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ブランドン・ニモ放出のメッツ 次に目指すのはクローザーの確保か

 メッツとレンジャーズが大型トレードを成立させ、二塁手のマーカス・セミエンがメッツ、外野手のブランドン・ニモがレンジャーズへ移籍することになった。

 このトレードにより、メッツの外野は1つポジションが空いたが、現有戦力で埋めることも可能であり、メッツの資金力があれば、カイル・タッカーやコディ・ベリンジャーを獲得することもできるはずだ。MLB.comでメッツを担当するアンソニー・ディコモが関係者から得た情報によると、メッツはこれらすべての選択肢を検討中だという。

 メッツは最古参選手のニモを放出した一方、主砲ピート・アロンソ、守護神エドウィン・ディアスとの再契約に興味を示している。しかし、米メディア「ジ・アスレチック」のウィル・サモンによると、ディアスとの再契約に向けて、契約年数の長さが大きなハードルとなっているようだ。

 もしメッツがディアスと合意できなかった場合、素早くデビン・ウィリアムスやロベルト・スアレスといった別の選択肢にシフトすることが考えられる。サモンは、メッツがすでにウィリアムス、スアレスの代理人とそれぞれ複数回にわたって交渉を行ったことを伝えている。

 ウィリアムスは今季、同じニューヨークを本拠地とするヤンキースでプレーした。サモンによると、12チーム前後がウィリアムスに興味を示しており、その中にはメッツのほか、ドジャース、レッドソックス、タイガース、ジャイアンツ、レッズ、そして再契約を目指すヤンキースなどが含まれているという。

 今季惜しくもポストシーズン進出を逃したメッツ。10月の舞台に返り咲くために、今オフは積極的に動くことが予想されるが、高額ペイロールのわりにロースターの選手層は薄く、来季に向けて課題が山積している。

2025.11.25 08:44 Tuesday

ブランドン・ニモとマーカス・セミエンのトレードを多角的に分析

 23日(日本時間24日)、2026年以降に向けたロースターの再編を目指すメッツとレンジャーズは、それぞれ長期契約を結んでいるブランドン・ニモとマーカス・セミエンの1対1のトレードという大きな動きに出た。外野手のニモはレンジャーズ、二塁手のセミエンはメッツへ移籍することになる(球団からの正式発表はまだ行われていない)。

 32歳のニモは、2022年12月に8年1億6200万ドル(約243億円)でメッツと再契約を結び、その契約にはトレード拒否権が含まれていたが、今回のトレードにあたり、拒否権を行使しないことで合意。一方、35歳のセミエンは、2021年12月に7年1億7500万ドル(約262億5000万円)でレンジャーズと契約していた。

◆トレードの詳細 メッツ獲得:マーカス・セミエン(二塁手) レンジャーズ獲得:ブランドン・ニモ(外野手)

 ここではMLB.comのエキスパートたちによる、多角的な分析を紹介していく。

【1】メッツにとって今回のトレードが理にかなっている理由 (メッツ担当記者:アンソニー・ディコモ)

 ニモはメッツ一筋で10年間プレーし、その大半は生産的なシーズンだった。8年契約を結んだことにより、ニモはメッツ一筋のままキャリアを終えるはずだったが、今回のトレードにより、ニモの「メッツ時代」は突如として幕を閉じることになった。ニモはレンジャーズでメッツ時代の同僚であるジェイコブ・デグロムと合流し、メッツはセミエン獲得により、ロースターの柔軟性を高めることになる。

 球界有数の守備力を持つ二塁手のセミエンは、攻撃力の高い内野手としても知られており、2023年には29本塁打、100打点、14盗塁、OPS.826、WAR7.7の好成績を残してア・リーグMVP投票3位となった。しかし、35歳となったセミエンは、過去2シーズンは2023年ほどの活躍を見せていない。ただし、今季ゴールドグラブ賞を受賞するなど、依然としてチームに貢献できる選手であり続けている。

 セミエンの存在は何よりも、メッツの柔軟性を大幅に高めるとともに、デービッド・スターンズ編成本部長が今オフの目標として掲げている「守備力アップ」の達成にも貢献する。来季開幕時点で33歳のニモは、キャリアワーストレベルの守備成績を残したばかりだ。メッツはジェフ・マクニールや有望株カーソン・ベンジを左翼手で起用する、あるいはカイル・タッカーやコディ・ベリンジャーといった大物FA外野手を獲得することで、ニモの穴を埋めることができる。関係者によると、メッツはこれら全ての選択肢を検討しているようだ。

【2】レンジャーズにとって今回のトレードが理にかなっている理由 (レンジャーズ担当記者:ケネディ・ランドリー)

 セミエンと遊撃手コリー・シーガーは、ともに2022年シーズンからレンジャーズに加入し、2023年には球団史上初のワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。しかし、それ以降は思うような成果を得ることができていない。35歳のセミエンは、127試合に出場して打率.230、OPS.669という期待外れのシーズンを終えたばかりだ。15本塁打は、短縮シーズンを除くと、2018年以降で最少だった。

 一方、32歳のニモは本塁打(25)、打点(92)、ハードヒット率(50.2%)の各部門で自己最高の数字をマーク。wRC+(92)がメジャー25位、長打率(.381)が同26位、得点(684)が同22位と低迷したレンジャーズ打線の巻き返しに貢献するはずだ。

