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ブルワーズは運が良かった? パワーなしで総得点メジャー3位の理由

 「われわれはほぼすべてのエラー、守備のミス、そして投球のミスをうまく利用してきた。それがわれわれの哲学であり、アイデンティティだ。相手にプレーさせ、その過程で相手を地獄に引きずり込みたい」 ブルワーズの打撃コーチ、コナー・ドーソンはブルワーズの哲学についてこう語った。

 今季のブルワーズはチーム本塁打数でメジャー22位、ハードヒット率で同25位、「スタットキャスト」の打球の質を測る指標で同27位タイ、ゴロ率で4位に終わった。確かに三振数は平均より少し少なく、四球数も平均より少し多かったが、どちらの数字も飛び抜けて優れているわけではない。実際、これらのチーム成績は得点力に優れた攻撃陣の特徴より、ホワイトソックスのようなチームを彷彿とさせる。

 それでも、ブルワーズは806得点を挙げた。これはメジャー3位の得点数で、ヤンキースとドジャースに次ぐ数字だった。ホワイトソックスよりは159得点多く、1試合あたりの平均では1得点多い。ただ、9月に限れば、30チーム中22位に低迷した。

 これらすべてを踏まえると、2つの疑問が浮かび上がる。ブルワーズはレギュラーシーズン最初の5ヵ月間で本来の実力から予想される以上の得点をどのように生み出したのか?さらに重要なのは、あす4日(日本時間5日)から始まるポストシーズンで、再び同じことを成し遂げられるか?

 ブルワーズの得点はすべて魔法で入ったわけではないが、大きな本塁打によって入ったわけではない。ブルワーズは101点の非自責点を奪い、これはメジャーでダントツの数字だった(マーリンズが83非自責点で2位)。これはシーズン総得点の8分の1に相当する。また、非自責点は延長戦のオートマチックランナーの得点も含められるが、ブルワーズは延長戦での得点数は中堅クラスだった。

 そもそも自責点という用語は、投手のために存在する。バックの守備のミスによって投手の成績が不当に悪くならないように生み出された。つまり、相手打線にとっては全く関係がない要素だ。しかし、今季のブルワーズが非自責点を意図的に多く生み出せていたとしたら?

 MLBのデータシステム「スタットキャスト」には、「フィールディング・ラン・バリュー」という守備力を測る上で最も有用な指標がある。これはあらゆる守備の要素を同じ土俵で表すことができる。

 この「フィールディング・ラン・バリュー」は、その打線と対したときの相手チームの守備力も測ることができる。そして、結論から言えば、今季ブルワーズ打線と対したときの相手チームの守備力は、メジャーで最も悪かった。

2025年、打撃時の相手の内野守備が最も悪い打線

-26 // ブルワーズ -22 // アスレチックス -20 // タイガース -18 // オリオールズ -17 // ガーディアンズ

 守備の不調に最も助けられたチーム(ブルワーズ)と、守備の好調に最も苦しめられたチーム(パイレーツ)の間には、58点の差があった。「10点取れば勝ち」という短絡的な表現からすると、極端な場合では6勝、平均より3勝近く多いと言えるかもしれない。

 これは単に運が良かっただけだと言う人もいるだろう。ブルワーズを貶すつもりはないが、確かにある程度は正しい。この守備のマイナスには、太陽と打球が重なって落球したようなケースも含まれ、それらはバットをボールに当てたという点を除けば、それほど技術が絡んでいるとは思えない。

 ただ、ここにブルワーズの戦略が隠されているかもしれない。ブルワーズは他のどのチームよりスイングが少ない一方、ボール球を振ってしまう確率も他のどのチームより低い。スイングをすれば、他のどのチームよりコンタクトが多い。

 ブルワーズはより多くのボールをバットに当てられる。そしてブルワーズのチーム平均のスプリントスピード(脚の速さ)はメジャー2位あり、打席から一塁への平均到達タイムは最速。今季のブルワーズがダントツで内野安打が多く、さらに直近10年で見ても最多だった。

2015年以降、チーム内野安打数

174 // 2015レッドソックス 164 // 2025ブルワーズ 162 // 2015アスレチックス 161 // 2018カブス

 「プレッシャーをかけることで、良いものが生まれると思う」とドーソン打撃コーチは語る。相手にプレッシャーをかけるとは、例えばこのようなプレーだ。ブライス・トゥランは4.04秒で打席から一塁へ到達した。これはトゥランによる今季のベストハッスルプレイの一つだ。このプレーにより、オリオールズの遊撃手ガナー・ヘンダーソンは「スタットキャスト」が80%の確率でアウトにすると評価した内野ゴロを内野安打にしてしまった。

 さらに塁に出たあとでも、走力の脅威は続く。ブルワーズの走塁得点指標はメジャートップの+15であり、これは1.5勝分に相当する。個人ではこの走塁指標でトップ40に入る選手が一人もいなかっただけに、そのチーム力の高さは注目に値する(平均を下回ったのは捕手のウィリアム・コントレラスのみ)。ブルワーズは盗塁数でもメジャー2位に入っている。

 これらの要素すべてが結果につながっている。出塁した走者が得点した確率33%は、メジャートップだ。

 「私たちが一年を通してやってきたこと全てが、この試合にどう臨むべきかということと合致している。誰も信じてくれないかもしれないけど、これは私たちにとって大きなプラスになると思う。なぜなら、私たちは一年を通してこういう野球をやっているからだ」と、パット・マーフィー監督は語る。

 ナ・リーグ東地区のスカウトもこう語った。 「今のチームには、本当のアイデンティティってものがない。私にとって、ブルワーズは最も深いアイデンティティを持つチームであり、どんな野球をしたいのかを分かっている」

