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剛速球を封印 裏をかく配球で怪物ミジオロウスキーが好投
【ブルワーズ3-1カブス】ミルウォーキー/アメリカンファミリーフィールド、10月11日(日本時間12日)
ジェイコブ・ミジオロウスキーは100マイルを超える剛速球でルーキーながら大注目を浴びた。カブスとの地区シリーズ(NLDS)第2戦でも、その剛速球を武器に好投。チームに勝利をもたらした。
しかし、「勝てばシリーズ突破、負ければシーズン終了」のNLDs第5戦では、ミジオロウスキーは変化球主体の投球でカブス打線を手玉に取った。レギュラーシーズンを通しても最も多く変化球を投じ、4回1失点。投手戦を制してナ・リーグ優勝決定シリーズ進出を決めたチームの原動力となった。
ブルワーズは第5戦にブルペンデーで挑み、先発にはなんと守護神のトレバー・メギルを送り込んだ。初回を無失点に抑えたメギルの後を受けたのが、ミジオロウスキーだった。ミジオロウスキーは2回に鈴木誠也(31)に101.4マイル(約163.1キロ)の直球を弾き返され、同点弾を被弾。しかし、その後は変化球主体に切り替えた。
代名詞の剛速球は17球に制限した一方で、スライダーは23球、カーブは14球を投げ込んだ。レギュラーシーズンでは46.2%の割合で直球に頼ったが、この試合ではわずか31.5%。ただ、直球を封印したわけではなく、この日奪った9度の空振りのうち5度、3三振のうち2三振を直球で奪った。17球のうち、10球が100マイルを超えるなど球速も健在。カブス打線の裏をかく配球が見事にハマった。
2025.10.12 12:41 Sunday
カナダを背負うブルージェイズ 愛と責任を実感
ブルージェイズの選手やコーチ陣が何度も聞かれる質問がある。その質問はスプリングトレーニングでも、開幕戦でも、赤いユニフォームを身にまとう毎年7月1日のカナダデーでも聞かれる。遠征先の都市の記者からも何度も聞かれる、他の29チームには分からない質問。 「一つの都市を代表しているだけではなく、国全体を代表しているというのはどのような気持ちですか?」
長年にわたり、一部の選手たちは抜け目のない政治家のように、その戦略を駆使する術を学んできた。ブルージェイズは球界で唯一無二のチームだ。
ブルージェイズのユニフォームを着る選手は、すぐにその影響を実感する。しかし、数年間にわたってプレーする選手は、カナダを代表するという意味を深く理解していく。マリナーズとのア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)でも、すぐにその影響は感じ取れるだろう。
「今なら分かるよ。国全体を一つのチームとして支えるということは、色々なことを伴う。プレッシャーも大きいが、もしかしたら直接試合を見ることさえないかもしれないファンからの愛情も大きい。それが、国全体を一つのチームとして支えるという、私たちの強みだ」 在籍4年目のエース、ケビン・ゴーズマンは語る。
そのプレッシャーに適切に対処できれば、責任のように感じられるだろう。ジョン・シュナイダー監督が知る限り、このプレッシャーを背負う監督は他にいない。「自分の決断には必ず世界の重みを感じるが、国のことを思うと、少し危うくなる時がある。例えば、六回表満塁でアーロン・ジャッジが打席に入っている時などは、ノバスコシアの人たちが殺しに来る気満々な気分になるよ。少し誇張されてしまうかもしれないが、それが私が身をもって体験してきたことだ。決して軽視できるものではない」 カナダ最大の州から来た素晴らしい人々に対するシュナイダーの懸念はさておき、これはMLBで最もユニークな組織でプレーする選手とコーチにとって正しい考え方だ。
しかし、その重い責任感こそ、トロントを特別なものにしている。球界もそれを急速に悟りつつある。ブルージェイズがカナダを本当に、本当に虜にしたとき、これほど素晴らしいことはない。地元放送局の統計によれば、ヤンキースとの地区シリーズ第4戦はカナダ国内で平均380万人の視聴者数を記録し、約4100万のカナダ国民のうち1150万人が地区シリーズを視聴した。
アメリカの他の市場ではありえないことだ。ブルージェイズは他の市場にはない強みがある。
「チームを1年を通して信じてくれない人もいるかもしれないが、僕たちは国全体が信じてくれているということをいつもみんなに言い聞かせている。ワールドシリーズをカナダに持ち帰れることを願っている」と、ブラディミール・ゲレーロJr.は語る。