 レンジャーズは、二塁の穴を埋める選択肢として、ユーティリティプレーヤーのジョシュ・スミス、エゼキエル・デュラン、サム・ハガーティらがいる。スミスは2024年にユーティリティ部門でシルバースラッガー賞に輝いた選手だ。外野はワイアット・ラングフォードとエバン・カーターという若手スター候補がいるものの、それ以外は層が薄かった。

【3】さらに深掘り (アナリスト:マイク・ペトリエロ)

 知名度の観点から言えば、今回の取引はビッグトレードだ。MVP投票のトップ3に3度ランクインしたことがあるセミエンがメッツ、メッツの球団組織で14シーズンを過ごし、球界で最も過小評価されてきた選手の1人であるニモがレンジャーズへ移籍することになった。

 では、短期的な価値を見ると、どうだろうか。両選手の知名度から想像されるほど、大きなトレードではないかもしれない。35歳のセミエンは、自己ワーストに近い出塁率.305に終わり、長打率.364は自己ワーストで、規定打席到達者の中ではワースト10人に入る数字だった。3月に33歳となるニモは、25本塁打、92打点と見た目の数字は優秀だが、その裏では懸念すべき衰えの兆候が見え始めている。四球率が大幅に低下しただけでなく、長年にわたって高いレベルを維持してきた走塁や守備の指標も平均をわずかに下回る水準まで落ち込んだ。

 重要なのは、期待外れのシーズンを過ごした両チームの打線に、新たな風を吹き込むことだろう。メッツは守備力アップを目指している。セミエンはかつてのようなスーパースター級の守備力はないものの、今季はOAA(Outs Above Average:平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)+7を記録し、依然として優秀な二塁手だ。一方、レンジャーズは得点力アップを目指している。ニモはセミエンより打撃力があり、年齢も若い。また、メッツにとっては、タッカーやベリンジャーのために外野のポジションを空けるというメリットもあるかもしれない。二塁が固定されたため、今度はマクニール、ブレット・ベイティ、ロニー・マウリシオらのトレードが検討される可能性もある。

 より高度な指標も見ると、ニモとセミエンは見た目の数字以上に、近い成績を残している打者だった。ニモはより多くの打点を記録したが、ランナーがいる状況での打席が44回も多く、これが打点増加の一因となっている。実際、ランナーがいる状況では、ニモよりもセミエンのほうが優れた打者だった。また、レンジャーズは左打者のパワーを改善したいという望みを叶えることもできた。今季レンジャーズより数字が悪かったのは3チームだけ。ニモはこの課題克服に貢献するはずだ。特にアドリス・ガルシアが不振の2シーズンを過ごしたあと、ノンテンダーFAとなったため、外野手の補強が急務だった。

 結局のところ、トレードの成否は両選手が新しいチームにフィットできるかどうかだ。両チームとも今季の戦力を来季にそのまま持ち越すことはできないし、両選手とも以前のようなスター級の働きはできていない。つまり、今回のトレードは似たような状況にある大物選手同士、似たような状況の大型契約同士を交換したものである。ニモはセミエンより2歳若いものの、契約も2年長く残っている。要するに、メッツにとって、セミエンの3年を取るか、ニモの5年を取るかという選択だったのだ。ニモは契約が終わることには指名打者になっているかもしれない。しかし、メッツにはすでにフアン・ソトがおり、ピート・アロンソと再契約を結ぶ可能性もある。そうした状況の中、ニモに指名打者のポジションを与えることはできない。もちろん、ニモを獲得したレンジャーズのほうが得をする可能性もある。ニモ不在で戦力不足となった2029年と2030年のメッツに対し、レンジャーズが高みの見物をしている可能性もあるだろう。

【4】知っておくべきデータ (MLB.comリサーチチーム)

 セミエンは今季、期待されたほどの打撃成績を残すことができなかったものの、守備は依然として優秀だった。OAAは+7、フィールディングランバリュー(守備での得点貢献度)も+6を記録し、キャリア2度目のゴールドグラブ賞に輝いた。

 フィールディングランバリューは、スタットキャストが測定・算出する様々な守備指標を全て統合し、選手個人の守備パフォーマンスを評価する指標である。運用が開始された2023年以降、セミエンは+32を記録しており、全内野手の中でロイヤルズの遊撃手ボビー・ウィットJr.(+41)、ブルージェイズの二塁手アンドレス・ヒメネス(+39)、レッズの三塁手キブライアン・ヘイズ(+37)に次ぐ4位にランクインしている。

 対照的に、メッツの内野陣は今季-7に終わり、これはメジャー全体で10番目に悪い数字だった。セミエンの加入は、内野の守備力向上に大きく寄与するはずだ。

2025.11.24 12:00 Monday

通算208本塁打のジョーイ・ギャロ 投手転向へのチャレンジを継続中

 ジョーイ・ギャロが投手としてメジャーでのキャリアを続ける意向を示してから約8カ月、元スラッガーがマウンドに立つ姿が久しぶりに公開された。試合のマウンドに立ったわけではなく、ギャロ自身のソーシャルメディア上でその様子が公開されている。

 32歳になったばかりのギャロは、自身のX(旧Twitter)アカウントに3球を投げる15秒の動画を投稿した。この動画では、捕手の姿は確認できないが、ギャロの投球をミットで受ける音がハッキリと聞こえる。