 しかし、ブルワーズの前には歴史的な逆風が直接立ちはだかっている。もしポストシーズンにおいて、決して揺るぎない真実があるとすれば、それはパワーがなければプレーオフで勝利することはできないということだ。スモールボールは10月まで持ちこたえるには役立つかもしれないが、世界一にはつながらない。近年のガーディアンズが証明しているように。過去10年のポストシーズンで、対戦相手に本塁打数で勝ったチームは、82%の勝率を誇っている。

 少なくとも、ポストシーズンには守備が良いチームしか出られないという理由もある。(驚くことではない。今年の守備指標上位5チームはいずれもプレーオフに進出したが、下位9チームのうち、マリナーズしかプレーオフに進出できなかった)

 そのため、インプレー打球の打率(BABIP)は、レギュラーシーズンの比べてポストシーズンでは大きく低下するということが証明されている。過去10年ではレギュラーシーズンのBABIPが.296(BABIPは長い目で見れば.300前後に収束する)なのに対し、ポストシーズンでは.277に下がる。

 同時に三振率も上昇し、レギュラーシーズンでは22.3%だった三振率は、ポストシーズンでは25%に上がる。

 フェアゾーンに打球を飛ばしてもヒットになる確率は低く、さらに三振も増える。ポストシーズンで本塁打が重要視されるのは当然だと言える。

 「どんなチームでもポストシーズンで得点するのは難しい。ブルワーズでもドジャースでも、どんなチームでもね。僕らの攻撃は塁に出れば機能する。必ずしも長打を打つ必要はないが、長打を打てる可能性は間違いなくある。それが僕らにはあるんだ」と、主砲のクリスチャン・イェリッチは語る。

 実際、ブルワーズは長打を量産する期間もあった。ブルワーズはレギュラーシーズン最初の2ヵ月間では、長打率は下位10チームに位置していたが、次の2ヵ月では平均レベルに上昇。そして8月にはメジャー2位の長打率.480(チームとしても2008年以来の高水準)を記録した。

 しかし、9月には長打率、得点ともにメジャー23位に低迷。8月の長打攻勢を牽引したトゥランは月間本塁打を10から2に減らし、シーズン途中にブレイクしたアンドリュー・ボーンは119打席連続本塁打なしでシーズン終了。さらにコントレラスも左手の打撲に悩まされた。

 仮に長打力が戻ってこないならば、ポストシーズンでの成功は相手守備を苦しめることにかかってくる。それは起こり得る。昨季、ワールドシリーズ第5戦ではヤンキースの守乱が勝負を分けた。ただ、ポストシーズンで対するのは優秀な守備力を持つチームばかりだ。

 ナ・リーグ最強の守備を誇るカブスとの地区シリーズで、メジャー最高勝率を記録したブルワーズの真価が測られることになるだろう。

2025.10.4 15:07 Saturday

上位シードの第1ラウンド免除は有利?不利? 過去のデータから紐解く

 2025年ポストシーズンは、ワイルドカードシリーズが終わり、地区シリーズへと突入する。毎年のように囁かれるのが、ワイルドカードシリーズで勢いをつけた下位シードのチームの方が、ワイルドカードシリーズが免除され実戦間隔が空いている上位シードのチームより優位という言説だ。

 果たしてこれは本当なのだろうか?答えは常に「もちろん、そんなことはない」だ。ワイルドカードシリーズを免除されたチームは、まずワイルドカードシリーズで敗退する可能性が0%であり、さらに地区シリーズでは初戦から自由に投手を運用できる(ガーディアンズを破るために主力先発投手3人全員を起用しなければならなかったタイガースは、マリナーズとのALDS第1戦をブルペンゲームから始めなければならない。ワイルドカードシリーズが免除されていれば、タリック・スクーバルらを順に登板させられたはずだ)。

 恐らく何より重要なのは、最大5戦の地区シリーズまだたどり着ける実力を持つ2チーム間の勝負の結果を、番狂わせと呼ぶのは難しいということだ。ロナルド・アクーニャJr.のようなスター選手が、ワイルドカードシリーズでマーリンズと戦う必要があったフィリーズ相手に、2023年のNLDSで14打数2安打と苦しんだように、優秀な投手陣を擁していれば下位シードが勝利することはごく普通で、よくあることだ。

 しかし、その年の夏にフィリーズが快進撃を遂げていたことを考えれば、それほど大きな番狂わせではなかったにもかかわらず、104勝を挙げたブレーブスが90勝のフィリーズに敗れたことから、この「地区シリーズでは下位シードの方が有利」の言説は存続した。

 ポストシーズンが現行のフォーマットになってから3年。

 これまで12度の地区シリーズが行われ、そのうち6度は休養を取った上位シードが勝利し、6度は勢いをつけた下位シードが勝利した。2024年は上位シードが4シリーズ中3シリーズで勝利し、2023年は下位シードが4シリーズ中3シリーズで勝利した。2022年は五分五分で終わった。ここからわれわれは何を学んだだろうか。

ワイルドカードシリーズ免除による悪影響があると言えるだけの十分な証拠はあるか?

 恐らくない。 ポストシーズン進出可能な実力を持つチーム同士が、最大5戦の直接対決を12度行うと、そのほとんどが勝率.540程度に収まる。最近の調査によれば、ポストシーズンの序盤から最大7戦のシリーズが行われるNBAと同等の「レギュラーシーズン中の勝率が高いチームの突破確率」を出すためには、MLBでは最大75戦のシリーズを行わなければならないという。

 野球は小規模なサンプルでは予測不可能であり、最大3戦や最大5戦の形式ではどのチームが優れているかは分からない。数週間前、シーズン91敗のパイレーツがドジャースをスイープ(3連勝)したのはその好例だ。仮にワイルドカードシリーズ免除による悪影響があるなら、ブルージェイズは地区優勝とワイルドカードシリーズ免除を懸けたレギュラーシーズン最終戦に、エースのケビン・ゴーズマンを先発させなかっただろう。負けてワイルドカードシリーズをプレーしなければならなくなったら、ゴーズマンはそこで投げることはできなかった。ブルージェイズがシード権を望んだのにはこの理由がある。

