ現役投手はいるだろうか。

クレイトン・カーショウ:2010~2015年(6シーズン)
クリス・セール:2013~2019年(7シーズン)
マックス・シャーザー:2012~2019年(8シーズン)
ジャスティン・バーランダー:2009~2013年(5シーズン)

そして、シースは2025年に自己最高の平均球速(97.1マイル)を記録しており、衰える兆候は全く見られない。

四球率を、トップクラスの三振率(昨シーズンは29.8%、通算では28.6%)と同等まで改善できれば、さらに高いレベルに到達できるだろう。もちろん、これはほとんどの関係者が改善の余地があると感じる欠点だ。シースの通算四球率は10%だ。

さあに3つ目の球種を開発できれば、さらに良い投手になるだろう。

あるスカウトは、近年の球種設計の進歩により、多くの投手がスプリットやスプリットチェンジアップを追加しており、シースがその候補になる可能性があると指摘している。

「たとえシースが(オフスピードの球を)習得できなかったとしても、私は高校3年生の頃から彼を見ていて、彼の人間性を信じている」とスカウトは語った。

スプリッターであろうとなかろうと、シースは素晴らしい。

2位:フランバー・バルデス、左腕、32歳(年齢は2026シーズン時)

 確実なことは何もないが、バルデスはチームにとって確実な選択肢だ。

2022年以降、バルデスは4.4、4.4、3.7、4.0というfWARを記録している。また、これらのシーズンではいず​​れも少なくとも176イニングを投げている。

2021年以降、この左投手はメジャーリーグで400イニングに到達した投手の中で、投球イニング数(902 1/3)で5位、fWAR(18.3)で9位、防御率(3.20)で18位にランクされている。

オールスターに2回出場し、サイ・ヤング賞の投票でトップ10に3回入り、ワールドシリーズリングも持っている。

32歳のシーズンを迎えているが、衰える気配は全く見られない。

2025シーズンのK-BB%(三振率から四球率を引き算した指標)は14.8で、はキャリア平均(14.8)とほぼ同水準だった。昨シーズンのStuff+(100を平均として、球種の質を示す)108は、フルシーズンではキャリア最高記録だった。

ナ・リーグのスカウト陣は、ランキング1位のバルデスについて「スプレッドシート・スカウティング(数字だけを見るスカウティング)の方がシースを気に入るだろう。しかし、もう一方(バルデス)はチャンピオンリングを持っている」と語った。

ア・リーグのベテランスカウトはこう語った。「プレーオフでの実績、耐久性、投球の質から、バルデスをトップスターターとみなしている」

シースと同様に、バルデスも耐久性と生産性に優れています。2026年のSteamer(成績予測システム)の予測も同様だ。

バルデス:防御率3.47、WAR3.7、188イニング
シース:防御率3.61、WAR3.7、185イニング

ただ、両者のピッチングスタイルは異なる。

バルデスは四球やフライをほとんど許さない。ゴロを多く打たせる投手であり、2021年以降のゴロ率62%は、規定に到達した投手の中で4位にランクインしている。また、2021年以降、併殺打率ではMLBトップに立っている。

バルデスにとって、単に異なる環境に移るだけでもメリットがあるかもしれない。

前所属アストロズの本拠地ダイキンパークのクロフォードボックスは、左腕にとって必ずしも有利とは言えない。バルデスの通算HR/FB(フライ打球に占める本塁打率)は14.9%で、MLB平均の12%を上回る。さらに、アストロズの守備力は近年中堅レベルに後退しており、2023年以降、守備防御率は合計33点減少している。

あるア・リーグのGMはこう語った。

「カブスの守備陣のようなチームにバルデスを置けば、もう1点も失点を許すことはないかもしれない」

3位:今井達也、右腕、28歳(年齢は2026シーズン時)

 今井はFA市場トップの海外選手だ。山本由伸レベルの才能はないかもしれないが、一部の関係者にとってはシースやバルデスと同等ランクに位置する。

「(トップ層以後の)次のグループは大きく格が落ちてしまう。残りの選手には、上位3人に匹敵するだけの実力も耐久力もない」と、ア・リーグの球団幹部は言う。

今井は西武ライオンズで163回2/3を投げ、防御率1.92、178奪三振を記録したシーズンを終えたばかりだ。NPBでは投高打低が顕著になる中でも、この成績は依然として印象的だった。

スライダー、チェンジアップ、スプリッターなど、多彩な球種を操る。速球は99マイル(160キロ)に達する。スプリッターはさらに進化する可能性があるとの声もある。

2022年に左足首を負傷した以外は健康状態は良好で、3シーズン連続で少なくとも158イニングを投げている。

4位:レンジャー・スアレス、左腕、30歳(年齢は2026シーズン時)

 スアレスの豊富な投球スキル(5球種をまんべんなく2桁の投球率で投げる)と優れたコントロール(2025年の与四球率5.8%)は球団の興味をそそる。

「レンジャーは、そのストライク率率の高さと非常に多様な武器のおかげで、おそらくこのグループの中で一番のお気に入りだ」と、ある球団のアナリストは語った。

別の人はこう言った。

「スアレスがナンバーワンだと考えるのはおかしなことか?」

Steamer(成績予測システム)も、上位の選手たちよりもスアレスを高く評価しており、防御率 3.55、fWAR 3.3、169 イニングを予想している。

ただ、耐久性という懸念点もある。

「スアレスは素晴らしいコントロールと打者を騙すスキルを持っている。彼が負傷者リスト入りした回数(6回)が心配だ。だからこそ、彼をトップ3の後ろに位置づけているのだ」と、あるGMは語った。

5位:マイケル・キング、右腕、31歳(年齢は2026シーズン時)

 キングは一部の人にとってはトップ3に入る可能性もある投手だ。しかし、2025年シーズンは肩の負傷に苦しみ、FA選手としてはリスクもある。

あるGMは「キングがランキングの他の投手のように投球することはないだろうが、彼はユニークで、調子が良ければ他の投手のように投球できる」と語った。

9月の復帰後は不安定なパフォーマンスだったが、球速は安定していた。2023年以降、キングはシースと並んでMLB21位に入る19.3のK-BB%を記録している。

あるアナリストは「健康状態は心配だが、そのおかげで(安く抑えられる)契約のコストパフォーマンスが一番良くなるかもしれない」と分析。

別のスカウトは「キングを3位に挙げたのは、彼の能力、打者を騙す能力、そして肉体的な強さがピークに達していたからだ。また、彼のタフさ、そして打者を軽蔑する姿勢も理由だ」と語る。

ザック・ギャレン、今永昇太、ザック・エフリンなど、他にも多くの選手が支持を集めた。これはFA上位層の才能と、その層の厚さを物語っており、オフシーズンが魅力的なものになることは間違いない。


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