 ギャロは2度のシーズン40本塁打を記録するなど、メジャー通算208本塁打を誇るスラッガー。しかし、2024年にナショナルズでプレーしたのを最後に、メジャーの舞台から遠ざかっており、2024年は223打数で打率.161に終わった。2022年から2024年にかけて、ヤンキース、ドジャース、ツインズ、ナショナルズを渡り歩いたが、打率.166、出塁率.286、長打率.379、三振率40.6%とかつての強打を見せることはできなかった。

 近年は低迷が続いているものの、レンジャーズ時代は主力選手として活躍し、2度のオールスター選出のほか、ゴールドグラブ賞も2度受賞。メジャーを代表する長距離砲として名を馳せた。

 今年はホワイトソックスとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに参加していたが、投手転向の意向を示したため、ホワイトソックスは3月中旬にギャロを解雇した。

 身長196センチのギャロは、全盛期にはメジャー有数の強肩外野手として知られていた。2021年には送球の平均球速が93.9マイル(約151キロ)を計測し、これはメジャー全体5位の数字(送球50回以上の外野手に限る)。ほぼ一塁に専念する前の最後のシーズンとなった2023年の平均球速は89.8マイル(約145キロ)だった。

2025.11.24 10:09 Monday

剛腕クローザーのヘルズリー 複数球団が先発投手として興味を示す

 ライアン・ヘルズリーは2019年にマイナー3Aメンフィスで先発したのを最後に先発登板がない。この剛球右腕はメジャー昇格後、すべての試合にリリーフで登板しており、トップクラスのクローザーまで上り詰めた。しかし、初のフリーエージェント(FA)となった今オフ、役割の変更を求められることになるかもしれない。

 米メディア「ジ・アスレチック」の報道によると、31歳の右腕に対し、タイガースを含む複数球団が先発投手として興味を示しているという。

 ビジネスの観点から見ると、ヘルズリーが先発転向を検討するのは理にかなっている。第一に、防御率4.50(7月のトレードでメッツに移籍したあとは防御率7.20)と安定感を欠いた2025年シーズンを経て、ヘルズリーに対する評価は下落している。2024年は49セーブ、防御率2.04という素晴らしい活躍を見せ、2度目のオールスター選出を果たしただけでなく、ナ・リーグの最優秀救援投手に与えられるトレバー・ホフマン賞を受賞したが、今季は大きく成績を落とした。

 第二に、今オフのクローザー市場は非常に層が厚く、エドウィン・ディアス、デビン・ウィリアムス、ロベルト・スアレス、ピート・フェアバンクス、ケンリー・ジャンセンらが市場に出ている。ほかの選択肢が豊富な状況の中、ヘルズリーが注目を集めることは難しい。

 対照的に、エース級の先発投手は供給不足となっている。よって、もしヘルズリーに先発転向を受け入れる意思があれば、FA市場でより多くのオファーを得られる可能性がある。なお、先発転向を検討しているのはヘルズリーだけではない。元先発投手のブラッド・ケラーも同様に、先発転向の可能性が噂されており、ルーク・ウィーバーも再び先発に挑戦する意向を示している。

 リリーフ投手の先発転向は前例がないわけではない。セス・ルーゴ、マイケル・キング、レイナルド・ロペス、クレイ・ホームズといった投手たちが近年、リリーフから先発への転向を成功させた。

 ただし、ヘルズリーがこうした投手たちのあとを継ぐためには、球種のレパートリーを増やす必要があるだろう。今季、スライダーとフォーシームが全投球の92.9%を占め、ほかの球種はカーブ(5.8%)とカットボール(1.3%)だけだった。さらに、今季はフォーシームに威力がなく、平均99.3マイル(約160キロ)を計測したにもかかわらず、被打率.422、被長打率.667と打ち込まれ、球種別のランバリューは-15だった。フォーシームの威力を取り戻すことも、来季に向けた大きな課題となる。

2025.11.24 09:21 Monday

メッツ・ニモとレンジャーズ・セミエンの大型トレードが成立へ

 23日(日本時間24日)、MLB.comでレンジャーズを担当するケネディ・ランドリーが関係者から得た情報によると、メッツとレンジャーズは外野手ブランドン・ニモと二塁手マーカス・セミエンの1対1のトレードに向けて交渉を進めているようだ。まだ両球団からの正式な発表は行われていない。

 関係者によると、ニモはトレード拒否権を行使しないことに合意しているという。32歳のニモは、2022年12月に8年1億6200万ドル(約243億円)でメッツと再契約。一方、セミエンは2021年12月に7年1億7500万ドル(約262億5000万円)でレンジャーズと契約したが、トレード拒否権を持っていない。

 35歳のセミエンは、オールスター選出3度の実績を持ち、2023年にはレンジャーズの一員としてワールドシリーズ制覇を経験。しかし、今季は打撃成績を悪化させ、127試合で打率.230、OPS.669に終わった。ただし、安定した守備力は健在で、OAA(Outs Above Average:平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)+7を記録。これはメジャー全体の上位8%に入る好成績であり、キャリア2度目のゴールドグラブ賞を受賞した。メッツのデービッド・スターンズ編成本部長はシーズン終了後、今オフも目標の1つとして「守備力向上」を掲げており、まさに有言実行の大型トレードとなる。

 ニモは2011年ドラフト全体13位指名でメッツに入団し、10年間のメジャー生活をメッツ一筋で過ごしてきた。今季は本塁打(25)、打点(92)、ハードヒット率(50.2%)の各部門で自己ベストを記録。レンジャーズは今季、wRC+(92)がメジャー24位タイ、長打率(.381)が同26位、得点(684)が同22位と打撃不振に苦しんだため、得点力アップが今オフの課題の1つとなっていた。

2025.11.24 08:39 Monday

スイーパーの流行から2年後、新たなトレンドとは?