第1ラウンド免除を得たチームの内、ワイルドカードシリーズでシーズンが終了したチームはない

 ワイルドカードシリーズ免除を獲得したチームは、地区シリーズへの進出確率が100%だ。これは球界で唯一、予測可能なことだ。もちろん冗談半分だが、重要なことでもある。「第1ラウンドを免除されたチームが地区シリーズで負けたかどうか」だけに注目するなら、ワイルドカードシリーズでも負けたチームが全くいないという事実も無視できない。

 ランディ・アロザレーナ(マリナーズ)はまさにその通りだと発言した。「地区優勝してバイウィークを獲得できたのは間違いなくプラスだと思う。レギュラーシーズンが終わって、そのままプレーし続けるよりずっといい」

その番狂わせは本当に番狂わせだったのか?

 この問は非常に難しい。「レギュラーシーズンの勝利数が多く、シード順が高い」ということは、どちらかのチームが優れていることを示すはずだが、これらの栄誉はレギュラーシーズンの半年間にわたって集められたものだ。ポストシーズンではせいぜい4日間でそれが決まる。

 それを確認する一つの方法が、データサイト「ファングラフス」のシリーズ前の突破確率を確認することだ。この突破確率は、単に「チームの成績を評価する」だけではなく、より多くの要素を考慮しようとしている。10月のロースターは年間を通したロースターと顔ぶれが異なる可能性があり、これは非常に重要だ。

 過去の12の地区シリーズのうち、上位シードのチームには平均60%の突破確率が与えられていた。つまり、「上位シードは7度勝つと予想されていた」ということだ。しかし、実際には上位シードのチームは6度しか勝利できなかった。もしそれが納得できないなら、答えは「野球によくあること」だ。(その1度は2023年の地区シリーズ。ドジャースのクレイトン・カーショウは負傷を抱えており、初戦をわずか1/3回で降板し、ダイヤモンドバックスに下剋上を許した)

では、上位シードのチームが突破する確率はどのくらいか?

 ドラマと番狂わせが見たい。そうでなければ、試合をする意味がない。だったら、上位シードのチームがワールドシリーズまで進出すればいい。上位シードのチームの進出率が0%なのも、100%なのも望まれないだろう。

 2012年から2024年まで、1試合勝負で行われたワイルドカードゲームを除くと、ポストシーズンでは111度のシリーズがあった。そのうち2度はレギュラーシーズンの成績が同じだったチーム同士の対戦だったため、それを除くと109度になる。

 ここで、上位シードの成績は59勝52敗だった。すべての試合における勝率は.531で、レギュラーシーズンにおけるホームアドバンテージの.543とほぼ同じだった。つまり、少なくともある意味では予想通りの成果を挙げていると言えるだろう。

 ただ、現行のポストシーズンのフォーマットが、完璧で変更不可能だというわけではない。結局のところ、上位シードに「休養」や「本拠地開催」よりも大きなアドバンテージを与えるために調整を加えたり、第1ラウンド後にシードを変更したり、上位シードの勝率を52%以上にしたりしたいと考えるかもしれない。また、この休養期間が打者に影響を与えないことを証明するのは容易ではない。少なくとも、「ポストシーズン進出チームの最高の投手と対戦する」ことよりも影響が大きいことを証明するのは容易ではない。

 しかし、各リーグの上位2シードが、第1ラウンドからプレーするか、第2ラウンドからプレーするか選択肢を与えられていたとしたらどうだろう。それぞれのチームがどのような選択をするかは、ほぼ予想がつく。ワイルドカードシリーズでシーズンを終えるリスクを冒すような選択はしないだろう。第1ラウンド突破が保証されること以上に価値のあるものはないのだ。

2025.10.4 13:47 Saturday

マリナーズはローリーをどう発掘したのか 低評価を覆した理由

 2024年にプラチナグラブ賞を受賞し、さらにシーズン60本塁打を捕手として初めて達成した選手が、なぜ2018年ドラフトの全体90位まで残っていたのだろうか。当時、フロリダ州立大学に所属していたカル・ローリーには選手としての素質に多くの疑問が投げかけられていた。幸運なことに、マリナーズにはその疑問を解消してくれる地域スカウトがいた。

 ローリーは両打席でパワーを発揮していたが、ケープコッドリーグ(有望な大学生が参加するサマーリーグ)では木製バットで好成績を残せず、2年次には打撃不振に陥った。3年生になると、打率.326、出塁率.447。長打率.583、13本塁打と復活したが、守備の評価は依然として賛否両論だった。「MLBパイプライン」のドラフト候補選手ランキングでは150位にとどまり、指名後に契約できるかどうかも懸念されていた。

 地域スカウトはチームの選手選びにおいて大きな役割を果たしている。2001年に現役を引退し、マリナーズでスカウトを始めたロブ・ムンマウは、2018年にはチームにとって非常に貴重な存在になっていた。

 たとえば、2018年のドラフト1巡目ローガン・ギルバートの獲得にも、ムンマウは貢献した。ギルバートはドラフトイヤーが始まるときには全体5位以内で指名されると予想されていたが、春に診断未確定の単核球症に悩まされ、直球の球速が低下。他球団が指名を見送る中、ムンマウの情報で病気の懸念を払拭できていたマリナーズが全体14位で指名した。その後のギルバートの活躍は周知の通りだろう。

 マリナーズは2018年のドラフトでこれまで以上にデータを活用した。従来のスカウティングに依拠しつつも、初めて様々な定量化可能な要素を考慮したモデルを導入したのだ。そして、そのモデルはローリーに低い評価を与えていた。当時スカウティング担当部門の次長だったトム・アリソンは、そのモデルがローリーをドラフト候補選手の中で全体379位にランク付けしたことを覚えている。

