English Español 韓国語

マリナーズが有望株フォードを放出 救援左腕フェラーを獲得

2025.12.7 11:19 Sunday

 マリナーズはナショナルズから救援左腕ホセ・A・フェラーを獲得し、見返りとして有望株の捕手ハリー・フォードと右腕アイザック・ライオンを放出した。

 課題だった「左のリリーフ」を確保したマリナーズだが、有望株捕手フォードの放出により、控え捕手を確保する必要が生じた。

◆トレードの詳細
マリナーズ獲得:左腕ホセ・A・フェラー
ナショナルズ獲得:捕手ハリー・フォード(球団4位)、右腕アイザック・ライオン(ランク外)

 25歳のフェラーは今季ナショナルズで72試合に登板し、防御率4.48、11セーブを記録。防御率こそ平凡だが、制球良くゴロを打たせるスタイルで、投球内容は防御率以上に優れている。今季の四球率4.9%はリーグ上位5%、ゴロ率64.3%は上位1%に入った。

 また、FAになるまで4年の保有期間を残している点も、マリナーズにとっては魅力的だったはずだ。シンカーの平均球速は97.7マイル(157キロ)、決め球チェンジアップの空振り率は47.0%と今後の伸びしろに期待できるデータも残っている。

 対価の目玉となったのは、22歳の捕手フォード。フォードは今季3Aで97試合に出場し、16本塁打、出塁率.408、OPS.868と活躍し、メジャー初昇格を果たした。球界屈指の高評価を受ける有望株で、MLBパイプラインの有望株ランキングでは球団4位、球界42位にランク付けされている。

 一見すると、フォード放出は不可解に映る。フォードは長い間、球団の将来を担うと考えられてきた選手だった。さらにマリナーズはベテラン控え捕手ミッチ・ガーバーがフリーエージェント(FA)で退団し、現在40人枠には主砲カル・ローリー以外の捕手がいなくなってしまった。

 しかし、フォードの放出は、マリナーズがどれほどフェラーのような救援左腕を欲していたかを示している。マリナーズは強力なブルペンを誇る一方、頼れる左腕はゲーブ・スパイアーしかいなかった。今季はシーズン途中にケイレブ・ファーガソンを補強したが、結局ポストシーズンではスパイアーへの依存が顕著だった。フェラーの補強により、マリナーズのブルペンは質・量ともに一層強化されたと言える。

 そして、このトレードはフォードの価値を最大化する手段でもある。フォードはチームが再建から脱却しつつあった2021年のドラフト1巡目で入団し、球団のみならず球界の有望株へと羽ばたいた。しかし、フォードの入団当時は一介の若手捕手に過ぎなかったカル・ローリーが、今やマリナーズの絶対的中心に成長した。

 ローリーが絶対的正捕手となった今、フォードは出場機会を得るのが難しくなっていた。今季もメジャー初昇格を果たしたとはいえ、第3捕手としてわずか8試合の出場にとどまった。ポストシーズンのロースター(出場選手登録)にも抜擢されたが、レギュラーシーズンと合わせてわずか9打席に立っただけだった。

 打力を生かして外野に転向する道も考えられるが、それならば価値が高い内にトレードに出し、チームの弱点を埋める方が良いというチームの判断だろう。ワールドシリーズまであと1勝に迫ったマリナーズは、ジョシュ・ネイラーを大型契約を引き止めるなど、積極補強を敢行している。

 フォードは単にチームの期待の星としてだけでなく、それ以上に、野球以外の分野でのリーダーシップ、親しみやすさ、そして慈善活動でファンの共感を呼んだ。新天地ナショナルズでは、メジャー定着の大きなチャンスが開いているだろう。

 また、控え捕手の穴が生じたマリナーズは、ガーバーの呼び戻しに前向きだとシアトル・タイムズのアダム・ジュード記者が報じた。34歳のガーバーは今季87試合でOPS.639を記録。対左腕では平均以上の打撃成績を残すなど、控え捕手として存在感を発揮していた。


spotvnow