ブルージェイズがカイル・タッカーと面会 フロリダ州の球団施設に招待
2025.12.4 12:59 Thursday
3日(日本時間4日)、フリーエージェント(FA)の外野手カイル・タッカーがフロリダ州ダニーデンにあるブルージェイズの選手育成施設を訪れたと、関係者がMLB.comに明かした。
2025年のワールドシリーズでドジャースと第7戦の延長戦に及ぶ熱戦を繰り広げたブルージェイズは、その思い出にただ満足しているわけではない。
今オフは先発右腕シェーン・ビーバーが驚きのプレイヤーオプション行使で残留すると、FA市場のトップ先発であるディラン・シースと7年の大型契約を結び、さらに韓国球界から逆輸入で右腕コディ・ポンセと3年契約を結んだ。一連の補強で先発ローテは球界屈指の陣容に生まれ変わり、打線も依然として強い。しかし、ブルージェイズはまだ強打者の補強に動いている。
タッカーはタンパ近郊に住んでいるため、訪問は容易だったが、それでもブルージェイズが28歳のタッカー獲得に関心を持っていることを物語っている。タッカーの契約金は3億ドル(約467億円)を超える可能性がある。ブルージェイズは内野手ボー・ビシェットとの再会にも関心を示しているが、ビシェットは既に10年近く球団に在籍しているため、ガイド付きツアーは不要だろう。
これは、2年前にブルージェイズが大谷翔平獲得を目指した時の状況と酷似している。その時もブルージェイズは大谷にダニーデンの施設を紹介した。今回の獲得には、GMロス・アトキンスが実際にどこにいるのか明かすことを拒否したあの有名なZoom通話のようなドラマは伴わないだろうが、それでも賭け金は極めて高い。
タッカーがブルージェイズにフィットしていることは明らかだ。タッカーのような才能はどんな球団にも合うが、彼は「ブルージェイズ野球」を特徴づける要素をすべて備えている。これは2025年チームが打ち出した新しい概念だが、今後も定着するだろう。タッカーは三振せずにボールをインプレーにし、出塁し、その全てを力強いアプローチでこなす。過去5年間は毎シーズンOPS.865、20~30本塁打を記録している。そして、ブルージェイズにはジョージ・スプリンガーやマイルズ・ストローといったアストロズ時代のチームメイトたちが揃っており、環境への適応も問題ない。
そして、タッカーはブルージェイズのポジションの問題も埋める。正センターのドールトン・バーショと外野手兼DHのスプリンガーは、来季終了後にFAとなる。2選手が退団すれば、両翼のアンソニー・サンタンデールがDHにずれることは確実で、その場合は外野のポジションは空きが出る。ネイサン・ルークス、アディソン・バージャー、デービス・シュナイダーといった優秀な選手はいるが、ブルージェイズが自前でオールスター級の外野手を育てた前例はあまりない。オールスター常連のタッカーはまさに必要な存在だ。
もちろん、お金は重要だ。タッカーの契約額は、フアン・ソトや大谷が結んだ大型契約には遠く及ばない。大谷の7億ドルの半分にさえも到達するのは難しいだろう。しかし、どんな契約になるにせよ、シーズンあたり3000万ドル以上になる可能性が高い。ブルージェイズはすでにブラディミール・ゲレーロJr.とシースに高額の契約金を支払い始めているが、財務状況は今後数年間良好な見込みだ。オーナーグループのロジャース・コミュニケーションズが断固たる決意を固めている限り、ブルージェイズは、負担となる契約を残さず、財政難を引き起こすようなシーズンを迎えることなく、この支出を維持できる体制が整っている。
ブルージェイズがタッカーに興味を持っていることは以前から明らかだった。今や、タッカーの側にもブルージェイズと契約に関心を抱いていることが明らかになった。ダニーデンにある改装された選手育成施設はブルージェイズにとって大事なセールスポイントだ。大物釣りはもはやブルージェイズにとって慣れないことではない。ブルージェイズは大物を釣り上げる喜びを熟知し、30年以上ぶりに球団史上最高のシーズンを終えたばかりだ。カナダ全土のファンに野球への愛を再び呼び起こし、ブルージェイズはさらなる高みを目指す。