 しかし、ムンマウはローリーが不振に陥った2年次にケガを抱えながらプレーしていたことを知っていた。ムンマウはシステムの低評価の原因となった2年次の不振について説明し、チーム分析担当ディレクターのジェシー・スミスをはじめとするスタッフ全員の安心感を高めた。

 マリナーズはローリーを3巡目で指名する計画を立てた。3巡目指名権を持っていなかったブレーブスが4巡目で100万ドル以上の契約金を約束していたという噂もあったが、マリナーズにはそれだけの契約金を払う余裕がなかった。マリナーズはムンマウとローリーの良好な関係、そしてローリーがプロの世界に入りたいと思っており、最終的に契約するだろうというムンマウの直感を信じていた。

 現在ドジャースの特別アシスタントを務めるアリソンは語った。 「鍵となったのは、ロブがドラフト1巡目のローガン・ギルバートの時のように、選手の空白を埋めることができたことだ。カルの2年目はひどい成績だったが、ロブはフロリダ州立大学のコーチ陣と非常に緊密な関係にあり、たとえそれが目に見えなくても、彼が怪我をしていることを把握していた。ロブは空白を埋めることができた。それが優秀なスカウトのすることだ」

 2016年9月からマリナーズのスカウト部長を務めているスコット・ハンターは、自分のチームがローリーについて好意的な報告をしていたが、その中でもムンマウの報告ほど高評価なものはなかったことを覚えている。 「最初のスカウティングレポートは2017年秋に届いた。ロブは彼のパワーに高い評価を与えていた。70(20~80評価、50はメジャーリーグ平均)だった。ひどい2年目を終えたにもかかわらず。他の皆は55か60だと思っていた。彼にはパワーはありましたが、守備の評価はどれも45~50程度でした。肩も45~50程度で、純粋な打撃能力は、人によっては軽視されていた。しかし、ロブは彼をより高く評価し、60から70の評価を与えていた」

 ムンマウは、ローリーの父トッドが同校のアシスタントコーチを務める数年前、ジェームズ・マディソン大学で大学時代を過ごし、その家族と親しかった。2015年、1年生になる前の秋季練習で初めてローリーを見学し、多くの魅力を感じたという。 「カルはすぐに頭角を現した。大柄で体格に恵まれ、両打席から力強い打球を放つ選手だった。キャッチングも良く、肩も強かった。彼について私が注目したのは、様々な角度からボールを​​投げられることだ。『この選手は他のキャッチャーよりも運動能力が高い』と思った」

 他のマリナーズ内部の評価では、ローリーは控え捕手が既定路線で、レギュラー獲得の可能性もあるというものだった。ムンマウはローリーがスタメン捕手になれると想定していたが、メジャーで最高の守備力を持ち、シーズン60本塁打を打つような選手になるとは思っていなかった。

 ローリーとの契約交渉はギリギリまで緊迫し、7月6日の期限直前に85万4000ドル(契約金を22万1300ドル上回る)で契約した。プロ1年目で29本塁打を放ち、2Aに昇格すると、マリナーズは予想以上に実力があるかもしれないと気づき始めた。2021年にメジャーデビューを果たし、翌年には代打サヨナラ本塁打を放ち、シアトルの21年ぶりのプレーオフ進出を決めた。レギュラーとして4シーズンで通算151本塁打を放つ一方、フレーミング・盗塁阻止など守備力も際立っている。

 アリソンは語る。「彼が今のようなパワーを持つとは誰も思っていなかった。カルに会っての考え方や、体を鍛えて投球やゲームプランを磨きたいという熱意を知ると、『ああ、彼には特別な選手になれるチャンスがあるんだ』と思った。彼の資質は本当に素晴らしかった」

 ローリーの資質こそが、この成功の最大の要因かもしれない。ローリーはほぼ毎日プレーし続けるタフさと情熱、そして常に向上しようとする意欲と勤勉さを持っている。

 ローリーがマイナーリーグに在籍していた頃、彼は自宅の部屋でブロッキングの練習ができるように、テニスボールを投げるマシンを使っていた。コーチ陣は、ウェイトボールを使ったトレーニングや、リリースと肩の筋力向上のための投球練習、そして投手陣とのゲームプランニングに時間をかけるために他の選手より何時間も早く球場に到着して練習を終わらせていることを常に注目していた。

 ハンターは語る。「カル・ローリーについては、我々は皆間違っていた。ローリーをチームに迎え入れ、そのまま任せた。大学時代と比べて、成績は2、3段上がった。我々は正しい理由で、正しい人間、そして正しい選手を獲得した。そして、そこに至るまでには皆で力を合わせた努力があった」

2025.10.4 12:23 Saturday

ドジャースがDSの先発予定を発表 第2戦スネル、第3戦山本

 3日(日本時間4日)、あすから始まるフィリーズとの地区シリーズ(NLDS)に向けて、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が先発予定を明かした。第1戦は大谷翔平(31)、第2戦はブレイク・スネル、第3戦は山本由伸(27)が先発する。

 また、タイラー・グラスナウは第4戦の先発として予想されているが、第1戦にリリーフ登板することも可能。先発投手として登板間隔で行うブルペン投球練習の代わりとして、実戦で短いイニングを投げる起用法だ。そして、クレイトン・カーショウもブルペン陣の一員としてNLDSからロースター入りする。

 ワイルドカードシリーズでは、スネル(7回2失点)と山本(6回2/3、自責点0)の好投によって勝利。その2枚看板は第1戦と第2戦の間の休養日によって、通常通りの登板間隔で先発できる。

