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イチロー氏の教えを体現したマリナーズが7連勝 ローリー45号

【マリナーズ6-3レイズ】シアトル/T-モバイルパーク、8月10日(日本時間11日)

 ア・リーグ西地区2位のマリナーズはレイズとの3連戦の最終戦に勝利し、7連勝を飾った。カル・ローリーが45号2ランを放って先制点を挙げると、先発のブライアン・ウーも6回3失点9三振とゲームメーク。6-3でレイズに対してスイープ(3連勝)を決め、地区首位のアストロズについに0.5ゲーム差に迫った。

 前日に行われた永久欠番セレモニーのスピーチで、イチロー氏はマリナーズの選手たちにこう投げかけた。「今年のチームには大きなチャンスがある。皆さんは強く、才能に溢れている。どうか才能を軽視しないでほしい。素晴らしいチームと、目の前に広がる大きなチャンス。勝利へのプレッシャーがあることは理解していますが、勝利は常に困難であり、プレッシャーなしには得られない。プレッシャーを受け入れ、そのプレッシャーの中で最高のパフォーマンスを発揮する方法を見つけてほしい」。

 続けてイチロー氏は「もう打撃やレーザービームのような投球で君たちを助けることはできないが、私の意志と願いは常に君たちのためにある。私が毎日フィールドに来るのは、君たちがその瞬間に備えられるように助けたいからだ。君たちがその瞬間を掴めると確信している」と語った。

 イチロー氏がともに51番を背負ったランディ・ジョンソン氏をキャッチャー役に始球式を行ったこの日、マリナーズの選手たちはこの言葉を体現する試合を見せた。

 初回、主砲のローリーがライトへ45号2ランを放ち、幸先よく4点を先制。まだ8月にもかかわらず、ローリーはキャッチャーとしての1シーズンの最多本塁打記録を更新する勢いで本塁打を量産している。この本塁打で歴代2位の伝説的名捕手ジョニー・ベンチ(レッズ・1970年)に並び、残すは2021年にサルバドール・ペレスが放った48本塁打を超えるだけだ。

 今季エースに台頭した先発のウーは、3点を失いながら粘りのピッチング。再三ピンチを背負いながら、要所を三振で締め、終わってみれば6回3失点9三振の好投を見せた。その後、マリナーズは新加入のジョシュ・ネイラーの15号ソロなどで追加点を奪い、持ち前の強力ブルペン陣が無失点リレーでつなぎ、6-3でレイズを振り切った。

 本塁打王レースを快走するローリーは「彼が私たちのことを特に取り上げて、希望を与えてくれたのは本当に素晴らしかった」とコメント。好投で勝利に導いたウーも「スピーチの合間を縫って、とても明確で前向きでありながら、同時にやる気を起こさせるような言葉で私たちに語りかけてくれたのは、本当に素晴らしいことだと思う。ダグアウトにいた全員がそう感じたはずだ」と、イチロー氏の激励に感謝を述べた。

 そして、2安打1得点の活躍を見せたフリオ・ロドリゲスは「本当に胸に突き刺さった。目指す場所にたどり着くためには、多くの瞬間を逃してはならないからだ。本当に心に響いた。彼の言葉がどれほど重みを持つかは、選手なら誰もが分かっていると思いう。彼は毎日それを実行しているから。彼は今もここにいて、毎日私たちのために練習に現れる。本当に心に響いたし、多くの選手が同じように感じていると思う」と、前日の同氏の激励について語った。

 特にロドリゲスはマイナー時代からイチロー氏に師事し、チームで最も親密な関係を築いている“イチローの愛弟子”だ。過去と現在、そして未来をつなぐ架け橋としての彼らの姿は、いつ見ても色褪せない魅力を放っている。ロドリゲスは重ねてこう語った。

 「一番大事なのは、イチローが決して諦めなかったことだ。多くの人が彼を疑って『彼はここでプレーできないかもしれない、馴染めないかもしれない』と言っていたと語っていた。でも、彼は馴染む必要さえなかった。周りの人に馴染むことや、周りの人に似せようと心配している人が多すぎるように感じる。とにかく前進し続け、自分を信じ続け、それを貫き通さなければならない。彼は誰よりもそれをやり遂げたんだ。その言葉を本当に心に留めているよ。彼は周囲に合わせようとしなかったんだ。いつもと同じポーズをし続けました。マシンを使った同じルーティンを繰り返し、それが彼をどこに導いたか見てほしい。私が彼から学んだのは、周囲に合わせようとせず、自分らしく、小さなことを着実に続け、それがどうなるかを見極めるということだ」。

