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メッツがブルペン補強 デビン・ウィリアムスと3年契約で合意

 1日(日本時間2日)、MLB.comのマーク・フェインサンドが関係者から得た情報によると、メッツはフリーエージェント(FA)の救援右腕デビン・ウィリアムスと3年契約を結ぶことで合意に至ったようだ。まだ球団からの正式発表は行われていない。関係者によると、今回の契約にはオプションやオプトアウト権は盛り込まれていないという。

 ウィリアムスは今季ヤンキースでプレーしたため、同じニューヨークを本拠地とするライバルチームに移籍することになる。なお、MLB.comでメッツを担当するアンソニー・ディコモが関係者から得た情報によると、メッツは引き続き守護神エドウィン・ディアスとの再契約を目指す方針。ウィリアムスは今季ヤンキースで経験したように、セットアッパーの役割にも前向きな姿勢を示しているようだ。

 今季のウィリアムスは自己最悪のシーズンを過ごした。ブルワーズからヤンキースへ移籍し、自己最多の67試合に登板したものの、防御率4.79と大不振。ブルワーズで過ごした6年間の通算防御率が1.83だったことを考えれば、信じられない数字だった。

 しかし、ツキに恵まれない部分があったことも忘れてはならない。FIP(守備の影響を除外して算出する疑似防御率)は2.68と実際の防御率より2点以上も良く、期待防御率(打球の質などから算出する疑似防御率)も3.04と良かった。被ハードヒット率は自己ワーストの35.7%だったが、決して悪い数字ではない。

「エアベンダー」の異名で知られる代名詞のチェンジアップは、以前ほど有効ではなかったとはいえ、今季も十分な威力を発揮。被打率.194、空振り率37.3%を記録した。

 基本的には90マイル台中盤のフォーシームとチェンジアップだけで勝負する投手であり、2024年はフォーシームとチェンジアップの投球割合が逆転したものの、今季はキャリアの大部分と同様に、チェンジアップ(52.4%)のほうがフォーシーム(47.4%)よりも投球割合が多かった。

 レギュラーシーズン終盤は好投を続け、最終9登板では9イニングを投げて無失点、12三振、2四球に抑えた。2度のオールスター選出を誇る右腕は、ポストシーズンでも4試合に登板し、4イニングを無失点に抑えている。

 7年間のメジャー生活を振り返ると、背中の疲労骨折で長期離脱した2024年を除けば、毎年のように比較的健康なシーズンを過ごしてきた。2024年は初登板が7月下旬までずれ込み、登板できたのはわずか22試合だけ。ただし、限られた登板機会の中で防御率1.25、三振率43.2%としっかり結果を残した。

 これまでの実績を考えれば、ウィリアムスが31歳で迎える2026年シーズンに復活を遂げる可能性は十分にある。メッツにとって大きな戦力となるのは間違いないだろう。

2025.12.2 12:07 Tuesday

ブルージェイズなど複数球団が救援右腕フェアバンクスに興味

 今オフのフリーエージェント(FA)市場はクローザーの層が厚いのが特徴だ。エドウィン・ディアス、ロベルト・スアレス、デビン・ウィリアムスといった「大物」はまだ動いていないが、彼らに次ぐクラスのクローザーが契約を結び始めている。ライセル・イグレシアスはブレーブスと再契約し、ライアン・ヘルズリーはオリオールズと2年契約。そして、次に動くのはピート・フェアバンクスかもしれない。

「ジ・アスレチック」の報道によると、ブルージェイズとマーリンズを含む複数球団がフェアバンクスに興味を示しているようだ。レイズの主力リリーフ投手として活躍し、2023年から3年連続で20セーブ以上を挙げたフェアバンクスだが、シーズン終了後に年俸1100万ドル(約16億5000万円)の球団オプションを破棄され、バイアウト100万ドル(約1億5000万円)を受け取ってFAとなった。