トロントからシアトルまでは飛行機で5時間以上かかるが、ブルージェイズはカナダ西部にもファンが多い。長年「カナディアン・インベイジョン(カナダ人の侵攻)」と呼ばれてきた毎年恒例のT-モバイルパークへの遠征では、球場はブルージェイズファンで満員になる。
ブルージェイズファンは再びポストシーズンの勝利を目の当たりにしたいと願っている。シアトルからデトロイト、ミネアポリスといったカナダに近い都市、そして国境から車で行ける距離にある他の都市まで、ファンは多く駆けつけ、敵地をホームに変えてしまう。
「シアトルにはかなりの数のファンが来ると聞いていたけど、まさかあんなに来るとは思わなかった。信じられないよ。ブルージェイズがこのシリーズでホームゲームを7試合やるかもしれないって噂を耳にしていたから、それはすごいことだと思う」と、マイルズ・ストローは言う。
「僕たちはブルージェイズという組織のために、そしてこの国全体のためにプレーしているんだ。そう言えるチームは他にない。本当に、本当に特別なことだ」 地区シリーズ突破の立役者アーニー・クレメントも語った。
今週、選手たちはあと100回同じ質問をされるだろう。いつものように笑顔で答えるだろう。彼らはただワールドシリーズで優勝したいだけではない。カナダにタイトルを持ち帰りたいのだ。
2025.10.12 12:04 Sunday
猛打ブルージェイズの秘密 三振とパワーの多さを両立
ブルージェイズ打線の真骨頂は多くの投球をバットに当て、インプレーにすることだ。今季、ブルージェイズのチーム三振率はMLBでベスト(17.8%)。さらにポストシーズンでも三振率は最も低い(14.9%)だ。その打撃スタイルは成功しており、レギュラーシーズンでは総得点がMLB4位、そしてポストシーズンでも34得点は全チーム中最多。ブルージェイズ打線は素晴らしい攻撃力を持っている。
しかし、三振率が低いのは昨季のブルージェイズも同じだった。チーム三振率はMLBベスト5に入っていた。ただ、昨季のブルージェイズはただ三振が少ないだけだった。得点力には結びつかず、総得点は23位に低迷した。
コンタクト(ボールをバットに当てる)の重要性は、多少誇張されているとはいえ、確かに価値がある。ただ、ブルージェイズ打線がヤンキースとの地区シリーズ(ALDS)4試合で9本塁打を量産し、ポストシーズンのシリーズ史上3位の長打率.601をマークしたことも忘れてはならない。ただボールをバットに当てるだけではなく、価値のあるコンタクトが重要なのだ。
「より多くのコンタクトを生み出すこと」、そして「価値のあるコンタクトを生み出すこと」。その両立がブルージェイズの成功につながっている。
まずは「より多くのコンタクトを生み出すこと」に着目しよう。
ブルージェイズの地区シリーズでの三振率は、わずか15%だった。地区シリーズに出場したチームの中では最も優秀な数字であり、平均の23%を優に下回っている。とはいえ、三振率ワーストのドジャースもまた勝ち進んでいる。現代野球、そしてポストシーズンになれば、昨今では三振率が高いのは当たり前になっている(もちろん、投手の球速がポストシーズンでは上昇することも関係している)。
三振率が高くて当然の現代では、ブルージェイズが相対的にどれほど三振が少ないチームなのかが分かりづらい。ポストシーズン全体の三振率と比較した際の三振率は、1913年から数えて今季のブルージェイズが史上2番目に優秀だ。
ポストシーズン平均と比較したポストシーズンにおけるチーム三振率(100が平均、低いほうが優秀)
・63 // 2006 ツインズ ・66 // 2025 ブルージェイズ <<-- ・72 // 1976 フィリーズ ・73 // 1976 ヤンキース ・74 // 1980 アストロズ
ブルージェイズはまだ地区シリーズしか戦っていないため、まだサンプルは少ない(シリーズ平均との比較では歴代7位)。さらに歴代最高のツインズもスイープ(3連敗)でポストシーズンを敗退している。
レギュラーシーズン平均と比較したレギュラーシーズンにおけるチーム三振率(100が平均、低いほうが優秀)
・75 // 1986 レッドソックス ・77 // 1969 ブレーブス ・78 // 2024 パドレス ・78 // 2002 エンゼルス ・78 // 1982 クリーブランド ・79 // 2025 ブルージェイズ <<--
これらの数字を見れば、ブルージェイズが三振の多い現代の基準のみならず、歴史的に見ても三振が少ないチームだと分かる。しかし、いくらコンタクトが多くても、ポストシーズンを勝ち進めるわけではない。
・試合中に相手より多くの本塁打を放ったチームの勝率は.823 ・相手より三振が少ないチームの勝率は.640