2025.8.11 13:17 Monday

「まるで魔法」ブルワーズがまた逆転勝利 サヨナラで9連勝飾る

【ブルワーズ7×-6メッツ】ミルウォーキー/アメリカンファミリー・フィールド、8月10日(日本時間11日)

 ブルワーズは最大5点のビハインドをひっくり返し、7-6でメッツに逆転サヨナラ勝利。ウィリアム・コントレラスのマルチ本塁打、ジョーイ・オーティズの3打点で同点に追いつくと、最終回に新人アイザック・コリンズがサヨナラ本塁打を放って試合を決めた。破竹の快進撃は止まらず、連勝は9に伸びている。

 前夜からミルウォーキーは記録的な大雨と突発的な洪水に晒されたが、それすらも今のブルワーズの勢いは止められなかった。球団によれば、本拠地アメリカンファミリー・フィールドへの主要アクセス道路のうち2本が冠水し、駐車場の1万3000台以上の駐車スペースの約半数も冠水したという。しかし、球場は良好な状態と見て、開催を強行。ブルワーズの選手たちは冠水を避けた通勤ルートをテキストメッセージで共有し、球場に辿り着いた。

 そしてこの厳しい環境の中、33700人のファンも球場に集まった。キャリア初のサヨナラ本塁打を放ったコリンズは「正直、ファンが来てくれるかどうか分からなかったけど、本当に来てくれた。このチームとこの街のためにプレーできることが本当に嬉しい」と、ファンに感謝を述べた。

 ブルワーズは今季の破竹の快進撃によってファンの心を掴んでいる。オフにはウィリー・アダメスとデビン・ウィリアムズという2人のスター選手を失ったが、コリンズのような無名の選手が続々と開花。低予算でも強豪と渡り合う不屈のチームカラーは試合にも現れ、直近の9連勝では6試合が、そしてスイープ(3連勝)したメッツとの3連戦では全ての試合が逆転勝利だ。

 この日、ブルワーズは先発のクイン・プリースターが6失点と崩れ、四回には一時0-5の劣勢に立たされた。しかし四回、コントレラスの11号ソロとオーティズの2点タイムリー反撃の狼煙を上げると、五回にもコントレラスが12号2ラン。2番手DL・ホールが3回2/3を無失点の好救援で僅差を保ったのも奏功し、ついにメッツの背中を捉えた。八回、剛腕ライアン・ヘルスリーから再びオーティズが同点タイムリーを放ち、6-6の同点となる。

 そして九回、先頭のコリンズがライトへサヨナラ本塁打。メッツの守護神エドウィン・ディアスに2-2と追い込まれたにもかかわらず、決め球のスライダーを完ぺきに捉えた。今季8本目の本塁打はキャリア初のサヨナラヒットであり、野球人生においても初のサヨナラ本塁打となった。

 コリンズは「言葉で説明するのは難しい」と感慨深げに語った。この28歳のオールドルーキーは、まさに今季のブルワーズを象徴するシンデレラストーリーを演じている。前所属はロッキーズで、2022年にはダブルAですら打率.221、OPS.684と平凡な成績に終わっていた。しかし、その年のオフにルール5ドラフト(選手の出場機会を増やすための現役ドラフト)のマイナー選手ラウンドでブルワーズに指名されたのが転機に。2023-24年はマイナーで好成績を残し、今季はメジャーで外野のレギュラーに定着。リーグ屈指の好守、そして好打でナ・リーグの新人王候補にも挙がっている。

 「まるで魔法がかかっているみたいだ。野球ってそういうものなんだ。とにかく楽しい。すごく楽しんでいるよ」とコリンズは語る。ブルワーズの魔法のような快進撃はまだ終わらない。

2025.8.11 11:24 Monday

史上初の両投げ野手が誕生 左でライトを、右で三塁を守備固め

【オリオールズ2-3アスレチックス】ボルティモア/オリオールパーク、8月10日(日本時間11日)

 アスレチックスはオリオールズとの3連戦の最終戦に3-2で逆転勝利。直近16試合で11勝と調子を上げ、オリオールズ3連戦にも勝ち越した。この日はロースターの野手全13人を注ぎ込む全員野球で終盤の逆転劇を演出。九回には内野手が不足したことから、両投げ野手のカルロス・コルテスが左利き用の外野手グラブを右利き用の内野手グラブに持ち替え、プロキャリアで初の三塁手を守った。

