2026年ワールドベースボールクラシック 1次ラウンド各プールの展望
2026.3.4 12:12 Wednesday
2026年ワールドベースボールクラシックが日本時間5日に開幕する。まずは1次ラウンドの戦いに向けて準備をしよう。
1次ラウンドはA、B、C、Dの4つのプールに分かれて行われる。各プールは5チームで構成され、総当たりのリーグ戦となる。各プールの上位2チームが準々決勝に進出し、準々決勝以降は「負ければ敗退」のトーナメント戦となる。
1次ラウンドの4つのプールは以下の通り。
プールA:ヒラム・ビソーン・スタジアム(プエルトリコ・サンフアン)
プールB:ダイキン・パーク(テキサス州ヒューストン)
プールC:東京ドーム(日本・東京)
プールD:ローンデポ・パーク(フロリダ州マイアミ)
各プールの詳細と、どのチームが勝ち上がるかの予想について、MLB.comでは各プールを担当する記者たちに話を聞いた。それぞれの記者の分析を見ていこう。
プールA(プエルトリコ・サンフアン)
チーム:カナダ、コロンビア、キューバ、パナマ、プエルトリコ
注目ポイント:今大会の4つのプールの中で、おそらく最もバランスの取れたプールだろう。コロンビアとパナマは過去10年間で劇的な成長を遂げ、ベテラン投手陣とメジャー級の野手陣を擁する史上最高のチームを編成した。カナダは最高の選手の1人(フレディ・フリーマン)を欠いているものの、勢いのある若手選手を多く揃え、プールAの中で最もエキサイティングな外野陣を形成している。
キューバは日本球界で活躍するスター投手が名を連ね、ワールドベースボールクラシックの出場経験が豊富なベテラン選手もいる。そして、開催国のプエルトリコは保険の問題で複数のスター選手を失ったものの、それでも才能豊かな選手が多く揃い、準々決勝進出の可能性は十分にある。
スター選手:プールAのロースターを見てみると、特に目を引くスーパースターはそれほど多くない。だからこそ、大混戦の展開が予想されているとも言えるだろう。プエルトリコには依然としてビッグネームがおり、ブルペンにエドウィン・ディアス、三塁にはノーラン・アレナドがいる。さらに、先発にセス・ルーゴ、外野にはエリオット・ラモスもいる。カナダはジョシュとボーのネイラー兄弟のほか、タイラー・オニール、守備の名手であるデンゼル・クラーク、先発の柱となるジェイムソン・タイオンらがいる。
コロンビアはホゼ・キンタナとフリオ・テヘランの両ベテランが先発の柱となり、ジオ・ウルシェラがホットコーナー(三塁)を守る。パナマはホゼ・カバイェロ、エドムンド・ソーサといった守備の名手がいる。そして、キューバのアレクセイ・ラミレスを覚えているだろうか。44歳の元オールスター選手は今回、キューバ代表に復帰した。
その他の知っておくべき選手:カナダにはプールA最高の有望株がいる。MLBパイプラインの有望株ランキングで全体42位のオーウェン・ケイシーだ。2023年大会で本塁打を放ち、昨季は3Aで活躍。美しい赤髪のため、見つけるのは簡単だろう。プエルトリコのエルマー・ロドリゲスはヤンキースの球団3位の有望株で、今春のオープン戦でも素晴らしいピッチングを披露。マイケル・アローヨはコロンビアのキーマンとも言える選手で、メジャー全体67位の有望株でもある。スピード、パワー、そして出塁能力を兼ね備えた好選手であり、まだ21歳だ。
スピードと言えば、パナマにはア・リーグ盗塁王のカバイェロのほか、オリオールズの球団10位の有望株であるエンリケ・バーフィールドJr.がいる。かつての有望株であるホゼ・ラモスも攻撃面で注目すべき選手だ。キューバには日本球界で最高の投手、リバン・モイネロがいる。2024年から2年連続で最優秀防御率のタイトルを獲得し、昨季はMVPも受賞した。そして、アルフレッド・デスパイネの名前も忘れてはいけない。通算本塁打の大会記録保持者が再び登場する。
予想:このプールの予想は非常に難しい。最後まで分からない、一進一退の攻防になりそうだ。5チームの中で最もタレントが揃い、最高のメジャーリーガーを擁しているプエルトリコがおそらく勝ち上がるだろう。ヒラム・ビソーン・スタジアムに集まる地元の大歓声もチームを後押しするはずだ。2番手はカナダだと思う。もしカナダが1次ラウンドを突破すれば、意外にも6大会目にして初めてとなる。(マット・モナガン記者)
プールB(テキサス州ヒューストン)
チーム:ブラジル、イギリス、イタリア、メキシコ、アメリカ
注目ポイント:強力なプールだ。アメリカは前回大会の決勝で日本に敗れたあと、王座奪還を目指してスーパーチームを結成した。2017年大会以来の優勝を目指すアメリカにとって、今大会は「優勝か失敗か」の戦いとなる。