 今季のフェアバンクスは負傷者リスト入りすることなく1年を過ごし、自己最多の61試合に登板。投球イニング(60回1/3)とセーブ(27)もキャリアハイを更新し、防御率2.83、被打率.201、WHIP1.04と安定した成績を残したが、奪三振率は8.80にとどまった(通算では11.26)。2022~23年に99マイル(約159キロ)前後だった平均球速もここ2年は97.3マイル(約157キロ)まで低下しており、かつての支配的な投球が影を潜めつつあったのも事実。レイズがオプション行使を見送ったのは、年俸だけでなく、こうした事情が影響している可能性もある。

 とはいえ、手頃な価格で実績のあるクローザーを手に入れたい球団にとって、魅力的な補強ターゲットであることは間違いない。まもなく32歳の誕生日を迎えるが、年齢を考えてもあと数年は第一線で活躍できるはずだ。ディアス、スアレス、ウィリアムスほどの「大物」を必要としていない球団が争奪戦を繰り広げることになりそうだ。

2025.12.2 10:27 Tuesday

今井達也の争奪戦から撤退濃厚のジャイアンツが狙う投手は?

 ジャイアンツは今オフ、投手補強を目指している。「ジ・アスレチック」のアンドリュー・バガーリーによると、先発投手を少なくとも1人獲得した上でブルペンも補強したいと考えているようだ。

 ジャイアンツが先発投手を獲得する場合、それは今井達也ではない可能性が高い。ポスティング移籍を目指す27歳の右腕は総額1億ドル(約150億円)を超える大型契約を得ることが確実視されており、バガーリーは「ジャイアンツの予算をオーバーしてしまう」と指摘。「ドジャースを倒したい」との発言で注目された今井だが、ドジャースの長年のライバルであるジャイアンツへ移籍する可能性は低そうだ。

 ESPNのバスター・オルニーも「ジャイアンツは、より手頃な価格の投手を狙っている」と伝えており、今井やディラン・シース(ブルージェイズと7年2億1000万ドル=約315億円で合意)のほか、フランバー・バルデスとレンジャー・スアレスの両左腕など、フリーエージェント(FA)市場のトップクラスの先発投手はジャイアンツの補強ターゲットから外れるだろう。より安い価格で獲得できる先発投手に狙いを定めることになりそうだ。

 より安価な選択肢となれば、メリル・ケリーとクリス・バシットの両ベテラン右腕、今季レッドソックスで10勝を挙げたルーカス・ジオリト、安定した制球力を持つザック・リテル、負傷からの完全復活を目指すタイラー・マーリー、米球界復帰を狙うコディ・ポンセらの名前が挙がる。また、今季チーム3位の152イニングを投げ、4勝11敗ながら防御率3.85をマークした大ベテラン右腕ジャスティン・バーランダーとの再契約も1つの選択肢だろう。

 ブルペンに目を移すと、ジャイアンツはガーディアンズからノンテンダーFAとなっていた左腕サム・ヘンジスと27日(日本時間28日)に1年140万ドル(約2億1000万円)で合意。しかし、勝ちパターンの継投が確立されておらず、セットアッパーやクローザーを任せられるような投手の補強が急務となっている。

 大物FA投手を回避するのであれば、エドウィン・ディアスやロベルト・スアレスは狙わず、不振に終わった今季からの巻き返しを目指すデビン・ウィリアムスの獲得や、今夏のトレードで放出したタイラー・ロジャースの呼び戻しが現実的な選択肢となっていくかもしれない。

2025.12.2 09:35 Tuesday

外野手補強を目指すロイヤルズ 左腕レイガンズの放出を検討か

 ロイヤルズは今オフ、主力先発投手のうち1人をトレードで放出することになるのだろうか。J・J・ピコーロGMは、チームの最大の課題である外野手補強を実現させるためであれば、先発投手をトレードで放出しても構わないと考えているようだ。