 アスレチックスはこの日「MLBパイプライン」の有望株ランキングで球団3位に入るルイス・モラレスがキャリア初先発を飾った。4三振を奪って無失点に抑えたものの、5四球を与えるなど制球に苦しんだ。有望株のモラレスには球数制限が課せられており、2回2/3限りでマウンドを降りた。

 五回、3番手ベン・ボウデンがオリオールズのジョーダン・ウエストバーグにソロ本塁打を浴び、ついに試合の均衡が崩れた。アスレチックスも六回に新人コルビー・トーマスのタイムリーですぐさま同点に追いついたが、七回にコビー・メヨにタイムリーを浴び、1-2と勝ち越しを許した。

 しかしアスレチックスは諦めず、九回にチャンスを作る。1死一、二塁で8番ウィリー・マカイバーがレフト線に二塁打を放ち、代走で一塁走者に入っていたローレンス・バトラーが激走で逆転のホームを踏んだ。

 アスレチックスは3-2とリードを奪い、あとは最終回を抑えるだけだったが、内野手が一人足りなかった。逆転のホームを踏んだバトラーは三塁手ジオ・ウルシェラの代走として試合に入っていたため、三塁手が不在だった上、控え内野手も既に使い切っていた。

 そこで八回からライトに守備固めで入っていたコルテスが三塁手として起用された。生まれつき左利きのコルテスは8歳のとき、複数のポジションを守れるようにと父から右投げを学んだ。2018年にコルテスは二塁手としてドラフト指名を受けたが、翌年には外野手に転向。2019年を最後に二塁を守ったことはなかった。

 グラブを右から左に持ち替え、6年ぶりに内野を守っただけではなく、コルテスは未経験の三塁にぶっつけ本番で挑んだ。これは左打者との対戦が多いことを見込んだ上での配置で、「それで良かった。でも緊張したよ」と胸をなでおろした。

 奇策を披露したマーク・コッツェイ監督は「これは昔ながらのチーム一丸の勝利だった。全員が貢献した。両利きの選手が内野に回って守備をしたんだ。これは自らを慣れない立場に置く覚悟があってチームのために犠牲を払った物語っている」とチームを称賛。印象的なコルテスの守備固めのみならず、控え捕手のマカイバーが打っては決勝タイムリー、守備でも再三の好プレーを見せるなど、本来は脇役の選手たちが奮闘した。

 そしてコルテスはこの日、MLBの歴史に名を刻んだ。両投げの投手としては過去にパット・ベンディッティ(奇しくも同じアスレチックスでデビュー)がメジャーでプレーした記録が残っているものの、野手が同じ試合でグラブを持ち替えて両投げを行った記録は存在しない。

 MLBのデータベースの両投げとして登録された野手は、歴史上でコルテスのほかにブルワーズのアンソニー・シーグラーしかいない。今季デビューしたばかりのシーグラーはまだ捕手と三塁手でしか出場経験がなく、左投げで守ったことがない。コルテスはシーグラーに先んじて唯一無二の偉業を達成した。

 この日、コルテスは既に交代済みの同僚マックス・シューマンから右利き用のグラブを借りた。しかし、今後は右利き用のグラブも持参するつもりだ。「これからは自分のグラブを持ってこないとね。念の為」とコルテスは笑いながらコメントした。

2025.8.11 09:55 Monday

エースのウィーラーが球速ダウンも好投 フィリーズが4連勝

【レンジャーズ2-4フィリーズ】アーリントン/グローブライフ・フィールド、8月10日(日本時間11日)

 フィリーズはエースのザック・ウィーラーが好投し、レンジャーズに4-2で勝利。敵地で行われたレンジャーズ3連戦でスイープ(3連勝)に成功した。ナ・リーグ東地区で首位を争う2位メッツが7連敗の間に、4連勝でゲーム差を5.5に広げた。

 フィリーズの絶対的エースであるウィーラーは、前回登板後に右肩の軽い痛みを訴えていた。本来ならばレンジャーズとの3連戦の初戦に先発予定だったが、大事を取って先発を2日間先延ばしに。3連戦の最終戦となるこの日の先発マウンドに上がった。

 しかし、投球には右肩痛の影響が終始、見え隠れした。初回、4番ジョク・ピーダーソンにいきなり4号2ランを被弾。球速のみならず、正確無比なコントロールも乱れ、甘く入ったカットボールを痛打された。

 それでも、ウィーラーはすぐに修正した。二回には3者連続三振を奪い、三回も2四球を出しながら無失点に。四回も安打を浴びながら2三振を奪い、五回はセンターのハリソン・ベイダーの本塁打キャッチにも助けられて無失点に抑え抜いた。