 2023年のワールドベースボールクラシック(WBC)決勝の最終打席、今でも語り草となっている大谷翔平とマイク・トラウトの名勝負は、大谷の鋭く曲がるスイーパーにトラウトのバットが空を切り、空振り三振で決着した。その名勝負が大きな契機となり、スイーパーはトレンドの球種として持て囃されるようになった。

 しかし、それから2年後、早くもスイーパーは「トレンドの球種」ではもはやなくなっている。スイーパーに代わる新たな投打のトレンドとは何だろうか。

2022年の黄金期からわずか数年で衰退

 大谷がスイーパーでWBC優勝を決める前年の2022年は、まさにスイーパーにとって黄金期だった。スイーパーに分類される大きなスライダーは前年から倍増して28360球を投じられ、被打率はわずか.194。さらに、1球単位で失点をどれだけ増減させたかを示すピッチャー・ラン・バリュー(状況ごとの重み付けなし)という指標では、スイーパーは全体の4.0%の割合でしか投げられていなかったにもかかわらず、+104を叩き出し、さらに100球あたりのラン・バリューでも0.366(ともに主要球種中2位)を記録した。

 しかし、2022年を境にスイーパーは打者に適応されていった。翌2023年はスイーパーの存在がより一般的になり、投球数が42001球に達したが、ラン・バリューはむしろ減って+57(100球あたりでも.136)。2024年も投球数は48020球が投じられたが、ラン・バリューは+42(100球あたりでは.088)に低迷した。

 そして2025年は投球数の増加が49534球と頭打ちになり、ラン・バリューは+7、100球あたりでも.014と一気に落ち込んだ。

 わずか3年前には球界を席巻していたはずのこの球種に一体何があったのだろうか?

「引っ張りフライボール革命」が打者側の新たなトレンドに

 スイーパーが投手側のトレンドとして大流行した一方、打者側では「“引っ張り”フライボール革命」とでも言うべき、新たなトレンドが生まれていた。

 「フライボール革命」といえば、2010年代半ばのMLBを席巻したことで聞き覚えのある人も多いだろう。簡潔に表現するならば、フライを打ち上げる方が効率的に得点を生み出せるという考え方のことで、これを大いに取り入れたアストロズなどが大成功を収めたことで、一躍脚光を浴びた。スイーパーの台頭も、「フライボール革命」をも含む大きなトレンドの変遷の一部と言っても良く、「フライボール革命」の考え方は現代野球の基本にもなっている。

 そして今、「“引っ張り”フライボール革命」とでも言うべき潮流がMLBでは見られている。従来、引っ張り一辺倒になるのは良しとされておらず、広角にフィールド全体を使い、センター返し・流し打ちできる技術を持つ打者こそ良い打者であるという価値観が主流だった。

 しかし、今は違う。他のどの打球分類よりも「引っ張り方向」の「フライ打球」が良い結果に結びつくということがデータで示され、広角に打ち分けずとも正確無比に「引っ張り方向のフライ」を打ち続ける打者も評価されるようになってきた。

 「引っ張りフライ」は、打球全体のうち17.5%の割合でしか発生していないものの、ホームラン全体の66%を占めていた。バックスクリーンへの一発がパワーの証、逆方向へのホームランが技術とパワーの結晶と特別に扱われることが多々ある通り、基本的に引っ張ったホームランが多いという事実は頷ける。

 従来の野球観において、引っ張り一辺倒の打撃やプルヒッターが批判されていたのは、それによって大振りになってしまい、確実性が下がってしまうからという理由が大方を占めるだろう。

 しかし、データによると、「引っ張りフライ」は確実性も上げてくれる。同じく2022-24年の期間において「引っ張ったフライ」は打率.547、長打率1.227、wOBA(攻撃力を測る指標で、出塁率と同じスケールで見ることができる)では.733と、驚異的な打撃結果を残していた。一方で、「引っ張りフライ」以外の打球分類では、打率.319、長打率.527、wOBA.353と格段に数字は落ちる。

 「引っ張りフライ」の有効性は今や広く知れ渡っている。MLBでは2015年から「引っ張りフライ率(プル・エア%)」が上昇し続けており、2025年はスタットキャスト導入後では史上最高の18.2%に達した。

 なぜ「引っ張りフライ」がより良い打球結果に結びつくのだろうか。

 打球を引っ張るためには、ボールを前でさばかなければならない。そして、このボールを前でさばくことは、それ自体にメリットが詰まっている。

 ボールを前でさばくことのメリットは、より速いスイングスピードが速い状態でバットがボールをとらえられることだ。当然ながら、よりスイングスピードが速い状態の方がパワーが生まれやすい。事実、打球を引っ張ったときのスイングスピードは、流し打ちしたときに比べておよそ4マイル(5キロ)も速いという。