 ロイヤルズの先発ローテーションは現時点でコール・レイガンズ、マイケル・ワカ、クリス・ブービッチ、セス・ルーゴ、ノア・キャメロンという顔ぶれ。アレック・マーシュは右肩関節唇の手術を受け、来季全休が濃厚だが、ほかにもベイリー・フォルター、ライアン・バーガート、スティーブン・コレックらがおり、外野手に比べると圧倒的に層は厚い。

 そうした状況の中、ピコーロGMは「ボストン・グローブ」のアレックス・スパイアーに対して「多くのチームが先発投手を求めている。だから、我々の先発投手に彼らが興味を持ち、彼らの外野手に我々が興味を持つのであれば、トレードを成立させる可能性が生まれるだろう」と語り、先発投手をトレード要員として外野手補強に乗り出す可能性を示唆した。

 最も有力なトレード要員は1年後にフリーエージェント(FA)となる左腕ブービッチだろう。しかし、ESPNのジェフ・パッサンは「左肩の負傷で飛躍の2025年シーズンを早期終了することになってしまったため、トレードで大きな対価を得ることはできない」と指摘。また、ルーゴとワカの両ベテラン右腕については、FAでわざわざロイヤルズを選んでくれたという事情もあり、ピコーロGMは放出に前向きではないようだ。

 以上を踏まえると、外野手補強に最適なトレード要員はレイガンズということになる。あと3年保有できるエースをトレードで放出するなら驚きだが、ピコーロGMは「トレードの可能性が全くないわけではない」と明言している。

 ロイヤルズはジャレン・デュランの獲得に興味を示しており、ギャレット・クローシェに次ぐ先発2番手の補強を目指し、なおかつ外野手が人員余剰気味だったレッドソックスは、ロイヤルズにとって最適なトレード相手となる可能性があった。ただし、レッドソックスはすでにカージナルスとのトレードでソニー・グレイを獲得して先発2番手を確保し、現在は強打者の獲得を目指しているため、レイガンズに対してどれくらい興味を持つかは不透明。ロイヤルズは別のトレード相手を探す必要があるかもしれない。

2025.12.2 08:47 Tuesday

ジャイアンツが今井達也争奪戦から撤退の可能性 大型契約がネックか

「ドジャースを倒したい」との発言もあり、ポスティング移籍の行方が注目されている今井達也。総額1億5000万ドル(約225億円)以上の大型契約も予想される中、ドジャースの長年のライバルであるジャイアンツを移籍先の有力候補に挙げる声も多かった。もし今井獲得に成功すれば、ローガン・ウェブ、ロビー・レイ、今井が形成する3本柱は王者ドジャースにとって大きな脅威となっていたはずだ。

 ところが、ジャイアンツが今井争奪戦から撤退する可能性が浮上している。ESPNのバスター・オルニーによると、ジャイアンツが狙っているのは「より手頃な価格の投手」だという。「これはジャイアンツが今井のような大型契約が必要な投手を追いかけていないという強い兆候だろう」とも伝えており、ジャイアンツが今井やフランバー・バルデスのようなトップクラスの先発投手の争奪戦からは手を引く可能性が出てきた。

 ジャイアンツはエース右腕のウェブと2028年まで5年9000万ドル(約135億円)の契約を結んでいる。元サイ・ヤング賞左腕のレイは来季が契約最終年で、年俸は2500万ドル(約37億5000万円)だ。今季チーム3位の投球回を記録した大ベテランのジャスティン・バーランダーはフリーエージェント(FA)となり、現時点で先発ローテーションの3番手以降には右腕ランデン・ループら若手が並んでいる。ブルペンも含めて投手陣の層は薄く、補強が必要な状況だが、オルニーの報道が事実であれば、大物投手を獲りにいくつもりはないということだろう。

 バスター・ポージー編成本部長としては、ローテーションの1枠を若手の競争に充てたいという思惑もあるのかもしれない。今季7勝7敗、防御率3.80を記録したループのような新戦力が台頭してくる可能性もあるからだ。とはいえ、少なくともバーランダーの穴埋めは必要であり、今季152イニングを投げて防御率3.85を記録したバーランダーとの再契約が選択肢の1つとして浮上してくる可能性もある。