 結局、5回を投げて初回の本塁打のみの2失点、7三振、3四球、3安打でウィーラーは降板。味方打線が四回にハーパーのタイムリー二塁打、五回にソーサのソロ本塁打などで逆転したこともあり、10勝目を挙げた。フィリーズはブルペン陣が合わせて4回無失点の好救援を見せ、そのままレンジャーズを4-2で振り切って勝利した。

 この日のウィーラーは負傷の影響か、どの球種も軒並み3キロ以上球速が低下。普段は2種類の直球をストライクゾーンに制球良く集めるのが真骨頂だが、この日はゾーン内投球率が今季2番目に低い43%にとどまった。しかし、球速が落ちた直球系でストライクゾーンを突くのではなく、ゾーン外の変化球を多用することで球速の低下を補った。今季は全6球種中最も投球割合が低いスプリットをこの日は3番目に多く投じ、11スイングを誘ったうち7度の空振りを量産。引き出しの多さを見せつけ、レンジャーズ打線に決定打を許さなかった。

 ウィーラーは球速の低下について「(普段のように)95-96マイルで投げるより、今日のような球速で投げるのは大変だ。空振りもファウルも少なくなって、打たれやすくなる」と吐露。一方でコントロールの乱れについては、右肩の負傷とは無関係だと主張した。

 そして肝心の右肩のコンディションについて、ウィーラーとロブ・トムソン監督は「心配していない」と口を揃えた。この日の勝利で2位メッツを5.5ゲーム差に突き放したとはいえ、まだシーズンは1ヵ月半以上残る。そして、フィリーズは13連戦の真っ只中であり、大黒柱のウィーラーを欠くのは厳しい。次週、ベテラン右腕のアーロン・ノラが復帰するタイミングでウィーラーの登板をスキップするか、あるいはしばらく6人ローテーションを採用するか、はたまたエースを信じてそのまま起用し続けるか。決断のときは迫っている。トムソン監督は「現時点ではない。明日、調子がどうなっているか見てみよう。それが最終的な判断材料になるだろう。ただ、様子を見るしかない」と語った。

2025.8.11 09:45 Monday

パドレスがサヨナラ勝利 鉄壁のブルペン陣が奮闘 吉田は2安打

【パドレス5×-4レッドソックス】サンディエゴ/ペトコパーク、8月9日(日本時間10日)

 ナ・リーグ西地区で首位ドジャースを猛追する2位パドレスは、レッドソックスに5-4でサヨナラ勝利。延長10回に新加入のラモン・ローレアーノがサヨナラヒットを放ち、シーソーゲームを制した。レッドソックスの吉田正尚は4打数2安打1打点と活躍した。

 パドレスはこの日から先発右腕マイケル・キングが復帰。昨季は13勝、防御率2.95とエース級の活躍を見せたキングは、5月下旬から右肩の神経痛で離脱していた。今季、パドレスは先発ローテーションの布陣が不安定だったが、ニック・ピベッタ、ディラン・シース、ダルビッシュ有、ネスター・コルテス、そしてキングと実績豊富な5人がここで揃い踏みすることとなった。

 ただ、この日のキングは本調子とは程遠かった。初回からジャレン・デュランにタイムリーを浴びて先制を許すと、二回は吉田への安打を含む3人の走者を背負った。そして三回の先頭打者に二塁打を打たれると、ここで降板。キングは三回途中まで57球を要し、2失点、4安打、2四球、1三振と復帰初戦は苦しんだ。パドレスは2番手ワンディ・ペラルタが2点を失い、序盤から劣勢に立たされた。

 パドレスは二回と三回にザンダー・ボガーツの10号ソロとタイムリーが飛び出し、1点差に追い上げ。さらに五回、2死二塁からフェルナンド・タティスJr.が果敢に三盗を決めると、そこからレッドソックス先発のルーカス・ジオリトが制球を崩した。ジオリトはジャクソン・メリルとボガーツを歩かせて満塁とすると、その後も制球が定まらず、2者連続で押し出し四球を献上。パドレスは4-3と思わぬ形でリードを手にした。

 早めの継投策に出たパドレスは、自慢のリリーフ投手たちが実力を発揮。ジェレマイア・エストラーダが2回5三振、エイドリアン・モレホンも2三振、新加入メイソン・ミラーも1回1/3を3三振で無失点リレーをつないだ。

