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ロイヤルズがブルペン補強 オールスター左腕のストラームを獲得

2025.12.20 08:44 Saturday

 ロイヤルズは外野手アイザック・コリンズと右腕ニック・ミアーズとのトレードで左腕アンヘル・セルパをブルワーズへ放出したあと、セルパの穴を埋めるリリーフ左腕を探していた。そして19日(日本時間20日)、フィリーズとのトレードを成立させ、右腕ジョナサン・ボーランとの交換で左腕マット・ストラームの獲得に成功した。

トレードの詳細
ロイヤルズ獲得:左腕マット・ストラーム
フィリーズ獲得:右腕ジョナサン・ボーラン

 34歳のストラームは球界有数のリリーフ左腕へ成長を遂げ、直近3年間はフィリーズで合計188試合に登板して防御率2.71を記録。オールスターに選出された2024年は防御率1.87の好成績を残し、今季は自己最多タイの66試合に登板して62回1/3を投げ、防御率2.74、キャリアハイの22ホールドを挙げた。2022年以降の4年間では、200試合以上に登板した左腕の中で3位となる防御率2.90を記録。ストラームを上回るのは、タイガースのタイラー・ホルトン(2.63)とドジャースのアレックス・ベシア(2.74)だけである。

 ストラームのプロ野球選手としてのキャリアは、2012年のドラフトでロイヤルズから21巡目指名を受けてスタートした。2016年にメジャーデビューし、ロイヤルズで2年間プレー。その後、ブランドン・マウアー、ライアン・バクター、トレバー・ケーヒルとのトレードでエステウリー・ルイーズ、トラビス・ウッドとともにパドレスへ移籍した。

 JJ・ピコーロGMは「獲得できる可能性があると分かったとき、チーム全員でとても興奮したよ。マットの人柄、選手としての才能、そしてどれほどの競争心を持っているかということを私たちはよく知っている。重要な場面で登板するリリーフ投手に関して言うと、ここ数年間でマットよりも好成績を残している左腕はほとんどいない。彼のキャリア初期に関われたことを誇りに思うし、彼が成長を遂げ、オールスターやポストシーズンに出場する姿も見てきた。特別なキャリアを過ごしている選手だ。まさに、私たちのブルペンが必要としていた戦力でもある」と語り、ストラームの古巣復帰を歓迎した。

 ロイヤルズはウィンターミーティングの期間中、常にフィリーズと連絡を取り合い、トレードを実現できる可能性があると感じながら開催地のフロリダ州オーランドを離れた。セルパをブルワーズへ放出したあと、単なるリリーフ左腕ではなく、質の高いリリーフ左腕が必要となり、一気にトレード交渉が加速した。

 カンザスシティを去ってから約9年が経過し、ストラームは安定して優勝を狙えるチームになることを目指している古巣に復帰できることを喜んでいる。

「まるで映画のような気分だね。すべてはカンザスシティから始まった。そして、物語が1周して、カンザスシティに戻ってきたんだ。家族とは、この10年間ずっと、スプリングトレーニングで撮影するプロフィール写真について話してきた。ロイヤルズから始まった物語が再びロイヤルズに戻るんだ」とストラームは語った。

 ストラームは左打者を通算で打率.239、出塁率.302、長打率.376に抑えている。右打者にも強く、打率.212、出塁率.279、長打率.370と左打者以上に封じ込めている。今季は左打者に対して打率.233/OPS.673、右打者に対して打率.196/OPS.585を記録した。ロイヤルズでは試合終盤の重要な場面で投げる左腕として期待されており、セットアッパーのルーカス・アーセグ、クローザーのカルロス・エステベスの両右腕とともに勝ちパターンの継投を担うことになるだろう。

 ストラームは「マウンドに立つたびに、僕の心構えは『とにかくアウトを取ろう』ということだ。その考え方は変わっていないし、これからも変えるつもりはないよ」と語る。

 ストラームは5つの球種を操るが、投球の軸になるのは92マイル(約148キロ)のフォーシームとスライダーだ。スライダーは今季、空振り率30%を記録した。シンカーとカットボールも投げる。また、チェンジアップはここ数年、あまり使っていないものの、向上に取り組んでいる。キャリアを重ねるにつれて、ボール球を振らせる技術が向上しており、今季のチェイス率(=ボール球を振らせる割合)は33.3%に達した。制球力も安定しており、通算で三振率27.3%、四球率7.0%を記録している。これらはロイヤルズが求めていた要素であり、4球団で10シーズンにわたってプレーしてきた経験値も追加される。さらに、2020年パドレス、2023~25年フィリーズと4度のポストシーズン出場も経験している。

 今季の成績によって2026年のフィリーズとの契約が保証されたストラームは、契約最終年に年俸750万ドル(約11億2500万ドル)を受け取る予定だ。フィリーズがストラームを放出したのは、この年俸に加え、ほかにも複数のリリーフ左腕がいることが影響したとみられる。フィリーズはストラーム放出で浮いた資金をほかの補強に使うことができ、ロイヤルズは最低限の対価で優秀なリリーフ左腕を手に入れることができた。ロイヤルズのブルペンの新戦力は、ブルワーズから加入したミアーズ、11月に1年契約を結んだアレックス・ラングに続いて3人目だ。ロイヤルズのブルペンにはボール球を振らせることのできる投手が少なく(今季のチェイス率26.9%はメジャー26位タイ)、新戦力トリオにはその弱点をカバーする活躍が期待される。

「これまでは弱い打球を打たせることに長けた投手を重視してきた。だから、チェイス率が高く、空振りを奪える投手が加入するのは非常に大きい。マットは三振率が高く、私たちが求めていた条件に合致する選手だ」とピコーロGMは語った。

 ストラームの加入により、主力クラスのリリーフ投手の補強は完了したとみられる。今後は層の厚さを重視した動きになることが予想されるが、ピコーロGMは現在の陣容に満足しているようだ。

 ロイヤルズが放出した29歳のボーランは、3年間ロイヤルズでプレーし、今季は自己最多の34試合に登板。リリーフに完全転向したことで球速がアップした。1勝2敗、防御率3.86を記録したが、シーズンの大部分はメジャーと3Aの往復が続いた。来季は新天地フィリーズでメジャー定着を目指す。


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