2025ウィンターミーティングの見どころを紹介
2025.12.7 13:11 Sunday
ストーブリーグの一大イベント・ウィンターミーティングの時期がやってきた。球界の視線はフロリダ州オーランドへと集まる。7日(日本時間8日)からウィンターミーティングが開催されるからだ。
ウィンターミーティングは代理人、全球団の編成陣らが一堂に集結し、大きな契約・トレードが決まることも珍しくない。さらに2026年ドラフトの1巡目指名順を決めるドラフトロッタリー、最終日に予定されるルール5ドラフトなど、球界の未来に関わる注目イベントも行われる。ここでは、ウィンターミーティングの見どころを一挙に紹介する。
トレード
昨年はフアン・ソト、マックス・フリードの大型契約が決まった後に、トレード市場が活性化。レッドソックスが多数の有望株が絡む大型トレードで、ホワイトソックスからエース左腕ギャレット・クローシェを獲得した。
今オフのトレード市場で注目を集めるのは、タイガースのエース左腕で、2年連続でサイ・ヤング賞を受賞したタリック・スクーバル。フリーエージェント(FA)まで残り1年となったエース投手をタイガースがトレードするのではないかと噂されている。さらにナショナルズのエース左腕マッケンジー・ゴア、ツインズのバイロン・バクストン、フィリーズのニック・カステヤノスといったビッグネームにもトレードの噂がある。
有望株事情に詳しいジム・キャリスとジョナサン・メヨが「MLBパイプライン・ポッドキャスト」で議論したように、今オフ大型トレードに動く可能性があるのはドジャース、メッツ、マリナーズ、レッズなど。既にオリオールズとエンゼルスがグレイソン・ロドリゲスとテイラー・ウォードを、レンジャーズとメッツがマーカス・セミエンとブランドン・ニモを1対1でトレードするなど、トレード市場は活況だ。
さらにウィンターミーティング直前にもトレード市場は動き、6日(同7日)にはマリナーズが有望株ハリー・フォードを放出して、ナショナルズから救援左腕ホセ・A・フェラーを獲得。そして4日(同5日)には、パイレーツが先発右腕ヨハン・オビエドらを放出して、レッドソックスから球界85位有望株のジョスティンソン・ガルシアらを獲得した。
ドラフトロッタリー
第4回ドラフトロッタリーは、現地9日午後5時30分(日本時間10日午前7時30分)から開催される。ドラフトロッタリーの様子はMLBネットワークで放送され、MLB.comで配信される。ロッタリーでは2026年ドラフトの上位6位の指名順が決定され、対象となる15チームすべてに大きな影響を与える。
ロッタリー制度はまだ導入されてから数年しか経っていないものの、その恩恵は既に現れている。2022年のウィンターミーティングで行われた第1回ドラフトロッタリーでは、パイレーツが全体1位指名権を獲得し、2023年ドラフトでポール・スキーンズを指名した。第2回ドラフトロッタリーでは、全体1位指名権を得る確率がわずか2.0%だったガーディアンズが全体1位を引き当て、トラビス・バザーナを指名した。
今年のドラフトロッタリーでは、ホワイトソックスが対象球団中で最も高い27.73%の全体1位の確率を割り当てられている。その後、ツインズ、パイレーツ、オリオールズ、アスレチックス、ブレーブスの順で全体1位の確率が高い。ポストシーズンを逃したものの、ロッキーズ、エンゼルス、ナショナルズは今年のドラフトロッタリー対象外であり、全体10位以内での指名はできない。
ルール5ドラフト
今年のルール5ドラフトは現地10日午後2時(日本時間11日午前4時)から開催され、MLB.comで中継が配信される。
ルール5ドラフトの指名対象は40人枠外の有望株。その中でも18歳以下で契約しながら5年が経過した選手、19歳以上で契約しながら4年が経過した選手が対象となる。
ルール5ドラフトでは、選手を指名した球団は10万ドルを前所属の球団に支払う必要がある。さらに指名された選手は基本的にシーズンを通して26人ロースターに残らなければならない。そして指名された選手をロースター(出場選手登録)から外す場合、その選手はウエーバーで他球団に移籍するか、前所属の球団に5万ドルで返却される。
ルール5ドラフトは常に予測不可能だ。昨年は2004年以来最多となる83人の選手が指名された。
ルール5ドラフトからはスター選手も生まれており、殿堂入り外野手のロベルト・クレメントらが指名を機に羽ばたいた。近年は右腕シェーン・スミス(ホワイトソックス)、右腕ライアン・プレスリー(元アストロズなど)、外野手アンソニー・サンタンデール(現ブルージェイズ)らが成功例として挙げられる。
フリーエージェント(FA)市場
フリーエージェントとの契約は、新旧の所属球団のドラフト順位に影響を及ぼす可能性がある。
仮にクオリファイング・オファーを拒否してFAとなった選手と他球団が契約した場合、前所属の球団は補償のドラフト指名権を得られる。前所属の球団が収益分配の対象ではなく、なおかつぜいたく税を超過していなければ、得られる指名権は戦力均衡ラウンドB終了後の補償指名権だ。また、前所属がぜいたく税を超過していた場合、補償指名権は4巡目終了後。そして、前所属が収益分配対象で、その選手が5000万ドル(約77億円)以上の契約を結んだ場合、補償指名権は1巡目終了後(戦力均衡ラウンドAの前)に与えられる。5000万ドル未満の場合は、戦力均衡ラウンドBの終了後となる。
今オフ、クオリファイング・オファーを提示された13選手の内、今永昇太(カブス)ら4選手がそれを受諾。これは過去最多だった。一方で、カイル・シュワーバー、カイル・タッカー、レンジャー・スアレス、フランバー・バルデス、ボー・ビシェット、エドウィン・ディアス、ザック・ギャレン、マイケル・キング、ディラン・シースはクオリファイング・オファーを拒否してFAを選んだ。
既にシースはブルージェイズと7年契約を結んだため、パドレスは補償指名権を得ることが確定。ぜいたく税を超過しているパドレスに与えられる補償指名権は4巡目終了後だ。クオリファイング・オファーを提示しながら拒否されたメッツ、フィリーズ、アストロズ、ブルージェイズ(以上はぜいたく税超過)、カブス、ダイヤモンドバックスは、選手が移籍した場合、補償指名権を手に入れる可能性がある。