これを両方兼ね備え、より多くの本塁打を放ち、より三振が少ないチームの勝率は.900にのぼる。
つまり、「三振の少なさ」そして「長打の多さ」を両立させれば、10回に9回勝てるほどには効果的だ。
「われわれはボールを前に飛ばし、インプレーにする。シーズン通してそれをやってきた。本塁打はこの時期に特にギアを上げている投手に対して、本当に良いアプローチをしてきたことの副産物だと思う」と語るのはジョン・シュナイダー監督だ。
監督が語る「本当に良いアプローチ」は、圧勝した地区シリーズだけでなく、これから控えるリーグ優勝決定シリーズやワールドシリーズでも発揮できるだろうか。
ブルージェイズ打線が地区シリーズで取ったアプローチ
第一にブルージェイズ打線はストライクを積極的に振っていた。非常に積極的に。ブルージェイズ打線はストライクゾーンに投じられたボールの71.1%にスイングしていた。この割合は地区シリーズに進出したチームの中では最多で、過去の地区シリーズに出場した全152チーム中でも6番目に高い数字だった。
しかし、ただストライクを積極的に振っただけでは、必ずしても得点に結びつくわけではない。レギュラーシーズン中でストライクゾーンの投球に対して最もスイングを仕掛けたのはMLB最低勝率のロッキーズで、最もスイングが少なかったのは最高勝率のブルワーズだった。
しかし、この積極打法はブルージェイズの選手たちがまさに心がけているものだ。
地区シリーズでも活躍したアーニー・クレメントは語る。 「僕たちは1打数無安打に終わるくらいなら、1ストライク0ボールになっても構わない。もし相手にやられたとしても、スイングを仕掛けて残りの打席を全力で戦う。でもこれは考え方の問題だ。ど真ん中に来た初球を振ってアウトになっても仕方ない。これが僕の考え方だ。ただ、外角に2球分外れたボールを振って内野ゴロに倒れたら、誰にとっても良いことにならない」
ブルージェイズ打線はボール球スイング率が悪かったため、アプローチについて過度に評価はできない。ポストシーズンではネイサン・ルークスだけボール球を4度も安打にしている。
しかし、ここにブルージェイズ打線のプランがある。コンタクト率は82%で、過去10年の地区シリーズでは歴代3位の高水準。一方で、四球率は今季の地区シリーズに進出した8チーム中、5%でワーストだった。
四球を捨ててでも積極的にスイングを仕掛けるブルージェイズの姿勢は、幸運を生み出している。本塁打と三振などを除いたインプレー打球の打率(BABIP)は、2021年以降の地区シリーズで最高の.347をマークした。さらにストライクゾーン外のボールを打って記録した16安打、打率.364は驚異的な水準だ(ブルージェイズはレギュラーシーズンでもボール球打率でMLBベストを記録したが、それでも打率は.189に過ぎなかった。いかにこの数字が並外れているか分かる)。
しかし、その幸運にも数字の裏付けがある。ブルージェイズ打線が仕掛けるスイングは速く、放つ打球は強烈なのだ。
昨季、チーム本塁打数がMLBワースト5位だったブルージェイズは、平均バットスピードがMLBで最も遅かった。球界で最もスイングが鋭いブラディミール・ゲレーロJr.を抱えながらも、チームで見ればスイングは最も鈍かったのだ。
リーグ有数の得点力を放った今季も、序盤はスイングも得点力も鈍いままだった。4月のチーム総得点はワースト5位で、バットスピードもMLBで最も遅かった。
しかし、シーズンが進むにつれてバットスピードは向上した。6月から8月にかけてのファストスイング率(75マイル以上のバットスピードを記録した割合)は平均レベルだったが、9月にはMLB5位に躍り出た。これは今季ツインズから加わった新打撃コーチであるデービッド・ポプキンスの指導が、ラーニングカーブを描いて成功につながった結果かもしれない。
そしてポストシーズンにおける平均バットスピード72.6マイル(約116.8キロ)は、最もスイングが鋭かったヤンキースやレッドソックスと同水準だ。さらにファストスイング率37%も、4月に記録した20%からほぼ倍増。MLB最高の水準に向上した。
バットスピード向上の部分的要因は、スイングが鋭い選手の出場時間が増えたことにある。バットスピードがリーグ上位7%に位置するアディソン・バージャーが定位置を獲得し、上位8%の鋭いスイングを誇るドールトン・バーショも負傷から復帰した。
