【敗れざる者⑥】史上初の悪夢で15年ぶりの夢が消えたハロウィン前夜
2024.11.4 22:09 Monday
1981年以来43年ぶり12度目となるヤンキースとドジャースの東西名門球団によるワールドシリーズ(WS)は、シリーズ史上ワーストの悲劇でエンディングを迎えた。ハロウィンの前夜、ヤンキースの15年ぶりの夢は悪夢となった。
ドジャー・スタジアムで始まった第1戦は延長戦までもつれ、10回表にヤンキースが1点を挙げた。その裏、一死1・2塁の場面で大谷翔平に対し、ヤンキースは対大谷12打数2安打のネスター・コルテスをマウンドに。アレックス・バーデューゴの闘志あふれるプレーでレフトへのファールフライに打ち取った。
続くムーキー・ベッツは申告敬遠で満塁策を取り、ヤンキースの勝利まであとアウト1つ。しかし、フレディ・フリーマンにWS史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打が飛び出した。9月18日(日本時間19日)以来の登板だったコルテスの投入が裏目となった。
この勢いでドジャースが続く2試合も勝利し、3勝0敗でWS制覇に王手をかける。第4戦はヤンキースが勝利し、アーロン・ブーン監督は「世界に衝撃を与える」と逆転勝利を宣言。第5戦は、初回からアーロン・ジャジの本塁打などで、3回までにヤンキースが5点をリード。流れは完全にヤンキースに変わっていたが、5回に悪夢が起きた。
4回までドジャース打線を無安打に抑えていたエースのゲリット・コールから、先頭のキケ・ヘルナンデスがヒットで出塁すると、続くトミー・エドマンの平凡なセンターフライをジャッジがまさかの捕球ミス。
さらに、無死1・2塁からウィル・スミスの遊撃ゴロをアンソニー・ボルピーが送球エラーして無死満塁に。ギャビン・ラックスと大谷を三振に打ち取るも、ベッツの一塁ゴロに対し、コールが一塁カバーに入らず1点を返される。なおも満塁の場面で、フリーマン、テオスカー・ヘルナンデスに連続タイムリーを浴びて同点とされた。
6回にジャンカルロ・スタントンの犠飛で勝ち越したものの、8回には無死満塁からラックス、ベッツの犠飛でついに逆転を許し、7対6でヤンキースは敗れた。負ければ敗退の試合で5点差をひっくり返されたのは、「オプタ・スタッツ」によれば1925年のワシントン・セネタース(現ミネソタ・ツインズ)がパイレーツに4点差をひっくり返された記録を更新するWS史上ワースト。ハロウィンの前夜に、2009年以来15年ぶりの世界一の夢が悪夢に変わったヤンキース。オフには複数の主力選手がFAになる予定だが、来季はどうなるのだろうか。この悔しい敗退を胸に、来季こそ「帝国の逆襲」に期待したい。