MLBのライブ配信観るなら《SPOTV NOW》
TRENDING NOW

マリナーズ・ネイラーがALDS第3戦にスタメン出場 試合は雨天で開始遅延
第1子の誕生を控え、アメリカン・リーグ地区シリーズ(ALDS)第3戦を欠場する可能性があるとみられていたジョシュ・ネイラー(マリナーズ)だが、どうやらネイラー夫妻は無事に幸せな瞬間を迎えたようだ。ネイラーは7日(日本時間8日)、敵地コメリカパークで行われるALDS第3戦に「5番・一塁」でスタメン出場。なお、試合は雨天のため開始が遅れている。
ネイラーは当初、マリナーズの選手たちがデトロイトへ移動するフライトに同行せず、6日(同7日)にコメリカパークで行われた全体練習の時点ではチームを離脱していた。第1子の誕生を控えていたからだ。しかし、ダン・ウィルソン監督はネイラーがチームを離脱した理由について明言を避けた。
「ジョシュは何でも喜んで話してくれると思うから、今のところは『彼に聞いてくれ』と案内するだけにしておくよ。でも、彼が戻ってきてくれたのは本当に嬉しい。彼がここにいてくれて、スタメンに名を連ねてくれたことは本当にありがたい」と指揮官は語った。
ネイラーはすぐにメディアに対応することはできなかった。ポストシーズンの期間中は、試合前にクラブハウスがメディア向けに開放されないからだ。また、雨天の予報だったため、マリナーズは試合前の屋外での打撃練習を行わなかった。
ネイラーは妻の陣痛が始まった時点でチームを離れ、妻と医師が待つアリゾナへ向かう予定となっていた。一時的にチームを離れたあと、ALDS第3戦のスタメンに名を連ねたということは、すでに第1子が誕生したとみられる。
マリナーズは初戦を落としたものの、第2戦に3-2で勝利し、ALDSの対戦成績を1勝1敗としている。ネイラーはここまで2試合に出場し、8打数ノーヒット、1三振、1四球だ。
ネイラーが父親産休リスト入りする可能性、もしくは負傷者が発生する可能性に備え、マリナーズは11人の予備メンバーの中から数人をデトロイトへの遠征に帯同させていた。父親産休リスト入りした場合、選手は最大3日間の離脱を認められ、その期間中、チームは代替選手をロースターに登録することが可能になる。
しかし、ネイラーがチームに合流したことで、マリナーズは少なくとも父親産休リスト入りによるロースターの変更を心配する必要はなくなった。
ウィルソン監督は「ジョシュはここにいる。彼はスタメンに名を連ねている。彼がスタメンにいる状態で第3戦を迎えられるのは本当に嬉しい」とネイラーが第3戦に間に合ったことを喜んだ。
ネイラーはトレード移籍後54試合に出場し、打率.299、9本塁打、33打点、19盗塁、出塁率.341、OPS.831を記録。9月23日(同24日)のロッキーズ戦ではポストシーズン進出を決定づける逆転の3点タイムリー二塁打を放ち、本拠地T-モバイルパークを沸かせた。
2025.10.8 05:46 Wednesday
勝負の分かれ目:フィリーズの九回の犠打は正しかったのか
【フィリーズ3-4ドジャース】フィラデルフィア/シチズンズバンクパーク、10月6日(日本時間7日)
試合の趨勢(すうせい)だけではなく、シリーズの趨勢を決めた采配だったかもしれない。ナ・リーグ地区シリーズ(NLDS=5回戦制)の第2戦、4点ビハインドで最後の攻撃を迎えたフィリーズは、起死回生の逆転劇の一歩手前に迫っていた。
先頭からの3連打で瞬く間に2点を奪い、3-4と1点差に迫り、なおも無死二塁の好機。たまらず切り札の左腕ベシアを投入したドジャースに対し、フィリーズは代打から登場していた7番の左打者ストットが打席に入った。
ストットは送りバントを試みたが、ドジャースの三塁手マンシーの好フィールディングに阻まれ、二塁走者カステヤノスが三塁でタッチアウト。犠打は失敗したものの、1死一塁となり、その後代打ベイダーの単打でフィリーズはチャンスを広げた。しかし、あと1本が出ず、4-3で敗戦。シリーズは0勝2敗となり、シーズン終了のがけっぷちに追い込まれた。