 本命視されたジャイアンツが撤退するとなれば、今井争奪戦はやはり東海岸のチームを中心に動いていくのだろうか。「ドジャースのようなチームに勝ってワールドチャンピオンになることが自分の人生にとって一番価値がある」と語った今井。メジャー30球団との交渉期限が約1カ月後に迫る中、今後の動向が注目される。

2025.12.1 11:12 Monday

レイズの21歳有望株アイザックが脳の手術を受けたことを公表

 レイズの有望株ゼイビアー・アイザックは28日(日本時間29日)、夏に「命を救う」脳の手術を受けていたことを公表した。

 アイザックはインスタグラムの投稿の中で、7月に脳スキャンを受け、それが「人生で最も恐ろしい瞬間」となり、手術によりシーズンを終えることになったと明かした。MLBパイプラインの球団別有望株ランキングで5位にランクインしている21歳の一塁手は、脳スキャンを受けた理由について「単なる脱水症状だと思っていた」と記している。

 脳手術の目的については明らかにしなかったが、「完全に回復した」と復活を宣言。2022年ドラフト1巡目指名の一塁手はここ最近、レイズのマイナー選手向けの打撃キャンプに参加しており、来春のスプリングトレーニングには間に合う見込みだ。

 シーズン中、球団に対しては自身の状態に関する詳細を公表しないように要請していた。今季のアイザックはスプリングトレーニングで肘を負傷し、マイナー2Aで41試合に出場しただけ。最後の出場は6月25日で、7月以降は完全に欠場した。

 インスタグラムの投稿から数時間以内に、ジュニオール・カミネロ、ジョシュ・ロウ、カーソン・ウィリアムスといったレイズのチームメイト、ロマン・アンソニー(レッドソックス)、マックス・クラーク(タイガース)、テルマー・ジョンソン(パイレーツ)といった他球団の有望株たちがコメントを投稿し、アイザックへのサポートを表明した。

 アイザックは「X is Back」(Xは復活する)という言葉で投稿を締めくくった。

2025.12.1 08:56 Monday

打線とブルペンを強化したオリオールズ 次はいよいよエース獲得か

 オリオールズは今オフに入り、最も活発な動きを見せているチームの1つだ。まず、エンゼルスからトレードでテイラー・ウォードを獲得して打線を強化。29日(日本時間30日)にはフリーエージェント(FA)のライアン・ヘルズリーと合意したことが明らかになり、クローザーも確保した。低迷した今季から巻き返し、激戦のアメリカン・リーグ東地区を勝ち抜くために、今後どのように補強を展開していくのだろうか。

 まだ重要な補強ポイントが残っている。それはエース級の先発投手の獲得だ。昨オフ、オリオールズはエースのコービン・バーンズがFAで移籍したにもかかわらず、チャーリー・モートンと菅野智之を獲得するにとどめ、バーンズに代わるエースの補強は行わなかった。「エース不在」はチームの大きな弱点となり、昨オフの戦略ミスが低迷の要因の1つとなったことについては疑いの余地がない。

 今オフのFA市場は絶対的エースと呼べるような先発投手は不在だが、ディラン・シースがブルージェイズと合意したあとも好投手が多く市場に残っている。フランバー・バルデス、レンジャー・スアレス、マイケル・キングらはいずれもオリオールズの補強ターゲットとなる可能性がある。また、ポスティング移籍を目指す今井達也に興味を示していることも報じられている。

 トレード市場に目を向ければ、マッケンジー・ゴア(ナショナルズ)、フレディ・ペラルタ(ブルワーズ)、ジョー・ライアン(ツインズ)、サンディ・アルカンタラ(マーリンズ)といった好投手たちに移籍の噂がある。場合によっては、2年連続サイ・ヤング賞のタリック・スクーバル(タイガース)も市場に出てくるだろう。若手野手の層が厚いオリオールズがトレードによるエース獲得に動いても不思議ではない。