しかし、主な要因は、出場し続けていた主力選手のバットスピードが向上したことにある。アレハンドロ・カーク、ジョージ・スプリンガー、デービス・シュナイダー、ネイサン・ルークス、そしてマイルズ・ストローといった選手たちは、シーズン終盤からポストシーズンにかけてバットスピードを上げた。偶然と言うには、あまりに多くの打者がバットスピードを上げている。
「選手たちに意図を持ってスイングさせて、フィールドの中央を突破させれば、その後起こることは起こるべくして起こったことだ」と、ポプキンス打撃コーチは7月に地元メディアに語っている。
約10年前、当時クリーブランド傘下に所属していたシェーン・ビーバー(現ブルージェイズ)は投球改革の最前線にいた。何十年もの間、球界は剛腕に投球術を教えようとしてきたが、投球術を心得た投手を剛腕に生まれ変わらせることが可能だと明らかになった。
そして、打撃コーチたちは1世紀もの間、パワーヒッターにボールをバットに当てる方法を教えようとしてきた。しかし、投球改革で起こったことと同じようなことが起きているとしたらどうだろうか。つまり、コンタクトが上手い打者のスイングを鋭くさせ、パワーを身に着けさせることが可能になっているのかもしれない。
2025.10.12 11:26 Sunday
タイガース敗退 スクーバル13三振の快投も延長15回の死闘の末に敗れる
【マリナーズ3-2タイガース】シアトル/T-モバイルパーク、10月10日(日本時間11日)
タイガースファンが163試合目の延長戦で悲痛な思いを経験してから16年。今度は170試合目の延長戦、「勝てばシリーズ突破、負ければ敗退」の一戦で、またしても次の世代に悲劇の物語を残すことになった。
延長15回、ホルヘ・ポランコがトミー・ケインリーからタイムリーを放ち、J・P・クロフォードがサヨナラのホームイン。「勝てばシリーズ突破、負ければ敗退」の一戦では史上最長となる15イニングに及ぶ戦いに終止符が打たれ、タイガースは2勝3敗で地区シリーズ(ALDS)敗退が決まった。
今季のタイガースは前半戦でメジャー最高勝率を記録したが、9月に失速し、地区優勝を逃した。ワイルドカードシリーズに勝利し、ガーディアンズに雪辱を果たしたものの、リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)進出にはあと一歩届かなかった。
2013年以来のALCS進出まで「あと1勝」は昨季と全く同じ。今季のタイガースはALDS突破まで「あと7アウト」に迫っていた。
延長15回までもつれた死闘の中で、タイガースの絶対的エース、タリック・スクーバルは素晴らしいピッチングを見せた。ポストシーズン新記録となる7者連続三振を記録。二回にミッチ・ガーバーの犠牲フライで先制を許したものの、マリナーズ打線をその1点だけに抑えた。
タイガースは六回、マリナーズの左腕ゲーブ・スパイアーからケリー・カーペンターが2ラン本塁打を放ち、逆転に成功。A・J・ヒンチ監督にはカーペンターに代打を送るという選択肢もあったが、カーペンターを信じ、最高の結果をもたらした。その裏、スクーバルは100.9マイル(約162.4キロ)の剛速球でカル・ローリーから空振り三振を奪い、14人連続アウトを継続したまま降板。敵地T-モバイルパークに響き渡るほどの雄叫びを上げた。
スクーバルの13三振は「勝てばシリーズ突破、負ければ敗退」の一戦としては新記録。スクーバルが六回までに99球を投げ、マリナーズ打線の中軸を迎えたため、タイガースは七回から継投に入ったが、2番手のカイル・フィネガンがピンチを招き、3番手のタイラー・ホルトンが代打レオ・リバスに同点タイムリーを浴びた。
それ以降は両チームの総力戦となり、マリナーズは八回途中から守護神アンドレス・ムニョスを投入。タイガースも八回からクローザーのウィル・ベストを起用し、マリナーズに得点を与えなかった。
10回、タイガースは新人トロイ・メルトンが先頭打者に二塁打を浴びてピンチを背負ったが、後続を抑えて無失点。11回からマウンドに上がったカイダー・モンテロは三者凡退の好リリーフを見せ、12回は1死一、二塁のピンチとなったものの、ランディ・アロザレーナを併殺打に仕留めて無失点で切り抜けた。
しかし、リリーフ陣が奮闘する一方で、タイガース打線は得点を奪えず、12回1死二、三塁の絶好機でも無得点。カーペンターが5打数4安打2打点(2四球)の活躍を見せたものの、それ以外の打者は合計4安打に終わった。
タイガースは得点圏でチーム合計9打数1安打。10残塁と拙攻が目立ち、9月からポストシーズンにかけて苦戦する原因となっていた「タイムリー欠乏症」という課題をこの試合でも克服することができなかった。