 しかし、1点リードを託された守護神ロベルト・スアレスが誤算だった。スアレスは先頭に安打を許し、1死二塁のピンチを招くと、ローマン・アンソニーに痛恨の同点二塁打を浴びた。

 ただ、スアレスが打たれても、今のパドレスにはまだ頼れるリリーバーが控えている。4-4で迎えたタイブレークの10回には、オールスターに選出されたジェイソン・アダムが登場し、難なく無失点に抑え切った。そして直後の攻撃、無死一、二塁でローレアーノがレフト前にサヨナラタイムリーを放ち、パドレスは5-4でサヨナラ勝利。レッドソックス3連戦の戦績を1勝1敗のタイに戻した。

 レッドソックスの吉田は「5番・DH」でスタメン出場。第1打席はライト前ヒット、第2打席は1死三塁からピッチャーゴロを放って1打点を稼ぎ、第4打席には剛腕ミラーからライト前ヒットを放った。2試合連続のマルチヒットを記録した吉田は、今季の打撃成績が打率.258、OPS.707に改善している。

2025.8.10 15:11 Sunday

ブルワーズが3度の逆転で破竹の8連勝 メッツは泥沼の6連敗

【ブルワーズ7-4メッツ】ミルウォーキー/アメリカンファミリー・フィールド、8月9日(日本時間10日)

 メジャー最高勝率を誇るブルワーズはメッツを7-4で破り、連勝は8に達した。直近27試合で23勝を記録するなど快進撃は止まらず、他に70勝に到達するチームもいない中、今季の戦績を72勝44敗に伸ばしている。

 メジャー最高勝率や8連勝、直近27試合で23勝という記録は、決して運だけで達成できる数字ではない。しかし、ブルワーズがナ・リーグ東地区2位のメッツを逆転で下したこの日の試合では、運が大きく作用した。

 試合は序盤から一進一退の攻防が続いた。そして3-3の同点で迎えた五回、ブルワーズはフアン・ソトに28号ソロを浴び、勝ち越しを許した。

 しかし、ブルワーズは七回に反撃。1死二、三塁のチャンスからサル・フリーリックが叩きつけるようなショートゴロを放つと、三塁走者のブライス・トゥラングが素早いスタートで本塁を陥れた。これで4-4の同点に追いつくと、メッツはたまらずトレードデッドラインで補強したばかりの剛腕ライアン・ヘルスリーをここで投入する。

 代わったヘルスリーに対してアイザック・コリンズが放った強烈なゴロは、三塁手ロニー・マウリシオのグラブをはじき、強襲のタイムリーヒットに。ブルワーズは5-4と勝ち越しに成功した。

 幸運はそれだけにとどまらなかった。続くウィリアム・コントレラスは初球に手を出してライトライナーに倒れ、七回のブルワーズの攻撃は終わったかに思われた。しかし、ライナーがライトのグラブに収まった直後、球審が投手ヘルスリーのピッチクロック・バイオレーションを宣告。1球目の投球時にヘルスリーがピッチクロックを超過しており、1球目は自動でボールとカウントされ、打席は仕切り直しとなった。

 仕切り直しとなった直後の2球目、ヘルスリーの100マイル(約160キロ)を捉え、コントレラスは左中間に10号2ラン。ブルワーズは7-4にリードを広げた。

 ブルワーズ投手陣はそのリードを守り抜き、7-4で逃げ切りに成功。この日は新人のジェイコブ・ミジオロウスキー、ローガン・ヘンダーソンが立て続けに負傷した影響もあり、急きょトバイアス・マイヤーズが先発に抜擢された。しかし、ブルペン陣が5回2/3を3安打、1失点に抑え、それをカバーする活躍。ブルワーズは連勝を8に伸ばした。

 一方のメッツは泥沼の6連敗。この日はピート・アロンソがダリル・ストロベリーに並んで球団史上最多となる通算252号を放って先制したが、投手陣が持ちこたえられなかった。東地区首位のフィリーズとの差は4.5ゲームに広がっている。

2025.8.10 15:04 Sunday

イチロー氏の51番がマリナーズの永久欠番に セレモニーが開催

 9日(日本時間10日)、マリナーズは本拠地T-モバイルパークで行われるレイズ戦の前に先駆け、イチロー氏(51)の永久欠番制定セレモニーを執り行った。同球団の会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏は、今年1月にアジア人選手として初めて米野球殿堂に選出。そして、同氏が現役時代にキャリアの大半を過ごしたマリナーズはこの日、同氏の51番を永久欠番とした。