 実際、すべてのホームランの内、8割以上が前でさばいた結果、生み出されている。マイク・ペトリエロによれば、2024年のホームランの82%が、打者のスタンスの重心から25-45インチ(64-114センチ)前でバットとボールが当たっていた。大谷翔平(ドジャース)やアーロン・ジャッジ(ヤンキース)のように引き付けて逆方向にホームランを打てるパワーの持ち主は稀有であり、多くの打者がボールを前でさばくことでパワーを最大化しようとしている。

 大激戦となった今年のワールドシリーズ第7戦でも、スイングスピードが平均以下のミゲル・ロハスとウィル・スミスが、お手本のような前でのさばきを見せ、戦局を変えるホームランを放ったのは記憶に新しい。

スイーパーは「引っ張りフライボール革命」の格好の餌食か?

 ここまで、近年のMLBで見られる「引っ張りフライボール革命」について説明した。「引っ張りフライボール革命」の信奉者の打者が狙っているのは、投球を前でさばいて引っ張り方向にフライを打つこと。そして、「引っ張りフライボール革命」の少し前に台頭したスイーパーは、その格好の餌食となり得る性質を持つ。

 スイーパーの「被引っ張りフライ率」は全球種中最多の25.7%。今季は2位のスライダーに3ポイントの差をつけ、最も危険とされる「引っ張りフライ」を浴びた球種となった。

 とはいえ、スイーパーの「被引っ張りフライ率」は、本格的にスイーパーが投じられるようになった2021年から毎年主要球種の中でワーストを記録している。つまり、被引っ張りフライ率が高いせいでスイーパーが打たれるようになったと言えるわけではない。

 実際にスイーパーが打たれるようになった理由は、打者の目が慣れ、適応してきたという点が大きいだろう。また、流行に乗ってスイーパーを投げる投手が増え、質の低いスイーパーが増えた可能性もある。打者はスイーパーを見極められるようになり、スイーパーに対するボール球スイング率は2021年の32.4%から年々低下し、今季はついに3割を割って29.9%になった。さらにスイーパーに対するスイングスピードは計測が始まった2023年から毎年上昇し、スイングスピードが75マイル(120キロ)を超えた割合を示すファスト・スイング率は2023年から約4ポイント増の23.0%へ。それらが要因となってか、冒頭で挙げたラン・バリューの低下に顕著なように、スイーパーは以前より打たれるようになった。

 打者がスイーパーに適応してきた以上、スイーパーを多投するのは危険かもしれない。ましてやスイーパーは危険な引っ張りフライを浴びやすい性質を持っている。

投手は新たなトレンドを模索

 一大トレンドとなったスイーパーに衰退の兆しが見えたとはいえ、それでMLBの投手たちが黙っているわけではない。投手たちは既に新たなトレンドを確立しつつある。

 これまではスイーパーやそれ以前の高めのフォーシーム、フライボール革命で淘汰されたはずのシンカーの復権など、特定の球種がトレンドになってきた。

 しかし、特定の球種がトレンドとなり、多くの投手がその球種を投げるようになれば、打者は目が慣れてすぐに適応してしまう。スイーパーに限らず、多くの変化球が年々攻略されている傾向にある。日本人投手の代名詞として絶大な威力を誇ったスプリットも、今季は2015年以降で最多の23596球が投じられたが、100球あたりのピッチャー・ラン・バリューは2016年以来の低水準となる.071と低迷。2022年には.476と絶大な有効性を示していたにもかかわらず、わずか数年で急降下した。

 そこで生まれた新たなトレンドは「多くの球種を投げ分ける」というものだ。デービッド・アドラーによれば、スタットキャストが導入された2015年以降で、今季は「5球種以上投げた投手」あるいは「6球種以上投げた投手」の割合が過去最多だった。さらに注目すべきは、ただ多くの球種を持っているというだけではなく、多くの球種を均等に使い分けて打者を攻めている点だ。

 多くの変化球を使い分けることで知られるダルビッシュ有は、このトレンドについて「自然な流れだと思う。今の打者は10年前よりも多くの球種を見ているからね。投球フォームを全て再現できるトラジェクト・アークのようなピッチングマシンも増えている。だから、私にとっては自然な進化だと思う。(球種の組み合わせを)打者に合わせて調整できる。小さなスライダーは打てるけど、大きなスイーパーは苦手という打者もいます。だから、全ての球種を揃えておけば、どんな打者にも対応できる」という旨のコメントを残している。

 データ分析の進歩によって、日進月歩で戦略が進化するMLB。激しい力と力のぶつかり合いの裏には、投手と打者による終わりなきいたちごっこのような頭脳戦が隠されている。

2025.11.23 18:39 Sunday

注目のノンテンダーFA12選 元レンジャーズのガルシア、ハイムら

 21日(日本時間22日)にテンダーデッドラインが過ぎ、66人の選手が「ノンテンダー」となり、フリーエージェント(FA)となった。テンダーデッドライン後にFA市場に加わった興味深い12選手を紹介する。

アドリス・ガルシア(外野手、レンジャーズ)