16年前、2009年シーズンの地区優勝争いはレギュラーシーズン163試合目、敵地ミネソタのメトロドームで決着した。延長13回の死闘の末にサヨナラ負けを喫し、ポストシーズン進出を逃した一戦を思い出したファンもいたに違いない。
2025.10.11 15:07 Saturday
マリナーズが2001年以来24年ぶりのALCS進出 延長15回の死闘を制す
【マリナーズ3-2タイガース】シアトル/T-モバイルパーク、10月10日(日本時間11日)
マリナーズは本拠地T-モバイルパークで行われたタイガースとの地区シリーズ(ALDS)第5戦、延長15回の死闘の末にホルヘ・ポランコのサヨナラタイムリーによって3-2で勝利し、2001年以来24年ぶりとなるリーグ優勝決定シリーズ(ALCS)進出を決めた。「勝てばシリーズ突破、負ければ敗退」の試合としては史上最長イニングとなった。
15回のマリナーズは先頭のJ・P・クロフォードがライトへのヒットを放って出塁し、ランディ・アロザレーナの死球で無死一、二塁に。カル・ローリーのセンターフライで二塁走者のクロフォードが三塁へ進み、中堅手パーカー・メドーズから三塁への送球が逸れる間に、一塁走者のアロザレーナも二塁を陥れた。一塁が空いたことでフリオ・ロドリゲスは申告敬遠で歩かされ、2死満塁。ポランコが試合を決める舞台が整った。
試合展開の中で大きかったのは、七回のチャンスに代打で登場したレオ・リバスの働きだ。1点追う七回、2死一、二塁の場面でポストシーズン初打席に立ったリバスはレフトへの同点タイムリー。ここから延長15回まで続く壮絶な戦いが始まった。
マリナーズはタイガース先発のタリック・スクーバルに苦戦。ポストシーズン新記録となる7者連続三振を奪われた。五回先頭のジョシュ・ネイラーがセンターライナーを放ち、連続三振を止めたが、昨季のサイ・ヤング賞投手は6回99球を投げて2安打1失点、13三振の快投。マリナーズに主導権を渡さなかった。
スクーバルは四回までに2ケタ三振を奪い、無四球。これはポストシーズン史上初の快挙だった。
スクーバルを攻略することはできなかったものの、先制点を奪ったのはマリナーズだった。二回1死からネイラーがレフトへの二塁打を放って出塁し、三塁への盗塁に成功。ここでミッチ・ガーバーがセンターへの犠牲フライを打ち上げ、難敵スクーバルから先制点を奪った。
六回、好投を続けていたジョージ・カービーが先頭のハビアー・バイエズに二塁打を浴び、ケリー・カーペンターを迎えた場面でダン・ウィルソン監督は左腕ゲーブ・スパイアーを投入。しかし、スパイアーがカーペンターに2ラン本塁打を浴び、タイガースに逆転を許した。カービーは5回0/3を投げて3安打1失点、6三振、無四球の好投だった。
3勝2敗でALDSを制したマリナーズは、ヤンキースを3勝1敗で撃破したブルージェイズが待つALCSへの進出が決定。球団史上初のワールドシリーズ進出を目指し、12日(同13日)から4勝先取制のALCSがスタートする。
2025.10.11 14:34 Saturday
エンゼルスが新監督候補のプホルスと面談 通算703本塁打のレジェンド
新監督を探しているエンゼルスは、最有力候補としてアルバート・プホルスに目を向けているようだ。
MLB.comのレット・ボリンガー(エンゼルス番記者)が関係者から得た情報によると、エンゼルスのペリー・ミナシアンGMはシーズン終了後にロン・ワシントンが退任したことで空席となった監督の座について、セントルイスでプホルスと話し合いを行ったようだ。この面談については、米メディア「ジ・アスレチック」が最初に報じた。同メディアの報道によると、アルテ・モレノ・オーナーの第1希望はプホルスだという。
なお、面談の有無について、球団から正式な発表は行われていない。
現在45歳のプホルスは通算703本塁打、2218打点、3384安打を記録したレジェンド。現役引退から3年が経過しており、昨冬にはレオネス・デル・エスコヒードの監督を務め、ドミニカ共和国リーグとカリビアンシリーズの優勝に導いた。
プホルスは現在、エンゼルスから給与が支払われている立場である。2011年シーズン終了後にカージナルスからFAとなったあと、エンゼルスと10年2億4000万ドルの大型契約を結び、この契約には「現役引退後10年1000万ドル」という個人サービス契約が含まれていた。プホルスが2022年シーズン限りで引退し、2023年から10年間の個人サービス契約がスタートした。
プホルスはメジャーリーグで監督やコーチを務めた経験はない。しかし、エンゼルスの新監督最有力候補と目されており、今年6月末に心臓のバイパス手術を受け、シーズンの約半分を欠場したワシントンの後任になる可能性がある。