 元チームメートで米野球殿堂入りの名選手ケン・グリフィーJr.氏は、セレモニーの冒頭で「殿堂入りと永久欠番おめでとう。やっとだね。何でそんなに時間がかかったんだい? 僕はもう5年目だよ?」とイチロー氏に語りかけ、笑いを誘った。現役時代はチームメートとして戦ったマリナーズのダン・ウィルソン監督は「イチローにとって、今日は信じられないような日だ。背番号が永久欠番になるなんて、本当に栄誉なことだ」と語った。

 そしてイチロー氏本人も同じ気持ちだった。イチロー氏は7月にクーパーズタウンで行われた殿堂入り記念式典に続き、今回もシアトルのファンの前で英語でスピーチを行い、「シアトル・マリナーズの一員であったことを本当に誇りに思う」と語った。これはグリフィーJr.氏が2016年に本人の殿堂入りスピーチで語った言葉のオマージュだ。

 グリフィーJr.氏と同様、イチローもキャリアの後半はマリナーズから他球団に移籍し、そして引退前の2年間マリナーズへと復帰した。イチロー氏は「彼(グリフィーJr.)と同じように、私も家を出てから、家に勝る場所は本当にないことに気づいた」と語り、シアトルへの愛着について語った。

 イチロー氏の「51番」は左中間にグリフィーJr.氏の24番、エドガー・マルティネス氏の11番とともにT-モバイルパークに永遠に掲げ続けられるだろう。そして、イチロー氏の「51番」の隣はすぐに埋まることになるはずだ。イチロー氏がオリックス・ブルーウェーブに入団して最初に割り当てられたとき、何の意味も持たなかった51番という背番号は、彼がマリナーズに入団してその背番号を着けるときには、既に大きな意味を持つ背番号だった。

 イチロー氏は、この日の20分間のスピーチの大部分を、マリナーズの球団殿堂入りメンバーとともに式典を見守った“もう一人の背番号51”、ランディ・ジョンソン氏に向けて語った。「シアトルで51番と言ったとき、それは1989年から1998年にかけてそのユニフォームを着て数々の偉業を成し遂げたランディ・ジョンソンの番号だ。2001年にここに来たとき、ランディの同意がなければ絶対にその番号を着ることはできなかった。彼は快くそれを許可してくれた」とイチロー氏は語り、ジョンソン氏へ感謝を伝えた。

 そしてイチロー氏は「今日の式典に出席してくれたランディに感謝する。彼の来シーズンに出席できることは、私にとって大きな名誉だ」と語った。マリナーズは来季、背番号51を再び永久欠番とする。「51番」は、シアトルでサイ・ヤング賞を獲得するなど偉大なキャリアを送ったジョンソン氏の背番号として、来季に永久欠番として再び讃えられる。

 さらに来季には、イチロー氏の銅像が球場の外に設置される予定であることも発表された。球場の外に銅像が設置されているのは、米野球殿堂入りしたグリフィーJr.氏とマルティネス氏のみだ。

 このイチロー氏の永久欠番セレモニーの様子を、マリナーズとレイズの選手はダグアウトにぎっしりと詰めかけて見守った。ワシントン州ピュアラップ出身のレイズの先発投手ドリュー・ラスムセンは「彼のプレーを観ることができて本当に嬉しかった。彼は子供の頃のヒーローだった。ここに来て、彼がマリナーズの偉大な選手として永遠に記憶されるのを目の当たりにできたのは、本当に素晴らしい経験の一つだ」と語った。

2025.8.10 15:02 Sunday

カブス打線が鬱憤晴らす爆発で大勝 鈴木は8月はOPS.869と好調

【カージナルス1-9カブス】セントルイス/ブッシュスタジアム、8月9日(日本時間10日)

 カブスの鈴木誠也は本拠地でのレッズ戦に「2番・DH」でスタメン出場。4打数1安打1四球1得点の活躍で、カブスの9-1の大勝に貢献した。カブスは8月に入ってから打線の調子が鈍っていたが、この日は13安打9得点と打線が爆発。先発のコリン・レイも6回1失点と好投し、投打噛み合った快勝につなげた。

 カブスは8月に入ってから3勝4敗と波に乗り切れていない。決して絶不調というわけではないが、地区優勝を争う相手が8連勝中のブルワーズでは分が悪い。8月1日(同2日)時点では1ゲームしかなかった首位ブルワーズとの差は、今や5ゲームへと広がっている。