 ガルシアは2023年のレンジャーズの史上初のワールドシリーズ制覇において、特別な役割を果たした。2023年ポストシーズンでは8本塁打、22打点(ポストシーズン記録)そしてOPS1.108を記録する大暴れ。また2023年はレギュラーシーズンでも39本塁打、107打点、OPS.836を記録し、ゴールドグラブにも輝いた。しかし、それ以降はガルシアは停滞し、2024年にはOPS.684、2025年にはOPS.665と打力が失われた。

MJ・メレンデス(外野手、ロイヤルズ)

 メレンデスはかつて高い評価を受ける捕手有望株だったが、大黒柱サルバドール・ペレスの存在、そしてメレンデスの守備面での苦戦によって、外野へ完全転向となった。ポジションを変えてもなおメレンデスの拙守は続き、さらに売りだったはずの打撃も低迷。デビューから3年連続で16本塁打、21二塁打以上を記録してきたが、通算では打率.215、出塁率.297、長打率.388、そしてOPS+は平均以下の90に過ぎない。2025シーズンは大半を3Aで過ごした。

エバン・フィリップス(救援投手、ドジャース)

 2024年シーズンのプレーオフでは無失点の好投を続けながら、ローテーターカフの負傷でワールドシリーズ出場を逃したフィリップスは、今季もケガで棒に振った。5月にはトミージョン手術を受け、2026年も出遅れが確定している。しかし、2022-24年にかけてドジャースで防御率2.21、9イニングあたりの奪三振数10.4個、9イニングあたりの与四球数2.3個、44セーブとその活躍ぶりは忘れがたく、オファーを出す球団は少なくないだろう。

ジョナ・ハイム(捕手、レンジャーズ)

 2023年のレンジャーズの優勝チームにおいて、ハイムは不可欠な存在だった。堅実な打撃(18本塁打、OPS+107)とエリート級の守備を両立し、レギュラーシーズンでfWAR4.0を記録した。しかし、その後の2シーズンではfWARは-0.6に落ち込み、攻守両面で低迷している。

ナサニエル・ロウ(一塁手、レッドソックス)

 2022年にゴールドグラブ、2023年にシルバースラッガーを受賞した実力者。8月にナショナルズからリリース(解雇)され、レッドソックスに加入したロウは新天地で復調し、打率.280、OPS.790を記録した。しかし、シーズンを通してみればOPS.689の不振でノンテンダーFAとなった。

アレック・マノア(先発投手、ブレーブス)

 マノアはブルージェイズに所属していた2年目に、196回2/3を投げて180三振、防御率2.24を記録してア・リーグサイ・ヤング賞投票3位に入った。しかし、2023年には不振でマイナー落ち、2024年5月には右肘内側側副靱帯を負傷するなどキャリアは暗転。2025年は終盤にかけてリハビリ登板を何度か行ったものの、DFAとなり、ブレーブスにクレームされていた。

クリストファー・モレル(外野手、レイズ)

 モレルはカブスでの最初の2年間は優秀な選手だった。特に2023年は107試合で26本塁打、OPS.821を記録した。しかし、直近2年間では打率.204、OPS.651、三振率29.3%と低迷しており、守備力の低さ故に定位置がないディフェンス面も足を引っ張っている。

JJ・ブレデイ(外野手、アスレチックス)

 2019年ドラフト全体4位の元有望株は、2025年は打率.212、OPS.698と不振。2024年はOPS.762、20本塁打と堅実な活躍だったが、センターとしては守備力が低く、今季打撃不振に陥ったことでアスレチックスからテンダーされなかった。

ラモン・ウリアス(内野手、アストロズ)

 アストロズは今季のトレードデッドラインでウリアスをオリオールズから獲得した。しかし、便利屋のウリアスは加入後も打率.223、OPS.640と振るわなかった。2022年には16本塁打、OPS.720、さらに三塁でゴールドグラブを受賞するなど全盛期を迎えていたウリアスは、今季もbWAR2.2を記録するなど依然として好選手だ。

マイク・トークマン(外野手、ホワイトソックス)

 昨季カブスにノンテンダーされ、同じシカゴのホワイトソックスに加入したトークマンは、2019年以来の打撃好調なシーズンを送った。打率.263、9本塁打、OPS.756、四球率11.7%を記録した。

マイク・ライターJr.(救援投手、ヤンキース)

 ライターJr.はカブスでの3年間で防御率3.85を記録し、セットアッパーの一人として活躍。しかし、2024年途中にヤンキースに加入後は防御率4.89と低迷した。

ジェイク・フレイリー(外野手、レイズ)

 11月上旬にクレームされたレイズからノンテンダーFAとなったが、2025年はレッズとブレーブスでプレーした。通算打率.248、OPS.735と一定の攻撃力を持つものの、2022年から7度の負傷者リスト入りを経験するなど、ケガが多い。

2025.11.23 12:33 Sunday

カブスと救援右腕メイトンが契約合意か ブルペン再構築に大きな一歩

 21日(日本時間22日)、カブスが救援右腕フィル・メイトンと2年契約(2028年に球団オプション)に合意したと関係者が報じた。この契約は身体検査後に正式発表される見込みだ。

 32歳のメイトンは2021年から5年連続で60試合以上に登板してきたリリーフ右腕。今季は63登板で防御率2.79の好成績を残し、シーズン途中にカージナルスからレンジャーズへと移籍していた。今季は三振が増えたことでキャリアハイを記録し、奪三振率(32.5%)でMLB上位5%、平均打球速度(84.8マイル)でMLB上位1%、空振り率(36.2%)とバレル率(3.6%)でMLB上位2%に入っていた。