エンゼルスは今季、ワシントンが指揮を執った74試合で36勝38敗を記録。ワシントンの離脱後はレイ・モンゴメリーが暫定監督を務めた。なお、モンゴメリーは来季も引き続き監督を務めるのではなく、球団内の別の役職を提示されている。
2025.10.11 11:09 Saturday
カブスは27個のアウトをどう奪うのか 今永昇太も先発有力候補の1人
カブスは27個のアウトをどう奪うのだろうか。
カブスのクレイグ・カウンセル監督は、今年のポストシーズンを通して「次戦の先発投手を必要になるまで発表しない」というやり方を続けている。それは10日(日本時間11日)のオンライン会見でも変わらず、11日(同12日)に行われるブルワーズとの地区シリーズ(NLDS)第5戦に誰が先発するのかを明らかにしなかった。
カウンセル監督が明かしたのは「(第4戦に先発した)マシュー・ボイドを除いて、おそらく全員が登板可能な試合になると思う」ということだけ。「全員が登板可能だ。決まり文句のようだが、(ボイドを除く)11人の投手で27個のアウトを取る方法を考えないといけない。それが我々の戦い方だ」と指揮官は語った。
27個のアウトを取る上で、いわゆる「勝ちパターン」以外の投手の働きが重要となる。カウンセル監督も「これまで使ってきたブルペンの方程式は間違いなく必要になる。しかし、アウトの半分は、方程式を担う5人以外の投手で取らないといけない。我々はそのように考えているし、そのようにしなければならないだろう」と同調した。
カブスが検討している選択肢は以下の通りだ。
(1)今永昇太を信頼して先発させる
物事を必要以上に考えすぎない場合、これが最善の選択肢だろう。
今永は昨季、オールスター選出、継投ノーヒッター達成、新人王投票とサイ・ヤング賞投票の両方でポイントを獲得など素晴らしいルーキーイヤーを過ごし、今季は開幕投手を務めた。野球を分析的に考え、必要な調整を模索し、マウンド上で「ショーマン」であることを楽しんでいる。
しかし、今永はここ最近の登板で被本塁打が増加しており、それは先発投手を決定する上で考慮される要素となるかもしれない。
今永は今季、防御率3.73を記録。しかし、144回2/3で31本のホームランを打たれた。昨季は173回1/3で27本だったため、本塁打を浴びるペースは上がっている。レギュラーシーズンの最終6登板は34回2/3で12被弾。パドレスとのワイルドカードシリーズ第2戦でも手痛い一発を浴び、NLDS第2戦では2被弾を喫し、わずか2回2/3しか投げられずに降板した。第5戦に先発する場合、中4日での登板となる。
今永は速球派投手ではなく、速球の平均球速90.8マイル(約146.1キロ)はメジャーの下位8%にランクインする。四球率4.6%という安定した制球力で、最大の武器であるスプリットを中心とした6つの球種を操り、相手を翻弄するピッチングが持ち味だ。被本塁打は多いものの、被安打や与四球を抑え、ダメージを最小限にとどめるピッチングができる。しかし、直近の登板ではこうした面でも苦戦が目立っている。
正捕手カーソン・ケリーは「彼は1年を通して素晴らしいピッチングをしてきた。調整を続けており、よりクリエイティブな投球ができる方法を模索している。でも、重要な場面では力強いピッチングを見せてくれるんだ。僕は彼に全幅の信頼を置いているよ」と語った。
(2)オープナーを起用する
これはパドレスとのワイルドカードシリーズ第2戦と同じやり方だ。カブスは初回、オープナーとしてベテラン右腕のアンドリュー・キットリッジを起用。今永がフェルナンド・タティスJr.やマニー・マチャドと対戦する回数を減らすための戦術だった。
今永は二回からマウンドに上がり、4イニングを投げた。まずまずのピッチングだったが、五回にマチャドに2ラン本塁打を浴び、0-3の敗戦に大きく影響した。とはいえ、上位打線と対戦する回数を減らし、今永にある程度長いイニングを投げさせるという戦術はまずまずの結果となった。
カブスが再びこのアプローチを取るならば、たくさんの選択肢がある。勝ちパターンを担う5人の投手(ダニエル・パレンシア、ブラッド・ケラー、ドリュー・ポメランツ、ケイレブ・シールバー、キットリッジ)をオープナーに起用することもできるし、それ以外のリリーフ投手(コリン・レイ、アーロン・シバーリ、マイケル・ソロカ、ベン・ブラウン)を使うこともできる。
絶対に負けられない第5戦に臨むにあたり、カウンセル監督は今永に少しでも不調の兆しが見えた場合、すぐに交代させるという戦術も考えられる。たとえば、NLDS第1戦ではボイドがわずか2死しか取れずに降板した。このときはソロカが初回の最後のアウトを取り、シバーリが4回1/3を投げてブルペンを助けた。第2戦でも今永が早期降板したあと、レイが3回1/3を無失点に抑え、ブルペンの浪費を防いだ。