しかし、アメリカが勝ち上がるためにはメキシコを倒さなければならない。メキシコは前回大会の準決勝で村上宗隆に逆転サヨナラ打を浴び、敗退したものの、優勝した日本をあと一歩のところまで追いつめた。また、イタリアも前回大会で準々決勝進出を果たしており、今回はさらに強力なチームを編成している。イタリアが2013年と2017年の2度、メキシコを倒していることも忘れてはならない。
スター選手:アメリカはスターの宝庫だ。アーロン・ジャッジ、ポール・スキーンズ、タリック・スクーバル、ブライス・ハーパー、カル・ローリー、ボビー・ウィットJr.らがロースター入りしている。メキシコは前回大会で大活躍したランディ・アロザレーナのほか、外野手のジャレン・デュラン、捕手のアレハンドロ・カーク、クローザーのアンドレス・ムニョスといった好選手がチームを牽引する。イタリアは前回大会に続いてビニー・パスカンティーノが打線の軸となり、アーロン・ノラ、アダム・オッタビーノ、ジャック・カグリオーンらがチームに加わった。イギリスにはオールスター二塁手のジャズ・チザムJr.がいる。
その他の知っておくべき選手:ブラジルにはプールBのほかのチームのようなスター選手はいないものの、元メジャーリーガーの息子が3人いる。ダンテ・ビシェットJr.(ダンテ・ビシェットの息子)、ルーカス・ラミレス(マニー・ラミレスの息子)、そして17歳のジョセフ・コントレラス(ホゼ・コントレラスの息子)だ。イギリスのハリー・フォードは20歳で出場した前回大会に続いてロースター入りし、今大会は共同キャプテンを務める。元ドラフト1巡目指名の有望株でもある。昨季メジャーデビューして好成績を残したイタリアの捕手、カイル・ティールにも注目だ。
メキシコには、アロザレーナほど派手ではないものの、昨季打率.316をマークしてオールスターに選ばれたジョナサン・アランダがいる。そして、スター軍団のアメリカには負傷したコービン・キャロルの代役として選出された超有望株ロマン・アンソニーがいる。
予想:アメリカはこのプール、いや大会全体でも明確なトップチームだ。間違いなく勝ち上がるだろう。2番手はメキシコになる可能性が高い。しかし、イタリアも戦力アップに成功しており、メキシコを撃破してプールBの2位で準々決勝に進出する可能性を秘めている。(デービッド・アドラー記者)
プールC(日本・東京)
チーム:オーストラリア、チャイニーズタイペイ、チェコ、日本、韓国
注目ポイント:ワールドベースボールクラシックで3度優勝し、東京五輪の覇者でもある日本はプールCを突破するだけでなく、1位通過もほぼ確実とみられている。登板予定はないものの、大谷翔平が再びメンバー入りし、山本由伸、昨季の沢村賞受賞者である伊藤大海、そしてメジャーリーグの強打者である岡本和真、村上宗隆、吉田正尚、鈴木誠也らを擁するチームはワールドベースボールクラシックで再び優勝できるだけの力を持っていると言えるだろう。
しかし、時には本命が倒れることもある。日本は外野守備をはじめ、いくつかの不安を抱えている。プレミア12の決勝でチャイニーズタイペイが勝利し、日本の国際大会での連勝を27で止めたときのような展開になるのだろうか。あれ以来、台湾の野球ファンの盛り上がりは最高潮に達しており、今大会で再びチャイニーズタイペイが番狂わせを起こしたとしても決して不思議ではない。
韓国は2008年の北京五輪で優勝し、2009年のワールドベースボールクラシックでは延長戦の末、日本に敗れたものの、準優勝を果たした。しかし、それ以降は1次ラウンドを突破することができていない。大会前に負傷者が続出して戦力ダウンしており、準々決勝に進出することができれば大成功と言えるだろう。一方、オーストラリアは前回大会で初めて1次ラウンドを突破。今大会は2024年ドラフト全体1位指名の超有望株トラビス・バザーナがチームに加わっており、再び1次ラウンドを突破しても驚きではない。
最後にチェコだ。このチームは前回大会、大谷翔平や日本の野球ファンをチェコ野球のファンへと変貌させた。それ以来、メディアに取り上げられる機会も増え、日本、韓国、台湾、アメリカに遠征して練習試合を行うなど、チーム強化に努めてきた。プールCのほかのチームも強力だが、チェコも昨年のヨーロッパ野球選手権で銅メダルを獲得するなど、着実に力をつけている。
スター選手:もちろん、すべては大谷翔平から始まる。彼について、ほかに何か言うべきことがあるだろうか。今大会では投げないかもしれないが、東京で見かけるあらゆる看板や広告に彼が載っているのには理由がある。本当に素晴らしい選手なのだ。現役最高の野球選手の名前を挙げるだけでは物足りないので、山本由伸も加えておこう。大谷が登板せず、佐々木朗希も不在の今大会では、ドジャースのポストシーズンの戦いを牽引した右腕が前回大会以上に大きな役割を担う必要がある。