“たられば”を言っても仕方がない。しかし、ストットが送りバントを成功させていれば、あるいはそもそも試みていなければ、試合の結果は変わっていたかもしれない。仮に送りバントが成功ないし二塁走者が三塁でアウトになっていなければ、後続のベイダーが左中間に放った単打で同点の走者が生還していた可能性は高いだろう。
近年、データ分析が進んだ野球の世界では、送りバントは非効率であるというのは常識になりつつある。しかし、どうしても1点が欲しい終盤の場面(特に1点が勝負とシーズンの成否を決するポストシーズン)では、MLBでも送りバントが行われることは珍しくない。
ただ、やはりデータはストットの送りバントの判断に疑問符を突きつけている。
MLBのデータアナリストであるトム・タンゴ氏は試合後、自身のXでストットの送りバントが変動させた試合の勝利確率のデータをポストした。
仮に送りバントが成功して1死三塁となっていた場合でも、フィリーズの勝利確率は2%低下していた。しかし、仮に打者走者も生きるバントで無死一、三塁となっていた場合は、勝利確率は20%上昇していた。一方で、送りバントが失敗して1死一塁となった場合は、勝利確率が20%低下する計算だった。フィリーズは最悪の結果を引き当ててしまった。
なぜフィリーズ(あるいはストット)は送りバントを試みたのだろうか。
まず打席に入っていたストットは、左腕に弱い。左腕に対する今季のOPSは.575と、右腕に対する.760と比べて大幅に悪化する。そもそも左腕スネルが先発するこの試合では先発から外れ、代わりに右打者のソーサがスタメンに入っていた(よってこの終盤で右打者を代打に送る選択肢は最初からなかった)。
ただ、走者2塁の局面ならば、左打者は引っ張った内野ゴロあるいはライトへの十分な飛距離のある外野フライでも走者を進塁させることができる。しかし、フィリーズは送りバントのサインを出さなければ、走者を進めることも難しいと判断したのかもしれない。
事実、相対したベシアは進塁打に適した内野ゴロやフライを打つのも容易くない好投手だ。浮き上がるようなフォーシームを武器とし、三振とフライの割合が非常に高い。データサイト「ファングラフス」によれば、ベシアのフライ率は54.0%でMLB9位、そして内野フライ率22.1%でMLB2位(ともに50イニング以上)にランクインしている。
また、ストットはベシアに対して通算5打数無安打と相性も悪かった。2022年、2023年、そして今季の3シーズンで7打席対戦し、2四球を選んだが、2三振を喫した。残り3度の凡退では、1度は右中間への大飛球があったものの、残り2度は犠牲フライには足りない平凡な外野フライに打ち取られた。
仮にストットが走者を動かせずに凡退し、1死二塁になっていた場合の勝利確率は16%減の27.8%だった。フィリーズは1死二塁になるリスクを嫌い、成功しても勝利確率が2%微減する送りバントに踏み切ったということになる。
あるいは、送りバントをする前に別の采配のカードを切るべきだったという指摘もあり得る。それが二塁走者カステヤノスへの代走だ。カステヤノスのスプリントスピードは平均をかろうじて上回るレベルだが、「スタットキャスト」の走塁得点指標(「ベースランニングバリュー」)では通算-13と、走塁が上手い選手ではない。
送りバントで三塁タッチアウトになった走塁も、スタートが良かったとは言えず、走塁の上手い走者であればセーフになっていた可能性もあったかもしれない。さらに、仮に送りバントが成功して1死三塁になっていた場合でも、カステヤノスが際どい内野ゴロや外野フライで生還できたかには疑問が残る。
しかし、フィリーズには代走の選択肢がなかった。この日ベンチスタートだった5選手のうち、ストットを含む2人が既に途中出場済み。九回の時点では唯一の控え捕手マーチャンを除き、2人の選手しかベンチに残っていなかった。ただ、そのうちの一人のベイダーは第1戦で足を負傷して途中交代しており、この日も代打で安打を放ったあとすぐに代走を送られている。負傷で走れないベイダーがサヨナラの走者として出塁した場合に備え、代走を残しておく必要があった(さらに仮に延長戦に突入した場合、ベイダーへの交代枠がなければDHのシュワーバーを守備に出さなければいけなかっただろう)。