 2023年から2年連続でポストシーズン進出を果たしたオリオールズだが、比較的静かなオフシーズンを過ごしたあと、今季は75勝87敗と低迷した。今季、ア・リーグ東地区からはブルージェイズ、ヤンキース、レッドソックスの3チームがポストシーズンに進出。レイズも毎年侮れない存在であり、来季もメジャー屈指の激戦区となるのは確実だ。オリオールズは2年ぶりのポストシーズン進出を目指し、昨オフとは対照的なアプローチで積極的な補強に動いており、エース獲得の行方も含め、今後の動向が注目される。

2025.11.30 11:34 Sunday

今後シーズン出塁率5割を達成する打者が現れる可能性はあるのか?

 年が経つごとに、4割打者の夢は消えつつある。

 2026年シーズンは、最後の4割打者(1941年テッド・ウィリアムスの打率.406)が誕生してから85年目のシーズンとなる。もちろん、それ以降も4割打者が誕生するチャンスはあったが、球界に大きな変化が起こらない限り、新たな4割打者が生まれることは考えにくい。

 しかし、別の記録はどうだろうか。アスレチックスの「マネーボール」が大きな話題となった2000年代初頭以降、打率よりも出塁率が重要であるという認識が一般的になっている。出塁率4割は確かに素晴らしい数字だが、歴史的な記録とは言えない。では、出塁率5割はどうか。

 エクスパンション時代(1961年以降)において、出塁率5割を達成したのはバリー・ボンズただ1人。しかもボンズは2001~04年に4年連続で達成し、2004年には史上最高の.609をマークした。しかし、ボンズが引退してから長い時間が経過しており、出塁率5割は20年以上達成されていない。「出塁率5割」は「打率4割」と比較して、現実的な目標と言えるのだろうか。

 ここでは出塁率5割の歴史を振り返るとともに、今後新たに出塁率5割が達成される可能性を考察し、その候補となり得る選手について見ていく。

◆稀有な偉業

 1900年以降の近代野球において、出塁率5割を達成した選手はボンズ以外に5人いた。5人の選手により合計11度達成されている。

ベーブ・ルース(5度) 1920年(.532)、1921年(.512)、1923年(.545)、1924年(.513)、1926年(.516)

テッド・ウィリアムス(3度) 1941年(.551)、1954年(.513)、1957年(.526)

ミッキー・マントル(1度) 1957年(.512)

ロジャース・ホーンスビー(1度) 1924年(.507)

ジョン・マグロー(1度) 1900年(.505)

 上記5人全員がアメリカ野球殿堂入りを果たしている(マグローは1937年に監督として殿堂入りしたが、選手としても17年間の素晴らしいキャリアを過ごしている)。いずれにせよ、これまで出塁率5割を達成したのは真の一流選手だけだ。

 出塁率5割が達成されたシーズンのうち、最も低い打率は.328である。2025年シーズンに当てはめると、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)の.331に次ぐメジャー2位に相当する。最も高い打率は最後の4割打者であるウィリアムスの.406ではなく、ホーンスビーの.424だ。前述の通り、現在の球界で4割打者が誕生する可能性はゼロに等しい。

 出塁率5割を達成した選手は、もれなく高打率(中央値は.372)を残していただけでなく、四球率も極めて高かった。もちろん、ボンズは例外だ。ボンズは2001~04年に記録した四球率でメジャー歴代トップ4を独占しており、2004年には617打席で232四球と徹底的に勝負を避けられた(四球率37.6%)。

 ボンズ以外に四球率が26%を超えた打者はいない。ボンズを除くと、1954年のウィリアムスの25.9%が最高である(打率.345、出塁率.513)。出塁率5割を達成するためには、打席で相当な辛抱強さが必要となる。出塁率5割を達成した選手のうち、四球率が19%より低かったのはホーンスビーしかいない(打率.424で四球率13.9%)。