オーストラリアのバザーナについてはすでに触れたが、素晴らしい実力と才能を秘めた選手だ。韓国には「風の孫」との異名を持つイ・ジョンフがいる。メジャー2年目のシーズンを終え、自身2度目のワールドベースボールクラシック出場となる。韓国は負傷者が続出しているため、前回大会で14打数6安打、4得点、5打点の活躍を見せたイ・ジョンフは、チームを準々決勝進出に導くために、前回大会の活躍を再現する必要があるだろう。
その他の知っておくべき選手:チャイニーズタイペイのキャプテンを務める陳傑憲(チェン・ジェシェン)は2024年のプレミア12で打率.652をマークする活躍を見せてMVPを受賞し、チームを優勝に導いた。屈強な体格から「マッスルマン」の異名を持つ22歳の安賢民(アン・ヒョンミン)は韓国打線の上位を担う選手で、昨季は韓国球界で112試合に出場し、打率.334、22本塁打、OPS1.018の大活躍を見せた。
日本の近藤健介はまさに「プロフェッショナルな打者」の体現者だ。身長173センチと小柄だが、日本球界で通算打率.307、OPS.874を記録しており、前回大会でも打率.346、OPS1.115の活躍でチームの優勝に大きく貢献した。チェコでは、大谷翔平から三振を奪ったことで知られるオンジェイ・サトリアにとって最後の大会となり、投手兼消防士のマーティン・シュナイダーは肩の負傷から復帰したばかりのため、万全の状態ではない。幸いにも、ヤン・ノバクは健康な状態でロースター入りしている。かつてオリオールズ傘下でプレーしていたノバクは、昨年のヨーロッパ野球選手権で7回1/3を無失点に抑え、9三振を奪う好投を見せた。
予想:日本は再び1位になるだろう。本当に素晴らしいチームだ。2位争いはかなり熾烈になることが予想されるが、チャイニーズタイペイが優勢だと思う。プレミア12で優勝しており、将来有望な投手も多くいるため、韓国やオーストラリアを上回り、2位に滑り込むと予想する。(マイケル・クレア記者)
プールD(フロリダ州マイアミ)
チーム:ドミニカ共和国、イスラエル、オランダ、ニカラグア、ベネズエラ
注目ポイント:ドミニカ共和国はスター軍団のアメリカに匹敵する強力なチームだ。2013年大会の王者は前回大会の早期敗退の雪辱を晴らそうと意気込んでいる。ドミニカ共和国の早期敗退の大きな要因となったのはベネズエラだ。ドミニカ共和国とプエルトリコが同居した「死の組」を全勝で突破した。
イスラエルは本選初出場となった2017年大会で1次ラウンドを1位突破するサプライズを起こしたときの輝きを取り戻そうとしている。前回大会はオランダとともに残念な結果に終わり、両チームとも1次ラウンドで敗退した。ニカラグアは前回大会が本選初出場。今大会では初勝利を目指している。
スター選手:ブラディミール・ゲレーロJr.を筆頭に、フアン・ソト、フリオ・ロドリゲス、マニー・マチャド、フェルナンド・タティスJr.とドミニカ共和国の打線は驚異的なメンバーだ。投手陣も強力で、クリストファー・サンチェスとサンディ・アルカンタラの両輪が牽引する。ベネズエラにもビッグネームがおり、ロナルド・アクーニャJr.のほか、ジャクソン・チューリオ、サルバドール・ペレス、ルイス・アライズ、エウヘニオ・スアレス、グレイバー・トーレスらが名を連ねている。
オランダにもザンダー・ボガーツ、オジー・オルビーズ、ケンリー・ジャンセンがいる。イスラエルはハリソン・ベイダー、トミー・ケインリー、スペンサー・ホーウィッツらが中心だ。ニカラグアにも強打者マーク・ビエントスがいる。
その他の知っておくべき選手:オランダの外野陣はファインプレーを連発する可能性がある。殿堂入りの名センター、アンドリュー・ジョーンズが率いるチームに相応しい外野陣と言える。アンドリューの息子であるドリュー・ジョーンズは父の素晴らしい守備力を受け継いでいる。また、昨季ゴールドグラブ賞に輝いたセダン・ラファエラもおり、この2人だけで外野全体をカバーできるだろう。
イスラエルには有望株のコール・キャリッグを筆頭に、興味深い若手選手が多くいる。キャリッグはマイナーで主にセンターを守っているが、イスラエルでは遊撃手として起用される見込みだ。ニカラグアのイスマエル・ムングイアは現在、ブルージェイズ傘下に所属しているが、ドミニカ共和国のウィンターリーグで打率.368をマークし、首位打者に輝いた。
予想:ドミニカ共和国とベネズエラが圧倒的な戦力を誇っているため、プールDを突破するのはこの2チームになるだろう。ただし、イスラエルとオランダの出来次第では、予想以上に熾烈な争いとなるかもしれない。(デービッド・アドラー記者)