現代野球では、送りバントはほとんどのシチュエーションで非効率な戦略とされる。この日、九回無死2塁の好機を迎えたフィリーズにとっても、バントの判断は正しくなかったかもしれない。しかし、それを承知の上でフィリーズが送りバントに踏み切った要素も複数考えられる。
結局は三塁からの猛チャージでバントを処理した三塁手マンシー、二塁の牽制カバーからダッシュで三塁に入ってタッグプレーを成立させた遊撃手ベッツ、そして絶体絶命の窮地に陥りながらもベシア(そして佐々木朗希)へとつなぐ余力を残していたドジャースが一枚上手だったということかもしれない。フィリーズにとっては痛恨の惜敗となった。
は2025.10.7 15:27 Tuesday
今永が2本塁打浴び、ブルワーズに連敗 鈴木の先制3ランは空砲に
【ブルワーズ7-3カブス】ミルウォーキー/アメリカンファミリーフィールド、10月6日(日本時間7日)
ナ・リーグ地区シリーズ(NLDS=5回戦制)の第2戦は、ブルワーズの一発攻勢に沈んだカブスが連敗。0勝2敗でシリーズ敗退に王手をかけられた。今永昇太(32)は2回2/3で2本塁打と苦戦し、ポストシーズンで初黒星。鈴木誠也(31)は好調を維持して先制3ランを放ったが、空砲となった。
初回、カブスは一、二塁のチャンスを作り、4番鈴木が先制3ラン。高めボールゾーンに浮いたチェンジアップを逃さず、打球初速111.7マイル(約180.0キロ)、飛距離440フィート(約134.1メートル)の圧巻の一発を放った。今ポストシーズンで2本目の本塁打は、今季のレギュラーシーズンを通じても2番目に飛距離が長い特大弾だった。
しかし、直後の守備で今永は2死から連打を浴び、5番ボーンに同点3ランを被弾。今季14本塁打を放ちながら、119打席連続本塁打なしでレギュラーシーズンを終えた大砲ボーンを目覚めさせる痛恨の一発を献上した。
さらに同点で迎えた三回、今永はまたしても2死からウィリアム・コントレラスに勝ち越しソロを被弾。続く打者にも単打を浴び、2回2/3、4失点、3三振、無四球、2本塁打の内容で降板した。
カブスは細かい継投策を打つブルワーズ投手陣に対して再三走者を出したが、3番手ミジオロウスキーが登板すると得点圏に走者を進めることすらできなかった。23歳の剛腕が投じる平均101.5マイル(約163.3キロ)、最速104.3マイル(約167.9キロ)の直球と、最速97.5マイル(約156.9キロ)のスライダーにバットが空を切り、3回で4三振、1安打と封じ込まれた。
四回には2番手として登板した守護神パレンシアが、チューリオにダメ押しの3ランを浴びて万事休す。チーム本塁打数22位と長打力が弱点のブルワーズ打線にお株を奪われる一発攻勢を食らい、7失点を喫した。
その後も打線はブルワーズの継投を打ち崩せず、3-7で敗戦。序盤の猛攻に屈した第1戦に続き、完敗を喫してシリーズは0勝2敗。がけっぷちに追い込まれたカブスは本拠地リグレーフィールドに戻り、8日(日本時間9日)に行われる第3戦でリベンジを期す。
は2025.10.7 13:05 Tuesday
スネルまた快投、朗希が2球でセーブ ドジャースが連勝で王手
【フィリーズ3-4ドジャース】フィラデルフィア/シチズンズバンクパーク、10月6日(日本時間7日)
ブレイク・スネル、ヘスス・ルザードの両先発の好投によって、ナ・リーグ地区シリーズ(NLDS=5回戦制)第2戦では、両軍ともにわずかなチャンスを探り合う展開となった。
ドジャースにとって最大の転機は、キケ・ヘルナンデスが放ったボテボテのショートゴロで、三塁走者テオスカー・ヘルナンデスが本塁に突入したときに訪れた。これで均衡を破ったドジャースは、そこから堰を切ったように得点し、4点を先制した。
九回にブルペン陣が1点差に詰め寄られたが、ドジャースは4-3で逃げ切り。スネルがまたしても快投し、NLDS突破に連勝で王手をかけた。
勝負を分けたいくつかのプレーのひとつが、27個目のアウトとなったセカンドゴロだった。同点、そしてサヨナラの走者を塁に置いた状況で佐々木朗希がトレイ・ターナーをセカンドゴロに打ち取り、試合終了かと思われた。しかし、二塁手トミー・エドマンの送球がショートバウンドとなり、一塁手フレディー・フリーマンはこれを懸命なスクーピングでミットに収めた。