もちろん、絶対に勝たなければならない第5戦は、第1戦や第2戦とは状況が異なっている。負けられない第4戦では先発のボイドが67球を投げたあと、15球以上投げたリリーフ投手は1人もいなかった。1イニング以上を投げたのもパレンシアだけだった。
カウンセル監督はリグレーフィールドに戦いの舞台を移した第3戦以降、勝ちパターンのリリーフ投手に依存しており、パレンシア、ポメランツ、ケラー、シールバーはいずれも第3戦と第4戦の両方に登板した。移動日を挟んで迎える第5戦も勝ちパターンのリリーフ投手がメインの継投になるはずだ。
正二塁手のニコ・ホーナーは「ポストシーズンのシリーズ最終戦は、いつも全員が全力を尽くす試合になる」とコメント。「現時点でどんなプランなのかは分からないが、先発もブルペンも層が厚く、シーズンを通して素晴らしい働きをしてきた。どんな方法で27個のアウトを取るとしても、僕は投手陣のことをとても信頼しているよ」と投手陣への信頼を強調した。
(3)ケイド・ホートンを復帰させる
はっきり言って、これは現実的な選択肢ではないが、第5戦に向けて、カブスファンの頭に浮かんでいたことだった。しかし、カウンセル監督はオンライン会見でこのアイディアを即座に否定した。
11日(同12日)に負傷者リストからの復帰が可能になるホートンは、右肋骨の骨折の影響で9月23日(同24日)以降は登板していない。7日(同8日)に離脱後初めてマウンドに立ったが、わずか15球だけの軽い投球だった。10日(同11日)にもブルペンでの投球練習を実施した。
カウンセル監督は「すべてが本当に良かった。ポジティブな1日になったよ。もちろん、投球後の状態や明日以降の状態が重要になる。でも、投球練習自体は本当に良かった」とホートンの状態について語った。
リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)は13日(同14日)にスタートする。カブスがNLDSを突破してドジャースへの挑戦権を獲得した場合、ホートンがロースター入りする可能性もある。後半戦に防御率1.03と素晴らしい活躍を見せたホートンが復帰すれば、カブスにとって大きな戦力となるはずだ。
2025.10.11 10:36 Saturday
打撃復調を目指す大谷翔平 リーグ優勝決定シリーズは第2戦の先発が有力か
ドジャースの大谷翔平は打てないときでもチームに貢献できるのが強みだ。
対戦相手の投手たちは、大谷のそうした姿を何度も見てきた。大谷はひと振りで試合の流れを変えられる選手だ。だからこそ、フィリーズは地区シリーズ(NLDS)第4戦の七回、大谷を申告敬遠で歩かせたのだろう。しかし、フィリーズは満塁策のあと、守護神ヨアン・デュランがムーキー・ベッツに押し出し四球を与え、同点に追いつかれる結果となった。
大谷はNLDSの4試合で18打数1安打(9三振)に終わった。しかし、唯一の安打は第2戦でチームを勝利に導くタイムリーヒットとなった。また、NLDSにおける最大の貢献は、間違いなく第1戦の先発登板だ。二刀流のスーパースターは第1戦の二回に3点を失ったものの、それ以降は支配的なピッチングを見せ、クオリティスタートを達成。9三振を奪い、ポストシーズン初登板で勝利投手となった。
NLDSが第5戦までもつれていたら、大谷は「勝てばシリーズ突破、負ければ敗退」の第5戦に先発していたはずだ。ドジャースが第4戦でシリーズ突破を決めた今、大谷の次回登板がいつになるのかを決めなければならない。
リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)の対戦相手は11日(日本時間12日)まで確定しないが、ブルワーズとカブスのどちらが勝ち進んだとしても、ドジャースの先発ローテーションにはほとんど影響を与えないだろう。大谷の場合、最も重要なのは二刀流の負担を考慮することだ。NLDSの打撃不振を考えると、投打のバランスを今まで以上に考慮する必要がある。
大谷はオフの前日、第2戦に先発することが有力視される。この場合、ブレイク・スネルが第1戦に先発することになり、スネルは中4日で第5戦に先発することも可能だ。山本由伸が第3戦、そしてタイラー・グラスナウが第4戦に先発することになるだろう。
第6戦と第7戦が必要になった場合、話が少し複雑になる。大谷は第6戦に先発する可能性があるものの、中5日での登板は今季わずか2度しかない。また、山本はメジャー移籍後、中4日での登板を1度も経験していないため、第3戦に先発したあと、第7戦に先発できるかどうかは不透明だ。