 直球系の平均球速は89.6マイル(144キロ)と平凡だが、カーブを38.2%、カットボールを36.0%の割合で使用するなど、変化球主体の投球が持ち味。カーブは空振り率41.6%、被打率.136と抜群の切れ味を誇る。カットボールは昨季から平均球速がおよそ2マイル向上し、空振り率32.9%、被打率.215と昨季に比べて空振りを増やした。

 カブスは今季のブルペンを支えたブラッド・ケラー、ケイレブ・シールバー、ドリュー・ポメランツがFAとなり、ブルペンの再構築がオフの課題となっていた。「ある意味、挑戦でもある。多くの選手が必要だ。昨年は多くの選手を獲得したので、おそらく同じことを考えるだろう。小規模なトレードや契約、フリーエージェントなども検討するだろう」とGMミーティングで語っていたジェド・ホイヤーGMは、すぐさま今オフ屈指の救援投手だったメイトンの獲得に成功。守護神ダニエル・パレンシアへの橋渡し役を確保した。

 メイトンに加え、先日は今永昇太がクオリファイング・オファーを受諾して残留したとはいえ、カブスにはまだ投手補強が必要になる。今井達也らトップ層の先発投手の動向にも大きく絡みそうだ。

2025.11.23 11:23 Sunday

ポスティング移籍を目指す日本人4選手をめぐる市場について分析

 村上宗隆と岡本和真の両内野手に、今井達也と髙橋光成の両投手が加わり、今オフは4人の日本人選手がポスティング制度によるメジャー移籍を目指している。この4選手をめぐる市場について分析・解説していく。

【1】村上と岡本はどちらも内野の両コーナーを守る選手で、パワーは抜群だが、守備力には疑問符がつく。しかし、両者には多くの違いもある。同じようなチームがこの両選手に興味を示すことになるのか?

 両選手に興味を持つチームがあるのは間違いないと思うが、村上と岡本には明らかに違いがあり、それが獲得を狙うチームのタイプに影響を与える可能性はあるだろう。

 30歳のシーズンを迎える岡本は、2人のスラッガーのプレーを見たことがある一部のスカウトによると、より完成度の高い選手だ。一方、村上は某球団幹部が「驚異的なパワー」と語ったほどの才能を持つが、まだ発展途上だ。村上は空振りが多く、メジャー移籍後はスイングを変える必要があるかもしれない。しかし、25歳の村上が高い将来性を持っていることは否定できない。

 より大きなリスクを負い、大きな可能性に賭ける意思のあるチームは、最終的に村上により大きな関心を持つことになるかもしれない。その一方で、スカウトの中には、岡本のほうがより洗練された打者であり、守備の汎用性も村上より優れていると評価する者もいる。岡本は、より完成度の高い選手を求めている「今、勝たなければならない」チームのターゲットとなるだろう。あるスカウトは、最初の2~3シーズンは岡本のほうが好成績を残すと考えている。しかし、村上は長期契約を結び、スイングの欠点を修正し、非常に生産性の高い選手になる可能性を秘めている。

【2】層が厚い今オフのフリーエージェント(FA)先発投手市場において、今井と髙橋はどのような立ち位置になるのか?

 今井はFA市場の先発投手のトップ4~5に入るだろう。「間違いない先発投手」として、獲得を狙うチームが巨額の投資をする可能性は高い。2年前に山本由伸が結んだような契約にはならないと思われるが、ディラン・シース、フランバー・バルデス、マイケル・キング、レンジャー・スアレスに匹敵する人気を集める選手となるだろう。さらに、これらの4投手とは異なり、今井はクオリファイングオファーの対象外だ。

 今井と同じ右腕の髙橋は、獲得するチームにとって、より柔軟な起用が可能な投手だ。先発もできるし、ショートリリーフやロングリリーフで起用することもできる。関係者によると、髙橋は最新の分析技術に強い興味を持っており、ドライブライン・ベースボールのような米国の投手育成システムも活用しているという。29歳のシーズンを迎える髙橋は、今井より1歳だけ年上だが、今季防御率1.92をマークした今井よりも短い契約となるだろう。髙橋は移籍するチームに柔軟性をもたらし、様々な方法で投手陣を助ける可能性がある。

【3】ドジャースとマリナーズは明らかに日本人選手の獲得で大きな成功を収めており、日本市場において豊富な実績を持つ数少ないチームのうちの2つだ。これまで日本人選手の獲得にそれほど積極的でなかったチームが今オフ、積極的に動く可能性はあるのか?

