オリオールズ移籍のテイラー・ウォード 「予想外の出来事だった」
2025.11.25 11:03 Tuesday
テイラー・ウォードをめぐり、数年前からトレードの噂が飛び交っていた。31歳の外野手は、いつかトレードされる可能性があることを以前から知っていた。
それでも、18日(日本時間19日)にエンゼルスのペリー・ミナシアンGMから電話があり、右腕グレイソン・ロドリゲスと1対1のトレードでオリオールズへの移籍が決まったことを知らされたのは驚きだった。
23日(同24日)、オンライン会見を行ったウォードは「全く知らなかった。まさに予想外の出来事だった。オリオールズが僕に興味を持っているとは知らなかったけれど、この機会に感謝しているし、オリオールズでプレーできることを楽しみにしている」と語った。
ウォードはオリオールズからの関心を知らなかったようだが、オリオールズはかなり前からこのスラッガーの獲得を狙っていた。
オリオールズのマイク・エライアス編成本部長は「テイラー・ウォードにはたくさんの魅力がある。実は、彼の右打席からのパワーに惹かれて、少なくとも2~3年前から獲得を狙っていたんだ」とコメント。「外野陣に大きな安定感をもたらしてくれると思う。彼の加入により、打線のほかの打者の成績も向上することを願っている」とウォード加入のプラス効果に期待を寄せた。
今季75勝87敗と期待を裏切る成績に終わったオリオールズは、2026年シーズンの巻き返しに向けて、積極的なオフシーズンを過ごそうとしている。ウォードの加入は、4年間で3度目となるポストシーズン進出を目指すオリオールズにとって、非常に大きい。
ウォードはオリオールズのことをそれほど詳しく知っているわけではないが、過去4シーズン、対戦相手のダグアウトから見たオリオールズのプレーには感銘を受けている。
「若い選手が多く、堅実なチームという印象だ。そのラインナップに貢献できることにワクワクしているよ」とウォード。「このチームは間違いなく、ポストシーズンを勝ち進むことができる力を持っている。その一員になれるのが楽しみだ」と語った。
ウォードはオリオールズの正左翼手として起用される可能性が高く、打線の中軸を担う強打者として期待される。今季は二塁打(31)、本塁打(36)、打点(103)、四球(75)の各部門でキャリアハイの成績を残した。
しかし、メジャー9年目のシーズンを迎えるウォードの実績はそれだけではない。2022年にブレイクしてレギュラー定着を果たし、過去4シーズンで合計545試合に出場して打率.251、98本塁打、OPS.783、WAR10.2(ベースボール・リファレンス版)を記録している。
ウォードは選球眼の良い打者として知られており、カウントを巧みに操り、ボール球に手を出すことも少ない。また、今季は長打力が一段と増し、これまでのキャリアハイを11本も更新する36本塁打を放った。
「僕はメカニクスを強く信じているんだ。メカニクスが上手く機能していれば、すべてが上手くいくと考えている。本当に小さなことがメカニクスには大きな影響を与えるけれど、今シーズンはおそらく、これまでで最も安定していたと思う」とウォードは語る。
「まだまだ、もっとできると思う。特に、打率を上げていきたいし、三振は減らしたい。そういう部分でまだ成長できるはずだ。オフシーズンはそこに集中して、メカニクス面や安定性の部分を磨き続けていくつもりだよ」と今後の目標にも言及した。
ウォードは移籍が決まるとすぐに、オリオールズのスタッフ陣とのコミュニケーションを開始している。トレードが決まった日の夜、クレイグ・アルバーナス監督と電話で話し、ダスティン・リンド打撃コーチとも何度も会話を交わしたという。両者とも2026年からオリオールズに加わる新顔で、ウォードは両者を「熱い男たち」と表現した。
エンゼルスとオリオールズのトレードで注目すべき点は、両選手の契約状況だ。ロドリゲスは球団の保有権があと4年残っているが、ウォードは年俸調停期間の最終年を迎えており、2026年シーズン終了後にフリーエージェント(FA)となる。
もしウォードが大活躍すれば、クオリファイングオファーの候補となり、2027年のドラフト補償指名権をオリオールズにもたらす可能性がある。もしそうならなかったとしても、ウォードは好成績を残すことで、FA市場での契約交渉を有利に進めることができる。
しかし、ウォードはそのようなことは考えていない。新天地オリオールズで、攻守両面で実力を発揮し、チームの勝利に貢献することだけに集中している。
「自分がやるべきことは何も変わらないと思う」とウォード。「僕はシンプルな人間だし、考え方もシンプルだ。物事をシンプルに考えて、考えすぎないように心がけている。もちろん、これまでたくさん野球をプレーしてきたけど、大事なのは細かい部分を改善して、良い球を打つことに集中して、メカニクスを維持すること。そうすれば、あとは自然と上手くいくはずだ」と新天地でも自然体でプレーするつもりだ。
