殿堂入り投票について知っておくべきこと まもなく2026年度の候補者発表
2025.11.17 10:16 Monday
ニューヨーク州クーパーズタウンにあるアメリカ野球殿堂は、野球界の伝説たちが永遠に生き続ける場所である。
しかし、そもそも野球界の伝説たちはどのようにしてクーパーズタウンに辿り着くのだろうか。それには2つの方法がある。
選手たちは全米野球記者協会(BBWAA)の投票、または時代委員会の投票によって殿堂入りを果たすことができる。
2026年度のBBWAAによる殿堂入り投票の候補者は17日(日本時間18日)に発表される予定だ。ここでは殿堂入り投票について知っておくべきことを紹介していこう。
◆BBWAAによる殿堂入り投票
【1】投票資格があるのは誰?
野球記者として少なくとも10年以上連続で活動しているBBWAAの現役会員と名誉会員のみ投票資格がある。つまり、少なくとも10年前からBBWAAの会員となり、野球記者として活動している必要がある。
2025年度の投票では、BBWAAの会員394人が殿堂入り投票を行った。
【2】投票はどれくらいの頻度で行われるのか
BBWAAは1936年に殿堂入り投票を開始。1966年以降は毎年、新たな候補者を選定して殿堂入り投票を行っている。
【3】殿堂入り投票の対象となる選手は?
メジャーリーグで少なくとも10シーズン以上プレーし、現役引退から5年以上経過している選手は、殿堂入り投票の候補者となる資格がある。
たとえば、左腕コール・ハメルズは2006年にメジャーデビューし、15シーズンにわたってプレー。最後に出場したのは2020年だった。よって、2026年度の殿堂入り投票から候補者となることができる。
【4】投票用紙に名前が載る選手を決めるのは誰?
メジャーで10シーズン以上プレーし、現役引退から5年以上経過したすべての選手が投票用紙に記載されるわけではなく、毎年、25~30人ほどの候補者が選ばれている。投票用紙に名前が載る選手を決める権限は、BBWAAが任命した野球記者によって構成される選考委員会にある。この委員会は6名で構成されており、新たに殿堂入り投票の候補者となった選手は、6名中2名から推薦されれば、投票用紙に名前が載る。
また、前年の殿堂入り投票で得票率5%以上を記録した選手は、引き続き投票用紙に名前が載る。
【5】投票方法は?
投票用紙は11月下旬にBBWAAの各メンバーに送付される。投票者は0~10人の選手を選んで投票する。投票用紙に署名があり、12月31日までに返送された票のみ集計対象となる。2026年度の殿堂入り投票の結果発表は1月20日(同21日)にMLBネットワークの番組内で行われる予定だ。
【6】選手が殿堂入りを果たすために必要な条件は?
得票率75%以上を記録した選手はクーパーズタウン行き(殿堂入り)が決定する。2025年度の投票では、全394票のうち296票以上を獲得する必要があった。イチロー(得票率99.7%)、CC・サバシア(86.8%)、ビリー・ワグナー(82.5%)の3人が選出された。
得票率が75%に満たなかった選手は、得票率が5%以上であれば、翌年も投票用紙に残ることができる。得票率が5%未満の場合、その時点でBBWAAの投票による殿堂入りの資格を失う。
【7】選手は最大で何年間、投票の対象となるのか
得票率5%以上を毎年記録していれば、最長で10年間、投票用紙に残ることができる。10年間で殿堂入りを果たすことができなかった場合、その時点でBBWAAの投票による殿堂入りの資格を失う。
【8】これまでに何人の選手が選出されたのか
2025年の時点で、BBWAAの投票によって137人の選手が殿堂入りを果たした。
【9】これまでの最高得票率は?
これまでにただ1人、2019年度のマリアーノ・リベラだけが得票率100%を記録している。
◆時代委員会による殿堂入り投票
【10】時代委員会とは何か
以前はベテランズ委員会と呼ばれていた。時代委員会では、BBWAAの投票による殿堂入りの資格を失った選手のほか、監督や審判、球団幹部の殿堂入りを審議する。
時代委員会の殿堂入り投票は3つに分けられている。
・現代野球時代の選手投票:主に1980年以降に活躍した選手が対象
・現代野球時代の監督/審判/球団幹部投票:主に1980年以降に活躍した監督/審判/球団幹部が対象
・古典野球時代の投票:ニグロリーグを含む、1980年以前に活躍した人物が対象
時代委員会は殿堂入りした人物のほか、現役の球団幹部、元球団幹部、メディア関係者、野球歴史家などの16名で構成される。また、委員会のメンバーは毎年変更される。
【11】投票はどれくらいの頻度で行われるのか
3年周期のローテーション。毎年、3つの区分のうち1つの投票が行われる。
【12】投票用紙に名前が載る人物を決めるのは誰?
BBWAAによって任命された歴史外観委員会は、10~12人の代表者で構成されており、選考委員会として機能している。毎年、時代委員会による殿堂入り投票の対象として8名の候補者を選出している。
【13】今回の投票対象者は誰?
今回の時代委員会の殿堂入り投票は、現代野球時代の選手投票、つまり主に1980年以降に活躍した選手が対象となっている。候補者8名はすでに発表されており、バリー・ボンズ、ロジャー・クレメンス、カルロス・デルガド、ジェフ・ケント、ドン・マティングリー、デール・マーフィー、ゲーリー・シェフィールド、フェルナンド・バレンズエラという顔ぶれだ。
【14】投票方法は?
今年は12月7日(同8日)、オーランドで行われるウィンターミーティングで時代委員会の会合が開催され、8名の候補者について審議する。各委員は投票用紙に記載されている8名のうち、0~3人に投票できる。投票結果は米東部時間12月7日午後7時30分(同8日午前9時30分)からMLBネットワークの番組内で発表される。
【15】殿堂入りを果たすために必要な条件は?
候補者は得票率75%以上(16票中12票以上)を獲得すればクーパーズタウン行き(殿堂入り)が決まる。なお、今年からのルール変更により、5票未満に終わった場合は、次の3年周期の投票用紙に名前が載る資格を失う。次の3年周期が終了したあと、再び候補者になることができる。
たとえば、今年の時代委員会の投票で5票未満に終わった場合、2028年の投票には参加できない。その次、2031年の投票には再び参加できる。
5票未満が複数回あった場合、その候補者は時代委員会の投票による殿堂入りの資格を失う。
【16】これまでに何人の人物が選出されたのか
時代委員会は形式を変えながら、これまでに183人の人物を選出してきた(選手117人、球団幹部33人、監督23人、審判10人)。昨年は古典野球時代の投票が行われ、デーブ・パーカーとディック・アレンが殿堂入りを果たした。