「とにかく何が何でもキャッチしようとした。中間のボールは一番難しい。短いボールか長いボールか、ちょうどその中間のボールだ。なんとかキャッチできたし、ありがたいことにグローブの中に収まった」と一塁守備の名手フリーマンは胸を撫で下ろし、2球でアウトをとった佐々木は「(一塁の)カバーに入るの忘れちゃったって思いました」と苦笑いしつつ、フリーマンの好捕に感謝した。
スネルは球団史上2人目となる、ポストシーズンでの6回以上無失点、かつ1安打以下の好投を記録。これは2019年NLDSのウォーカー・ビューラー以来の快挙だ。さらにスネル自身、ポストシーズンで9三振以上、2安打以下を記録した登板は通算4度を数え、これはポストシーズン史上最多記録だ。
前回登板のワイルドカードシリーズ第1戦でも7回2失点と好投し、この日はフィリーズ打線を7回無失点と圧倒。六回のピンチでは1死一、二塁で初めて得点圏に走者を背負ったが、デーブ・ロバーツ監督は継投せずにエースにマウンドを託した。スネルはその期待に応え、ハーパーとボームを打ち取った。
自分のパフォーマンスで満足している点を問われたスネルは、「どう調整しているかだよ。フィリーズと対戦したのはつい最近だったけど、前回の対戦からどう調整したか。そしてゾーン攻撃に集中していることだ」と答えた。
「ケガから復帰して以来、スネルは素晴らしい投球をしている。われわれが求めていた全てが揃っていた。今夜は6イニングを力強く投げてくれた。全てがうまく機能していた。われわれの先発投手陣はここ1ヵ月ほど素晴らしい投球を続けている。全国の舞台でその姿を見てもらえて嬉しいね」と、フリーマンは語った。
ポストシーズンの歴史において、最大5戦のシリーズで2勝0敗とリードしたチームは、90回中80回(88.9%)そのシリーズを突破している。現行のフォーマットでは、アウェイで第1戦と第2戦に連勝したチームは、18回中16回(88.9%)で勝ち上がり、そのうち12回はスイープ(3連勝)で終わっている。
は2025.10.7 11:55 Tuesday
フリオとローリーの2人で決勝点 マリナーズが本拠地で24年ぶりPS勝利
【マリナーズ3-2タイガース】シアトル/T-モバイルパーク、10月5日(日本時間6日)
球団の顔であり、マリナーズの現在と未来を肩に背負う2人。若くしてスーパースターへの道を歩み始め、もしこのポストシーズンの幕を勝利で閉じれば、シアトルにおいてその名声は永遠のものとなる可能性がある。
カル・ローリーとフリオ・ロドリゲス。60本塁打を放った無骨な捕手と、スポットライトを浴びるのが大好きな万能センター。この2人のコンビがア・リーグ地区シリーズ(ALDS=5回線制)の第2戦で大活躍した。
同点に追いつかれて2-2で迎えた八回、ローリーが1死から二塁打で出塁すると、続くフリオも二塁打で続き、マリナーズは一瞬のうちに勝ち越し点を手にした。結局、この1点を守り抜き、マリナーズは3-2で勝利。シリーズを1勝1敗のタイに戻した。
「我々にとって、これは巻き返しの試合だった。そして2人はまさにそれをやってのけた」と、ダン・ウィルソン監督もローリーとフリオを称賛した。
この日の勝利は、マリナーズにとって2001年のア・リーグ優勝決定シリーズの第1戦以来、24年ぶりの本拠地でのポストシーズンの勝利だった。長いトンネルを抜け、涙するファンもいた。
フリオは「これは間違いなくナンバーワンだ。ここしばらくこんな瞬間はなかったので、今夜チームとして勝利を収めることができたのは、私にとって本当に特別なことだった。ファンの皆さんの姿、そして盛り上がっている様子を見るだけでも、本当に特別な思い出だ。この思い出はいつまでも心に残るだろう」と、キャリア最大のヒットを振り返った。
第1戦で痛恨の敗北を喫したマリナーズは、レギュラーシーズン中も2度勝利しているスクーバルに対し、2-0とリードを奪った。しかし、八回にセットアッパーのブラッシュが失点し、同点に追いつかれた。
その悪い流れをローリーとフリオが払拭した。「もっと重要なのはチームとして反撃することだ。カルがチャンスを作ってくれて、それに続けて嬉しかった」と、フリオは語る。