これらはドジャースがNLCSの先発ローテーションを決める上で考慮しなければならない要素の一部に過ぎない。最優先事項は、大谷の次回登板の翌日に休養日を設けることだろう。なぜなら、ドジャースがワールドシリーズ連覇を目指す上で、打者・大谷の復調が必要不可欠だからだ。
デーブ・ロバーツ監督はNLDSの期間中、「彼は失投を打つチャンスを逃している。左腕との対戦が多いということもあるが、打席でのスイングの判断が良くない。スイングの判断を修正する必要がある」と語っていた。
ドジャースは今季、大谷をできる限りオフ前日に登板させようとしてきた。レギュラーシーズン中、大谷は登板翌日の8試合で34打数5安打(打率.147)と精彩を欠いていたからだ。NLDSでは第1戦と第2戦の間にオフが設けられていたため、大谷は第1戦に先発することが可能だった。
NLDSでの大谷の打撃不振は、フィリーズの強力な先発左腕トリオ、クリストファー・サンチェス、ヘスス・ルザード、レンジャー・スアレスと対戦しなければならなかったことも影響しているだろう。サンチェスが第1戦で「大谷封じ」の流れを作り、第1打席で空振り三振を奪うなど、大谷を3打席連続三振に仕留めた。
大谷は今年のポストシーズンで初球から積極的にスイングしており、30打席中12打席で初球に手を出している(40%)。積極的にスイングすることを恐れない打者ではあるものの、レギュラーシーズン(33.9%)と比較すると、初球スイング率は上昇している(サンプル数が少ないことを考慮する必要もあるが)。
レギュラーシーズン終盤、ロバーツ監督は昨季と比較して、大谷の成長を称賛していた。相手投手が大谷を警戒する中、「試合の流れを引き寄せる能力が向上した」というのがロバーツ監督の見解だ。
ワールドシリーズに進出し、連覇を成し遂げるためには、チーム全体の努力が必要不可欠だ。大谷はNLDSの戦いの中で、自分が中心選手として活躍しなくてもチームが勝利できることを目の当たりにした。
しかし、NLCS以降の戦いで優位に立つためには、二刀流のスーパースターが投打両面でベストのパフォーマンスを見せることが必要になる。NLDSで苦戦した大谷のバットは輝きを取り戻すことができるだろうか。
2025.10.11 09:30 Saturday
ヤンキース・ベリンジャー 年俸38億円の来季契約を破棄してFAに
関係者がMLB.comに語ったところによると、ヤンキースのコディ・ベリンジャーはあと1年残っている契約を破棄し、フリーエージェント(FA)になる意思を固めたようだ。
ベリンジャーは2024年2月にカブスと3年契約を結び、今季がその2年目のシーズン。来季の年俸は2500万ドル(約38億円)で、選手側に選択権があるオプションとなっている。ヤンキースは昨年12月、右腕コディ・ポティートとのトレードでカブスからベリンジャー(プラス金銭)を獲得した。
ベリンジャーは今季ヤンキースで実力を発揮し、152試合に出場して打率.272、29本塁打、98打点、13盗塁、OPS.814を記録。本塁打と打点はドジャースでナ・リーグMVPに輝いた2019年(47本塁打&115打点)以来の高水準だった。また、三振率(13.7%)と空振り率(18.1%)は自己ベストを更新した。
「このユニフォームを着て、素晴らしい時間を過ごすことができた。ヤンキースタジアム、ヤンキースファン、ヤンキースの球団組織、そしてヤンキースの選手たちがロッカールームで築き上げてきた文化。それらは本当に特別なものだった」とベリンジャーは地区シリーズ(ALDS)第4戦に敗れ、敗退が決まったあとに語った。
「本当に楽しいグループだ。その一員になることができて、本当に楽しかった。本当に素晴らしいグループだったので、(ワールドシリーズ制覇という)期待に応えることができなかったことだけが残念だ」とヤンキースで過ごした1年を振り返った。
ベリンジャーは打撃面だけでなく、守備面でも外野の全3ポジションと一塁を守りながらチームに貢献した。守備でのランバリュー(得点価値)は+9を記録し、メジャー全体の上位9%にランクイン。チームでも正捕手オースティン・ウェルズの+11に次ぐ数値だ。
ベリンジャーの父クレイも1999~2001年にヤンキースでプレーした経験がある。ベリンジャーは今オフにFAとなる主力選手の1人であり、ほかにはトレント・グリシャム、ポール・ゴールドシュミット、ルーク・ウィーバー、デビン・ウィリアムスらがFAとなる予定だ。
2025.10.11 08:27 Saturday