 ドジャースは開幕前に構想していた完全体のローテーションを組むのに、8月までかかった。しかし、全員が健康になった8月以降、ドジャースの先発ローテは防御率2.74でメジャートップの成績を収めている。ポストシーズンのプランとして、スネル・山本・大谷の3枚を軸とすることを掲げており、ロバーツ監督は必要であればその3人を試合の終盤まで投げさせる用意がある。「すべては彼らの投球次第だと思う。彼らがチームで最も才能のある投手だと言うのは簡単だ。だから、当然のことながら、彼らにイニングや投球の大半を任せたい」

 今季のドジャースのブルペン陣の不安定さを考えると、先発ローテからブルペンに投手を回すことは重要だ。第1戦でグラスナウをリリーフ投手として起用し、カーショウを残りの試合でリリーフ投手として起用できれば、その効果はさらに高まるだろう。エメット・シーアンもブルペンに転向したが、ワイルドカード・シリーズ第2戦では1/3回で2失点と苦戦した。

 カーショウはレギュラーシーズンで1度リリーフ登板し、9月24日にアリゾナで行われたドジャース戦で九回を無失点に抑えた。今季限りで引退するベテラン左腕は、ポストシーズンでの通算成績は良くないが、カーショウの安定感がロバーツ監督の期待を裏切ることはないだろう。不安定なブルペン陣に、カーショウの投球が風を通す助けとなる。

 右掌の骨折を抱える正捕手ウィル・スミスは依然、リハビリに努めている。チーム練習ではカービー・イェーツとベン・カスパリアス相手に実戦打撃練習を行い、安定したプレーを見せた。ワイルドカードシリーズでも2人の捕手とともにロースター入りしたが、NLDSでもロースター入りする見込みだ。

 ロバーツ監督はスミスが捕手として出場できるはずだと述べているが、捕手としてフルイニング出場した際、スミスの手の状態がどう変化するかは不透明と考えている。「彼が長い間捕手としてプレーしていないことを念頭に置いている。それからシリーズ全体を見て、彼がどれだけの能力を発揮できるかを考える」

2025.10.4 11:26 Saturday

地区シリーズの対戦カードが決定! 注目選手、勝負の鍵は?

 ワイルドカードシリーズが終了し、2025年のポストシーズンは次なるラウンドである地区シリーズ(最大5戦)へと進む。ワイルドカードシリーズの結果から、地区シリーズの組み合わせも決定。ナ・リーグは、第1シード・ブルワーズと第4シード・カブスの同地区ライバル対決と、第2シード・フィリーズと第3シード・ドジャースとのスター軍団対決が予定されている。一方のア・リーグは白熱した地区優勝争いを演じた第1シード・ブルージェイズと第4シード・ヤンキースが再戦し、そして初のワールドシリーズを目指す第2シード・マリナーズと第6シード・タイガースがぶつかる。

 ナ・リーグ地区シリーズは上位シードの本拠地で4日(同5日)に第1戦が行われ、翌5日(同6日)は休養日、6日(同7日)に第3戦が行われる。7日(同8日)の移動日を挟み、下位シードの本拠地に舞台を移して8日(同9日)に第3戦、決着がつかなければ9日(同10日)に第4戦が開催。再び決着がつかなければ、上位シードの本拠地に戻って移動日を挟んで11日(同12日)に第5戦が行われる予定だ。

ブルワーズ(1)-カブス(4)

シーズン中の直接対決

 カブスが7勝6敗で勝ち越し。

ポストシーズンでの過去の対戦

 これが初顔合わせ

対戦の鍵

 フレディー・ペラルタ(ブルワーズ)がこのシリーズに登場する唯一のエース級投手であり、シリーズは両軍のブルペン勝負となる可能性がある。ブルワーズはシーズンを通して球界屈指のブルペン陣を誇り、カブスのブルペン陣も現在絶好調。9月、ブルペン陣は奪三振率(1打席あたり)30.8%を記録し、ワイルドカードシリーズでも13回2/3を投げてわずか1失点しか許さなかった(オープナー後に登板した今永昇太除く)。

 さらに塁上の勝負にも注目。ブルワーズは年間164盗塁を決めてリーグ1位、カブスも161盗塁で同2位に入っており、スピードで流れを変えられる。一方でカブスはブルワーズより57本多く本塁打を放っており、パワーは差が出る要因となるかもしれない。ただ、ブルワーズ投手陣は長打を抑える能力においてリーグトップクラスに入っており、カブスの長打力をどう抑えるか見ものだ。

注目選手:鈴木誠也

 カブスの攻撃陣の鍵を握るのは、鈴木とマイケル・ブッシュだ。鈴木は後半戦に打撃不振に陥り、38試合連続で本塁打が出なかった。しかし、レギュラーシーズン最後の4試合ですべて本塁打を放ち、ワイルドカードシリーズでも好調。今季ブルワーズに対して打率.120、OPS.428と相性が悪い鈴木が打てれば、カブス打線は勢いづく。

フィリーズ(2)-ドジャース(3)

シーズン中の直接対決

 フィリーズが4勝2敗で勝ち越し。

ポストシーズンでの直接対決

 過去5度対戦し、直近3度の対戦ではフィリーズが勝利。

対戦の鍵

 このシリーズは両軍のスター選手の活躍にかかっている。大谷翔平、カイル・シュワーバー、フレディー・フリーマン、ブライス・ハーパーなど球界を代表するスター選手たちが激突する。打線だけでなく、先発マッチアップでも山本由伸、クリストファー・サンチェス、ブレイク・スネルらトップクラスの先発がずらり。地区シリーズではこれ以上望むべくもないほどの好カードと言える。

注目選手:トレイ・ターナー

 右ハムストリングの負傷で9月の大半を欠場したターナーのコンディションは、フィリーズにとって大きな鍵になる。ターナーは今季、OPS.812、ナ・リーグの野手3位のWAR6.7を記録。代名詞のスピードでも36盗塁を稼ぎ、遊撃守備も安定感がある。シリーズの行方を左右するゲームチェンジャーだ。