 ボンズも含め、出塁率5割が達成された15度の平均四球率は驚異の24.3%に達する。ちなみに、2025年シーズンのメジャートップはジャッジの18.3%だった。最後に20%を超えたのは2022年のフアン・ソト(20.3%)。ソトはその前年にも22.2%を記録しており、これが2004年のボンズ以降では最高値である。

 故意四球(敬遠)の数も重要な要素となる。ボンズは2004年に120度も敬遠されるなど、史上唯一の「シーズンに46度以上敬遠された打者」となっている。しかし、敬遠が出塁率を高める有効な手段である一方、出塁率の重要性が広く認識されたことや、ユニバーサルDHの導入で投手が打席に立たなくなったことが影響し、敬遠の割合は2012年と比較して50%以上減少している。今季はジャッジが36度敬遠されたが、これはアルバート・プホルスが2010年に38度敬遠されて以来の記録だった。

 まとめると、出塁率5割を達成するためには、2025年のメジャートップよりも2分以上高い打率を残すだけでなく、敬遠の恩恵を受けずに5%多く四球を選ぶ必要がある。要するに「幸運を祈るしかない」ということだ。

◆出塁率5割に近づいた打者は?

 出塁率5割を達成するのは困難だが、不可能ではないかもしれない。近年でも出塁率.450以上を記録した選手は少なからず存在する。2005年以降では9度記録された(短縮シーズンの2020年を除く)。

チッパー・ジョーンズ(2008年/.470) フアン・ソト(2021年/.465) アルバート・プホルス(2008年/.462) ブライス・ハーパー(2015年/.460) マイク・トラウト(2018年/.460) ジョーイ・ボットー(2015年/.459) アーロン・ジャッジ(2024年/.458) アーロン・ジャッジ(2025年/.457) ジョーイ・ボットー(2017年/.454)

 短縮シーズンの2020年も含めると、直近20年間で出塁率5割に最も近づいたのは2020年のソト(.490)だ。ナショナルズで47試合に出場し、打率.351、四球率20.9%を記録した。逆に言えば、打率.350と四球率20%をクリアしても出塁率5割には届かなかったのだ。

 では、ボンズ以来となる出塁率5割を達成する可能性がある現役選手はいるのか。ここでは4人の有力候補を紹介しよう。

アーロン・ジャッジ(ヤンキース)

 まずはジャッジから始めるべきだろう。直近2年間、出塁率5割に最も近い選手だったからだ。今季はメジャー断トツの.457を記録。2位のジョージ・スプリンガー(.399)に大差をつけた。ジャッジは2024年にも.458をマークし、通算出塁率.413を誇る。驚異的なパワーを持つだけでなく、出塁能力の高さもエリートレベルだ。

 しかし、ジャッジほどの実力を持つ打者であっても、出塁率5割を達成するのは至難の業だろう。2年連続MVPに輝いた2024年と2025年は近年でトップクラスの打撃成績を残したシーズンだったが、それでも出塁率5割には遠く及ばなかった。打撃技術の高さと選球眼の良さを兼ね備えており、現役選手の中では出塁率5割を達成する最有力候補と言えるが、実際に達成される可能性は低いと言わざるを得ない。

フアン・ソト(メッツ)

 実は、ソトはジャッジよりも出塁率5割に近づいたシーズンがある(短縮シーズンの2020年も含めると2度)。2021年に打率.313を記録し、メジャー最多の145四球を選んだため、出塁率は.465に達した。だが、出塁率5割を達成するためには、これを再現するだけでなく、さらに数字を伸ばす必要がある。

 メッツと15年7億6500万ドル(約1147億5000万円)の超大型契約を結んだ今季、ソトは打率.263に終わったが、リーグトップの出塁率.396を記録した。パワーと驚異的な選球眼を兼ね備えるソトは、他の追随を許さないダイナミックな打者だが、出塁率5割を達成するためには、才能をフルに発揮する、もしくは限界を突破していくような活躍が必要になるだろう。