 しかし、この日のカージナルス戦の快勝は、カブスにとって転機となるかもしれない。直近4試合では合計で9得点しか挙げられていなかったが、この日だけで9得点をマーク。得点圏では13打数5安打と勝負強い打撃も光った。

 カブスは初回からカイル・タッカーとカーソン・ケリーのタイムリーで2点を先制。二回にはマイケル・ブッシュの22号3ラン、そして二塁打で出た鈴木をケリーが再びタイムリーでかえし、6点目を追加した。そしてマット・ショウは三回にタイムリー三塁打、五回に8号ソロを放ち、さらにダメ押しした。

 先発のレイは6回1失点、6三振、3安打と素晴らしい内容で9勝目をマークした。今季は開幕当初こそロングリリーフと目されていたが、負傷者の続出に伴って先発ローテーション入り。そこから離脱なく先発し続け、マシュー・ボイドと共に先発ローテーションの屋台骨を担ってきた。

 鈴木は4打数1安打1四球1得点をマークし、今季の打撃成績を打率.251、OPS.828とした。連続試合安打は3に伸び、8月は打率.273、OPS.869と好調だ。

2025.8.10 13:21 Sunday

球団幹部がトレードデッドラインを振り返る 新たなトレンドは

 8日(日本時間9日)、トレードデッドラインから1週間が経過し、いよいよ本格的にポストシーズン争いが激化している。デッドラインまでの最後の31時間で50件のトレードが成立するなど、今季のトレード市場も大いに盛り上がった。各球団の幹部は匿名でインタビューを受け、今季のデッドラインについて振り返っている。

 多くのトレードが成立したにもかかわらず、ア・リーグのある球団幹部は「トレードは難しい」とデッドラインで得られた教訓について語った。大小問わずトレードが成立した一方、サンディ・アルカンタラ(マーリンズ)やルイス・ロバートJr.(ホワイトソックス)ら放出が噂された中で残留した大物選手も多かったのは事実だ。

 多くの場合、良いトレードは双方にとって痛手となる。才能を獲得するには、才能を手放さなければならないのだ。有望株や複数年保有できる選手を手放すのは、言うは易く行うは難しである。

 「勝利の代償は現実のものだ。チームや意思決定者の中には、その代償を払う意思のある者もいれば、そうでない者もいる」ある球団幹部は語った。そして複数の球団幹部が、勝利のためには常にその犠牲を払うことをいとわない人物を指摘した。パドレスのゼネラルマネージャー、AJ・プレラーだ。

 プレラーはトレードデッドライン当日に22選手を巻き込んだ5つのトレードを行ったが、中でもアスレチックスからメイソン・ミラーを獲得する6選手が絡むトレードは規模が大きかった。パドレスは剛腕ミラー獲得のため、「MLBパイプライン」で球界3位にランクインする18歳レオ・デブリースを放出し、球界の度肝を抜いた。

 「プレラーは皆を狂わせる!デブリースを売却する際に、複数のチームを待たせていた。買い手でありながら、最高額の入札者にデブリースを売り飛ばすという点で、まるで売り手のように動いていた」と、あるア・リーグ球団の幹部はデブリース放出の裏側を語った。デブリースは、「MLBパイプライン」が2004年にランキングを発表し始めてから、シーズン中にトレードされた最初のトップ5有望株となり、デッドラインでトレードされたトップ10有望選手としては史上3人目(他の2人はエロイ・ヒメネスとスコット・カズミアー)となった。

 「ここ数年、同じ傾向が強まっている。買い手は有望な有望株を手放したがらない。もちろんサンディエゴは例外だが」とあるナ・リーグの球団幹部は語った。優勝を狙うチームが、たとえ球界トップ10の有望選手でなくても、レンタルのスター選手と引き換えに有望株を複数人手放していたのは、それほど昔のことではない。

 2016年のデッドラインでは、ヤンキースはアロルディス・チャップマンとアンドリュー・ミラーという2人のリリーバーを放出。その見返りにグレイバー・トーレスら3人の球界トップ100有望株を獲得した。チャップマンとミラーはそれぞれ移籍先のワールドシリーズ進出に貢献し、対価となったトーレスも主力に成長した。

 ただ、今夏のデッドラインでは球界トップ100の有望株で移籍したのは3人のみ。デブリース以外では、エドゥアルド・テイト(56位)とミック・エイベル(91位)が共にヨアン・デュランの対価としてフィリーズからツインズへ移籍しただけだった。