 ア・リーグの地区シリーズは、4日(同5日)と5日(同6日)に上位シードの本拠地で第1、2戦が行われる。6日(同7日)の移動日を挟み、7日(同8日)に下位シードの本拠地で第3戦、決着がつかなければ8日(同9日)に第4戦がそのまま開催。それでも決着がつかなければ、移動日を挟んだ10日(同11日)に上位シードの本拠地に戻って第5戦が行われる。

ブルージェイズ(1)-ヤンキース(4)

シーズン中の直接対決

 8勝5敗でブルージェイズが勝ち越し。ブルージェイズは本拠地ロジャースセンターで6勝1敗、ヤンキースも本拠地ヤンキースタジアムで4勝2敗と、互いに本拠地で強い。

ポストシーズンでの直接対決

 これが初顔合わせ。

対戦の鍵

 両軍とも強力打線を擁し、先発投手陣もベテランが多く安定感がある一方、ブルペン陣に不安を抱える編成は同じ。ただ、最大の違いは守備力にある。ヤンキースは昨季のワールドシリーズ敗退の一因にもなったようにミスが多いが、ブルージェイズはMLB屈指の守備力を誇っている。この対戦の鍵はヤンキースが投手陣を軸にミスのない野球を展開できるかどうか。ブルージェイズ打線はリーグ最高の三振率17.8%を記録しており、高い奪三振力を持つヤンキース投手陣にも対抗できる。

注目選手:ジョージ・スプリンガー

 36歳のベテランは今季復活を遂げ、特にヤンキースを大きく苦しめた。ヤンキースとの13試合の対戦では打率.348、OPS1.116、4本塁打、12打点と爆発。ポストシーズンにも強く、歴代6位のポストシーズン通算19本塁打、通算OPS.875を記録し、2017年のワールドシリーズMVPにも輝いた。ただ、アストロズ時代はヤンキースとのポストシーズン通算14試合で打率.145と沈黙。ブルージェイズにとっては核弾頭のベテランの調子が鍵を握る。

マリナーズ(2)-タイガース(6)

シーズン中の直接対決

 マリナーズが4勝2敗で勝ち越し。7月にタイガースの本拠地コメリカパークで行われた3連戦は、合計スコア35対14でマリナーズが圧倒して3連勝した。

ポストシーズンでの直接対決

 これが初顔合わせ。

対戦の鍵

 チーム本塁打数はタイガースの198本に対し、マリナーズが238本と圧倒しており、パワー面ではマリナーズ有利。投手陣の層の厚さもマリナーズに傾く。エース格のブライアン・ウーの出場は不透明だが、それでもジョージ・カービーやローガン・ギルバートらが健在で、ブルペン陣も9月は好調だった。一方、タイガースにはタリック・スクーバルがいる。2年連続のサイ・ヤング賞受賞を目前にする怪物左腕は、ワイルドカードシリーズで7回2/3、キャリアハイの14三振を記録。第2戦と第5戦の2試合に先発できる可能性がある。

注目選手:カル・ローリー

 ローリーは今季歴史的活躍。メジャーリーグ史上7人目のシーズン60本塁打を成し遂げ、捕手とスイッチヒッターのシーズン記録を更新した。本塁打、打点の二冠に輝き、マリナーズを2001年以来の地区優勝に導いた。オールスターのホームランダービーも制するなど、まさにローリーの年と言っても過言ではない年だった。ローリーはマリナーズを2001年以来のア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)へ、そして史上初のワールドシリーズ(WS)へ導けるか。

2025.10.3 13:46 Friday

右腕ウーが投球再開 ALDSの出場は不透明 15勝挙げたマリナーズのエース

 2日(日本時間3日)、胸筋の負傷で2週間登板から遠ざかっているマリナーズのブライアン・ウー(25)が投球練習を行った。4日(同5日)から始まるタイガースとの地区シリーズ(ALDS)の出場は未だ不透明だ。

 ウーはブルペンでウォーミングアップとして25球、さらに打者を立たせて15球を投じた。ウーは「ポジティブな一日だった」と振り返ったが、地区シリーズのロースター入りについて楽観的かと問われると、言葉をつまらせた。 「まだ何も予想はできない。一日一日を大切に過ごしている」

 ウーは今季、30先発(186回2/3)で15勝7敗、防御率2.94、198三振をマーク。自身初のオールスターに選出され、マリナーズのエースとして台頭した。

 しかし、9月19日のアストロズ戦で胸筋の負傷を訴えて途中降板。それ以降、登板がない。リハビリに努めるウーは「ああいう怪我は、簡単には治らない。まだ怪我の管理や治療、そして毎日少しずつ症状を落ち着かせるための作業が残っているし、それからトレーニング量を増やす作業も続けている。色々な面がある。でも、まあ、全て順調に進んでいると言えるし、それ以上望むことはない」と語る。

 ウーをALDSのロースターに入れるか否かの判断は、第1戦当日の4日朝(同5日)までにしなければならない。 「試合の速さなど、すべてにおいてまだ理想の位置にはいない。でもすべてが進歩しているという点では満足している。1周間前はまだ投げられなかったことを考えると、1週間後にはもっと良い状態になっているといいね」

 通常、最大5戦の地区シリーズでは先発投手を5人ロースターに入れる必要はない。先発登板が予想されるローガン・ギルバート、ジョージ・カービー、ルイス・カスティーヨの3人のほか、シーズン中は5番手だったブライス・ミラーもウーが欠場する場合は先発の可能性がある。ただ、シリーズの終盤で復帰できるならば、マリナーズはウーをロースターに入れるかもしれない。

 球団編成部長のジェリー・ディポトは「必ずしも誰が一番の先発投手かということに焦点が当てられるわけではない。しかし、誰が最も休養が取れていて、最も良い状態にあると我々は考えているのか、そしてブライアンはどのポジションに入るのか?」と考えを明かした。