「難しいことじゃないよ。勝つためにここにいるって感じだね。実際に何が起こったかなんて関係ない。相手がリードしたとしても、同点に追いついたとしてもね。この試合の目的は分かっている。だから、何が起こったかを嘆く暇なんてない。ただ、この瞬間を味わうだけさ」
今季のマリナーズのポストシーズンのスローガンは「この瞬間を掴め(Seize the moment)」。今年米野球殿堂に入り、背番号51がマリナーズの永久欠番となったイチロー氏(マリナーズ球団会長付特別補佐兼インストラクター)が、永久欠番制定セレモニーのスピーチでマリナーズの選手たちに向けて放った言葉だ。 悲願のワールドシリーズ、そして世界一を目指すマリナーズが、まずひとつ大きな瞬間を掴んだ。
は2025.10.6 15:22 Monday
スクーバル先発の第2戦に敗北も「楽観的に考えたい」 2週間ぶりに本拠地凱旋へ
【マリナーズ3-2タイガース】シアトル/T-モバイルパーク、10月5日(日本時間6日)
タイガースは9月21日以来、長い遠征を終えて初めてホームへと帰る。マリナーズとの地区シリーズ(ALDS=5回戦制)は第2戦を終えて1勝1敗。久々の本拠地コメリカパークへの凱旋は、満員となるだろう。
タイガースにとっては怒涛の2週間の遠征だった。敵地クリーブランドで負け越し、ガーディアンズに史上最大の逆転を許して優勝を逃しながら、なんとかワイルドカード3位でポストシーズン進出を決めた。そして今度はワイルドカードシリーズ(WCS)でガーディアンズと再戦し、見事にリベンジを果たしてALDSに進出。ALDS第1戦では不利なマッチアップを覆し、延長戦で勝利した。しかし、敵地T-モバイルパークに別れを告げてホームへと戻る今、残るのは生き残った実感だけではなく、チャンスを逃した悔しさだ。
絶対的エースのタリック・スクーバルが先発し、マリナーズを崖っぷちまで追い詰めるチャンスだった。スクーバルはWCSで見せた調子ではなかったものの、7回2失点と力投。息を吹き返していた打線も八回にスペンサー・トーケルソンの二塁打で同点に追いついた。
しかし、その同点劇の直後、マリナーズのカル・ローリーとフリオ・ロドリゲスに連続二塁打を浴び、タイガースは決勝点を献上した。そして2-3で接戦を落とした。
「我々は自分たちの仕事をやり遂げたと思う。これからの2戦はホームアドバンテージがある。もちろんすべての試合に勝ちたいとは思うが、現実はそうではない」と、スクーバルは語った。
スクーバルはマリナーズに対し、今季レギュラーシーズンで2敗を喫していた。しかし、相性が悪い相手を7回2失点、5安打、1四球、9三振と抑えた。ただ、わずか5本の被安打のうち、2本がポランコに浴びた本塁打だった。
スクーバルが同じ打者に2本塁打を浴びるのは2021年以来のこと。そのときはまだ今のように球界のエース投手だったわけではない。 「ポランコは私のボールがかなりよく見えていた。ゾーンのすぐ下あたりに投げたチェンジアップを見送られた。普通、私が正確に際どいゾーンに投げれば、良い結果が出る。だから、(ポランコにとって)いい打席だった」と、ポランコを称えた。
「2度の良いスイング。それで失点してしまった。それ以外は(捕手のディロン・ディングラーが)素晴らしいリードをしてくれた。自分の球種はすごくすごく良かったと思う。コマンドも良かった。これが野球だ」と、冷静に振り返った。
タイガースはエースから求めていたピッチングを引き出すことができた。しかし、ワイルドカードシリーズからフルセットを戦い、第1戦では7回を投げ抜いた疲労困憊のブルペン陣には、十分な援護点が足りなかった。
直近5日間で4登板目となるカイル・フィネガンが2番手として登板したものの、手強いマリナーズの上位打線にあっさりと捕まり、勝ち越しを許してしまった。AJ・ヒンチ監督は「フィネガンは同点あるいはリードした状況で投げさせる予定だった。劣勢ならトミー(ケインリー)を登板させるつもりだった。だが、上位打線では全力を尽くして相手を攻めるつもりだった」と、信頼の置けるフィネガンを上位打線に起用した意図を語った。
