ボンズとクレメンスはまた落選 殿堂入りのチャンスは残り1回?
2025.12.8 12:06 Monday
7日(日本時間8日)、時代委員会によるアメリカ野球殿堂入り投票の結果発表が行われ、16票中14票を獲得したジェフ・ケントが殿堂入りを果たした。一方、ケントともにジャイアンツ打線を牽引したバリー・ボンズは5票未満で落選。ロジャー・クレメンス、ゲーリー・シェフィールド、フェルナンド・バレンズエラも同じく5票未満に終わった。
現在、時代委員会の殿堂入り投票には3つの区分がある。「主に1980年以降に活躍した選手」、「主に1980年以降に活躍した監督・球団幹部・審判」、「ニグロリーグを含む、1980年以前に活躍した人物」の3つだ。よって、3年周期のローテーションとなっている。
実は、時代委員会の殿堂入り投票は今年3月にルール変更が発表されており、5票未満に終わった候補者は次のサイクルでは投票対象から除外される。つまり、ボンズ、クレメンス、シェフィールド、バレンズエラの4人は3年後、2028年の投票では候補者になることができないのだ。再び候補者になる可能性があるのは6年後、2031年の投票となる。
また、時代委員会の殿堂入り投票で5票未満が複数回あった候補者は、それ以降の殿堂入り資格を失うというルールも追加されている。要するに、今回5票未満だったボンズ、クレメンス、シェフィールド、バレンズエラは2031年の投票で候補者として復活し、5票未満に終わった場合、完全に殿堂への道が閉ざされることになる。
通算173勝、防御率3.54、WAR41.4(ベースボール・リファレンス版)のバレンズエラはともかく、ボンズ、クレメンス、シェフィールドの3人は通算成績だけを見れば、殿堂入りに値する選手たちだ。
ボンズは史上最多となる7度のMVPを受賞。2001年の73本塁打はシーズン最多記録、22年間で放った762本塁打は通算最多記録としてメジャーの歴史に残っている。また、通算2558四球も史上最多。さらに、キャリア前半は球界有数の5ツールプレーヤーとして活躍したため、ゴールドグラブ賞8度、通算514盗塁と守備・走塁の実績も抜群だ。
クレメンスは史上最多となる7度のサイ・ヤング賞を受賞。2度の投手三冠を含め、最優秀防御率のタイトルを7度獲得し、通算354勝&4672奪三振の実績を誇る。初めてのサイ・ヤング賞はレッドソックス時代の1986年、23歳のシーズンで、最後のサイ・ヤング賞はアストロズ時代の2004年、41歳のシーズンだった。
上記2人には劣るものの、シェフィールドも通算2689安打、509本塁打、1676打点、253盗塁、OPS.907と見事な数字を残している。打撃タイトルは首位打者1度だけだが、オールスターに9度選出され、シルバースラッガー賞も5度受賞。1997年にはマーリンズの一員としてワールドシリーズ制覇も経験した。
この3人に共通しているのは薬物(筋力増強剤)使用に関する問題だ。これだけの実績がありながらも、全米野球記者協会(BBWAA)による10年間の記者投票の中で、ボンズは最高で得票率66.0%、クレメンスは65.2%にとどまり、シェフィールドも63.9%まで伸ばすのが精一杯だった(当選ラインは75%)。ボンズとクレメンスは2023年の時代委員会でも候補者となったが、支持を伸ばせず落選している。
薬物使用疑惑がある選手のうち、ボンズやクレメンスなど一部のスーパースターだけがスケープゴートにされている感は否めないが、こうした選手たちに対する厳しい姿勢は一貫している。ボンズやクレメンスの殿堂入りへの挑戦は、再び候補者になるであろう2031年の投票がラストチャンスとなってしまうかもしれない。そして、2031年までの6年間で球界の考え方が大きく変わらない限り、厳しい結果に直面することになりそうだ。