 ウーは今の状況は怪我そのものからの回復より、「正しく準備すること」の方が重要だと語った。「賢くやらなきゃいけない。ただ数字を見るためだけに、無謀に全力で投げるだけでは何も良いことはない。正しいやり方でやらなきゃいけないんだ」

2025.10.3 12:33 Friday

地元出身のディングラーがガーディアンズに引導 勝ち越し弾に盗塁刺

 「勝てばシリーズ突破、負ければシーズン終了」の第3戦までもつれ込んだガーディアンズとタイガースのワイルドカードシリーズ(WCS)は、タイガースが2勝1敗で制した。同地区に所属する両球団は、昨季も地区シリーズ第5戦まで競い、今季はガーディアンズが歴史的快進撃でタイガースを追い越して地区優勝を飾るなど、そのライバル関係はこれまでになく盛り上がっている。レギュラーシーズン最終盤からこのWCSを含め、両球団は17日間で9度も対戦。互いに敵地ではブーイングを浴び、今回クリーブランドで行われたWCSでもタイガースの選手に激しいブーイングが降り注いだ。その中、一人だけタイガースの選手でブーイングを浴びなかった選手がいた。それが、クリーブランド近郊出身のディロン・ディングラー(27)だった。

 「彼はブーイングを浴びなかった唯一の選手だった。すごいことだね」と、タイガースのAJ・ヒンチ監督は冗談を言った。2年目のディングラーはガーディアンズの本拠地プログレッシブフィールドから54マイルほどしか離れていないオハイオ州マシロン出身。さらに地元のオハイオ州立大学に進学して活躍し、2020年ドラフト2巡目指名でタイガースに入団した。

 この日、ディングラーは幼い頃から応援してきたガーディアンズに引導を渡す活躍。六回には勝ち越し本塁打を放ち、捕手としてもホセ・ラミレスの二盗を阻止する好送球を見せた。しかし、勝ち越し弾を放った際も敵地のファンからブーイングされることはなかった。文字通りファンにとってあまりに身近な存在であり、ディングラーに対して本気の恨みを抱くことはないだろう。

 ディングラーはポストシーズンの「勝てばシリーズ突破、負ければシーズン終了」の試合で本塁打を放ち、走者を刺した史上3人目の捕手となった。「(本塁打を放ったキャンティロは、)少し苦しそうだった。打てる球を打って、少しダメージを与えることができた。勢い、このシリーズで一番大きかったのは勢いだったと思う。一番勢いがある、あるいは最も勢いのあるチームが、そのまま勝ち進んでいく。僕たちはまさにそこで逆転することができたんだ」と、ディングラーは振り返った。

 ガーディアンズとのWCSを制し、迎えるマリナーズとの地区シリーズ(ALDS)では、MVP候補のカル・ローリーに大きな注目が集まることだろう。

 ただ、ディングラーも決して侮ってはいけない存在だ。平均以上の打撃成績(打率.278、出塁率.327、長打率.425)を記録し、捕手守備ではブロック・盗塁阻止・フレーミングのどれを取ってもリーグトップクラスの成績を残した。そして何より重要なのは、レギュラー1年目で投手陣の信頼を獲得したことだ。

 「彼は一緒に努力してくれる」と、2度目のサイ・ヤング賞受賞を目前に控えるタリック・スクーバルは語った。

 2巡目(全体38位)の高順位でプロ入りし、有望株として期待を受けてきたが、順風満帆だったわけではない。2Aでは足踏みし、3A昇格まで208試合の出場を要した。「2Aで数年かかりましたが、彼はスイングを少し調整し、常に学ぶ姿勢を見せてくれた。そして、常にスタッフを率い、試合の運び方を学んでいた。彼はまさに生まれながらのリーダーであり、選手たちが集まり、信頼を寄せる存在だ」、アシスタントGMのライアン・ガーコは語る。

 今季のガーディアンズとタイガースのライバル関係に終止符を打ったのが、地元出身のディングラーだったのは皮肉なことだ。だが、もう後ろめたさはない。ディングラーの友人や家族は、特区の昔にガーディアンズとのつながりを捨て、タイガースへの忠誠を誓っている。「浮気ではないよ」と、ディングラーは笑顔で語った。

2025.10.3 12:03 Friday

新人シュリットラーが快投 ヤンキースが地区シリーズへ進出

【ヤンキース4-0レッドソックス】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、10月2日(日本時間3日)

 ともに1勝1敗で迎えたワイルドカードシリーズの第3戦でヤンキースがレッドソックスに勝利し、地区シリーズ(ALDS)への進出が決定。先発のキャム・シュリットラー(24)が八回無失点12三振の快投で勝利に導いた。レッドソックスの吉田正尚(32)は2安打を放って気を吐いたが、レッドソックス打線は本塁が遠かった。

 第1戦は吉田の代打決勝タイムリーでレッドソックスが先勝、第2戦はジャズ・チザムJr.の攻守にわたる活躍でヤンキースが勝利し、シリーズは「勝てばシリーズ突破、負ければシーズン終了」の勝者総取りの第3戦に委ねられた。第3戦はヤンキースがシュリットラー、レッドソックスがコネリー・アーリーとともに新人を立て、ポストシーズン史上3番目に両先発の年齢が若いマッチアップとなった。

 シュリットラーは四回まで吉田への2安打しか走者を許さず、4三振を奪う快調な立ち上がり。

 新人右腕の好投に打線も応えた。四回1死一、二塁から6番ロサリオのタイムリーで先制。その後満塁として8番ボルピーもタイムリーで続き、エラーも絡んで4得点を挙げた。

  4点はこの日のシュリットラーには十分な援護だった。援護を受けた24歳は、ペースをさらに上げて三振を量産。五回は3つのアウトすべてを三振で、六回にも2安打を浴びていた吉田への三球三振を含む2三振を奪った。三者凡退に抑えた七回の時点で既に100球に達していたが、八回も続投。八回も打者3人で切り抜け、8回無失点、12三振、無四球、5安打の快投でブルペン陣につないだ。