 この2チームを同列に扱うのは興味深い。なぜなら、マリナーズには日本人選手として初めてアメリカ野球殿堂入りを果たしたイチローがいるにもかかわらず、ここ数年は日本人スター選手を獲得してこなかったからだ。

 イチローを除き、マリナーズで最も成功を収めた日本人選手を挙げていくと、まずは佐々木主浩だ。2000年に新人王を受賞し、4年間で2度のオールスター選出を果たした。菊池雄星も3年契約の最終年にオールスター選出を果たし、その後FAでブルージェイズへ移籍した。岩隈久志も2013年にオールスターに選ばれており、長谷川滋利はメジャー生活最後の4年間をマリナーズで過ごし、オールスターに1度選出された。

 イチローの存在もあり、マリナーズは日本人スター選手を獲得する有力候補に挙げられることも多いが、実際はその分野において、それほど積極的なチームではない。

 ドジャースはどうか。確かに積極的だ。この2年間で山本と佐々木朗希を獲得し、大谷翔平が2018年にメジャーリーグに移籍した際は契約できなかったものの、エンゼルスで6シーズンを過ごしたあと、FAで超大型契約を結び、大谷は移籍後2年連続でワールドシリーズ制覇に貢献した。

 この3選手は今季のワールドシリーズ制覇において、重要な役割を果たしたが、ドジャースが日本人スター選手と契約してきた歴史は数十年にわたっている。野茂英雄、黒田博樹、前田健太といった選手たちだ。ドジャースが今オフ、新たな日本人選手の獲得に動いたとしても、全く驚きではない。

 ヤンキースは東海岸のチームの中で、日本人選手の獲得で大きな成功を収めてきた数少ないチームの1つだ。2009年のワールドシリーズMVPに輝いた松井秀喜がその筆頭だろう。田中将大も7年間、ニューヨークで堅実な活躍を見せ、黒田も3年間活躍した。ヤンキースが今井、そして2人のスラッガーのうちの1人の獲得に動くとしても驚きではない。

 ブルージェイズは大谷と山本の獲得を目指し、積極的にアプローチしていた。よって、今オフの4選手のうち、1人以上の獲得を目指す可能性がある。ある関係者は「ブルージェイズを(獲得レースから)除外する理由はない」と語っている。

 もう1つ注目すべきチームはジャイアンツだ。史上初の日本人メジャーリーガー(1964年の村上雅則)を誕生させたチームだが、ここ数十年は有力な日本人選手を獲得していない。しかし、ザック・ミナシアンGMは山本や佐々木のような有力選手をスカウトするために、何度も日本を訪れており、今オフ移籍を目指す4選手のことも熟知している。ある関係者は「ジャイアンツは4人のうち誰かを獲得するだろう」と予想している。

【4】4選手の交渉期間はいずれも12月下旬まで、あるいは1月初旬までだ。この4選手の契約が決まるまで待つことは、市場全体の動きにどんな影響を与えるのか?

 毎年、市場はこうしたポスティング移籍を目指す選手を中心に動いていくが、大谷と佐々木の場合は全く事情が異なっていた。この2人はFA市場で最高額を提示したチームではなく、国際アマチュアFA選手と契約するボーナスプールの中から契約金が支払われるため、全てのチームに獲得のチャンスがあり、まさに「一生に1度」のユニコーンを手に入れるような争奪戦だった。一方、山本は当時、FA市場で最高の投手だったため、残りの先発投手は山本の契約が決まるのを待つ必要があった。

 今オフ移籍を目指す4選手は、いずれもそのエリア(ポジション)でナンバーワンの選手ではない。トップ選手ではないため、ほかにも有力な選択肢が市場に残っている場合、この4選手は各チームが「選手獲得のプレッシャーをそれほど感じていない時期」に契約を決めなければならないかもしれない。一方、ウィンターミーティングくらいの時期に大物FA選手の契約が決まり始めれば、各チームは戦力補強の選択肢が少なくなり、日本人4選手の獲得に積極的になるだろう(=交渉期限日を待たず、早めに契約が決まる可能性もあるということ)。

 有力なFA選手が多く市場に残っている場合、各チームはほかの選択肢も吟味しながら獲得する選手を決めるため、市場の動きに合わせ、日本人4選手は交渉期限日まで待つ必要があるかもしれない。

2025.11.22 11:49 Saturday

韓国キウムの内野手ソン・ソンムンがポスティング制度でメジャー挑戦へ

 直近2シーズンにわたり、韓国プロ野球で最も優れた打者の1人だった宋成文(ソン・ソンムン)が今オフ、メジャーリーグ移籍を目指している。

 韓国プロ野球のキウム・ヒーローズは、米東部時間22日午前8時(日本時間22日午後10時)にソン・ソンムンをポスティング公示する予定だ。ポスティング申請が正式に完了したあと、ソン・ソンムンは米東部時間12月21日午後5時(日本時間22日午前7時)までにメジャー球団との契約を成立させる必要がある。期限までに合意できなかった場合、2026年シーズンもキウムでプレーすることになる。

 29歳のソン・ソンムンは、2015年に10代で一軍デビューを果たしたが、本格的にブレイクするまでには時間を要した。2015~19年は合計226試合しか出場できず、兵役に就いたため、2020年シーズン全体と2021年シーズンの一部を欠場。復帰後、レギュラーとして起用されたものの、2022年と2023年のOPSはいずれも.700を下回った。

 しかし、2024年についにブレイクを果たし、打率.340、19本塁打、104打点、21盗塁、出塁率.409、長打率.518の好成績をマーク。今季も引き続き活躍し、打率.315、26本塁打、90打点、25盗塁、OPS.917を記録した。

 左打者のソン・ソンムンは、韓国プロ野球では主に三塁を守っていたが、一塁と二塁を守った経験もある。また、キウムでは金河成(キム・ハソン)、李政厚(イ・ジョンフ)、金慧成(キム・ヘソン)といった現役メジャーリーガーたちと一緒にプレーした経験もある。

2025.11.22 10:26 Saturday

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