 「チームはレンタルのために高評価の有望株を手放すことはもうない。たとえ短期的にどれだけチームに貢献してくれるとしてもだ」とナ・リーグのある球団幹部は語った。

 レンタル選手を高値で買う球団が減る一方、複数年保有できる選手、特に先発投手は法外な対価が設定される場合が多く、それは変わっていない。今夏のデッドラインではジョー・ライアン(ツインズ)、サンディ・アルカンタラとエドワード・カブレラ(共にマーリンズ)、マッケンジー・ゴア(ナショナルズ)らにトレードの噂が上りながら、結局は全員が残留した。

 「売り手が複数年保有可能な先発投手の売り値を下げなかった。だから、どの投手も移籍しなかったのだと思う」とはあるナ・リーグ球団幹部の談だ。そして別の幹部は野手に比べ、投手の獲得のコストが高いことに驚いていた。

 「投手の需要ははるかに高く、どのチームもそれを求めていると思う。野手を放出するなら、その選手が複数のポジションをこなせる場合を除き、まさにそのポジションのニーズを満たす球団に売らなければいけないから」と、投手の方が需要が高くなりやすい原理について、別の球団幹部は説明する。

 さらに今夏のデッドラインでは33人のリリーフ投手が移籍するなど、リリーフ市場が活況だった。「リリーフ投手の要求額は天井知らずで、そこからほぼ横ばいだった。最終的にコンテンダーが必要な対価を支払った」とあるナ・リーグの幹部は語る。

 「私にとって最大の話題は、どれだけのチームがオール・インしたかということだ。多くの球団が、これまでの戦略に基づき、ワールドシリーズ優勝のチャンスがあると考えているんだ。そして、そうしたチームの多くが、10月に勝利するためには、強力なブルペンが必要だと考えているのは明らかだ」。

 ポストシーズンの進出枠が拡大されたことを踏まえると、デッドラインまでのこの狂乱は今後のスタンダードになる可能性がある。ナ・リーグのある球団幹部は、レイズが行ったような買い手としても売り手としてもハイブリッドな動きを行うチームが増えると予測している。

 「ほとんどの人は、選手を移籍させるために、ぎりぎりまで待つだけだ」とあるナ・リーグの球団幹部は語った。また、別の球団幹部は先週の狂乱のデッドラインを振り返り、こう結論に至った。「全体的に見て、ここしばらくで最も楽しいトレードデッドラインの一つであることは間違いない」と語った。

2025.8.9 16:34 Saturday

小笠原が2回1/3を1失点 ナショナルズはジャイアンツに完封負け

【ジャイアンツ5-0ナショナルズ】サンフランシスコ/オラクルパーク、8月8日(日本時間9日)

 ナショナルズの小笠原慎之介がジャイアンツ戦の2番手としてリリーフ登板。4点ビハインドの6回途中から登板し、2回1/3を投げて1失点だった。チームは0-5で敗れている。

 ナショナルズ先発のジェイク・アービンは初回、ラファエル・デバースに21号ソロ、マット・チャップマンにタイムリーを浴び、2点を先制される。その後は立ち直り、二回から五回まで無失点に抑えた。

 しかし六回1死から失策で走者を出すと、ケーシー・シュミットに7号2ランを被弾。ここでアービンは降板し、2番手小笠原と交代となる。

 小笠原は最初に対戦したパトリック・ベイリーを直球でセンターフライに、続くドリュー・ギルバートも直球でセカンドゴロに打ち取った。続く七回は先頭から2連続四球を与えたが、強打者ウィリー・アダメスからカーブで空振り三振、ドム・スミスはボールゾーンのスライダーを打たせてレフトライナーに、チャップマンにはチェンジアップを引っ掛けさせてサードゴロに打ち取った。

 八回、小笠原は先頭に直球を捉えられ、安打を許した。その後サードゴロに打ち取って1死二塁となったが、続く打者のボテボテのゴロがキャッチャー前の内野安打に。打者走者がセーフとなる間に、キャッチャーもピッチャーもカバーしていなかった本塁を二塁走者が陥れ、ジャイアンツは5点目を加えた。ここで小笠原は降板した。

 小笠原は2回1/3を投げて1失点、2安打、1三振、2四球の内容だった。変化球を駆使してジャイアンツ打線を抑えたが、不運もあって追加点を奪われた。防御率は6点台に突入し、6.75に改善している。

 試合はそのままジャイアンツが5-0でナショナルズを完封。オープナーの後を受けて登板した2番手鄧愷威(テン・カイウェイ)が5回無失点と好投し、キャリア初勝利を挙げた。

2025.8.9 15:46 Saturday

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