 九回はデービッド・ベドナーが締めくくり、ヤンキースは4-0で勝利。ブルージェイズが待つ地区シリーズへと駒を進めた。

2025.10.3 11:58 Friday

イチロー氏がマリナーズの紅白戦に出場 愛弟子フリオとプレー

 1日(日本時間2日)、ア・リーグの第2シードとしてポストシーズンに臨むマリナーズは、初戦の地区シリーズに向けて紅白戦を実施。イチロー氏(マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)はホーム側チームのライトとして守備でフル出場を果たした。

 今年、米野球殿堂入りを果たしたイチロー氏が、調整役として紅白戦に加わった。平日の午後にもかかわらず、本拠地T-モバイルパークには約5000人のファンが詰め寄せ、イチロー氏に一際大きな歓声を送った。

 あくまでポストシーズンに向けた選手の調整であるため、イチロー氏は打席には立たず、ライト守備でのみ出場。三回にミッチ・ガーバーが放ったフライを捕球すると、右中間を組んだ「愛弟子」フリオ・ロドリゲスのお決まりのポーズである「ノー・フライ・ゾーン」を真似てみせた。

 マリナーズ首脳陣はイチローと師弟関係にあるフリオが、右中間を組めるようにと粋な計らいを見せた。

 とはいえ、フリオは右中間にフライが飛んだ場合はイチロー氏を退け、自ら捕球するつもりだったのだろうか?それとも、年上のイチロー氏を尊重するつもりだったのか?

 「だって僕がセンターだってことはイチローも知っているんだから」とフリオは答え、記者会見場を爆笑させた。そして「年齢はあまり関係ないと思うよ。でも、多分キャッチは任せると思う」と応じた。

 今季、イチロー氏は1月に米野球殿堂入りが決まり、7月にクーパーズタウンで殿堂入り式典を行い、8月には背番号51がマリナーズの永久欠番となるなど、多くの話題を作った。節目の度に印象的なコメントを残しているが、特に8月の永久欠番セレモニーで行ったスピーチは、マリナーズのスローガンにすらなっている。

 満員の観客に向けたスピーチの最中、イチローはマリナーズの選手たちが見守っていた一塁側ダグアウトに向き合い、メッセージを送った。才能あふれる今季のマリナーズのチームに対して期待を寄せ、「この瞬間を掴め(Seize the moment)」と訴えたその言葉は、ポストシーズンにおけるマーケティングの核となっている。この日の練習試合でも、スクリーンに常に映し出されていたのは、この文句だった。

 フリオはこう語る。「誰から言われたかが分かったから、みんながそれを心に留めたんだ。イチローはここにいた。それを成し遂げた。2001年の伝説のチームの一員で、豊富な経験を積んできた。そして、それを我々に伝えてくれる。まるで『今こそ君たちの番だ。試合に出て、それを掴み取れ』と言っているみたいに。だから、僕も他の多くの選手たちもそれを心に留めたんだ。誰から言われたかが分かったから」

 イチロー氏は球団会長付特別補佐兼インストラクターとして、イチロー氏にしかできないやり方でマリナーズを支えている。紅白戦に参加したことも、その一環と言える。

 ただ、イチロー氏を「コーチ」と呼ぶのは必ずしも正確ではない。なぜなら、現代の選手たちが自分たちのやり方でプレーできるよう、敬意ある距離を置いているからだ。たとえ選手たちが彼のやり方(細部への徹底的な配慮と完璧さへの追求の本質)に従わなかったとしても、彼はMLBでの19シーズン、そして日本プロ野球での9シーズンで培った知恵を彼らに提供してくれる。

2025.10.3 09:09 Friday

由伸が七回途中2失点(自責点0)9三振 ドジャースをNLDSに導く

【ドジャース8-4レッズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月1日(日本時間2日)

 第1戦に快勝してワイルドカードシリーズ突破に王手をかけたドジャースは、第2戦でも投打噛み合い勝利。連勝でレッズを下し、地区シリーズ(NLDS)への進出を決めた。山本由伸(27)は七回途中2失点(自責なし)、9三振と好投。大谷翔平(31)はタイムリーで追加点をもたらした。4点リードの九回には佐々木朗希(23)が登場し、2三振を奪うパーフェクトリリーフで締めくくった。

 デーブ・ロバーツ監督が投手陣の確立に努める中、ドジャースの先発投手陣は今季、リーグ有数の実力を発揮した。その筆頭が山本だ。彼は2年目で圧倒的な成績を残し、チームのエースへと上り詰めた。勝利すればワイルドカードシリーズを突破できる第2戦、ロバーツ監督は投手陣を積極的に運用し、交代のカードを切ることもできた。しかし、山本がいる限り、勝利の可能性は極めて高いと判断し、ロバーツ監督は動かなかった。

 山本はシーズン通りの快投だった。初回に味方のエラーから2点を失ったが、二回から五回まですべて三者凡退。六回は無死満塁のピンチを2三振で切り抜け、雄叫びを上げた。続投した七回も2死を奪い、球数はメジャー移籍以降最多の113球に達した。熱投のエースにドジャースタジアムの観衆は惜しみない拍手を送った。

 第1戦はブレイク・スネルが好投したのに続き、ドジャースはまたしても先発投手の働きで勝利。ワイルドカードシリーズを連勝で突破し、次なるラウンドへ進んだ。

 第2ラウンドは、第2シード・フィリーズとの地区シリーズ(NLDS)だ。ともに重量打線と強力な先発投手陣が持ち味のスター軍団。決戦は4日(日本時間5日)からフィリーズの本拠地シチズンズバンクパークで始まる。

2025.10.2 13:40 Thursday

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