フィネガンは得意のスプリットで先頭のアロザレーナを打ち取ったが、ローリーとロドリゲスには同じ球をとらえられた。 「体調は良好だった。ただ、本当に手強い打者を相手にして(打たれ)だけだ。ローリーには初球を打たれた。良い球だったけど、最高の球ではなかった。強打者には最高の球を投げなければいけない。ロドリゲスも似たような展開だった。1ボールにしてからスプリットでゴロを狙ったが、二塁打にされるには十分なくらい浮いてしまった」とフィネガンは振り返った。
スクーバルは語る。 「ホームに戻って、球界最高のファンの前でプレーできる。シリーズは1勝1敗だ。タイで満足しているわけではないが、悲観的にではなく、楽観的に考えたい。敵地に乗り込んで1勝したことで、何かを成し遂げたんだ」
は2025.10.6 14:40 Monday
ブルージェイズの縁の下の力持ちが活躍 守備職人のバーショとクレメント
【ブルージェイズ13-7ヤンキース】トロント/ロジャースセンター、10月5日(日本時間6日)
ポストシーズンは思いもよらぬヒーローが誕生する場である。ブルージェイズにはスター選手が不足しているわけではないが、このチームを支えているのは、重要な場面で次々と活躍する縁の下の力持ちたち。ポストシーズンではそういった選手たちに脚光が当たっている。
ポストシーズン経験豊富なベテラン、ジョージ・スプリンガーは語る。 「昔はチーム全体を背負って、引っ張った選手がいた。濾過ールームの全員の力が必要な時もある。チームを毎試合勝利に導けるのは、たった一人の人間だけではないと思う。全員の力が必要なんだ。試合中、個々の選手の頑張りがチームの成功に貢献するんだ」
13-7の快勝でヤンキースを下した地区シリーズ(ALDS)の第2戦、ブルージェイズの縁の下の力持ちの筆頭格であるドールトン・バーショは大活躍した。5打数4安打、2二塁打、2本塁打と爆発し、チームのポストシーズンの1試合塁打数記録を更新。この活躍にジョン・シュナイダー監督は「バーショの打席での活躍についてはあまり語っていないと思う。つまらない、二塁打が数本、本塁打が数本くらいじゃね」と、満足げに冗談を飛ばした。
そして、シュナイダー監督は冗談のあと、この堅守の正センターの貢献度について熱弁。 「バーショは驚異的だ。負傷なく1年を過ごせば、桁外れに成績が伸びるだろう。マックス・フリード(ヤンキース先発)と対戦するのは厳しいけれど、アプローチにこだわって特定の球種を狙い、特定の球種に対して自分のスイングで何をできるかを知っている打者がいると、気分はマシになるよ」
そしてバーショと合わせて7打点を挙げたのが、ユーティリティのアーニー・クレメントだった。クレメントは二回に先制2ランを放ち、新人右腕のトレイ・イェサベージを援護した。
既にゴールドグラブ受賞歴のあるバーショと比べると、クレメントはさらに目立たない存在だ。現在29歳のクレメントは2023年にブルージェイズに加入するまで、通算打率.204、OPS.525、代替可能な選手と比べて何勝分上積みしたかを示すfWARでは-0.4を記録していた。まさに代替可能な平凡な選手だったが、ブルージェイズ加入後にキャリアが一転。打力が改善され、持ち前の守備力を発揮できる機会が増え、今や好守の便利屋として欠かせない存在になった。
「何も覚えていない。完全に意識を失っていた。正直、自分が何をしていたのかも分からない。バカみたいに見えたけど、仕方ない。興奮しすぎて心臓がドキドキしていたから、クラブハウスに戻って気持ちを落ち着かせなければならなかった」 ポストシーズンでの本塁打はおろか、ヒットすら初めてだった。
「全員が役割分担しているだけだと思う」と、試合後にバーショは語った。打撃が持ち味の選手もいれば、守備が持ち味の選手もいる。個性豊かで野手層が厚いのがブルージェイズの特徴だ。 「その夜、その夜、本当に活躍する選手が一人いるかもしれない。チームとして、ボー(ビシェット)、ブラディ(ゲレーロJr.)、ジョージ(スプリンガー)にシーズンを通して頼るわけにはいかない。シーズン全体を見れば、重要な場面を経験した選手はたくさんいた。全員が互いを信頼し、自分たちを信じて、毎試合、自分たちのやり方でプレーしようと決めたんだ」
は2025.10.6 13:53 Monday