大谷翔平(ドジャース)

 今のところ、大谷はジャッジやソトほど出塁率5割に近づいていない。自己最高の出塁率はエンゼルスで2度目のMVPを受賞した2023年に記録した.412である。直近2年間では.390と.392を記録しているが、一流打者の中では空振り率やチェイス率(ボール球に手を出す割合)が比較的高く、それが出塁率を制限する要素となっている。今季の四球率15.0%はメジャー上位3%の好成績であるものの、この四球率のまま出塁率5割を達成するためには、4割近い打率が必要となる。

 しかし、大谷は今年のワールドシリーズ第3戦で4度も敬遠されるほど相手チームに恐れられた打者だ(ポストシーズンでの1試合4敬遠は史上初)。誰も大谷が1試合9出塁を続けられるとは思っていないが、もし相手チームに「勝負したくない」と思わせるほどの好調をキープすれば、大谷にとって特別なシーズンが到来する可能性はある。そして、たとえ出塁率が5割に届かなかったとしても、どんなプレーも見逃せない選手であることに変わりはない。

ロマン・アンソニー(レッドソックス)

 ジャッジ、ソト、大谷は定番の選択肢であり、最後はダークホース的な候補を選んで締めくくろう。今季のメジャーデビュー時点で球界ナンバーワン有望株だったアンソニーは「大穴」と呼ぶべき候補ではないかもしれないが、将来的な殿堂入りがほぼ確実な現役のスーパースターたちと同列に並べるのはやや大胆だと言える。

 今季のアンソニーはレッドソックスで303打席に立ち、打率.292、出塁率.396、四球率13.2%と印象的なルーキーシーズンを過ごした。ボール球に手を出さず、打球速度はかなり速く、特に速球に強かった。出塁率5割を達成するためには、打率を上げ、三振率(27.7%)を下げ、四球率をかなり上げていく必要があるが、もしそれを実現できるだけの才能を持つ若手選手がいるとすれば、それはアンソニーかもしれない。

2025.11.30 10:47 Sunday

層の厚いリリーフ市場 イグレシアス、ヘルズリーの契約後も選択肢は豊富

 トレードでテイラー・ウォードを獲得して打線強化に成功してから10日後、オリオールズはブルペンの補強に動いた。29日(日本時間30日)、MLB.comのマーク・フェインサンドが関係者から得た情報によると、オリオールズはフリーエージェント(FA)の剛腕ライアン・ヘルズリーと2年契約で合意。1年目終了後にオプトアウト(契約破棄)できる権利が盛り込まれているという。

 米メディア「ジ・アスレチック」のケイティ・ウーによると、程度の差はあるものの、15チーム前後がヘルズリーに対して関心を示していたようだ。その中には、ヘルズリーを先発投手として起用することを検討しているチームもあった。しかし、ヘルズリーにはオールスター選出2度、2024年にカージナルスの球団新記録となる49セーブを挙げた実績があり、守護神フェリックス・バティースタを肩の手術で欠いているオリオールズではクローザーとして起用される可能性が高い。

 実績のあるクローザーでは、ブレーブスと再契約を結んだライセル・イグレシアスに続いてヘルズリーも市場から姿を消すことになった。しかし、今オフのリリーフ市場は層が厚く、ブルペンの補強を目指すチームにとっては幸いなことに、まだ多くの選択肢が残っている。クローザー経験がある投手だけを見ても、エドウィン・ディアス、ロベルト・スアレス、デビン・ウィリアムス、ケンリー・ジャンセン、ピート・フェアバンクス、ルーク・ウィーバーらがまだ獲得可能だ。

 イグレシアスは1年1600万ドル(約24億円)でブレーブスと再契約を結び、ヘルズリーは2年2800万ドル(約42億円)でオリオールズと合意。つまり、実績のあるクローザーを獲得するためには年平均1500万ドル(約22億5000万ドル)前後の契約が基準となる。ディアスのようなトップクラスのクローザーを獲得するためには、年平均2000万ドル(約30億円)を超えるような契約が必要になるだろう。

