パドレスはミラーを先発に回さない方針 強力ブルペンを維持へ
2025.12.9 10:47 Tuesday
パドレスはおそらく球界最強のブルペンを擁してオフシーズンを迎えた。そして、それを来季も維持する方針だ。
剛腕メイソン・ミラーの2026年シーズンの役割について、数カ月間にわたって様々な憶測が飛び交っていたが、クレイグ・スタメン新監督は8日(日本時間9日)、引き続きブルペンで起用する方針であることを明かした。エイドリアン・モレホンとデービッド・モーガンも引き続きブルペンの一角を担う予定だという。先発陣が手薄というチーム事情もあり、この3投手には先発転向の可能性が取り沙汰されていたが、球団内で議論を重ねた結果、強力ブルペンを維持する方向で決着がついたようだ。
スタメン新監督は「これらの決断は完全に最終的なものではない」と付け加えた。しかし、フロリダ州オーランドで行われているウィンターミーティングの初日、スタメン新監督とA・J・プレラー編成本部長はともに、チームの最大の強みを、実際に「強み」のまま維持していくことの重要性に言及した。
「ブルペンにはたくさんの優秀な投手がいる。だから、試合の様々な部分でたくさんのイニングをブルペンに任せることができる。(リリーフ投手の)先発転向の可能性については、現在も話し合いを続けているが、基本的には各投手の現在の役割を継続していく方向で調整している」と指揮官は語った。
ミラーはブルペン残留へ
ミラーは夏場の大型トレードでパドレスに加入した。レオ・デブリーズという超有望株を含む、6選手が絡む大型トレードだった。
ミラーはリリーフ投手として2025年シーズンを終えたが、パドレスは2023年にアスレチックスで先発投手として鮮烈なデビューを飾ったミラーを先発に復帰させる可能性を完全には排除していなかった。
もしかしたら、いずれは先発復帰が実現するかもしれない。パドレスはミラーの保有権を2029年シーズンまで(=あと4年)持っているからだ。しかし、少なくとも現時点では、パドレスは2026年シーズンにミラーをリリーフ投手として起用する方針だ。クローザーのロベルト・スアレスがフリーエージェント(FA)でチームを離れる可能性が高いことを考えると、ミラーがその後任としてクローザーを務めることになるだろう。
「(オフシーズンの)スタート地点としては悪くない。ミラーはリーグ屈指のリリーフ投手だからね。ブルペンの後ろに強力な投手が控えていることは重要だし、ミラーはどんな投手にも劣らないほどのインパクトがある選手だ」とプレラー編成本部長は語った。
パドレスは10月の戦いでミラーの圧倒的な実力を目の当たりにした。ミラーはポストシーズン初登板から8者連続三振を記録したのだ。パドレス移籍後、レギュラーシーズンでは22試合に登板し、防御率0.77、三振率54.2%という驚異的な成績をマークした。
モレホン、モーガン、人員余剰気味のブルペンについて
先発転向の可能性が取り沙汰されていたリリーフ投手はミラーだけではない。モレホンもデビュー当初は先発投手だった。一方、モーガンはまだメジャー1年目のシーズンを終えたばかりだが、持っている球種や、投球フォームの安定性・再現性などを考えると、先発投手として成功するために必要な能力を持っているように見える。
しかし、両投手ともブルペンに残る可能性が高い。パドレスはミラーの場合と同様に、現状に大きな問題はないため、わざわざ修正する必要がないと考えているようだ。
「以前、パドレスはモレホンを先発で起用したことがある。彼はメジャーで成功を収めるために、様々な道筋があった。ブルペンで起用してみたところ、圧倒的な活躍を見せたんだ。支配的な投球ができる場所(=ブルペン)に彼を置いておくことがチームにとって重要だと思う」とスタメン新監督は語った。
ミラー、モレホン、モーガンがブルペンに残ることが濃厚となり、パドレスのリリーフ陣は人員余剰気味になっている。さらに最近、タイ・アドコックとダイソン・アコスタの両右腕とメジャー契約を結んだため、空いているポジションはほとんどない状況だ(アドコックとアコスタにはマイナーオプションがあるため、開幕ロースターから外れる場合、マイナーに落とすことが可能)。
リリーフ投手が人員余剰気味になっている一方で、パドレスは多くの補強ポイントを抱えている。リリーフ投手のうち、1人または2人をトレード要員として、戦力補強を画策する可能性もあるだろう。
先発ローテーションは補強が急務
リリーフ投手の先発転向が検討されていたのは、先発陣の層が極めて薄いというチーム事情があったからだ。ニック・ピベッタは来季も先発の軸となるだろう。ジョー・マスグローブはトミー・ジョン手術から戻ってくる予定だ。ランディ・バスケスもローテーションの後方に名を連ねると思われる。
しかし、ディラン・シースはFAとなり、ブルージェイズと契約した。マイケル・キングもFAによる他球団移籍が濃厚だ。ダルビッシュ有は右肘の手術により、2026年シーズンを全休することが決まっている。
こうした事情もあり、層の厚いブルペンから1人または2人を先発に回すのではないかという憶測が飛び交っていた。しかし、リリーフ投手を先発に回さないのであれば、パドレスは先発ローテーションの穴をどのように埋めるのだろうか。
「球団内では、各選手をスプリングトレーニングに向けてどのように準備させるかについて引き続き話し合っていく。そして、ウィンターミーティングやオフシーズンを通して、トレードやFA市場での戦力補強についても検討していく」とプレラー編成本部長は語った。
プレラー編成本部長は、スタメン新監督と同様に「今回の決定は必ずしも最終的なものではない」と強調した。しかし、3人全員がリリーフ投手としてブルペンに残るのであれば、パドレスは今後数週間、「先発補強」という明確な課題を抱えることになるだろう。