 各選手の詳細な契約情報を扱う「Cot’s Baseball Contracts」によると、年平均1800万ドル(約27億円)以上の契約を手にしたリリーフ投手は過去4人だけ。ディアス、ジョシュ・ヘイダー、リアム・ヘンドリックス、タナー・スコットだ。

 ディアスが2022年オフにメッツと再契約した際の条件は5年1億200万ドル(約153億円)。年平均では2040万ドル(約30億6000万円)となり、総額でも年平均額でもリリーフ投手史上最高だった。ディアスはこの5年契約の残り2年を破棄してFAとなっており、さらなる記録更新を狙っているに違いない。クローザーにそこまでの金額を支払えないと判断したチームは、層の厚いリリーフ市場を利用し、ほかの投手を補強ターゲットとしていくはずだ。

2025.11.30 07:27 Sunday

オリオールズがクローザー確保 剛腕ヘルズリーと2年契約で合意

 オリオールズはクローザーのライアン・ヘルズリーと2年2800万ドル(約42億円)の契約を結ぶことで合意に至ったようだ。MLB.comのマーク・フェインサンドが関係者から情報を得た。今回の契約には1年目終了後のオプトアウト権が含まれているという。なお、球団からの正式発表はまだ行われておらず、身体検査の結果待ちとなっている。

 ヘルズリーは1年前、ナショナル・リーグの最優秀救援投手を表彰するトレバー・ホフマン賞を受賞し、オールMLBのファーストチームに選出された。さらに、オールスターにも選出され、サイ・ヤング賞投票でもポイントを獲得。どちらも2022~24年の3年間で2度目のことだった。2024年はカージナルスで65試合に登板し、53度のセーブ機会で49セーブを記録。66回1/3を投げ、防御率2.04、79三振の好成績を残した。

 この活躍は、ヘルズリーの3年間にわたる支配的なパフォーマンスの締めくくりとなった。2023年は右前腕痛で戦列を離れた時期があったものの、2022~24年の3年間、健康時には素晴らしい活躍を見せ、合計82セーブ、防御率1.83、9イニングあたり12.08三振を記録。相手打者を打率.172、OPS.505に封じ込めた。

 今季は序盤からやや安定感を欠いたが、31歳の誕生日直後、トレード期限の直前にメッツへ移籍する頃には、すっかり本来の調子を取り戻しているように見えた。カージナルスでの最終11登板のうち10試合を無失点に抑え、カージナルスでは36試合に登板して21セーブ、防御率3.00をマークした。

 ところが、フリーエージェント(FA)を控えていたヘルズリーにとって残念なことに、メッツ移籍は良い結果にはつながらなかった。移籍後4度のセーブ機会をすべて失敗し、22試合の登板で0勝3敗、1ホールド、防御率7.20と全く貢献できず。メッツは惜しくもポストシーズン進出を逃した。メッツ移籍後は20イニングで25安打、11四球、20失点(自責点16)。シーズントータルの防御率も4.50まで悪化した。

 メッツ移籍後、苦戦が続いたヘルズリーだが、「明らかにクセが盗まれている」と語り、修正に取り組もうとしていた。その成果が出たのか、最終6登板、合計7イニングを無失点に抑えてシーズンを終えた。

 プロ入りは2015年で、ドラフト5巡目指名を受けてオクラホマ州のノースイースタン州立大学からカージナルスに入団。2019年にメジャーデビューを果たし、7年間のメジャー生活で通算319回2/3を投げて105セーブ、防御率2.96、377三振を記録している。

 オリオールズはクローザーのフェリックス・バティースタが8月に肩の手術を受けて長期離脱が決まっており、今オフはブルペンの補強が急務に。一時は先発転向の可能性も取り沙汰されたヘルズリーだが、来季全休の可能性もあるバティースタの代わりに守護神を務めることになりそうだ。

2025.11.30 06:33 Sunday

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